2013年5月10日金曜日

Mecir's Tennis (156) 3対7と言うよりも0対10のテイクバックとフォロースルー(その1)

テイクバックとフォロースルーの力の入れ方は3:7(2:8)などと言います。「スイングでは、後ろを小さく、前を大きく」という事です。

メシールのフォアハンドを見ていると、大げさではなく、テイクバックは0でフォロースルーが10と言っても過言ではないのかと思います。もちろんこれは、脳内イメージで、実際にはテイクバックで右腕の力が0にはならないでしょう。が、イメージとしては、テイクバックではほぼ力を抜いているイメージです。逆に、フォロースルーをかなり大きくとるイメージです。


テイクバックでの右手の力は0です。右足を決めた時に、ラケットを右腰のところにセットしたら、その後は右腕は何もしないのです。右足はくさびを打つように、ボールに対してしっかりと固定します。次に骨盤を回してテイクバックを起動します。さらに、腕を使ってテイクバックを・・・・しないのです。

右腕は力を抜いて、腰の位置にセットしたままにします。右腕は、体の右横ではなく体の前に置きます。(視野の中に右手が見えるぐらいの位置です。)

体(骨盤)がテイクバック側に回転する間も、右腕は動かしません。と言っても、力は抜いて、楽に構えます。

さらに、体(骨盤)がフォワードスイング側に回転を初めても、まだ右腕は動かしません。体の回転についていくだけです。

右腕が意識的に動くのは、インパクト前あたりからです。ここで初めて、右腕を意識して使います。と言うよりも、今度は、右腕を大きく使います。その勢いは、フォロースルーまで続きます。どんなに大きなフォロースルーを取っても構いません。いえ、大きなフォロースルーを取らねばなりません。(0対10の10の方です。)

言い換えると、10のフォロースルーが取れるように、テイクバックからフォワードスイングを準備せねばなりません。右足の位置を誤ると、これができません。右足の位置を決めることがどれだけ大切で微妙な事であるかが分かると思います。

フォロースルーは、ボールの質を決めます。縦系に振り上げてスピン系のボールを打つ場合、横系に振ってサイドスピン系(順クロス)のボールを打つ場合、インサイドアウトに振ることで逆クロスのボールを打つ場合など、すべては大きなフォロースルーでボールの質を決めます。

特に大切なのは、パンチの利いたボールを打ちたい場合です。この場合は、脇を締めることでボールをしっかりと打ちます。脇を締めるだけで、右腕の使い方は同じです。

テイクバックでの右腕の使い方が0であるというのは、窮屈なスイングに思う人もいるでしょう。実際、最近の厚いグリップのフォアハンドでは、大きなテイクバックを取ることが多いので、このメシールのフォアハンドには違和感があるかもしれません。

もちろん、これは脳内イメージですので、実際には右腕は多少動きます。小さなループを無意識に作ります。(本当に、右腕を腰のあたりにがちがちに固定してしまわないように注意してください。そのために、テイクバックでは右腕の力を抜いています。)

もう一つ、右腕はあまり動かなくても、ラケットは動きます。ラケットは長いので、右腕のグリップの方向が少し変わるだけでも、ラケット先端は大きく動きます。

例えば、メシールのフォアハンドの様子(1枚目と2枚目)を見てください。ラケットは1から2にかけて大きく移動しています。が、右腕は右腰に対して、そんなに大きく動いていません。(まったく動いていないわけではないのですが。)

グリップの向きや右脇の開き方など、ラケットの支点となる部分が動けば、ラケット先端は大きく動くという事です。したがって、言い換えると、やはりメシールのフォアハンドでは、「ラケットは右腰前に固定したままでテイクバックする」というのが正しい脳内イメージなのです。

こちらのフォアハンド画像(連続写真)でも、テイクバックで右腕が動いているように見えますが、脳内イメージでは、ほぼ右腕を固定しているはずです。(逆に、右腕をテイクバックで動かした場合には、もっと大きなラケットと右腕の移動が見られるはずです。)

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