2012年11月27日火曜日

メシールのテニス(83) 肩の回転と腕によるスイング



メシールのテニス(80)で、フォアハンドストロークでは肩をえもんかけのように使うことを書きました。これは、肩を回転させるという事を意味しています。腕で振るのではなく、体のラケットでラケットをスイングするのです。

腕がラケットを振るのは、肩が回ってからです。

前半をフォワードスイング、後半をインパクトスイングと呼ぶことにします。

この時のポイントは、フォワードスイングは「前半」ですので、まだ「後半」があるという事です。言い換えると、肩の回転(えもんかけの回転)はインパクトまでの「準備」でしかないという事です。

これは、ボールを打つ感覚(イメージ)としては厄介です。肩の回転でボールを打つイメージを作ってしまうと、「後半」の前にボールが来てしまいます。振り遅れます。

また、肩の回転のタイミングは、相手のボールに関係なく同じでなくてはなりません。後半のインパクトスイングを安定させるためには、前半のフォワードスイングの勢いをそのまま使って打たねばならないからです。

タイミングと言う意味では、インパクトスイングの時の腕に、タイミングを合わせる仕事をさせることはできません。腕は「びゅんと振る」ことしかできないのです。(ただし、スピンの度合いやスイングの上下方向の角度は、逆に腕が付けることになります。肩の回転は、常に同じ方向になるからです。)

メシールのテニス(82)では、テイクバックはボールが飛んでくるのにあわせると書きました。その後、ボールがワンバウントしたときにフォワードスイングは始まります。では、インパクトスイングは、どのタイミング(きっかけ)で始めればよいのでしょうか。

それは、インパクトの瞬間からです。つまり、腕によるスイング(インパクトスイング)はインパクトからスタートするのです。

と言っても、それはあくまでイメージです。実際には、腕は(無意識に)フォワードスイング中に必要な準備をしています。ただしそれは、「準備」でしかありません。スピン系の場合はラケット面を伏せ気味にするでしょうし、逆クロスに打つ時や右足で踏み込むときはやや脇を締めてインサイドアウトでスイングするでしょう。

しかし、フォワードスイングでは腕はスイングはしていません。腕がスイングをするのは、あくまでインパクト後なのです。

そう考えると、えもんかけ(肩)の仕事は重要です。ボールをヒットするためのインパクト前の「勢い」を腕に頼ることはできません。ボールを叩くための勢いは、肩の回転が担当することになります。

もう一つ、フォロースルーでボールを叩く勢いを付けるのが肩甲骨です。肩甲骨の力でフォワードスイングに力を与えることができます。(くどいようですが、腕は仕事をしてはいけません。)

全体のイメージを整理しておきます。

  • ボールが飛んでくる。それに合わせてテイクバック。
  • ボールがバウンドする。それをきっかけに肩の回転でフォワードスイングを開始。
  • フォワードスイングのパワーは、肩の回転と肩甲骨の力で行う。
  • インパクトまでは、腕は使えない。すべて肩が仕事をする。
  • インパクトからフォロースルーへ。この時に初めて腕は仕事をする(腕を振る)。
腕の仕事のなんと遅いことでしょうか。ボールを打ち終わって、ボールが相手コートに向けて飛び始めているところで、やっと腕は仕事をするのです。そう考えると、フォアハンドのスイングは肩(と肩甲骨)で行う、と言い切ってしまってもよいかもしれません。もちろん、それは、あくまでイメージですが。

0 件のコメント:

コメントを投稿