ラケットにはトップヘビーやトップライトなど、重さとは別にバランスがあり、最近のラケットではバランスはほとんど表記されています。私はあまり詳しくないのですが、ラケットヘッドが遅れて出てくるタイプのスイングはトップライトなほうがよく、フラット系のスイングはヘッドが重いほうがよいそうです。
私は、テニスの専門家ではないので詳しいことはわかりませんが、トップヘビーがよいか、トップライトがよいかは、体の回転とラケットの動きがどのぐらい一致しているかによるのではないかと考えています。ラケットが体の比較的近くを体と一緒に回転するタイプは、トップヘビーは向いていません。遠心力で体とラケットの回転にずれが生じやすいからです。
ミロスラフ・メシールが現役時代に使っていたラケットを、スロバキアの首都であるブラチスラバのテニス協会のレストランで見たことがあります(動画像はこちら)。ご覧いただければお分かりの通り、メシールのスノワート社製のラケットはガラスケースに入れて展示されており、残念ながら手に取ることはできませんでした。
したがって、私の想像なのですが、このラケットは重心が…というよりもスロートのところがかなり重くなっているのではないかと思います。つまり、このスロートの部分が重くっており、メシールがフォワードスイングをするときにはこの部分を意識してラケットを振っていたのではないかと思うのです。
メシールのスイングは、現代テニスの誰よりも、ラケットと体が一体になって動きます。インパクトの直前ぐらいまでは体の回転にラケットはついていくだけで、インパクトから初めて腕を使うイメージです。つまり、テイクバックからフォワードスイングにおいてはラケットの体に近い場所、すなわちスロート部分あたりを体の回転に合わせて振り出すイメージになります。ラケットがトップヘビーとなると、体とラケットの距離が離れ、そのために体の回転とラケットヘッドの回転に微妙なずれが出てしまうのです。スロート部分を走らせるイメージであれば、実質的には体の回転だけでラケットを振る(フォワードスイングする)ことができます。
ラケットヘッドに重心があるほうが遠心力でラケットを強く振ることができます。ただ、メシールの場合、ラケット全体が十分に重かったそうですので、その必要はないのかもしれません。
なお、メシールの現役時代のラケットのアップ写真は、メシールのテニス(112) どうしてもウッドラケット?(おまけ)をご覧ください。
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