2012年12月6日木曜日

メシールのテニス(87) タメの大切さ

ボールに合わせてテイクバックを取るという事を書きました。ボールをヒットするタイミングを取るためには、有効な方法です。

しかし、ボールを(強く)ヒットする感覚は、テイクバックのタイミングではなく、フォワードスイングのタイミングです。それを司るのがテイクバックの最後であり、フォワードスイングのきっかけです。

いわゆる、テイクバックの『タメ』です。テイクバックからフォワードスイングに切り替わる際に、一瞬、スイングが止まったようになるのが『タメ』です。実際には、ほぼ止まらないこともあります。逆に、はっきりと止まることもあります。これは、相手のボールによっても違います。

タメをつくることで、フォワードスイングを強く振ることができます。逆に、タメがないと、テイクバックからフォワードスイングが連続となりますので、メリハリをつけにくく、スイングが不安定になります。

では、タメを作るにはどうすればよいか?

一つは、早くテイクバックを取ることです。早くテイクバックを完了すると、残りの時間は全てがタメになります。テイクバックを終了した体勢で、長い時間じっとしていれるのかと疑問を持つかもしれません。しかし、相手のボールがよほど遅くない限りは、そのような心配はありません。タメの状態で待っても、待ちすぎることにはなりません。

もう一つは、スイングの意識です。スイングは、タメからフォワードスイングをする過程が最も大切だというイメージを、テイクバック時から持たねばなりません。スイングはあくまでフォワードスイングのために行っているのであって、テイクバックのために行っているのではないという意識です。フォワードスイングのためにスイングすると思えば、そのきっかけとなるタメのタイミングが遅れるという事が起こりにくくなるはずです。テイクバックなんぞはさっさととってしまって、さっさとタメを作り、ボールが飛んできたときに如何ににフォワードスイングをしっかりするかが大切だと、そんな風にイメージを持てばよいのです。

早いテイクバックとタメがあれば、逆にフォワードスイングはゆっくりになります。ゆっくりでも十分に厚い当たりで打つことができます。メシールのスイングがゆっくりに見えるのは、実はそういうわけなのです。

最近のテニスでは、フォアハンドがループ系になっているので、タメが必要がないことが多いようです。図に示すように、ループ系スイングではタメを取る場所がない(必要がない)からです。メシールのテニスは、テイクバックでラケットが下から引きますので、折り返し点ができます。ここにタメが必要になります。図の赤丸の箇所がタメとなる場所です。

一方、バックハンドは、最近のテニスでも、下から引くことが多いのです。つまり、バックハンドではこのタメが重要となります。プロ選手のビデオを観ていても、フォアハンドはタメがないスイングでも、バックハンドではタメを取っている選手はたくさんいます。テイクバックからフォワードスイングへの切り替わりのタイミングを見ていると、よく分かります。


(メシールフォアハンドのGIFアニメーションはこちらです。)

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