1987年(だったと思います)のジャパンオープン2回戦でメシールと対戦した福井烈が、試合後のインタビューでメシールについて、このように言っていました。
「メシールの(フォアハンド)ストロークは、打点が遅いんです。シロウトさんによくいるでしょ、打ち遅れて打点が後ろになる人。あの感じでボールを打ってくるんです。本当に疲れた。」
メシールのフォアハンドは、薄いグリップ(コンチネンタルかイースタングリップ)です。薄いグリップは打点が後ろだと、よく言います。本当でしょうか?
答えは、①打点が後ろの打ち方と②打点が前の打ち方がある、だと思います。つまり、二つの打ち方を使い分けることができるのです。厚いグリップには①が難しいので、これは、薄いグリップの利点です。
今回は、①について書こうと思います。
①の打法、つまり打点を後ろにするフォアハンドは、それほど難しくありません。もともと、腰のところでラケットを引くわけですから、テイクバックは体の後ろになります。そのままラケットを振り出せば、打点を後ろにすることができます。打点は、「右足の前」になります。
大切な点は、打法ではなく、どのような場合にこの打ち方を使うかです。
メシールのビデオを見ていると、(当然と言えば当然ですが)この打法を常に使うわけではありません。次に示す、いくつかの条件が整ったときに使うようです。
- 相手のボールが高く跳ね上がるときには使えません。フラット系の低く弾むボールで有効です。
- 相手のボールが速く、力がある場合に使います。遅いボールの場合は、左足を踏み込んで打点を前にする方がボールに力が乗ります。(打点を後ろにする理由がありません。
コースは打ち分けやすいので、ボールを引き付けて、コースを隠すには有利です。しかし、気を付ける点もいくつかあります。以下の点に注意する必要があります。
- ボールの打点がほぼ一点しかありません。振り遅れたら「万事休す」です。絶対に振り遅れないこと。
- ボールに順回転をかけにくいので、どちらかというとフラット系になります。
- ボールへの力加減が難しいので、ボールが短くなったり、アウトしたりしやすい難点があります。
丁寧に打つ打法ですから、やや右脇を締め気味にするのがよさそうです。腰の回転主導で打つようにします。腕を主体で脇が甘い打ち方では、微妙なコントロールを失いやすくなります。つまり、もともと難しいボールコントロールがますます難しくなります。
(メシールフォアハンドのGIFアニメーションはこちらです。)
(メシールフォアハンドのGIFアニメーションはこちらです。)
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