2012ウィンブルドン男子準決勝(ジョコビッチVSフェデラー)は、フェデラーのテニスがすばらしかった。
テニスは、深いボールを打つことが基本だという事を、改めて教えてくれたフェデラーのプレーだった。両者のストロークのボールがバウンドした記録を見たらわかるだろう。フェデラーのボールは、大事なところで深かった。ベースラインから1m以内でバウンドした。
そして、もっと素晴らしいのは、ジョコビッチの深いボールを、フェデラーが必ず対応したことだ。試合前から、ジョコビッチのボールは深いとフェデラーは覚悟していたように見えた。そして、深いボールをミスすることなく、必ず打ち返した。しかも、相手のチャンスボールにならないように。
この点が肝心なところで、フェデラーの深いボールに苦しめられたジョコビッチとの大きな違いだった。
体力的には、フェデラーはもうジョコビッチにはかなわない。しかし、リスクマネージメントにおいては、フェデラーは世界でも群を抜いている。
テニスは、エラーをしたらポイントを取られる。エラーをしたら負ける。しかし、世界のこのクラスでは良いショットを打たなくてはポイントが取れない。フェデラーは、ミスをしない一番ギリギリのところでボールを打つ。これ以上狙ったらエラーになる、そのギリギリのラインだ。
ジョコビッチは、このリスクマネージメントに負けた。自分が打ったよいボールがなぜ返球されるのか、その後も攻めきれないのはなぜか、訳が分からず敗退したに違いない。
限界説も飛び交うフェデラーだが、このテニスを続ける限りはまだ十分に戦える。ただし、心技体がベストの状態で整わないと、このタイトロープを渡るテニスを一試合に渡り継続することはできない。これからもフェデラーの集中がどこまで続くのか。ぜひ見てみたい。
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