2012年10月26日金曜日

メシールのテニス(80) えもんかけとフォアハンド

Youtubeでとあるテニスのレッスンサイトを見つけました。そこで、面白いことを解説していたのでコートで実践したところ、メシールのテニスっぽかったので紹介します。残念ながらどのサイトだったかわからなくなったので、見つけたらポインタ(URL)を掲載することにします。

そのサイトで言っていたのは、次のようなことです。
  • フォアハンドを打つ際には、両肩が「えもんかけ」になったつもりで打ちなさい。
えもんかけとは、いわゆるハンガーのことです。両肩がハンガーになったつもりで両肩を回転させるのです。
  • その際、両腕は、えもんかけの両端からぶら下がったひもだと思いなさい。
つまり、両腕は「ぶら~ん」とぶら下げて、両肩で回転をしなさいというのです。なるほど、これは道理です。この打ち方により、両腕に力が入らなくなります。また、両肩を回すことで、右手だけでボールをヒットすることを回避できます。同時に、左手をうまく使うことができるようになります。フォアハンドでは、左手の役割が重要です(メシールのテニス(68))。

さらに、これは私のイメージですが、もう一つ付け足そうと思います。

  • 両端からぶら下がったひもが回転時に遠心力で広がらないようにフラフープで押さえておきなさい。
イメージしにくいので、図を掲載しておきます。ひもをぶら下げてえもんかけを回転させると、回転時の遠心力でひもが広がります。これは、脇が開くことにつながります。これを避けるために、大きな輪でひもの広がりを防いでおくわけです。

2012年10月25日木曜日

メシールのテニス(79) フォアハンドの遅い打点について

(メシールフォアハンドのGIFアニメーションはこちらです。)

1987年(だったと思います)のジャパンオープン2回戦でメシールと対戦した福井烈が、試合後のインタビューでメシールについて、このように言っていました。

「メシールの(フォアハンド)ストロークは、打点が遅いんです。シロウトさんによくいるでしょ、打ち遅れて打点が後ろになる人。あの感じでボールを打ってくるんです。本当に疲れた。」

メシールのフォアハンドは、薄いグリップ(コンチネンタルかイースタングリップ)です。薄いグリップは打点が後ろだと、よく言います。本当でしょうか?

答えは、①打点が後ろの打ち方と②打点が前の打ち方がある、だと思います。つまり、二つの打ち方を使い分けることができるのです。厚いグリップには①が難しいので、これは、薄いグリップの利点です。

今回は、①について書こうと思います。

①の打法、つまり打点を後ろにするフォアハンドは、それほど難しくありません。もともと、腰のところでラケットを引くわけですから、テイクバックは体の後ろになります。そのままラケットを振り出せば、打点を後ろにすることができます。打点は、「右足の前」になります。

大切な点は、打法ではなく、どのような場合にこの打ち方を使うかです。

メシールのビデオを見ていると、(当然と言えば当然ですが)この打法を常に使うわけではありません。次に示す、いくつかの条件が整ったときに使うようです。
  • 相手のボールが高く跳ね上がるときには使えません。フラット系の低く弾むボールで有効です。
  • 相手のボールが速く、力がある場合に使います。遅いボールの場合は、左足を踏み込んで打点を前にする方がボールに力が乗ります。(打点を後ろにする理由がありません。
コースは打ち分けやすいので、ボールを引き付けて、コースを隠すには有利です。しかし、気を付ける点もいくつかあります。以下の点に注意する必要があります。
  • ボールの打点がほぼ一点しかありません。振り遅れたら「万事休す」です。絶対に振り遅れないこと。
  • ボールに順回転をかけにくいので、どちらかというとフラット系になります。
  • ボールへの力加減が難しいので、ボールが短くなったり、アウトしたりしやすい難点があります。
丁寧に打つ打法ですから、やや右脇を締め気味にするのがよさそうです。腰の回転主導で打つようにします。腕を主体で脇が甘い打ち方では、微妙なコントロールを失いやすくなります。つまり、もともと難しいボールコントロールがますます難しくなります。

(メシールフォアハンドのGIFアニメーションはこちらです。)

メシールのテニス(78) フォアハンドの右足とフォワードスイング(多彩なフォアハンドのために)

メシールのテニス(75) フォアハンドの右足で、右足の位置を決めることの重要性を書きました。右足を決めることは、フォワードスイングにも重要です。

右足の位置を決める。そのあと、フォワードスイングをするきっかけ(力)はなんでしょうか。それは、腕の動きではなく、右足の動きです。右足が地面を押し出し、その力で体の回転や重心の移動が発生します。

腕を使うのは、その次です。足の後です。

スイングのタイミングやきっかけは右足がつかさどります。だからこそ、右足の位置を決めることが大切なのです。

その際には、右足を突っ張ってはいけないことはもちろんです。右足に、地面を押すだけの力をためなくてはなりません。右足は柔らかく曲げておくことが必要です。

  1. 右足の位置を決める。膝を柔らかく(足をつっばらない)。
  2. テイクバック(実際には右足の位置を決めながら並行して行う)。
  3. 右足でフォワードスイングを起動。(腕はもちろん、腰の回転で始動しない。)
  4. 腰の回転でフォワードスイング。
  5. 両肩を回転させる。(4と5は実際にはほぼ同時になるでしょう。)
  6. 腕を使い始める。
この手順でフォアハンドスイングをすると、最後の腕の使い方がかなり自由になります。腕が自由なほど、多彩なボールを打つことができるのです。5の両肩の回転については、メシールのテニス(80) えもんかけとフォアハンドをご覧ください。

2012年10月24日水曜日

メシールのテニス(77) スクエアスタンスとオープンスタンス(フォアハンド)


メシールのテニス(75)で、フォアハンドの右足の位置について書きました。その際に、左足は①スクエアスタンスで前方に踏み出して打つ、②オープンスタンスで打つ、の2つの打ち方があることを、図に示しました。図を再掲載します。①が左図、②が中図です。③はNGです。オープンスタンスでは、体重を左足に移動してはいけません。

さて、①の場合と②の場合は、どう使い分ければよいでしょうか。簡単に書くと、①はフラットドライブ系、②はスピン系で使います。②の打ち方について書きます。

②のスピン系は、いわゆるワイパースイングです。1980年代のテニスファンでイメージしやすいのはマッツ・ヴィランデルです。その特徴を整理すると、次の通りです。
  • 右肘をたたんで、右脇を締める。インサイドアウトのスイングワーク。
  • 手首をワイパーのように使う。
  • 右足は柔らかく。突っ張らないように。
  • 左足は、右足よりも後ろでよい。(図を見てください。)
  • 打点は高いところで。頭よりも高いところで打ってもよい。(低いところでは、やや打ちにくいです。)
  • フォロースルーでは右肘を前に突き出す。右手首よりも右肘がネット側に来る(ワイパースイング)。
  • 打ち終わったときの体重は右足にかかる。

メシールのフォアハンドはフラットドライブが目立つので②のような打ち方はしないというイメージがありますが、必ずしもそうではありません。ヴィランデルほどはっきりとしたワイパースイングをしていないだけです。例えば、全仏オープンの様な土のコートでは、この②の打法でフォアハンドを打っています。左足の位置は、図に示すように右足のほぼ横、または少し後ろにあります。

②の打法方の利点は、他にもあります。それは、「高い打点で打ちやすい」という事です。①の打ち方は体重が乗るので重いボールが打てますが、高い打点が苦手です。②は、高い打点が得意な打ち方です。①と②を使い分けることで、ボールの高さに対応することができます。

②のもう一つの利点は、フォア側に振られた時に有利だという事です。なぜなら、打つ時に左足が後ろに残っていますので、打ち終わった時にセンターに戻りやすいのです。①では、そのような対応は容易ではありません。

2012年10月23日火曜日

メシールのテニス(76) フォアハンドの右足と目

メシールのテニス(75) フォアハンドの右で書いた「まず右足の位置を決める」というのは、よい方のバイプロダクト(副産物)があります。それは、「右足を固定することで頭の位置が固定できる。頭の位置が固定することでボールを見ることができる」ということです。

相手のボールが速くなるときに、一番難しいのが「バランスを保つ」ということです。相手のボールがゆるくて時間的余裕があるときは、こちらの体制はいつでも整えることができます。

しかし、早い場合には、バランスを崩されがちです。バランスが崩れると、そのひずみがいろいろなところに出てきます。ボールを最後まで見ることができなくなるというのも、その弊害の一つです。

相手のボールが速くても、まず右足を決める。その上に頭を”のせる”。そして、ボールをヒットするまでボールをしっかりと見る。ボールを見ることは、ラケットの真ん中でボールを打つだけではなく、体全体のバランスを崩さないという意味でも大切です。

右足を固定してボールを見るという習慣は、いつでも練習できます。ショートラリーであっても、遅いボールを打つ相手とのストロークでも、あまり上手ではなくてボールがあちらこちらに散らばる相手とでも、練習はできます。

2012年10月22日月曜日

ラケットインプレッション ダンロップ社NEOMAX2000とバイオミメティックMax200G

ダンロップ社製のNeoMax2000を使い始めて、1年以上が経ちました。とても気に入っていて、ずっと使っています。少し前に、3本目を買ってしまいました。

さて、同じダンロップ社のバイオミメティックMax200Gです。

素材が違うのは分かっていましたが、それ以外のスペックが同じなので、もしかして…と思い、衝動買いしてしまいました。

さて、コートで打ってみた感じは…。

ダンロップ社NEOMAX2000とバイオミメティックMax200Gは別のラケットです!(笑)

他のサイトにもありましたが、バイオミメティックMax200Gは、DUNLOP MAXPLY McENROEのペイントジョブを変えただけ…のような感じがします。打感は、NeoMax2000よりも、はるかに「硬い」感じです。(MAXPLYよりは少しだけ柔らかいかも。)

NeoMax2000の方が、往年のMax200Gの打感に近いのは、おそらく誰もが認めると思います。

メシールのテニス(75) フォアハンドの右足

(メシールフォアハンドのGIFアニメーションはこちらです。)

ある一定レベルになると、相手の打つ球は速く、重く、鋭くなります。頭でいろいろ考えている余裕はなくなります。相手が打つ⇒ボールが飛んでくる⇒構える⇒打つ。この間で、フォームがどうのと考える時間はありません。あっという間の出来事です。

したがって、「フォームは完成している」と言う前提で、「ボールがフォア側に飛んできた短い時間に何を考えなくてはいけないか」が、今回のテーマです。

それは、「右足の位置を決める」という事です。その際に、右足を突っ張ってはいけません。「柔らかく右足を決める」のです。

別の記事に書きますが、フォアハンドはオープンスタンスでも打つことができます。フラット系は左足を踏み出し、スピン系は右足を踏み出します。

余談になりますが、オープンスタンスで打つことは、(今のテニスでは)なにも問題ありません。右足を踏み出して打つ(オープンスタンス)のがだめなのではないのです。オープンスタンスで打つのに、体重が右足から左足に移動するのがよくないのです。最後まで右足に体重が乗るならば、オープンスタンスでボールを打ってもよい(むしろその方がよいこともある)のです。

したがって、まず右足を決めると、その後、左足を踏み出すか、そのまま右足体重でオープンスタンスで打つか、どちらでも選択できます。つまり、右足を決めることは、どちらのうち方にも対応できるのです。

右足を決めるというのは、他にも利点があります。位置を決めやすいという事です。簡単に言うと、飛んでくるボールの飛球線に対して、右足の位置を決めてしまえばよいのです。あくまでイメージですが、飛球線上に右足を固定するという感覚がよいかもしれません。(実際には、飛球線に対して右側に右足を置くはずです。)

なにしろ、あるレベル以上になると、ボールと右足の位置関係が少しずれただけで、ボールはとんでもない方向に飛んでいきます。常に、ボールと右足の位置関係を同じにしておきたいのです。(相手のボールが遅いと、簡単に微調整ができるのですが。)

まずは右足の位置を決める。これが、ポイントです。