また、フェデラーのフォアハンドの連続写真もあります。
一方、エドバーグ(エドベリ)のフォアハンドの連続写真が以下です。
この二人のグリップは、薄めのイースタングリップですが、フォームは全く異なります。
フェデラーのフォアハンドは、右肘を支点としたいわゆるワイパースイングになっていることが分かります。一方のエドバーグは、右脇を大きく開け、右肩を支点としてスイングしています。
一番の違いは、それぞれの写真の4~5枚目です。フェデラーのスイングでは右肘が前に突き出されています。エドバーグは、右肘が後ろに残っており、ラケットヘッドが前に出て行っています。
右肘と右肩をどちらを支点にする方が安定したスイングになるかは明らかです。トルクの小さい右肘の方です。右脇が開いたスイングでフォロースルーでラケット面を伏せると、いわゆる「こねる」スイングになってしまい、ボールがネットしやすくなります。また、右脇が開いているせいでボールコントロールが難しくなります。
一方で、回転半径が大きな右肩支点スイングはパワーは出ます。かつて、ラケットの性能が高くなかったころには、大きな回転半径が必要だったのでしょう。しかし、現代のラケットであれば、右肘支点のスイングでも十分にパワーは出ます。
ワイパースイングは、厚いグリップの専売特許と言うわけではなく、イースタングリップでも重要なスイングです。ワイパースイングでは、ラケット面を伏せてしまう(ラケットをこねてしまう)イメージがありますが、インサイドアウトスイングではラケット面はどちらかと言うと地面に垂直に動きます。(まさに、車のワイパーのイメージ。)つまり、逆クロスではラケット面はフォロースルー(の前半)では伏せることはないのです。(早くラケット面を伏せてしまってはワイパースイングになりませんので、注意が必要です。)
また、肩よりも高いボールの場合には、右肩が下がることを恐れる必要はありません。右足を軸足として回転する際、右肩が下がる(左肩が上がる)ことがあります。
順クロスの場合は、どちらかと言うとアウトサイドインにスイングしますので、ラケット面は逆クロスの時よりも早く伏せることになります。ただし、この場合も、右肘を前に突き出すようなイメージにあります。
ワイパースイングの利点をまとめると、次のようになります。
- ボールの力加減が不要である。(つまり、力いっぱいスイングすることができる。)
- 薄めのフォアハンドグリップでもボールにスピンがかかりやすい。
- 相手のボールが高く弾む場合。
- 相手のボールに力がない場合。(こちらの力でボールを打たなくてはならないため。)
- アプローチショットで力の加減が難しい場合。
- 逆クロスにボールを打つ場合。
- 相手のボールが深く高く弾む場合。(後ろに下がりながら打つ場合。)
メシールが高いボールに対してややワイパースイングで打っている動画像はこちら。
逆に、次のような場合には、ワイパースイングは向いていません。メシールは、このような場合には、フラットドライブ系でボールをヒットしています。
逆に、次のような場合には、ワイパースイングは向いていません。メシールは、このような場合には、フラットドライブ系でボールをヒットしています。
- 相手のボールが低く早い球の場合。(腰の高さまたはそれ以下の場合。)
- 相手のボールが速く、十分なテイクバックをとれない場合。
- 高いボールを順クロスに打つ場合。
順クロスの場合は、ワイパースイングよりも、肩と腕を一体にして、肩を支点にラケットを振る方が安定します。フェデラーよりも、むしろエドバーグの打ち方です。
さて、上のフェデラーとエドバーグの写真は、もう一つ違う点があります。フェデラーが右足を軸として打っているのに対して、エドバーグは右足から左足への体重移動で打っている点です。ワイパースイングは、右足を前に出してその足を軸にするのが打ちやすいのです。
右足を軸に打つ場合に気を付けるのは、次の点です。
- テイクバックで右ひざを曲げて入り、右ひざを曲げたままで打つ。⇒さらに、フォワードスイングで右ひざを伸ばさない。(体が上に伸び上らない。)⇒お尻を後ろに引くことで、反作用で右肘を前に出すことができる。
- 右足を軸に回転する。頭が右足の上で動かない。
- 打点は前に置くこと。これにより、右ひざの支点が固定する。(ボールに押し込まれると、右腕全体をアコーディオンのように前に伸ばさなくてはならなくなるため、右肘が固定できない。(右肘も前に動く。)
- 前後の体重移動ではなく、体の回転でボールをヒットする。打ち終わった後に左足に体重が移動しないように。
ボールを強く打ちたいとき、右肘を前に突き出すことを恐れてはいけません。それは、ボールをこねて打っているのとは意味が違うからです。
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