2013年7月10日水曜日

Mecir's Tennis (171) 緩いボールの打ち方(続編)

フォアハンドストロークでの緩いボールの打ち方(Mecir's Tennis (124) 緩いボールの打ち方)の続編です。

緩いボールだけではなく、メシールのすべてのフォアハンドストロークに共通することですが、「ボールの後ろ(6時方向)に回り込むのではなく、ボールの横(9時方向)に回り込む感覚」が大切です。グリップが薄くなるほど、ボールに対する体の位置が6時(後ろ)から9時(横)になっていきます。バックハンドも同じで、6時から3時方向に回り込む意識が大切です。

9時(フォアハンド)に回り込むと、ボールとの距離が離れすぎてしまうのではないかという不安がありますが、そこは思い切りましょう。薄いグリップの場合は、厚いグリップと比較して腕を比較的自由に使えるので、体とボールとの距離の補正が可能です。また、必要に応じて打点を後ろにずらせることができますので、万が一振り遅れても大丈夫です。

そして、余裕があれば、左足を踏み込みましょう。これは意識しなくても大丈夫です。ボールとの距離が取れている場合は、無意識に左足を踏み込もうとするからです。オープンスタンスが全盛期の現代テニスですが、フェデラーはほとんどのフォアハンドで左足を踏み込む(または前に出す)打ち方をしています。

もう一つ、こちらは緩いボールの時に有効な手段です。厚いグリップとフォアハンドとは違い、薄いグリップは意外に緩いボールが苦手です。ラケット面が少しもぐらつかないように注意しながら、同時にラケットをしっかり振って緩いボールを強く打たねばなりません。微妙なラケット面の狂いが、特に強いボールの場合にはバックアウトやネットに直結します。

この場合に有効なのが左腕と左肩です。左腕をしっかりと畳み込んで、左肩の前に置きます。そのタイミングは、早くても構いません。たとえば、相手のボールが緩い場合、つまり時間の余裕がある場合には、テイクバックの時点で左腕をたたんでしまってもよいのです。これにより、ラケット面のぐらつきを安定化させることができます。しかも、左腕をたたむことで右腕は比較的自由にスイングができます。必要であれば、右腕のテイクバックを早めに取り、やや大きめのスイングをすることも可能です。

左腕は、特にうまく使うことが有効です。緩いボールは、ボール自身にパワーがありませんので、自分からボールに力を与えなくてはなりません。ボールに対して左ひじを突き出し、それを(下の写真のように)左脇に畳み込んでいきます。これにより、体が相対的に前に突き出されます。この突き出す力を使って(前に体重移動をしながら)ボールに力を与えるわけです。



もう一つポイントは、ラケットスイングを体の近くから外に振り出すことです。いわゆる、インサイドアウトの感覚です。ラケット面が微妙なイースタングリップのフォアハンドでは、特にラケットを強めに振りたい場合にはラケット面がぐらつきやすくなります。体とラケットが離れると、離れた分だけラケット面が不安定になります。したがって、テイクバックとフォワードスイングでは、ラケットが体の近くから出てくるほうが望ましいのです。

一方、大きなフォロースルーを取るためには、フォロースルーでラケット(右腕)が体のそばにあることは望ましくありません。フォワードスイングもフォロースルーも体のそばに腕があると、スイングの回転半径が小さくなり、大きなスイングが難しくなります。したがって、テイクバックからフォワードスイングがインサイドアウトの場合には、フォロースルーはそのままインサイドアウトを維持して、大きくからの外側にラケットを振り出すことが望ましいということになります。

インサイドアウトスイングは、下から上へのスイングとセットに考えます。ラケットは下から上に振るというのが、イースタングリップの基本です。ただしこれは十分に構える余裕があった場合(緩いボールを強く打つのは、そういう場合になると思います)のスイングであり、そうでない場合には横振りになることもあります。

まとめ:緩いボールに対するフォアハンドの要点
  • ボールに対して9時方向(ボール飛球線に対して横)に体を置くこと
  • 左手を左肩の位置に置く(写真)/スイング中でもよいがスイング前から置いてもよい
  • フォワードスイングはインサイドアウト/フォロースルーもそのままインサイドアウト
  • ラケットを下から上に振る

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