唐突ですが、まずフォロースルーについてです。スイングの中で腕に力が入るのは、フォロースルーです。ボールインパクト後に力を入れるイメージです。インパクト前に腕に力を入れると、スイングがぶれます。薄いグリップの場合はなおさらです。
さて、フォロースルーで力が入るのですが、そのために必要なことは何でしょうか。それは、打点(インパクトポイント)を一つにすることです。いつも同じ打点でボールを打つのです。それにより、インパクト後に腕に力を入れやすくなります。いつも同じ点でボールをヒットするのですから、そこから力を入れるということを体に覚えさせればよいからです。
打点の選択は重要です。力が入る点を、打点として選択せねばなりません。グリップやスイングによって、力が入る場所は違います。つまり、人によって、力が入るインパクトポイントが異なります。この点を見つけることは、自分のテニスを築き上げるためには必要なプロセスです。
ちなみに、メシールのフォアハンドでは力が入る打点は、右足付け根の前です。さらに正確に言うと、右足付け根の内側のあたりです。
この点をベストインパクトポイントと呼ぶことにします。
ベストインパクトポイントはボールに力が伝わりやすいだけではなく、同時にボールを強くヒットできる点だということもあります。これは、逆にベストインパクトポイント以外でボールをヒットすることを考えればわかりやすいと思います。力が入りにくい打点でボールをヒットすると、無理に力を伝えようとするとスイングがぶれてボールの軌道が狂います。逆にベストインパクトポイントでスイングに力を入れないとパワーがあるボールが飛ばないことになります。
さて、インパクトポイントが決まると、次はフォアワードスイングです。フォワードスイングでは、腕に力は入りません。そのことを前提として、フォワードスイングをどう考えればよいかについて説明します。
どんなボールが来ても、同じ打点でボールを打ちます。しかし、同じ打点でも、ボールのスピードや質は異なります。例えば、遅いボールも速いボールもあります。
同じフォワードスイングで異なるスピードのボールに対応することはできません。速いボールには小さなテイクバック、遅いボールには大きなテイクバックが必要です。(ただし、腕に力入れません。)
小さなテイクバックから大きなテイクバックの順序で説明します。
まず、一番小さなテイクバック&フォワードスイングはは手首だけを使います。手首だけでテイクバックし、手首だけでフォワードスイングすることで、ラケットだけが動きます。前腕と上腕は固定されています。(とはいえ、そういうケースはブロックでボールをリターンする場合など、限られた場合だけです。)
次に小さなテイクバックは手首以外に肘を使います。つまり、ラケットと前腕を使います。別の言い方をすると、上腕は固定したままテイクバックし、フォワードスイングしてボールを打ちます。ただし、体は回転しますので、上腕が全く動かないわけではなく、上腕は体の回転と一緒に回るということです。これは、相手のボールの速度が一定以上の場合には有効です。
次は、ラケット、前腕、上腕を使うテイクバック&フォワードスイングです。言い換えると、手首、肘、、肩を使います。これは、相手のボールが遅い場合です。相手のボールにパワーがないので、テイクバックとフォワードスイングでそのパワーを補うわけです。ただし、腕に力を入れるわけではありません。あくまで、手首、肘、肩を腕に力を入れずに使います。腕に力を入れるのは、あくまでフォロースルーの時です。
さて、インパクト点を固定すると書きましたが、実際には打点はバラバラです。いつも、ベストインパクトポイントでボールをヒットできるわけではありません。
では、どうすればよいか。答えは「あきらめる」ということです。つまり、打点がベストインパクトポイントからずれた場合には、その分だけスイングパワーがボールに伝わらないことになります。それは仕方がないのです。ベストインパクトポイントではないのですから。
ベストインパクトポイントでボールをヒットできない場合に、パワーを補うために腕に力を入れてはいけません。スイング軌道が微妙にずれて、ボールが安定しなくなります。あくまで、腕に力を入れるのは、フォロースルーです。
当然ですが、ベストインパクトポイントからの打点のずれが大きければ大きいほど、ボールのパワーがなくなります。実際のゲームでは、相手は、できるだけベストインパクトポイントから離れた打点でボールを打たせようとします。高い球、低い球、スピンの効いた球、スライスの効いた球、大きくバウンドする球…。
その中で、少しでもベストインパクトポイントに近いところでボールを打つことが、技術の高さ、勝負の強さになるわけです。ゲームの醍醐味といってもよいでしょう。
背筋を伸ばし、上体を立てて、肩の回転でボールを打つ。このフォームは、打点を固定させるために必要です。上体を常に一定に保ち、その結果として打点を一定に保ってボールを打つことが基本です。そこから打点がずれる場合でも、上体を倒したり、肩を傾けてはなりません。
昔懐かしいチェコスロバキア(現在はスロバキア)のプロテニスプレーヤーであるミロスラフ・メシールのブログです。メシールにテニスについて思ったことを自由に書いています。なお、私は、テニスの専門家ではありませんし、上級者でもありません。
2014年10月3日金曜日
2014年9月21日日曜日
李娜の引退 「残念なことは何一つない」
どういうわけか、日本のメディアに記事が流れていない(または私が見逃しているだけかも)のだが、李娜が引退の記者会見を行った。(記事はこちら。)引退の理由は、モチベーションやメンタルなことではなく、膝のけがが理由のようだ。すでに、今年、ウインブルドン以来大会に出場できておらず、3度も大会を棄権している。年齢を考えると、復帰するのは難しいと判断した。
李娜は、2011年全仏オープンと2014年全豪オープンの2度、グランドスラムの勝者となった。2015年の全豪オープン女子は、前年度の優勝者不在で開催されることになる。
「32歳の今、自分のキャリアには十分に満足している。」「引退を決意する前に、何度も自分に問いただした。『後悔するのではないのか』と。でも、答えはNOだった。今引退を決意するのが一番だと思った。」「引退を決意するのはグランドスラムで戦うよりもつらい決断だったが、もう体が言うことを聞かないことを考えると、これが正しい選択だと思う。」「今後は、中国の若手のテニスの指導者になりたい。」
上のWebサイトには、李娜をtrailblazerという言葉で表している。trailblazerとは、「先駆者」という意味だ。アジア初のグランドスラマーとして、まさに彼女は先駆者であったと言ってよいだろう。
記事を読む限り、いつもの李娜の軽妙洒脱な会見ではなかったようだ。(当日の映像はこちら)。今回の会見は、北京で中国語で行われた国内向けの会見だったので、「真面目に」引退の理由を述べる必要があったということかもしれない。
もちろんそれだけが理由ではないだろう。それだけ、彼女の心は揺れており、苦渋の決断だったのだと思う。李娜がこれからどのような指導者になり、中国女子テニスがどのように素晴らしい選手を生み出していくのか、李娜の第2のテニス人生が楽しみだ。
2011年全仏オープン決勝で、李娜のプレーを始めてみて書いたブログは、今でもこのブログの中で最もよい記事だと思っている。是非、読んでいただきたい。
⇒李娜(Na Li)の全仏オープン2011決勝
李娜は、2011年全仏オープンと2014年全豪オープンの2度、グランドスラムの勝者となった。2015年の全豪オープン女子は、前年度の優勝者不在で開催されることになる。
「32歳の今、自分のキャリアには十分に満足している。」「引退を決意する前に、何度も自分に問いただした。『後悔するのではないのか』と。でも、答えはNOだった。今引退を決意するのが一番だと思った。」「引退を決意するのはグランドスラムで戦うよりもつらい決断だったが、もう体が言うことを聞かないことを考えると、これが正しい選択だと思う。」「今後は、中国の若手のテニスの指導者になりたい。」
上のWebサイトには、李娜をtrailblazerという言葉で表している。trailblazerとは、「先駆者」という意味だ。アジア初のグランドスラマーとして、まさに彼女は先駆者であったと言ってよいだろう。
記事を読む限り、いつもの李娜の軽妙洒脱な会見ではなかったようだ。(当日の映像はこちら)。今回の会見は、北京で中国語で行われた国内向けの会見だったので、「真面目に」引退の理由を述べる必要があったということかもしれない。
もちろんそれだけが理由ではないだろう。それだけ、彼女の心は揺れており、苦渋の決断だったのだと思う。李娜がこれからどのような指導者になり、中国女子テニスがどのように素晴らしい選手を生み出していくのか、李娜の第2のテニス人生が楽しみだ。
2011年全仏オープン決勝で、李娜のプレーを始めてみて書いたブログは、今でもこのブログの中で最もよい記事だと思っている。是非、読んでいただきたい。
⇒李娜(Na Li)の全仏オープン2011決勝
2014年9月17日水曜日
NHKクローズアップ現代 錦織圭 世界の頂点への戦い(2014年9月11日放送)
2014年9月11日に放送されたNHKクローズアップ現代「錦織圭 世界の頂点への戦い」を観た。錦織をこれまで見てきたテニスファンであればおおむね知っている内容で、特に目新しい話題はなかった。なぜ、小柄な錦織がここまで頂点に近づくことができたのかを教えてくれる内容ではなかった。
NHKの番組を見るといつも思うのが、映像や資料の収集能力の高さだ。よく、こんな映像を持っているな、見つけてきたなと思う映像が出てくる。とてつもないデータアーカイブと人脈、調査の応力ががあるのだろうなと思う。
日本の男子テニスが海外の選手と比べてパワーで圧倒的に不利だという冒頭の映像は、セイコー・スーパーカップでの(おそらく)アジェノールと松岡修造の映像だと思う。よくそんな映像が出てきたものだ。(確かに、当時の日本男子選手はトップクラスの選手と対戦する機会すらあまり多くなかった(今でも錦織を除いたらそうだが)から、映像もあまりないのだろう。
それだけの話なのだが、私もっと、なぜ錦織が13歳という若さでアメリカにチャレンジしたのかを知りたかった。松岡修造は、「圭は特別だった。普通の13歳であればその若さでアメリカに行くことには賛成しない」とコメントをしている。私は、これからの時代は、若いうちから海外にチャレンジすることが当たり前になってくる時代が来ると思っている。テニスに限らず、だ。
NHKの番組を見るといつも思うのが、映像や資料の収集能力の高さだ。よく、こんな映像を持っているな、見つけてきたなと思う映像が出てくる。とてつもないデータアーカイブと人脈、調査の応力ががあるのだろうなと思う。
日本の男子テニスが海外の選手と比べてパワーで圧倒的に不利だという冒頭の映像は、セイコー・スーパーカップでの(おそらく)アジェノールと松岡修造の映像だと思う。よくそんな映像が出てきたものだ。(確かに、当時の日本男子選手はトップクラスの選手と対戦する機会すらあまり多くなかった(今でも錦織を除いたらそうだが)から、映像もあまりないのだろう。
それだけの話なのだが、私もっと、なぜ錦織が13歳という若さでアメリカにチャレンジしたのかを知りたかった。松岡修造は、「圭は特別だった。普通の13歳であればその若さでアメリカに行くことには賛成しない」とコメントをしている。私は、これからの時代は、若いうちから海外にチャレンジすることが当たり前になってくる時代が来ると思っている。テニスに限らず、だ。
Mecir’s Tennis (248) フォアハンドでは右脇を締めてはいけない(1)
Mecir's Tennis (226) 柔らかいスイングとは?(その1) ~前腕と上腕は同期しないにおいて、前腕は上腕に遅れて出てくるということを書きました。また、上腕は右肩と一緒に回転すると書きました。今回は、この上腕について書いてみようと思います。
フォワードスイングで右肩と同期して回転する上腕ですが、インパクト後にどうなるでしょうか。これはとても大切なポイントで、インパクト後に上腕は右肩を追い越して前に突き出されます。
どうすれば、このようなスイングができるでしょうか。重要なポイントは、右肩と右ひじです。右肩は肩と上腕の蝶番(ちょうつがい)であり、右ひじは上腕と前腕の蝶番です。この2つの蝶番が、右肩⇒右ひじの順番で機能することが必要となります。
これは、言い換えると、右肩が蝶番として働く必要があります。そのポイントは、フォアハンドのフォワードスイングでは右わきを締めてはいけない、ということです。もし、右わきを締めてしまうと、右肩と上腕の同期は保証されますが、そのあと右肩の蝶番機能が働かなくなるからです。
右わきを締めないために有効なのは右ひじを体に近づけすぎないことです。右ひじを体から少し離れた位置に置くのです。それによって、フォワードスイング(またはインパクト直前)において右ひじが右肩を追い抜いていくことができます。つまり上腕が右肩を追い越すことができるのです。脇を締めていると、これができません。上の写真のように上腕を前に突き出すことができないのです。
フォロースルーが小さいなと思ったら、右わきが締まっていないかをチェックすればよいと思います。または、右ひじが体から離れているかをチェックしてもよいでしょう。
フォワードスイングで右肩と同期して回転する上腕ですが、インパクト後にどうなるでしょうか。これはとても大切なポイントで、インパクト後に上腕は右肩を追い越して前に突き出されます。
この連続写真で、インパクト前とインパクトの比較をすると、右肩と上腕が同期しながらインパクトではやや上腕が前に出ていることがわかります。さらに、下のフォロースルーでは右肩よりも上腕が前に出ています。(さらに前腕が前に出ていきます。)
どうすれば、このようなスイングができるでしょうか。重要なポイントは、右肩と右ひじです。右肩は肩と上腕の蝶番(ちょうつがい)であり、右ひじは上腕と前腕の蝶番です。この2つの蝶番が、右肩⇒右ひじの順番で機能することが必要となります。
これは、言い換えると、右肩が蝶番として働く必要があります。そのポイントは、フォアハンドのフォワードスイングでは右わきを締めてはいけない、ということです。もし、右わきを締めてしまうと、右肩と上腕の同期は保証されますが、そのあと右肩の蝶番機能が働かなくなるからです。
右わきを締めないために有効なのは右ひじを体に近づけすぎないことです。右ひじを体から少し離れた位置に置くのです。それによって、フォワードスイング(またはインパクト直前)において右ひじが右肩を追い抜いていくことができます。つまり上腕が右肩を追い越すことができるのです。脇を締めていると、これができません。上の写真のように上腕を前に突き出すことができないのです。
フォロースルーが小さいなと思ったら、右わきが締まっていないかをチェックすればよいと思います。または、右ひじが体から離れているかをチェックしてもよいでしょう。
2014年9月9日火曜日
2014年全米オープン男子決勝 錦織vsチリッチ(ゲームボーイになれなかった錦織)
火曜日の早朝6時からの決勝戦。目覚まし時計をかけてWOWOWで観戦したのだが、第1セットの最初の2ゲームぐらいで眠気に勝てずに寝てしまった。どこか、きっと錦織は優勝するだろうと思って…。
だが、目が覚めた時に優勝していたのはチリッチだった。しかも、6-3、6-3、6-3というほとんどワンサイドゲームのストレート勝ちだった。グランドスラムの決勝戦としても、スコアから見る限り凡戦と言わざるを得ない。なんというあっさりとしたゲームだ。(チキンラーメンでももう少しはこってりとしている・・・。)
錦織に何が起こったのだろうと思った。この大会でトップ5を3タテにした快進撃を見る限り、こんなスコアで敗北する錦織ではないはずだ。
帰宅してビデオを観て、またメディアの報道を読んで、分かった。明らかに錦織のプレーは準決勝までとは違った。驚いたことに、錦織は緊張していたのだ。一番の敗因はプレッシャーだった。チリッチに負けたというよりも、自分に負けたのだった。
試合前には、もしチリッチが勝つとしたらそれは信じられないほどのサービスエースが決まって圧倒されるときだけだろうと思っていた。そう予想した人は多いだろう。ボリス・ベッカーがケビン・カレンにサービスエースの雨を降らせて優勝した1985年のウィンブルドン決勝のように。
しかしそうではなかった。チリッチは確かにサービスエースを取っていたが、なんと錦織は、グランドストロークの打ち合いで負けたのだった。つまり、自分が最も得意なフィールドで錦織は負けた。
普段の錦織は、ショットを打つとき、次のショット、その次のショットと可能性をすべて想定して組み立てを作りながらプレーするように見える。だから相手がどんなボールを打ってきても驚かないし、逆に準備万端の錦織が繰り出す想定外のボールに相手は戸惑う。しかし、この決勝戦の錦織は違った。チリッチのボールは、予想しやすい、想定しやすいボールなのに、錦織は簡単にミスをしてしまう。組み立てて相手の裏をかき、一本で形成を逆手にする錦織の戦略は、この日に限ってはその場のインスピレーションだけでボールを打っている。だから、時にはエースを取ったとしても、それは単発でしかない。
決勝戦を観て確信しているが、再度、別の場所でチリッチと錦織が戦ったら、まず、錦織は勝つだろう。チリッチのグランドストロークは、本来は錦織にとってむしろ組みやすいタイプと言ってもよい。エースを取ることもあるが、基本的にはイマジネーションに乏しいスピードが速いだけのストロークだからだ。
この結果には、マイケル・チャンもがっかりしたことだろう。敗北するのはスポーツである以上、覚悟はしているだろう。しかし、内容が悪すぎる。これでは、コーチングの成果も効果もほとんど感じることはできなかっただろう。敗戦後のチャンコーチの平凡なコメントは、実はがっかりした気持ちの裏返しだったのかもしれない。
どうしてこうなったのだろうか。錦織のゲームマシンのCPUが正常に動いていないのか、プログラムにバグが混じりこんだのか。
普段の錦織は、ショットを打つとき、次のショット、その次のショットと可能性をすべて想定して組み立てを作りながらプレーするように見える。だから相手がどんなボールを打ってきても驚かないし、逆に準備万端の錦織が繰り出す想定外のボールに相手は戸惑う。しかし、この決勝戦の錦織は違った。チリッチのボールは、予想しやすい、想定しやすいボールなのに、錦織は簡単にミスをしてしまう。組み立てて相手の裏をかき、一本で形成を逆手にする錦織の戦略は、この日に限ってはその場のインスピレーションだけでボールを打っている。だから、時にはエースを取ったとしても、それは単発でしかない。
決勝戦を観て確信しているが、再度、別の場所でチリッチと錦織が戦ったら、まず、錦織は勝つだろう。チリッチのグランドストロークは、本来は錦織にとってむしろ組みやすいタイプと言ってもよい。エースを取ることもあるが、基本的にはイマジネーションに乏しいスピードが速いだけのストロークだからだ。
この結果には、マイケル・チャンもがっかりしたことだろう。敗北するのはスポーツである以上、覚悟はしているだろう。しかし、内容が悪すぎる。これでは、コーチングの成果も効果もほとんど感じることはできなかっただろう。敗戦後のチャンコーチの平凡なコメントは、実はがっかりした気持ちの裏返しだったのかもしれない。
どうしてこうなったのだろうか。錦織のゲームマシンのCPUが正常に動いていないのか、プログラムにバグが混じりこんだのか。
私は、決勝予想で書いたように錦織はテレビゲーム世代として育ったゲームボーイだと思っていた。しかし違った。錦織はその他大勢の日本人と同じように、緊張したのだ。生身の人間だった。それは、どこかほっとしつつも、どこかでがっかりする事実だ。
錦織は試合後の一夜明けたインタビューで、その夜は眠れなかったとコメントしたそうだ。負けて悔しかったというよりは、決勝戦では自分が変わってしまったことを後悔していたのではないだろうか。ゲームボーイに徹することができなかった自分に。
錦織は試合後の一夜明けたインタビューで、その夜は眠れなかったとコメントしたそうだ。負けて悔しかったというよりは、決勝戦では自分が変わってしまったことを後悔していたのではないだろうか。ゲームボーイに徹することができなかった自分に。
もし、錦織がふたたびゲームボーイに戻れないのであれば、錦織のランキングは、ただただ下降の一途であろう。テレビゲームでしかありえないような非現実的な、そしてイマジネーションに満ち溢れたグランドストロークを、再び取り返してほしい。そうすれば、またいつか、グランドスラム決勝戦の場で錦織を見ることがあるはずだ。
新しいことを何も求めることはない。すべきことはただ一つ。準決勝までの戦い方を常にできればよいのだ。あの、「ゲームボーイ」の戦い方を。
⇒2014年全米オープン男子決勝予想 錦織vsチリッチ
新しいことを何も求めることはない。すべきことはただ一つ。準決勝までの戦い方を常にできればよいのだ。あの、「ゲームボーイ」の戦い方を。
⇒2014年全米オープン男子決勝予想 錦織vsチリッチ
2014年9月7日日曜日
2014年全米オープン男子決勝予想 リアルワールドとサイバーワールドの戦い
錦織とチリッチというグランドスラムでの優勝経験どころか決勝戦で戦う経験すらない二人の戦いとなる2014年の全米オープン男子決勝。知名度のあるビッグ4(ジョコビッチ、フェデラー、ナダル、マレー)が一人も決勝に残らず、日本とクロアチアというテニスではそれほどなじみのない国から来た、しかも2桁ランカー同士の決勝戦は、正直なところアメリカのテニスファンの間ではそれほど盛り上がらないだろう。アメリカのスポーツメディアはなんとか盛り上げようとするだろうから、日本メディアはそれを取り上げて、盛り上がっているかのように伝えるだろうが。
実際にアメリカが盛り上がるのは、この小柄なアジア人が優勝したその後だろう。常識では、こんなに小柄でパワーにかける選手が、優勝できるわけがない。今までに見たことがない、想像もしなかったスタイルの新ヒーロー登場に対しては、アメリカという国は寛大で、そして好奇心旺盛だ。
もう5年間以上前になるが、2009年3月23日の午後、私はアメリカ・サンディエゴでの仕事を終えて、ホテルのスポーツバーで一人で飲んでいた。バーに備え付けの大型テレビには日本対韓国のWBC決勝戦が流れていた。覚えている人が多いと思うが、それまで期待を裏切り続けたイチローが、最後の最後で決定的なセンター前ヒットを打ったあの決勝戦だ。決勝戦はロスでの開催だが、予選はそのサンディエゴで行われていた。そのことを考えても、あまりにも寂しいサンディエゴのスポーツバーだった。イチローの決定的なその瞬間でさえ、テレビを見ていたのは私と韓国人観光客らしい3、4人のみ。その瞬間に思わず声を上げた私をにらみつけた数名のアメリカ人の客のことをよく覚えている。もちろんその客はテレビなど見ていなかった。単に、アジア人がいきなり奇声を上げたと私の方を見ただけなのだ。
アメリカでの盛り上がりがどうであれ、ついに日本の錦織が決勝に残った。おそらく日本のテニス界とメディアは騒然としているだろう。そして大いに盛り上がっているだろう。錦織の登場までは、いやトップ100に入り、トップ20に入り、ついには最初にトップ10に(短い間とはいえ)入った時にすら想像もできなかった日本人によるグランドスラムの決勝戦。しかも、それは、ラッキーや偶然ではない。ドロー運が良かったわけではない。錦織は、この大会でトップ10の選手を3人も追いやって、決勝のステージに上り詰めた。エキサイトしないわけがない。
決勝戦の相手であるチリッチのコメント。「(錦織との決勝は)2人にとって特別なものになる。どちらにもグランドスラムで勝つチャンスがあるということ。歴史の一部になれるということだ。」
このコメントは、ヨーロッパの中でもバルカンの火薬庫と言われた政情不安定な国の一つであるクロアチアという国のテニスプレーヤーの言葉と思うと理解しやすい。彼らにとっては、テニスは歴史なのだ。チリッチにとって全米オープンの決勝を戦い優勝者としてカップに名前を刻みこむことは、長く続くヨーロッパの歴史の中で、そしてテニスの歴史の中でプレーをするという意味なのだ。チリッチの決勝に臨む発言は、そういう意識から来ている。
以前、中国の李娜のことをブログに書いたことがある。彼女が、中国人として、アジア人として初めグランドスラム優勝の試合を見ながら書いたブログだ(李娜(Na Li)の全仏オープン2011決勝)。WOWOWの解説をされている神尾米さんにも読んでいただき、個人的にメールをいただいたことが懐かしい。(神尾さんは、このブログを読んで、優勝の翌日に行われた李娜のプレスインタビューの様子をわざわざ教えてくださったのでした。)
このブログで、私は、李娜がテニスの歴史を持たないアジア人(中国人)が歴史の重圧に打ち勝った瞬間を感じた。アジア人だからこそ分かるその重圧。それを乗り越えた李娜の偉業の意義。
錦織が優勝したら、日本人としてはもちろん、もしかしたらアジア人男子として初めてのグランドスラム優勝なのかもしれない(たぶんそうだろう)。しかし、今の錦織には2011年の全仏オープン女子決勝で李娜に感じたテニス歴史の重圧のようなものを全く感じない。テニスの歴史を持たない日本という国の出身選手がヨーロッパやアメリカのテニスの歴史に挑んでいるという印象がない。
それはなぜなのだろうか。李娜の時と今回の錦織と、何が違うのだろうか。
錦織のエピソード(3)でも書いたが、錦織が子どものころからテレビゲームが大好きで、テニスとテレビゲームを取り上げられたら自分は生きていけないとまで言ったという小学生時代のエピソードは印象的だ。テレビゲームが大好きな子どもという言葉からは、良いイメージは湧いてこない。しかし、良いとか悪いとかではなく、錦織の世代はまぎれもなくテレビゲーム世代なのだ。
それは、こういうことだと思う。「テレビゲームは錦織の体の一部であり、錦織の世界の一部である」と。錦織は、ゲームの世界に生きている。ゲームは限りなく現実(リアル)で、目の前の全米オープンという現実は錦織にとってはゲームなのである。」
錦織は、おそらく歴史を背負うという意識や重圧などはほとんど感じないのだろう。錦織にとって全米オープン決勝戦は、壮大なリアルテレビゲームの一部であり、決勝戦はついに到達した最終ステージなのだ。このステージをクリアすると、錦織は全米オープンというゲームをクリアして、ゲームを終了することができる。勝利して終了(クリア)できるのか、負けて再度(つまり来年)ゲームを再起動(リロード)して挑むのか。
そんな馬鹿なと思うかもしれない。それは考えすぎだと思うかもしれない。しかし私はそうは思わない。
サイバーな世界がリアルと混ざり合い、人生とゲームがクロスオーバーする。錦織にとってはそれが事実だ。そんなことないだろうと思うのは、生まれた時にサイバー世界が存在しなかった(私のような)古い世代の人間だ。錦織が物心ついたときにはテレビゲームは存在していた。サイバー世界が錦織の生活の一部となっていたとしても不思議はない。
考えてみてほしい。私たちには電車も飛行機も車も、あって当然なものだ。しかし、100年前の人たちは言うだろう。「君たちは電車世代だ・飛行機世代だ・車世代だ」と。電車という非現実の空間を当たり前に生きている私たちに、なぜテレビゲームの現実感を批評することができるだろうか。この感覚は、「モテキ」という映画を見た時と同じ感覚だ。この映画を見た人であればわかるだろう。デジタルはすでに我々の生活に隅々まで溶け込み、もはや自然界の一部なのかもしれない。
歴史と動乱を現実の出来事として背負うチリッチ(そして準決勝の相手であるジョコビッチも同じバルカンの小国の出身だ)。サイバーなゲームの中で動乱(いわゆる対戦型・戦闘型のロールプレイイングゲーム)をリアル体験している錦織。言い換えれば、今回の決勝戦は、国と歴史を背負ったチリッチと、サイバー世界の中で一人の戦士として戦う錦織の決勝戦でもある。
この決勝戦は、その意味でもテニスの歴史の中でターニングポイントとなる決勝戦ではないかと私は感じている。そう考えれば、180㎝にも満たない(テニスの世界では)小柄なアジア人が、全米オープン男子決勝にまで進んだ理由がわかる。テニスの神様は、時代の転換をこの若い小柄なアジア選手に託したのだ。
歴史を背負うことは、戦争により流される血を背負うことだ。リアルな戦争はもういい。もう充分だ。人と人が本当の血を流す必要ない。スポーツは、人のDNAに埋め込まれてしまった戦闘の本能の昇華・代替として発明されたという。そうであるならば、これからはバーチャルなスポーツという場でのみ、我々は戦おうじゃないか。それは、リアルな戦場とテレビゲームというバーチャルな戦場の違いだ。バーチャルな戦争は、言い換えるとそれは平和の象徴なのだ。
今、テニスの神様がそんな風に言っていると思うのは、考えすぎだろうか。大げさだろうか。しかし、それ以外に、日本の小柄な青年が130年以上の歴史を持つ全米オープンの頂点に立つ理由を受け入れることが私にはできない。
私はこの試合は錦織に勝利してほしい。それは、錦織が日本人だからでも、アジア人だからでもない。テレビゲームというバーチャルな世界が血なまぐさいリアルな世界を凌駕する瞬間が見たいからだ。私だけではない。今、世界はその瞬間を求めている。マンガ文化やゲーム文化で象徴される平和なアジアの小国から来た小柄な若者が、血なまぐさい歴史を背負って東欧からやってきた2m近い大男を倒すのだ。一見軽薄にすら見える錦織のテレビゲーム感覚の勝利こそが、テニスを通じて実現する平和の世界への第一歩なのだ。
1988年生まれのチリッチは、幼いころでおそらく記憶はないとはいえ、ユーゴスラビアから独立にするために血が流れたクロアチアで育った。1990年から1991年ごろのことだ。当時の東欧諸国にはスーパーの棚に食品が並ばないことも珍しくなかったそうだ。クロアチアから移住せざるを得なかったセルビア人は20万人とも言われている。チリッチやジョコビッチが背負っている歴史は重く悲しい。
1989年生まれの錦織は、まさにバブルの時代の中で生まれた。クロアチアが独立した1990年は、日本ではバブルの絶頂期(崩壊の直前ではあったが)だった。任天堂のゲームボーイが登場したのが、まさに錦織が生まれた1989年だ。当時の日本には戦争という言葉は全く現実感のない言葉だった。日本にも多くの在日韓国人が住んでおり、その数は30万人以上と言われている。様々な問題はあるとはいえ、彼らが全員移住せざるを得ない状況には今の日本はない。
そんな二人の決勝戦をしっかりと見届けたい。
⇒2014年ジャパンオープン男子決勝 ラオニッチvs錦織
⇒錦織のエピソード(3)
⇒錦織のエピソード(2)
⇒錦織のエピソード(1)
実際にアメリカが盛り上がるのは、この小柄なアジア人が優勝したその後だろう。常識では、こんなに小柄でパワーにかける選手が、優勝できるわけがない。今までに見たことがない、想像もしなかったスタイルの新ヒーロー登場に対しては、アメリカという国は寛大で、そして好奇心旺盛だ。
もう5年間以上前になるが、2009年3月23日の午後、私はアメリカ・サンディエゴでの仕事を終えて、ホテルのスポーツバーで一人で飲んでいた。バーに備え付けの大型テレビには日本対韓国のWBC決勝戦が流れていた。覚えている人が多いと思うが、それまで期待を裏切り続けたイチローが、最後の最後で決定的なセンター前ヒットを打ったあの決勝戦だ。決勝戦はロスでの開催だが、予選はそのサンディエゴで行われていた。そのことを考えても、あまりにも寂しいサンディエゴのスポーツバーだった。イチローの決定的なその瞬間でさえ、テレビを見ていたのは私と韓国人観光客らしい3、4人のみ。その瞬間に思わず声を上げた私をにらみつけた数名のアメリカ人の客のことをよく覚えている。もちろんその客はテレビなど見ていなかった。単に、アジア人がいきなり奇声を上げたと私の方を見ただけなのだ。
アメリカでの盛り上がりがどうであれ、ついに日本の錦織が決勝に残った。おそらく日本のテニス界とメディアは騒然としているだろう。そして大いに盛り上がっているだろう。錦織の登場までは、いやトップ100に入り、トップ20に入り、ついには最初にトップ10に(短い間とはいえ)入った時にすら想像もできなかった日本人によるグランドスラムの決勝戦。しかも、それは、ラッキーや偶然ではない。ドロー運が良かったわけではない。錦織は、この大会でトップ10の選手を3人も追いやって、決勝のステージに上り詰めた。エキサイトしないわけがない。
決勝戦の相手であるチリッチのコメント。「(錦織との決勝は)2人にとって特別なものになる。どちらにもグランドスラムで勝つチャンスがあるということ。歴史の一部になれるということだ。」
このコメントは、ヨーロッパの中でもバルカンの火薬庫と言われた政情不安定な国の一つであるクロアチアという国のテニスプレーヤーの言葉と思うと理解しやすい。彼らにとっては、テニスは歴史なのだ。チリッチにとって全米オープンの決勝を戦い優勝者としてカップに名前を刻みこむことは、長く続くヨーロッパの歴史の中で、そしてテニスの歴史の中でプレーをするという意味なのだ。チリッチの決勝に臨む発言は、そういう意識から来ている。
以前、中国の李娜のことをブログに書いたことがある。彼女が、中国人として、アジア人として初めグランドスラム優勝の試合を見ながら書いたブログだ(李娜(Na Li)の全仏オープン2011決勝)。WOWOWの解説をされている神尾米さんにも読んでいただき、個人的にメールをいただいたことが懐かしい。(神尾さんは、このブログを読んで、優勝の翌日に行われた李娜のプレスインタビューの様子をわざわざ教えてくださったのでした。)
このブログで、私は、李娜がテニスの歴史を持たないアジア人(中国人)が歴史の重圧に打ち勝った瞬間を感じた。アジア人だからこそ分かるその重圧。それを乗り越えた李娜の偉業の意義。
錦織が優勝したら、日本人としてはもちろん、もしかしたらアジア人男子として初めてのグランドスラム優勝なのかもしれない(たぶんそうだろう)。しかし、今の錦織には2011年の全仏オープン女子決勝で李娜に感じたテニス歴史の重圧のようなものを全く感じない。テニスの歴史を持たない日本という国の出身選手がヨーロッパやアメリカのテニスの歴史に挑んでいるという印象がない。
それはなぜなのだろうか。李娜の時と今回の錦織と、何が違うのだろうか。
錦織のエピソード(3)でも書いたが、錦織が子どものころからテレビゲームが大好きで、テニスとテレビゲームを取り上げられたら自分は生きていけないとまで言ったという小学生時代のエピソードは印象的だ。テレビゲームが大好きな子どもという言葉からは、良いイメージは湧いてこない。しかし、良いとか悪いとかではなく、錦織の世代はまぎれもなくテレビゲーム世代なのだ。
それは、こういうことだと思う。「テレビゲームは錦織の体の一部であり、錦織の世界の一部である」と。錦織は、ゲームの世界に生きている。ゲームは限りなく現実(リアル)で、目の前の全米オープンという現実は錦織にとってはゲームなのである。」
錦織は、おそらく歴史を背負うという意識や重圧などはほとんど感じないのだろう。錦織にとって全米オープン決勝戦は、壮大なリアルテレビゲームの一部であり、決勝戦はついに到達した最終ステージなのだ。このステージをクリアすると、錦織は全米オープンというゲームをクリアして、ゲームを終了することができる。勝利して終了(クリア)できるのか、負けて再度(つまり来年)ゲームを再起動(リロード)して挑むのか。
そんな馬鹿なと思うかもしれない。それは考えすぎだと思うかもしれない。しかし私はそうは思わない。
サイバーな世界がリアルと混ざり合い、人生とゲームがクロスオーバーする。錦織にとってはそれが事実だ。そんなことないだろうと思うのは、生まれた時にサイバー世界が存在しなかった(私のような)古い世代の人間だ。錦織が物心ついたときにはテレビゲームは存在していた。サイバー世界が錦織の生活の一部となっていたとしても不思議はない。
考えてみてほしい。私たちには電車も飛行機も車も、あって当然なものだ。しかし、100年前の人たちは言うだろう。「君たちは電車世代だ・飛行機世代だ・車世代だ」と。電車という非現実の空間を当たり前に生きている私たちに、なぜテレビゲームの現実感を批評することができるだろうか。この感覚は、「モテキ」という映画を見た時と同じ感覚だ。この映画を見た人であればわかるだろう。デジタルはすでに我々の生活に隅々まで溶け込み、もはや自然界の一部なのかもしれない。
歴史と動乱を現実の出来事として背負うチリッチ(そして準決勝の相手であるジョコビッチも同じバルカンの小国の出身だ)。サイバーなゲームの中で動乱(いわゆる対戦型・戦闘型のロールプレイイングゲーム)をリアル体験している錦織。言い換えれば、今回の決勝戦は、国と歴史を背負ったチリッチと、サイバー世界の中で一人の戦士として戦う錦織の決勝戦でもある。
この決勝戦は、その意味でもテニスの歴史の中でターニングポイントとなる決勝戦ではないかと私は感じている。そう考えれば、180㎝にも満たない(テニスの世界では)小柄なアジア人が、全米オープン男子決勝にまで進んだ理由がわかる。テニスの神様は、時代の転換をこの若い小柄なアジア選手に託したのだ。
歴史を背負うことは、戦争により流される血を背負うことだ。リアルな戦争はもういい。もう充分だ。人と人が本当の血を流す必要ない。スポーツは、人のDNAに埋め込まれてしまった戦闘の本能の昇華・代替として発明されたという。そうであるならば、これからはバーチャルなスポーツという場でのみ、我々は戦おうじゃないか。それは、リアルな戦場とテレビゲームというバーチャルな戦場の違いだ。バーチャルな戦争は、言い換えるとそれは平和の象徴なのだ。
今、テニスの神様がそんな風に言っていると思うのは、考えすぎだろうか。大げさだろうか。しかし、それ以外に、日本の小柄な青年が130年以上の歴史を持つ全米オープンの頂点に立つ理由を受け入れることが私にはできない。
私はこの試合は錦織に勝利してほしい。それは、錦織が日本人だからでも、アジア人だからでもない。テレビゲームというバーチャルな世界が血なまぐさいリアルな世界を凌駕する瞬間が見たいからだ。私だけではない。今、世界はその瞬間を求めている。マンガ文化やゲーム文化で象徴される平和なアジアの小国から来た小柄な若者が、血なまぐさい歴史を背負って東欧からやってきた2m近い大男を倒すのだ。一見軽薄にすら見える錦織のテレビゲーム感覚の勝利こそが、テニスを通じて実現する平和の世界への第一歩なのだ。
1988年生まれのチリッチは、幼いころでおそらく記憶はないとはいえ、ユーゴスラビアから独立にするために血が流れたクロアチアで育った。1990年から1991年ごろのことだ。当時の東欧諸国にはスーパーの棚に食品が並ばないことも珍しくなかったそうだ。クロアチアから移住せざるを得なかったセルビア人は20万人とも言われている。チリッチやジョコビッチが背負っている歴史は重く悲しい。
1989年生まれの錦織は、まさにバブルの時代の中で生まれた。クロアチアが独立した1990年は、日本ではバブルの絶頂期(崩壊の直前ではあったが)だった。任天堂のゲームボーイが登場したのが、まさに錦織が生まれた1989年だ。当時の日本には戦争という言葉は全く現実感のない言葉だった。日本にも多くの在日韓国人が住んでおり、その数は30万人以上と言われている。様々な問題はあるとはいえ、彼らが全員移住せざるを得ない状況には今の日本はない。
そんな二人の決勝戦をしっかりと見届けたい。
⇒2014年ジャパンオープン男子決勝 ラオニッチvs錦織
⇒錦織のエピソード(3)
⇒錦織のエピソード(2)
⇒錦織のエピソード(1)
錦織のエピソード(3)
錦織が子どものころ、自分からラケットとテレビゲームを取り上げるのは生きるなと言っているのと同じだ、と文句を言ったことがあるそうだ。
今、錦織とジョコビッチの全米オープン準決勝の試合中だが、解説の坂本さんが「錦織はラオニッチ、バブリンカと勝ち進んで次にジョコビッチと対戦することを、テレビゲームで画面をクリアするような感覚でエンジョイしている」と解説している。なるほど、そうかと思った。
一方で、ジョコビッチは、まじめで理詰めな性格、そして祖国の内乱を背景に「自分は勝たなければいけない」という使命感のようなものもあるとも。
どちらが正しいのではない。しかし、対照的なキャラクターといってよいだろう。この準決勝の戦いには、そんな人生や世界観の違いからくるキャラクターが背景にあり、それを考えると楽しめるのかもしれない。
⇒錦織のエピソード(2)
今、錦織とジョコビッチの全米オープン準決勝の試合中だが、解説の坂本さんが「錦織はラオニッチ、バブリンカと勝ち進んで次にジョコビッチと対戦することを、テレビゲームで画面をクリアするような感覚でエンジョイしている」と解説している。なるほど、そうかと思った。
一方で、ジョコビッチは、まじめで理詰めな性格、そして祖国の内乱を背景に「自分は勝たなければいけない」という使命感のようなものもあるとも。
どちらが正しいのではない。しかし、対照的なキャラクターといってよいだろう。この準決勝の戦いには、そんな人生や世界観の違いからくるキャラクターが背景にあり、それを考えると楽しめるのかもしれない。
⇒錦織のエピソード(2)
2014年全米オープン 男子準決勝 錦織vsジョコビッチ(1)
まだ試合途中(第1セットを錦織がとって第2セットに入ったところ)だが、すでに、錦織のテニスの技術がジョコビッチを超えたことがよくわかる。
錦織は、多くのショットで、フルショットをしている。というよりも、フルショットができる。フルショットするということは、フルパワーでボールを打つことだ。それでもボールは相手のコートに入る。というよりも、そのショットでポイントを取ることができる。
繰り返すが、フルショットだ。普通だったらボールはコート2つ分ぐらい向こうまで飛んでいきそうなフルスイングで、ボールをたたくことができる。
これまで、これだけのフルスイングができるのは、精度の高いコントロールが不要なヘビースピンによるつなぎのショットだけだった。錦織のようにコース・コーナーを狙って打ち込むのではなく、100%安全なショットとしてのヘビートップスピンの場合だ。たとえば、ヴィランデルなどがよくそういうショットを打っていた。
錦織は、全米オープンの準決勝で、世界No.1で、おそらくもっとも優勝の可能性が高いプレーヤーに対して、そのショットが打てるのだ。これができるのは、私が知っている限り、錦織以外に思い当たらない。いや、今のテニスでは、そこまでリスクのあるショットを打つプレーヤーがいない。
錦織がフルショットするのは、それがリスキーではないからだ。つまり、錦織のフォームはフルショットしても狙ったところにボールを打てるフォームだということだ。そのプレーが続く限り、このゲームが3-0で錦織が勝利してもおかしくないように思う。
錦織は、多くのショットで、フルショットをしている。というよりも、フルショットができる。フルショットするということは、フルパワーでボールを打つことだ。それでもボールは相手のコートに入る。というよりも、そのショットでポイントを取ることができる。
繰り返すが、フルショットだ。普通だったらボールはコート2つ分ぐらい向こうまで飛んでいきそうなフルスイングで、ボールをたたくことができる。
これまで、これだけのフルスイングができるのは、精度の高いコントロールが不要なヘビースピンによるつなぎのショットだけだった。錦織のようにコース・コーナーを狙って打ち込むのではなく、100%安全なショットとしてのヘビートップスピンの場合だ。たとえば、ヴィランデルなどがよくそういうショットを打っていた。
錦織は、全米オープンの準決勝で、世界No.1で、おそらくもっとも優勝の可能性が高いプレーヤーに対して、そのショットが打てるのだ。これができるのは、私が知っている限り、錦織以外に思い当たらない。いや、今のテニスでは、そこまでリスクのあるショットを打つプレーヤーがいない。
錦織がフルショットするのは、それがリスキーではないからだ。つまり、錦織のフォームはフルショットしても狙ったところにボールを打てるフォームだということだ。そのプレーが続く限り、このゲームが3-0で錦織が勝利してもおかしくないように思う。
錦織のエピソード(2)
グランドスラム大会でここまで来ると、普段テニスを取り上げないめでぁいまで錦織を取り上げる。その結果、本当かどうか怪しいエピソードも出てくる。
どこかのWebサイトで「トップランカーになった今でも、実家に帰ると両親と一緒に公営コートでテニスをねだる」というエピソードを見た。何とも微笑ましい、そして錦織のキャラクターが出るエピソードだ。
かなり怪しいエピソードのような気もするが、一方で、家族団らんの時でも、相手が家族であってもテニスを楽しみたいというのは、錦織のキャラクターをよく表しているように思う。家族にたっぷりとハンデをつけられて負けて悔しがる錦織の表情が何となく目に浮かぶ。
どこかのWebサイトで「トップランカーになった今でも、実家に帰ると両親と一緒に公営コートでテニスをねだる」というエピソードを見た。何とも微笑ましい、そして錦織のキャラクターが出るエピソードだ。
かなり怪しいエピソードのような気もするが、一方で、家族団らんの時でも、相手が家族であってもテニスを楽しみたいというのは、錦織のキャラクターをよく表しているように思う。家族にたっぷりとハンデをつけられて負けて悔しがる錦織の表情が何となく目に浮かぶ。
2014年9月6日土曜日
錦織のエピソード(1)
錦織のグランドスラム準決勝進出は、当然のことながらメディアを賑わしている。錦織のことをよく知っているファンにはよく知られているのかもしれないエピソードが、この時とばかりにネット上のニュースで流れてくる。
錦織の原点、松江市・グリーンテニスクラブの柏井正樹コーチ(54)は、小学生時分の思い出を懐かしんだ。「ボールコントロールは100人に1人でゲームセンスも100人に1人。2つ合わせて1万人に1人の天才だった」。
興味深いエピソードだ。錦織のボールコントロールの才能は100人に一人程度だということだ。100人といえば、そのあたりの市民大会のドローぐらいだ。つまり、このエピソードは「錦織のボールコントロールの能力はその程度だった」と言っている。
一方で、ゲームセンスも100人に一人程度の能力だったと。つまり、当時の錦織はそこまでの突出した才能を持っていたわけではないということだ。
しかし、その両方を兼ね備えるとなると、それは1万人に一人となる。そうなると、それは突出した能力だ。同時に、二つの必ずしも突出いているわけではない能力を兼ね備えることが、今度は突出した才能になるということも示唆している。
錦織の才能は、そういう総合的な能力なのだ。なんと示唆的なコメントか。
錦織の原点、松江市・グリーンテニスクラブの柏井正樹コーチ(54)は、小学生時分の思い出を懐かしんだ。「ボールコントロールは100人に1人でゲームセンスも100人に1人。2つ合わせて1万人に1人の天才だった」。
興味深いエピソードだ。錦織のボールコントロールの才能は100人に一人程度だということだ。100人といえば、そのあたりの市民大会のドローぐらいだ。つまり、このエピソードは「錦織のボールコントロールの能力はその程度だった」と言っている。
一方で、ゲームセンスも100人に一人程度の能力だったと。つまり、当時の錦織はそこまでの突出した才能を持っていたわけではないということだ。
しかし、その両方を兼ね備えるとなると、それは1万人に一人となる。そうなると、それは突出した能力だ。同時に、二つの必ずしも突出いているわけではない能力を兼ね備えることが、今度は突出した才能になるということも示唆している。
錦織の才能は、そういう総合的な能力なのだ。なんと示唆的なコメントか。
2014年9月4日木曜日
Mecir’s Tennis (247) タメを作る・ボールを落とす
錦織のグランドストロークを見ていると、往年の米国選手であるアンドレ・アガシを思い出します。アガシは、いろいろな意味で、テニスのスタンダードをひっくり返したプレーヤーでした。それは、テニスのプレースタイルだけではなく、テニスウェアやライフスタイルなどを含めて。
錦織とアガシに共通するのは、その打点の高さでしょう。二人ともそれほどの長身ではなかったこともあり、打点が高いという印象があります。高いところでボールを打つということは、逆に言うとボールを落とさないと言うことです。
高い打点とかボールを落とさないというのは、では、どういうことでしょうか。
相手から飛んでくるボールを1歩後ろで打つと、一般的には打点の高さが少し低くなります。さらに下がると、さらに低くなります。前で打つか、後ろで打つかで、打点の高さはほんの少し変わります。
この高さの違いが、別のところでは本質的な意味を持つように思います。そのことを考えてみようと思います。
私なりに考えてみたのですが、ボールを落として打つというのは、「タメを作ってボールを打つ」と言うことではないかと考えています。別の表現をすると「引きつけてボールを打つ」と言うことです。立ち位置が後ろになれば、打点は低くなりますが、ボールを打つタメが作りやすくなります。
ボールが飛んできたときに、ボールに向かっていきそのままタメなしにボールをヒットするのがアガシや錦織の打ち方です。タメなしで打つというのは、0からいきなりボールを打ちに行くようなイメージですので、高度な技術です。動きの素早さ、パワー、正確さと体のバランスなど、すべてがそろわなくてはうまく打てません。錦織はベースラインの中で高い打点でボールを打つことが多いですが、それはボールを落とさないで(タメなしで)打つ場合です。
一般に安定したストロークを打つには、タメが必要です。メシールの場合で言うと、ボールがバウンドするまでに腰を回転させ、テイクバックを終了します。これがタメになります。バウンドしたところでフォワードスイングが開始するのですが、そこからインパクトまでに十分な時間が必要です。言い換えると、この時間が短いとタメが作りにくくなります。
後ろに下がりすぎると、タメを作る時間の余裕はできますが、今度は打点が低くなってしまい、ボールを持ち上げるために、また回転をかけるために,余計な力が必要になります。高い打点よりもボールに角度をつけくい(ネットする可能性が高くなるため)というのもマイナス要素です。相手に時間的余裕を与えてしまうのもよくありません。
つまり、立つ位置が前過ぎるとタメが作りにくく、後ろ過ぎるとパワーや時間のロスが大きくなります。つまり、タメが作れる範囲でできるだけ前で打つ、と言うのが理想と言うことになります。
この、バウンド位置と打つ位置の関係(距離)は自分で作るものです。勝手に「なってしまう」ものではありません。
この距離がボールごとにばらばらになると、ストロークは安定しません。ボールによって、タメのタイミングが異なるからです。一定のタイミング、一定のタメでボールを打つには、常にこの距離を意識しておき、一定のタメでボールを打つことが肝心です。
メシールのテニスでは、ストロークでのラケットスイングは下から上になります。すなわち、打点が高すぎると、ラケットを下から上に振ることができません。したがって、そのためには、ボールがバウンドする場所から一定の距離をとる必要があります。高い打点がモダンテニスのセオリーかもしれませんが、メシールテニスではそれはタメが作れない分だけ危険なのです。
ゲームでグランドストロークが不安定になってきたら、タメを作るためのボールのバウンド位置と立ち位置の関係を確認して、ボールが落ちてくるところでインパクトできているかをチェックしてみるのも有効です。
錦織とアガシに共通するのは、その打点の高さでしょう。二人ともそれほどの長身ではなかったこともあり、打点が高いという印象があります。高いところでボールを打つということは、逆に言うとボールを落とさないと言うことです。
高い打点とかボールを落とさないというのは、では、どういうことでしょうか。
相手から飛んでくるボールを1歩後ろで打つと、一般的には打点の高さが少し低くなります。さらに下がると、さらに低くなります。前で打つか、後ろで打つかで、打点の高さはほんの少し変わります。
この高さの違いが、別のところでは本質的な意味を持つように思います。そのことを考えてみようと思います。
私なりに考えてみたのですが、ボールを落として打つというのは、「タメを作ってボールを打つ」と言うことではないかと考えています。別の表現をすると「引きつけてボールを打つ」と言うことです。立ち位置が後ろになれば、打点は低くなりますが、ボールを打つタメが作りやすくなります。
ボールが飛んできたときに、ボールに向かっていきそのままタメなしにボールをヒットするのがアガシや錦織の打ち方です。タメなしで打つというのは、0からいきなりボールを打ちに行くようなイメージですので、高度な技術です。動きの素早さ、パワー、正確さと体のバランスなど、すべてがそろわなくてはうまく打てません。錦織はベースラインの中で高い打点でボールを打つことが多いですが、それはボールを落とさないで(タメなしで)打つ場合です。
一般に安定したストロークを打つには、タメが必要です。メシールの場合で言うと、ボールがバウンドするまでに腰を回転させ、テイクバックを終了します。これがタメになります。バウンドしたところでフォワードスイングが開始するのですが、そこからインパクトまでに十分な時間が必要です。言い換えると、この時間が短いとタメが作りにくくなります。
後ろに下がりすぎると、タメを作る時間の余裕はできますが、今度は打点が低くなってしまい、ボールを持ち上げるために、また回転をかけるために,余計な力が必要になります。高い打点よりもボールに角度をつけくい(ネットする可能性が高くなるため)というのもマイナス要素です。相手に時間的余裕を与えてしまうのもよくありません。
つまり、立つ位置が前過ぎるとタメが作りにくく、後ろ過ぎるとパワーや時間のロスが大きくなります。つまり、タメが作れる範囲でできるだけ前で打つ、と言うのが理想と言うことになります。
この、バウンド位置と打つ位置の関係(距離)は自分で作るものです。勝手に「なってしまう」ものではありません。
この距離がボールごとにばらばらになると、ストロークは安定しません。ボールによって、タメのタイミングが異なるからです。一定のタイミング、一定のタメでボールを打つには、常にこの距離を意識しておき、一定のタメでボールを打つことが肝心です。
メシールのテニスでは、ストロークでのラケットスイングは下から上になります。すなわち、打点が高すぎると、ラケットを下から上に振ることができません。したがって、そのためには、ボールがバウンドする場所から一定の距離をとる必要があります。高い打点がモダンテニスのセオリーかもしれませんが、メシールテニスではそれはタメが作れない分だけ危険なのです。
ゲームでグランドストロークが不安定になってきたら、タメを作るためのボールのバウンド位置と立ち位置の関係を確認して、ボールが落ちてくるところでインパクトできているかをチェックしてみるのも有効です。
2014年全米オープン 男子準々決勝 錦織vsバブリンカ
WOWOWでの放送が朝だったので、目が覚めてから第4セットと第5セットをテレビで観た。錦織が第5セットでマッチポイントを取った時、錦織の表情がアップになった。
なるほど、勝つ人の表情はこうなんだと思った。それは、「よし、次のポイントを取れば勝てる」というような表情ではなかった。勝つか負けるかは、結果でしかない。結果を意識するのではなく、その過程を意識している表情。自分の中で次のポイントをどうとるか、次のプレーはどうするかだけを考えている表情だった。その頭の中に「勝利」という文字は全くなかっただろう。
錦織は最初のマッチポイントをものにして、バブリンカに勝利した。これまでの対戦成績が0勝2敗と分が悪い世界第4位の第4シードに、世界11位の錦織が初めて勝利したのは、全米オープン準々決勝のセンターコートという場だった。
試合直後のインタビューでも、錦織は言った。「最終セットでは何度もブレークポイントをしのいだが、最後にいきなりこちらのブレークポイントが来た。」次のゲームを取れるか、落とすか、そんな結果を起点として考える発想であればこのコメントは出てこない。
テレビ解説者の岩渕さんも言っていたが、勝利の後の振る舞いも、この試合に勝って満足というのではなく、次の試合のことを考え始めているという振る舞いだった。勝利を喜ぶのではなく、勝利に満足しながらすでに次のゲームについて考えはじめている。そういうスタンスだった。
ラオニッチとのナイトセッションでは深夜2時を超え、バブリンカとのデイセッションではナイトセッションの時間まで食い込む時間のロングゲームゲームをとなった。4時間を超える試合をハードコート上でセンターコートで戦った後、これからますます厳しくなる準決勝、決勝を戦うには、この短い間でどこまで体が回復するかが一つのポイントになると思われる。
→2014年全米オープン男子4回戦 錦織vsラオニッチ
なるほど、勝つ人の表情はこうなんだと思った。それは、「よし、次のポイントを取れば勝てる」というような表情ではなかった。勝つか負けるかは、結果でしかない。結果を意識するのではなく、その過程を意識している表情。自分の中で次のポイントをどうとるか、次のプレーはどうするかだけを考えている表情だった。その頭の中に「勝利」という文字は全くなかっただろう。
錦織は最初のマッチポイントをものにして、バブリンカに勝利した。これまでの対戦成績が0勝2敗と分が悪い世界第4位の第4シードに、世界11位の錦織が初めて勝利したのは、全米オープン準々決勝のセンターコートという場だった。
試合直後のインタビューでも、錦織は言った。「最終セットでは何度もブレークポイントをしのいだが、最後にいきなりこちらのブレークポイントが来た。」次のゲームを取れるか、落とすか、そんな結果を起点として考える発想であればこのコメントは出てこない。
テレビ解説者の岩渕さんも言っていたが、勝利の後の振る舞いも、この試合に勝って満足というのではなく、次の試合のことを考え始めているという振る舞いだった。勝利を喜ぶのではなく、勝利に満足しながらすでに次のゲームについて考えはじめている。そういうスタンスだった。
ラオニッチとのナイトセッションでは深夜2時を超え、バブリンカとのデイセッションではナイトセッションの時間まで食い込む時間のロングゲームゲームをとなった。4時間を超える試合をハードコート上でセンターコートで戦った後、これからますます厳しくなる準決勝、決勝を戦うには、この短い間でどこまで体が回復するかが一つのポイントになると思われる。
→2014年全米オープン男子4回戦 錦織vsラオニッチ
2014年9月3日水曜日
2014年全米オープン 男子4回戦 錦織vsラオニッチ
「まだ喜べない。上まで行かないといけないというプレッシャーもかけてやっている。勝てないという相手はいないと思うので、上を向いてやりたい」
ラオニッチに勝利した錦織のコメントだ。勝てないという相手はいない、そう思えることは素晴らしい。これは、自分の型ができたという自信からきている。
誰にもで勝てると言っているのではない。自分の型で戦うことができれば、自分の能力を100%出すことができれば、どのプレーヤーにも勝利する可能性があるという意味だ。
自分の型ができたということは、テニスプレーヤーとしてというだけではなく、どの分野においても、例えばビジネスの分野、政治の分野、芸術の分野、どんな分野よりも、世界で戦う人であれば分野に関係なく幸せなことだ。
自分の型ができること、こんなに幸せなことはない。勝ち負けも大切だが、自分の型が完成していないのに勝っても、本当はそれほど嬉しくはない。幸せなのは、自分の型で戦うその瞬間だ。自分の型が世界で通用することを実感できることだ。勝ち負けは、その結果でしかない。
日本という国の中で、世界で戦う多くの「戦士」を見てきた。その中に、どれほどの「コピー」がいたことか。世界で誰かが作った型を真似しているコピー戦士が、どれほど多く日本にいるか。それを自分の型だと言い張るのは自由だが、幸せなのかどうかを決めるのはその人自身だ。
錦織のテニスの価値は、錦織がベスト10近くにいるからではない。錦織が、世界に通用すると自覚できる自分の型を作ったからだ。そのように、自分が感じることができるからだ。そういうことができるのは、ごく限られた一握りの人だけなのだから。
錦織は、準々決勝でバブリンカと対戦するそうだ。もはや、勝ち負けではない。大切なのは、自分のオリジナルなテニスがバブリンカに通用するかを知ることだ。結果を求めるのではなく、その過程を求めてほしい。
ラオニッチに勝利した錦織のコメントだ。勝てないという相手はいない、そう思えることは素晴らしい。これは、自分の型ができたという自信からきている。
誰にもで勝てると言っているのではない。自分の型で戦うことができれば、自分の能力を100%出すことができれば、どのプレーヤーにも勝利する可能性があるという意味だ。
自分の型ができたということは、テニスプレーヤーとしてというだけではなく、どの分野においても、例えばビジネスの分野、政治の分野、芸術の分野、どんな分野よりも、世界で戦う人であれば分野に関係なく幸せなことだ。
自分の型ができること、こんなに幸せなことはない。勝ち負けも大切だが、自分の型が完成していないのに勝っても、本当はそれほど嬉しくはない。幸せなのは、自分の型で戦うその瞬間だ。自分の型が世界で通用することを実感できることだ。勝ち負けは、その結果でしかない。
日本という国の中で、世界で戦う多くの「戦士」を見てきた。その中に、どれほどの「コピー」がいたことか。世界で誰かが作った型を真似しているコピー戦士が、どれほど多く日本にいるか。それを自分の型だと言い張るのは自由だが、幸せなのかどうかを決めるのはその人自身だ。
錦織のテニスの価値は、錦織がベスト10近くにいるからではない。錦織が、世界に通用すると自覚できる自分の型を作ったからだ。そのように、自分が感じることができるからだ。そういうことができるのは、ごく限られた一握りの人だけなのだから。
錦織は、準々決勝でバブリンカと対戦するそうだ。もはや、勝ち負けではない。大切なのは、自分のオリジナルなテニスがバブリンカに通用するかを知ることだ。結果を求めるのではなく、その過程を求めてほしい。
2014年8月26日火曜日
Mecir’s Tennis (246) My edition of Mecir Warm-up Video
I have uploaded a video onto Youtube concerning with Mecir's warm-up, espacially forehand strokes.
メシール練習風景の動画像をYoutubeにアップロードしました。ご覧ください。
メシール練習風景の動画像をYoutubeにアップロードしました。ご覧ください。
2014年8月19日火曜日
Mecir's Tennis (245) なぜフォアハンドテイクバックでは左肩を入れるのか?
ほとんどのテニスの教科書には、「フォアハンドのテイクバックでは左肩を開かないようにします」「左肩を入れます」と書かれています。
それは正しいのですが、どこにも、なぜ左肩を入れなくてはならないのかが書いてありません。多くのプレーヤーは、ただ経験的にそれがうまくいくからという理由で左肩を入れています。
そして、私のような未熟(で頭でっかちの)プレーヤーは、その理解ができないためにいつまでもテイクバックで左肩を入れることが出来ていません。
では、なぜ、左肩を入れるのでしょうか。答えは、実は「左肩を入れるというのは正しくない」です。「フォアハンドのテイクバックでは左肩を開かないようにします」というのは正しい。ただし、「フォアハンドのテイクバックでは左肩を入れます」というのは正しくないのです。
試しに、フォアハンドテイクバックで左肩を入れて、左手をそのまま胸につけてください。(左手は、ちょうど右の胸の前辺りに来るはずです。)そのスタイルでフォアハンドストロークでボールをヒットしてみてください。ボールを打つことは出来ますが、スイングは不安定になり、また力強く安定したボールを打つことは出来ません。
つまり、「左肩を入れる」だけではだめなのです。「左肩を入れて、さらに左手を前に出す」のです。これが正しいテイクバックです。
では、「左肩を入れて左手を前に出していればよい」のでしょうか。それでもだめです。その理由は、なぜ左手を前に出すかを考えれば分かります。
Mecir's Tennis (198) フォアハンドは阿波踊りで、右腕と左腕が同期するフォアハンドの打ち方を説明しました。また、メシールのテニス(80) えもんかけとフォアハンドでは、両肩をえもんかけ(ハンガー)のように使って肩の回転でフォワードスイングをする(腕の力ではない!)ことを説明しました。下の写真をよく見てください。確かに、両腕がきれいに並行になった状態で(腰と)肩を回転しています。
この二つを考えると、テイクバックでするべきスタイルは明らかです。両肩から「前に習え」の形で両腕を伸ばして、そのまま肩の回転(そのまえに腰が回転しますが)で体を回転させるのです。ラジオ体操第1にそういう体操があります。イメージをつかむために、見てみてください。
こんな変なポーズでボールが打てるのかと思うかもしれません。もちろん、実際には、まったくラジオ体操のままではないですが、テニスのフォアハンドの基本はこのスタイルです。
両腕を肩の前にまっすぐ出してそのまま肩を回転させるのは、両手がばらばらに動いて方を回転させるよりもスムーズで安定します。メシールのフォアハンドやフェデラーのフォアハンドが無駄なくきれいに見えるのは、それが理由です。ジョコビッチは厚いグリップですが、それでも理にかなったフォアハンドのスイングになっています。たとえば、このジョコビッチのグランドストロークの練習を見てください。よく見ると、確かにラジオ体操と同じフォームです。
それは当然です。これが、一番安定してボールを打つことが出来るフォームだからです。
両手打ちのバックハンドがフォアハンドよりも安定しやすい理由のひとつもこれです。両手打ちバックハンドでは自然に(勝手に)両肩に対して両腕が前に出て、そのまま肩が回転するからです。
そして、私のような未熟(で頭でっかちの)プレーヤーは、その理解ができないためにいつまでもテイクバックで左肩を入れることが出来ていません。
では、なぜ、左肩を入れるのでしょうか。答えは、実は「左肩を入れるというのは正しくない」です。「フォアハンドのテイクバックでは左肩を開かないようにします」というのは正しい。ただし、「フォアハンドのテイクバックでは左肩を入れます」というのは正しくないのです。
試しに、フォアハンドテイクバックで左肩を入れて、左手をそのまま胸につけてください。(左手は、ちょうど右の胸の前辺りに来るはずです。)そのスタイルでフォアハンドストロークでボールをヒットしてみてください。ボールを打つことは出来ますが、スイングは不安定になり、また力強く安定したボールを打つことは出来ません。
つまり、「左肩を入れる」だけではだめなのです。「左肩を入れて、さらに左手を前に出す」のです。これが正しいテイクバックです。
では、「左肩を入れて左手を前に出していればよい」のでしょうか。それでもだめです。その理由は、なぜ左手を前に出すかを考えれば分かります。
Mecir's Tennis (198) フォアハンドは阿波踊りで、右腕と左腕が同期するフォアハンドの打ち方を説明しました。また、メシールのテニス(80) えもんかけとフォアハンドでは、両肩をえもんかけ(ハンガー)のように使って肩の回転でフォワードスイングをする(腕の力ではない!)ことを説明しました。下の写真をよく見てください。確かに、両腕がきれいに並行になった状態で(腰と)肩を回転しています。
この二つを考えると、テイクバックでするべきスタイルは明らかです。両肩から「前に習え」の形で両腕を伸ばして、そのまま肩の回転(そのまえに腰が回転しますが)で体を回転させるのです。ラジオ体操第1にそういう体操があります。イメージをつかむために、見てみてください。
こんな変なポーズでボールが打てるのかと思うかもしれません。もちろん、実際には、まったくラジオ体操のままではないですが、テニスのフォアハンドの基本はこのスタイルです。
両手打ちのバックハンドがフォアハンドよりも安定しやすい理由のひとつもこれです。両手打ちバックハンドでは自然に(勝手に)両肩に対して両腕が前に出て、そのまま肩が回転するからです。
2014年8月18日月曜日
Mecir's Tennis (244) フォアハンドテイクバックで作るループ(4)
メシールのフォアハンドは、かつてレンドルのフォアハンドと比較されることがありました。ともに、チェコスロバキアのプレーヤーだったことも理由かもしれません。
もう一つの理由は、(プロセスは違うものの)テイクバックで右肘が後ろに突き出ているため、テイクバックの写真では似ているたことがあるかもしれません。
しかし、レンドルとメシールのフォアハンドは、実はかなり違います。レンドルのフォアハンドを見てください。実は、レンドルはテイクバックであまりループをしていません。レンドルはメシールのようにテイクバックからのラケット軌道によりスピンをかけません。ラケット軌道を一定にして、手首でボールを擦りあげることでボールに強い順回転をかけています。これは、レンドルが厚めのグリップであることが理由です。
メシールは、むしろスイングの中でスピンをかけるので、スイングそのものが重要です。言い換えると、ラケットの軌道が重要です。そのため、スピン系のボールを打つためにはテイクバックでのループが必須となるわけです。
もう一つの理由は、(プロセスは違うものの)テイクバックで右肘が後ろに突き出ているため、テイクバックの写真では似ているたことがあるかもしれません。
しかし、レンドルとメシールのフォアハンドは、実はかなり違います。レンドルのフォアハンドを見てください。実は、レンドルはテイクバックであまりループをしていません。レンドルはメシールのようにテイクバックからのラケット軌道によりスピンをかけません。ラケット軌道を一定にして、手首でボールを擦りあげることでボールに強い順回転をかけています。これは、レンドルが厚めのグリップであることが理由です。
メシールは、むしろスイングの中でスピンをかけるので、スイングそのものが重要です。言い換えると、ラケットの軌道が重要です。そのため、スピン系のボールを打つためにはテイクバックでのループが必須となるわけです。
Mecir's Tennis (243) フォアハンドテイクバックで作るループ(3)
テニスをする者であれば、誰もが必ず一度は言われたことがあるはずです。「テイクバックが遅い、もっと早くラケットを引きなさい。」
そのこと自身はもちろん間違いではありません。というか、大切なことです。メシールは、特にテイクバックの早いプレーヤーでした。
テイクバックを早くせねばならないと思いつつそれが難しい理由の一つは、タイミングの問題だと思います。例えば、相手のボールが極めて遅い場合に、極めて早くテイクバックするとどうなるでしょうか。当然ながら、テイクバックが完了した状態を維持することになります。フォワードスイングとテイクバックは完全に分断され、フォワードスイングは0から力を入れることになります。
相手の急速が一定ではない場合(そして、上級者の多くは、様々なボールを打ち分けてきます)には、ボールごとに固定したテイクバック完了の長さが異なってきます。これでは、安定したタイミングでのボールヒットは容易ではありません。
そこで、テイクバックのループスイングです。テイクバック完了の「待ち」が入る場合には、テイクバックルにループを入れます。相手のボールが速くて「待ち」が入らない場合には、ループなしで引いたタイミングで今度はフォワードスイングに切り替えます。
つまり、テイクバックにループスイングを入れることで、相手のボールに合わせてスイングの「タメ」を作ることができるわけです。スピンボールを打ちやすいだけではなく、タメを作ることができるのがテイクバックでのループスイングのメリットです。
そのこと自身はもちろん間違いではありません。というか、大切なことです。メシールは、特にテイクバックの早いプレーヤーでした。
テイクバックを早くせねばならないと思いつつそれが難しい理由の一つは、タイミングの問題だと思います。例えば、相手のボールが極めて遅い場合に、極めて早くテイクバックするとどうなるでしょうか。当然ながら、テイクバックが完了した状態を維持することになります。フォワードスイングとテイクバックは完全に分断され、フォワードスイングは0から力を入れることになります。
相手の急速が一定ではない場合(そして、上級者の多くは、様々なボールを打ち分けてきます)には、ボールごとに固定したテイクバック完了の長さが異なってきます。これでは、安定したタイミングでのボールヒットは容易ではありません。
そこで、テイクバックのループスイングです。テイクバック完了の「待ち」が入る場合には、テイクバックルにループを入れます。相手のボールが速くて「待ち」が入らない場合には、ループなしで引いたタイミングで今度はフォワードスイングに切り替えます。
つまり、テイクバックにループスイングを入れることで、相手のボールに合わせてスイングの「タメ」を作ることができるわけです。スピンボールを打ちやすいだけではなく、タメを作ることができるのがテイクバックでのループスイングのメリットです。
Mecir's Tennis (242) フォアハンドテイクバックで作るループ(2)
フォアハンドテイクバックで作るループ(1)で、メシールのような薄いグリップでもテイクバックでループを作ることがあることを書きました。ただし、いつもループを作るわけではなく、使い分けるということです。
また、腰より高いボールの打ち方(テイクバックでの上腕の使い方)では、腰よりも低いボールではもちろん、高いボールでもラケットは下から上に振り上げる(そのためにはどんな場合でも上腕が下を向くイメージ)ことを書きました。
では、ループの場所(高さ)は、腰よりも低いボールや腰よりも高いボールで、どのように変わるでしょうか。答えは、ループの高さはいつも同じ、です。そして、ループの高さはいつも腰の高さ、です。
なぜでしょうか。なぜ、ループの高さはいつも同じでしょうか。
まず、腰よりも高いボールです。腰よりも高いボールの場合、腰より高いボールの打ち方(テイクバックでの上腕の使い方)で書いた通り、スイングは下から上です。つまり、腰の高さでループを作ればそのまま下から上のスイングになるわけです。
腰から下の場合には、そのままラケットは下に降りていきます。つまり、上腕が下を向いていきます。上腕を下げる+三角巾=インサイドアウトで述べたとおり、腰よりも低いボールでは(も)上腕は下を向きます。上腕が下を向いた状態でフォワードスイングします。そのためには、腰の位置でループするのが都合がよいのです。
右肘の位置を固定してテイクバックでループするには、安定した右ひじの位置が望ましいのですが、最も安定するのは右腰の前です。スイングで一番力が入る場所でもあります。
気を付けることは、メシールのテニス(87)やMecir's Tennis (145)で書いた通り、テイクバックの過程ではラケットヘッドは下を向いていることです。ループするのはその後です。ループ中には上腕が上を向くことは許されます。(というよりも、そうしないとループできません。)
最後に気を付ける点は、テイクバックのループと上腕を下げることは連動するということです。試してみればわかりますが、ループ開始時に上腕が上を向いているとテイクバックで右ひじを固定してループを作ることはできません。
また、腰より高いボールの打ち方(テイクバックでの上腕の使い方)では、腰よりも低いボールではもちろん、高いボールでもラケットは下から上に振り上げる(そのためにはどんな場合でも上腕が下を向くイメージ)ことを書きました。
では、ループの場所(高さ)は、腰よりも低いボールや腰よりも高いボールで、どのように変わるでしょうか。答えは、ループの高さはいつも同じ、です。そして、ループの高さはいつも腰の高さ、です。
なぜでしょうか。なぜ、ループの高さはいつも同じでしょうか。
まず、腰よりも高いボールです。腰よりも高いボールの場合、腰より高いボールの打ち方(テイクバックでの上腕の使い方)で書いた通り、スイングは下から上です。つまり、腰の高さでループを作ればそのまま下から上のスイングになるわけです。
腰から下の場合には、そのままラケットは下に降りていきます。つまり、上腕が下を向いていきます。上腕を下げる+三角巾=インサイドアウトで述べたとおり、腰よりも低いボールでは(も)上腕は下を向きます。上腕が下を向いた状態でフォワードスイングします。そのためには、腰の位置でループするのが都合がよいのです。
右肘の位置を固定してテイクバックでループするには、安定した右ひじの位置が望ましいのですが、最も安定するのは右腰の前です。スイングで一番力が入る場所でもあります。
気を付けることは、メシールのテニス(87)やMecir's Tennis (145)で書いた通り、テイクバックの過程ではラケットヘッドは下を向いていることです。ループするのはその後です。ループ中には上腕が上を向くことは許されます。(というよりも、そうしないとループできません。)
最後に気を付ける点は、テイクバックのループと上腕を下げることは連動するということです。試してみればわかりますが、ループ開始時に上腕が上を向いているとテイクバックで右ひじを固定してループを作ることはできません。
Mecir's Tennis (241) フォアハンドテイクバックで作るループ(1)
フラット系のグランドストロークでは、ラケットをまっすぐ引いてまっすぐ振り出すイメージがあります。実際、コナーズの厚いグリップでのフラットフォアハンドはこのタイプです。このタイプのスイングは、単調な(しかもスピードが速い)ボールには有効ですが、緩急を混ぜられた時に不利です。また、スピンポールに弱い(自分もスピンボールが打ちづらい)という弱点があります。
もちろん、厚い当たりが打ちやすい、コースが狙いやすいなどの利点もありますが、マイナスの方が多い打ち方でしょう。
薄いフォアハンドグリップでも、ループスイングは可能です。というよりも、ループスイングをするべきです。それによって、スピン系のボールを打つことができ、また相手の緩急をつけたスピン系のボールに対応することも可能です。
相手のボールが速い時にはテイクバックでループを作る必要はありません。まっすぐに引いて、まっすぐに振りだします。(動画像はこちら。)
逆に、相手のボールが速くない場合や、時間的余裕があってスピンボールを打ちたい場合には、テイクバックでループを作ります。(動画像はこちら。)
テイクバックループでは、右肘の位置は固定されています。ラケットだけがループします。
もちろん、厚い当たりが打ちやすい、コースが狙いやすいなどの利点もありますが、マイナスの方が多い打ち方でしょう。
薄いフォアハンドグリップでも、ループスイングは可能です。というよりも、ループスイングをするべきです。それによって、スピン系のボールを打つことができ、また相手の緩急をつけたスピン系のボールに対応することも可能です。
相手のボールが速い時にはテイクバックでループを作る必要はありません。まっすぐに引いて、まっすぐに振りだします。(動画像はこちら。)
逆に、相手のボールが速くない場合や、時間的余裕があってスピンボールを打ちたい場合には、テイクバックでループを作ります。(動画像はこちら。)
テイクバックループでは、右肘の位置は固定されています。ラケットだけがループします。
2014年8月17日日曜日
Mecir's Tennis (240) 腰より高いボールの打ち方(テイクバックでの上腕の使い方)
メシールのフォアハンドではフォワードスイングにおいて上腕は必ず水平よりも下に向けるということを書きました。これは、腰より低い場合には簡単ですが、では腰より高いボールではどうでしょうか。腰よりも高いボールのテイクバックで、どのように上腕を下げればよいでしょうか。
ここで大切なことは、腰より上のボールであっても、(腰より低いボールと同様に)下から上に振り上げるということです。「ラケットスイングは下から上」のイメージは、ボールの高さに関係なく同じです。
腕の構造上、腰より高い球で上腕を下に向けることはできません。ただし、この、「スイングは下から上に」を意識することで、脳内イメージにおいて(構造的にはあり得ないのですが)上腕を下に向けることはできます。つまり、脳内イメージでは上腕を下に向けることで、ラケットスイングは下から上に振り上げやすくなるのです。
実際には、上腕はほぼ水平になるはずです。つまり、この場合でも、フォワードスイングにおいて上腕を上に向けてはなりません。
メシールのフォアハンド(スローモーション)を見てください。バックハンド側からの撮影であるので見づらいですが、ラケットを下から上に振り上げることで上腕が(脳内イメージでは)下向きになっている様子がよくわかるはずです。
ここで大切なことは、腰より上のボールであっても、(腰より低いボールと同様に)下から上に振り上げるということです。「ラケットスイングは下から上」のイメージは、ボールの高さに関係なく同じです。
腕の構造上、腰より高い球で上腕を下に向けることはできません。ただし、この、「スイングは下から上に」を意識することで、脳内イメージにおいて(構造的にはあり得ないのですが)上腕を下に向けることはできます。つまり、脳内イメージでは上腕を下に向けることで、ラケットスイングは下から上に振り上げやすくなるのです。
実際には、上腕はほぼ水平になるはずです。つまり、この場合でも、フォワードスイングにおいて上腕を上に向けてはなりません。
メシールのフォアハンド(スローモーション)を見てください。バックハンド側からの撮影であるので見づらいですが、ラケットを下から上に振り上げることで上腕が(脳内イメージでは)下向きになっている様子がよくわかるはずです。
Mecir's Tennis (239) 体とグリップの距離は遠すぎても近すぎてもいけない
メシールのフォアハンド、というよりも現在のほとんどのプロテニス選手のフォアハンドは、腕と体が一体になって回転します。これにより、体(体幹)の回転が腕を通じてラケットに伝わります。
特に、グリップの薄いフォアハンドでは、ラケット面の微妙なずれがヒットするボールの大きなずれに直結します。したがって、スイングにおいてラケット(面)を高い精度でぶれないようにコントロールせねばなりません。
その際、体から腕(ラケット)が離れていると、言い換えると右脇が空いていると、それだけラケット面はブレやすくなります。したがって、ラケットを握る腕は、一定以上体から離れてはなりません。
では、逆に腕が体に近い場合はどうでしょうか。言い換えると、右脇が締まったスイングです。このスイングも、次の理由により望ましくありません。
一つは、ラケットの遠心力が使えないということです。これまでに何度も書いている通り、メシールのフォアハンドでは、肩が「えもんかけ」(ハンガー)の様に回転し、そこからぶら下がった腕がしなるように肩の回転に引っ張られてスイングします。したがって、腕の力はできるだけ抜かなくてはなりません。相手の強いボールに対して打ち返すだけのラケットのパワーが必要となりますが、そのパワーは腕力ではありません。(腕の力を使うのはインパクト直前になってから。)
では、ラケットのパワーはどこからもらえばよいでしょうか。それは遠心力です。腕の力を抜いて肩の回転でスイングするときには、ラケットの力は肩の回転からくる遠心力により得ることになります。
もし、脇が締まり、回転半径が小さくなると、その分だけ遠心力はなくなります。(遠心力は回転半球が大きくなるほど大きい。)遠心力が使えなくなると、腕の力を頼らざるを得ません。腕でラケットを振ると、腕には力が入り、肩の回転主導のスイングができなくなります。
回転半径を小さくするだけで、スイングが根本から破たんしてしまうのです。
つまり、フォアハンドのスイングでは、「遠心力が使える程度は右脇を空ける」ことになります。ラケットと体の一定の距離が必要です。
特に、グリップの薄いフォアハンドでは、ラケット面の微妙なずれがヒットするボールの大きなずれに直結します。したがって、スイングにおいてラケット(面)を高い精度でぶれないようにコントロールせねばなりません。
その際、体から腕(ラケット)が離れていると、言い換えると右脇が空いていると、それだけラケット面はブレやすくなります。したがって、ラケットを握る腕は、一定以上体から離れてはなりません。
では、逆に腕が体に近い場合はどうでしょうか。言い換えると、右脇が締まったスイングです。このスイングも、次の理由により望ましくありません。
一つは、ラケットの遠心力が使えないということです。これまでに何度も書いている通り、メシールのフォアハンドでは、肩が「えもんかけ」(ハンガー)の様に回転し、そこからぶら下がった腕がしなるように肩の回転に引っ張られてスイングします。したがって、腕の力はできるだけ抜かなくてはなりません。相手の強いボールに対して打ち返すだけのラケットのパワーが必要となりますが、そのパワーは腕力ではありません。(腕の力を使うのはインパクト直前になってから。)
では、ラケットのパワーはどこからもらえばよいでしょうか。それは遠心力です。腕の力を抜いて肩の回転でスイングするときには、ラケットの力は肩の回転からくる遠心力により得ることになります。
もし、脇が締まり、回転半径が小さくなると、その分だけ遠心力はなくなります。(遠心力は回転半球が大きくなるほど大きい。)遠心力が使えなくなると、腕の力を頼らざるを得ません。腕でラケットを振ると、腕には力が入り、肩の回転主導のスイングができなくなります。
回転半径を小さくするだけで、スイングが根本から破たんしてしまうのです。
つまり、フォアハンドのスイングでは、「遠心力が使える程度は右脇を空ける」ことになります。ラケットと体の一定の距離が必要です。
2014年8月14日木曜日
Mecir's Tennis (238) 上腕を下げる+三角巾=インサイドアウト
最近の(厚いフォアハンドグリップの)テニスでは、テイクバックでラケットヘッドが上を向く傾向にあります。これは、言い換えると、最近のテニスでは上腕が水平よりも上を向くということです。
右ひじを支点としてその水平面で見ると、手や手首は水平面よりも上にあるわけです。錦織、フェデラー、ナダル(右利き)のテイクバックを見てください。すべて右手首は右ひじよりも高いところにあります。またラケットヘッドは上を向いています。
実は、メシールのテニスでは、上腕は必ず下を向きます。打点が高い場合でも、上腕は地面に水平までです。したがって、テイクバックでラケットヘッドが上を向くことはありません。
これは、メシールのスイングがインサイドアウトであることと無関係ではありません。薄いグリップで、テイクバックでラケットを立てると、スイングをインサイドアウトに振ることができないのです。上腕が下がっているからこそ、そこからインサイドアウト(かつ下から上に)スイングできます。
テイクバクで上腕を下に向けることで、いかにインサイドアウトにスイングするかが、メシールのフォアハンドの大きなポイントです。このような打ち方の場合、腕に力がいれにくいというのがポイントです。右ひじを曲げてラケットを立てると、体の回転と腕の回転が同期するため、フォワードスイングの最初から腕の力を使うことができます。メシールのような打法では、腕に力が入るのはボールインパクト直前からです。
そのためには、Mecir's Tennis (157) 3対7と言うよりも0対10のテイクバックとフォロースルー(その2)に書いた通り、肩の回転を使うことです。腕を三角巾のように肩からつるし、肩の回転でフォワードスイングを行います。そして、インパクトから初めて腕を使うのです。したがって、腕は肩の回転から遅れて出てくることになります。
上のメシールの写真をもう一度見てください。右側では腕は肩よりも遅れています。左側の写真では腕が肩よりも前に出ています。そして、上腕は下を向いています。スイングがインサイドアウトであるのは、インパクト(左)の写真でラケット面が外(2時方向)を向いていることからわかります。
2014年7月31日木曜日
2014年7月28日月曜日
Mecir's Tennis (237) レディーポジションとテイクバックの間に…(テイクショルダー)
20年前であっても、世界のトッププロの試合は、私の様な上級レベルにも届かないプレーとは全く違います。それを承知のうえで、残っているビデオ(DVD)を見ながら、メシールのプレーを分析し、それを実践しようとしてきました。
レベルの違いからくる差異について、つい、見落としてしまうことがあります。その顕著な例が、ボールのスピードです。当然ですが、トッププロのボールは私のレベルのボールよりも速い。一言で書くとそうなってしまいますが、もう少し正確に書くと、次のようになります。
つまり、トッププロのプレーをコピーしていると、相手の遅いボールを学ぶことができません。そんなボールはほとんど来ないからです。そのことは、当たり前のように思えますが、実は案外と落とし穴になっています。
では、トッププロのプレーではほとんど見ることができない遅いボールには、どのように対応すればよいでしょうか。
これも案外難しいのですが、速いボールの場合にはボールに合わせて無意識にテイクバックが始まりますが、遅いボールでは余裕がありすぎるためにどのタイミングでテイクバックをすればよいか分からないことがあります。(ウソのようですが、実際、「頭で考えてテニスする」場合には、こういうことが起こるものです。理屈に頼りすぎる弊害ですね。)
答えは、「ボールが飛んできたらすぐにラケットを引くこと」です。もう少し正確に言うと、フォアハンドではボールが飛んできたら、すぐに右肩を引きます。最初のステップよりも先に、または同時に右肩を引きます。ここでは、後で述べるように、この右肩を引くのを「テイクショルダー」と呼びます。
右肩を引く際に、左手をラケットに添えておきます。というよりも、右肩を引く際には左手を使ってラケットを押すことで右肩を引くのがよいでしょう。右手だけでラケットを引くと、スイングが不安定になります。次に、この形のままステップワークします。これはテイクバックではなく、テイクバックの前の「テイクショルダー」です。レディーポジションとテイクバックの間に、もうひとつ「テイクショルダー」が入るのです。テイクショルダーは、テイクバックではありません。テイクショルダーの後、ステップワークを行い、ボールのバウンドに合わせてテイクバックを行います。つまり、ある種の二段モーションのようになります。
テイクショルダーでは、相手のボールが跳ね上がる場合にはラケットヘッドは上を向き、相手の‐ボールが低く弾む場合には下を向きます。これにより、ボールの高さに合わせたテイクバックがスムーズになります。
ここで大切なのは、テイクショルダーでは右肩を単に引くのではなく、「張る」ように引くという事です。単に右肩を引いたのでは、次のテイクバックで、再度さらに右肩を引かねばなりません。テイクショルダーは、言い方をかえるとテイクバックの最初の部分です。右肩を張ったままでステップワークを入れて、その後のテイクバックにつなげます。
テイクショルダーでは張るように右肩を引きますので、その分右肘が背中の側に出ます。上の写真を見てください。単に右肘を引くのではなく、左手でラケットを引きながら右肩を張り出します。この違いは重要です。単に右肘を引くのでは、左手が(写真のように)内側に引き込まれません。左手を使わずに右肘を引くのではなく、左手でラケットを引きながら、右肩を張ることで、結果的に右肘が背中側に出るわけです。
肩のところでラケットをセット(テイクショルダー)して、そこからは腰の回転だけでテイクバックします。腕は肩の前で固定したままのイメージ(三角巾のイメージ)ですので、テイクバックでは大きくラケットを引くことができません。肩の位置からしかテイクバックが取れないからです。その分、左手の使い方が重要です。左手が体の回転をリードすることで、小さいテイクバックでも強いスイングになります。小さなテイクバックと大きなフォロースルーです。
レベルの違いからくる差異について、つい、見落としてしまうことがあります。その顕著な例が、ボールのスピードです。当然ですが、トッププロのボールは私のレベルのボールよりも速い。一言で書くとそうなってしまいますが、もう少し正確に書くと、次のようになります。
- トッププロのボールはそのほとんどが速いが、ごくたまに遅いボールが来る。
- 私のレベルのボールは、たまに速い球と遅い球が混在している。
- トッププロのボールでも、つなぎの球はある。ただし、それはスピードはそれほど速くなくても、ヘビーな回転などがかかっており、素直な遅いボールではない。ただし、自分の打ったボールが厳しい場合や、相手のミスショットで、なんの変哲もない遅いボールがたまに返ってくることがある。
- 私の様なレベルでは、相手のボールは極めて速いという事はほとんどない。ただし、自分のボールが甘い場合など、速いボールが来ることはいくらでもある。一方、自分の打ったボールが厳しい場合を含め、相手のボールが遅いことはいくらでもある。
つまり、トッププロのプレーをコピーしていると、相手の遅いボールを学ぶことができません。そんなボールはほとんど来ないからです。そのことは、当たり前のように思えますが、実は案外と落とし穴になっています。
では、トッププロのプレーではほとんど見ることができない遅いボールには、どのように対応すればよいでしょうか。
これも案外難しいのですが、速いボールの場合にはボールに合わせて無意識にテイクバックが始まりますが、遅いボールでは余裕がありすぎるためにどのタイミングでテイクバックをすればよいか分からないことがあります。(ウソのようですが、実際、「頭で考えてテニスする」場合には、こういうことが起こるものです。理屈に頼りすぎる弊害ですね。)
答えは、「ボールが飛んできたらすぐにラケットを引くこと」です。もう少し正確に言うと、フォアハンドではボールが飛んできたら、すぐに右肩を引きます。最初のステップよりも先に、または同時に右肩を引きます。ここでは、後で述べるように、この右肩を引くのを「テイクショルダー」と呼びます。
右肩を引く際に、左手をラケットに添えておきます。というよりも、右肩を引く際には左手を使ってラケットを押すことで右肩を引くのがよいでしょう。右手だけでラケットを引くと、スイングが不安定になります。次に、この形のままステップワークします。これはテイクバックではなく、テイクバックの前の「テイクショルダー」です。レディーポジションとテイクバックの間に、もうひとつ「テイクショルダー」が入るのです。テイクショルダーは、テイクバックではありません。テイクショルダーの後、ステップワークを行い、ボールのバウンドに合わせてテイクバックを行います。つまり、ある種の二段モーションのようになります。
テイクショルダーでは、相手のボールが跳ね上がる場合にはラケットヘッドは上を向き、相手の‐ボールが低く弾む場合には下を向きます。これにより、ボールの高さに合わせたテイクバックがスムーズになります。
ここで大切なのは、テイクショルダーでは右肩を単に引くのではなく、「張る」ように引くという事です。単に右肩を引いたのでは、次のテイクバックで、再度さらに右肩を引かねばなりません。テイクショルダーは、言い方をかえるとテイクバックの最初の部分です。右肩を張ったままでステップワークを入れて、その後のテイクバックにつなげます。
テイクショルダーでは張るように右肩を引きますので、その分右肘が背中の側に出ます。上の写真を見てください。単に右肘を引くのではなく、左手でラケットを引きながら右肩を張り出します。この違いは重要です。単に右肘を引くのでは、左手が(写真のように)内側に引き込まれません。左手を使わずに右肘を引くのではなく、左手でラケットを引きながら、右肩を張ることで、結果的に右肘が背中側に出るわけです。
肩のところでラケットをセット(テイクショルダー)して、そこからは腰の回転だけでテイクバックします。腕は肩の前で固定したままのイメージ(三角巾のイメージ)ですので、テイクバックでは大きくラケットを引くことができません。肩の位置からしかテイクバックが取れないからです。その分、左手の使い方が重要です。左手が体の回転をリードすることで、小さいテイクバックでも強いスイングになります。小さなテイクバックと大きなフォロースルーです。
2014年7月24日木曜日
Mecir's Tennis (236) 左肩がオープンなフォアハンド・左肩がクローズドなフォアハンド(2)
Mecir's Tennis (235) 左肩がオープンなフォアハンド・左肩がクローズドなフォアハンド(1)において、浅くバウンドするボールは左肩をクローズド(0時方向)に入れると書きました。また、深くバウンドするボールは左肩を開いた状態で打つことができると説明しました。
その二つの良いところを取った打ち方があります。これは、メシールがそのキャリアの最後(1989年~1990年ごろ)で身に着けた打ち方で、デビューしたての頃(1985年~1986年ごろ)には使わなかった打ち方です。
それは、左足をオープンにして、さらに足を開く(つまり「がに股」)という足の使い方です。がに股にすることで、右足のつま先は0時方向ではなく2時方向(大げさに表現すると3時方向)を向きます。さらに、それに加えて、左肩を入れます。つまり、左足をオープンにしたまま、右つま先を2時方向(3時方向)に向けることで、体を横向きにできるわけです。当然、左肩を入れる(0時方向を向く)ことができます。
この打ち方は、やや浅めにバウンドするボールを左足をオープンにしたまま打つことができます。逆に深い球をタイミングで打つのではなく、しっかりとインサイドアウトのスイングで打つことができます。
つまり、両者の「いいとこどり」ができるわけです。
がに股での打ち方ですので見栄えはよくないのですが、安定して強い球を打てるので便利な打ち方です。バラエティーに富んだメシールのスイングの中でも、利便性の高いフォームだといってよいと思います。
かなり万能な打ち方ですので、「どんな場合でも、右足は原則的にはがに股で、右足のつま先は常に2時方向を向く」と決めておくのもよいと思います。
その二つの良いところを取った打ち方があります。これは、メシールがそのキャリアの最後(1989年~1990年ごろ)で身に着けた打ち方で、デビューしたての頃(1985年~1986年ごろ)には使わなかった打ち方です。
それは、左足をオープンにして、さらに足を開く(つまり「がに股」)という足の使い方です。がに股にすることで、右足のつま先は0時方向ではなく2時方向(大げさに表現すると3時方向)を向きます。さらに、それに加えて、左肩を入れます。つまり、左足をオープンにしたまま、右つま先を2時方向(3時方向)に向けることで、体を横向きにできるわけです。当然、左肩を入れる(0時方向を向く)ことができます。
この打ち方は、やや浅めにバウンドするボールを左足をオープンにしたまま打つことができます。逆に深い球をタイミングで打つのではなく、しっかりとインサイドアウトのスイングで打つことができます。
つまり、両者の「いいとこどり」ができるわけです。
がに股での打ち方ですので見栄えはよくないのですが、安定して強い球を打てるので便利な打ち方です。バラエティーに富んだメシールのスイングの中でも、利便性の高いフォームだといってよいと思います。
かなり万能な打ち方ですので、「どんな場合でも、右足は原則的にはがに股で、右足のつま先は常に2時方向を向く」と決めておくのもよいと思います。
2014年7月23日水曜日
Mecir's Tennis (235) 左肩がオープンなフォアハンド・左肩がクローズドなフォアハンド(1)
メシールのフォアハンドで、時々、肩(左肩)がオープンのままボールを打っているシーを見かけます。もちろん、足もオープンスタンスなのですが、体全体が前を向ているようなケースです。正面を向いて、ボールが体の右側にあるイメージです。
一方で、左肩が入って、両肩がボールに対してクローズドになることもあります。横を向いて体の正面ネット方向を0時とすると、体に対してボールが3時の場所にあるイメージです。
この二つの打ち方を、メシールはどのように使い分けているのでしょうか。一言でいうと、バウンドする場所の違いです。
ボールが深くてベースライン近辺でバウンドする場合には、前者の打ち方をすることがあります。(後者の打ち方の場合もあります。)
一方、ボールが浅い場合(サービスラインあたりでバウンドする場合)や、やや深めでもゆるく高く弾むボールなどの場合には、絶対に前者の打ち方はしません。必ず、体をボール飛球方向に対して9時側に移動し、横を向いて打ちます。
特に、浅くてボールが弾む場合、つまりチャンスボールでは肩は必ず0時と6時を結ぶ方向になります。肩が開くことはありません。
以前、Mecir's Tennis (225)でフォアハンドチャンスボールの打ち方を説明しました。右腰を前に突き出すのですが、その場合ですら左肩はネット方向(0時の方向)を向きます。左肩が0時方向で右腰を突き出すので、かなり体をひねっていることになります。
浅くバウンドするボールの場合に肩を開いた打ち方ができないのは、この打ち方ではタメが作れないからです。「ぱっと来てぱっと打つ」場合にのみ、左肩を開いてボールを打つことができます。多少、バウンドが浅くても、相手のボールが速い場合にもタメは作れませんので、この打ち方ができます。
相手の技量が高ければ高いほど、深いボール、速いボールが来ますので、この打ち方をする機会が増えます。一方、相手の技量が見劣りする場合には、逆に浅いボール、高く弾むボールがよく来ます。その場合には、絶対に左肩を開いて打ってはいけません。タメが作れませんので、本来は易しい球を逆に難しくしてしまうことになります。
相手のボールが浅い、ゆるく跳ねるなどの場合には、これでもかとボールの9時側に回り込んで、しっかりと左肩を入れてボールを打ちます。左肩を開くのはもちろんNGですが、左肩が入りきらないだけでもNGです。つまり、左肩が9時方向はNGですが、10時でも、11時でもNGです。しっかりと、12時方向を向けなくてはなりません。
相手のボールが速い場合にはオープン左肩で打つのであまりステップが必要ありませんが、相手のボールが緩い時にはボールの9時側に回り込み、勝左肩を十分に入れるため、ずいぶんと忙しくなります。動きも大きくなり、ステップ数も格段に増えます。遅いボールを打つプレーヤー(一般にはよりレベルが高くないプレーヤー)ほど、メシールの側は足を動かさねばなりません。
一般の人がメシールのフォアハンドでボールを打つのが難しく、特に遅い球に意外に弱いのは、上のことを忘れてしまい、遅い球でも左肩を入れずにフォアハンドを打ってしまうためです。特に、一級前のボールが速区、次の球が遅い場合に、ミスをしがちです。速い球に通用する打ち方が、遅い球にも通用するとは限らないのです。一球、一球のボールごとに打ち方を変えて対応しなくてはなりません。
一方で、左肩が入って、両肩がボールに対してクローズドになることもあります。横を向いて体の正面ネット方向を0時とすると、体に対してボールが3時の場所にあるイメージです。
この二つの打ち方を、メシールはどのように使い分けているのでしょうか。一言でいうと、バウンドする場所の違いです。
ボールが深くてベースライン近辺でバウンドする場合には、前者の打ち方をすることがあります。(後者の打ち方の場合もあります。)
一方、ボールが浅い場合(サービスラインあたりでバウンドする場合)や、やや深めでもゆるく高く弾むボールなどの場合には、絶対に前者の打ち方はしません。必ず、体をボール飛球方向に対して9時側に移動し、横を向いて打ちます。
特に、浅くてボールが弾む場合、つまりチャンスボールでは肩は必ず0時と6時を結ぶ方向になります。肩が開くことはありません。
以前、Mecir's Tennis (225)でフォアハンドチャンスボールの打ち方を説明しました。右腰を前に突き出すのですが、その場合ですら左肩はネット方向(0時の方向)を向きます。左肩が0時方向で右腰を突き出すので、かなり体をひねっていることになります。
浅くバウンドするボールの場合に肩を開いた打ち方ができないのは、この打ち方ではタメが作れないからです。「ぱっと来てぱっと打つ」場合にのみ、左肩を開いてボールを打つことができます。多少、バウンドが浅くても、相手のボールが速い場合にもタメは作れませんので、この打ち方ができます。
相手の技量が高ければ高いほど、深いボール、速いボールが来ますので、この打ち方をする機会が増えます。一方、相手の技量が見劣りする場合には、逆に浅いボール、高く弾むボールがよく来ます。その場合には、絶対に左肩を開いて打ってはいけません。タメが作れませんので、本来は易しい球を逆に難しくしてしまうことになります。
相手のボールが浅い、ゆるく跳ねるなどの場合には、これでもかとボールの9時側に回り込んで、しっかりと左肩を入れてボールを打ちます。左肩を開くのはもちろんNGですが、左肩が入りきらないだけでもNGです。つまり、左肩が9時方向はNGですが、10時でも、11時でもNGです。しっかりと、12時方向を向けなくてはなりません。
相手のボールが速い場合にはオープン左肩で打つのであまりステップが必要ありませんが、相手のボールが緩い時にはボールの9時側に回り込み、勝左肩を十分に入れるため、ずいぶんと忙しくなります。動きも大きくなり、ステップ数も格段に増えます。遅いボールを打つプレーヤー(一般にはよりレベルが高くないプレーヤー)ほど、メシールの側は足を動かさねばなりません。
一般の人がメシールのフォアハンドでボールを打つのが難しく、特に遅い球に意外に弱いのは、上のことを忘れてしまい、遅い球でも左肩を入れずにフォアハンドを打ってしまうためです。特に、一級前のボールが速区、次の球が遅い場合に、ミスをしがちです。速い球に通用する打ち方が、遅い球にも通用するとは限らないのです。一球、一球のボールごとに打ち方を変えて対応しなくてはなりません。
2014年7月22日火曜日
Mecir's Tennis (234) どのぐらい腰を落とすか・どのぐらい膝を曲げるか
メシールは、当時、腰がよく落ちている、膝がよく曲がっていると言われていました。では、どのぐらい腰を落とせばよいのでしょうか。どのぐらい膝を曲げればよいでしょうか。
どういえばよいのでしょうか。人の感覚なので、人によって違うと思うのですが、一言でいうと「洋式便器に座っているぐらい腰を落とす脳内イメージ」です。こんなに腰を落とし、こんなにお尻を突き出して大丈夫かというほど腰を落としてください。
膝も、同様に曲げこんでください。お尻を突き出すぐらいに、膝を曲げこみます。インプレー中は、サーブの場合も、ストロークの場合も、ボレーの場合も同じです。膝の下(いわゆる弁慶の泣き所)が地面と平行になるぐらいの脳内イメージで、お尻を突き出してください。
さらに、そのままでボールを追いかけてください(ステップワーク)。また、そのままでボールをヒットしてください。
なんとなく、こんなに腰を落としては動きがぎこちなくなるのではないかと思うかもしれません。しかし、実際にはその逆です。これだけ腰を落とすと、安定した体勢でボールを打てるため、自由に上半身が使えます。スイングの自由度が高くなります。
メシールの「上体を立てたスイング」のためには、この腰を落とし膝を曲げこむことは必須といってもよいでしょう。実際、メシールのビデをを見ていると、感覚的(脳内イメージ)には洋式便座に座っているぐらい腰を落としていると思います。(もっとかもしれません。)
メシールの「上体を立てたスイング」のためには、この腰を落とし膝を曲げこむことは必須といってもよいでしょう。実際、メシールのビデをを見ていると、感覚的(脳内イメージ)には洋式便座に座っているぐらい腰を落としていると思います。(もっとかもしれません。)
それはまさに、メシールのスイングです。つまり、自由なスイングのためには、それほどまでに腰を落とすことが有効なのです。「動きづらくなるのではないか」と思うぐらい、腰と膝を落としてプレーしてください。
2014年7月21日月曜日
Mecir's Tennis (233) ゾーンとスコープ(2)
スコープは、点ではありません。ある一定の範囲で照準を当てます。一定範囲は、大きすぎてもいけません。スコープの意識がないと、自分の視野のすべてでボールを見てしまうでしょう。それもいけません。
スコープの大きさは、ゾーンの大きさと一致します。つまり、スコープの中にボールをロックオンできれば、それは言い換えるとゾーンでボールをヒットできるということです。
スコープで相手コートやボールを見る場合、スコープの中は透明です。そして、スコープの外は半透明です。ボールが半透明の場所にある場合、体を移動させてボールを透明なスコープの中に移動して、そこでロックオンするのです。
スコープの位置は、意図的に選んではいけません。つまり、頭を動かしてスコープの側からボールを追いかけてはいけません。頭とスコープの位置関係は、常に一定です。したがって、スコープの中にボールを入れるということは、前後左右(さらには上下)に体を動かすことです。それ以外に、ボールをスコープでとらえてロックオンすることはできません。
メシールのテニスでは、上体が固定されます。頭を動かすことができません。頭の向きを変えることなくスコープでボールをとらえるのは、意外に大変です。実際、そのようにしてボールをロックオンすることを意識すると、それまでどれほど楽に(手を抜いて)ボールを追いかけていたかがわかります。
逆に言うと、どれだけ難しい場所でボールをヒットしていたかがわかります。上体を立てて頭の位置(目線)を固定し、ボールをスコープでとらえて、ゾーンで打つ。これは、ボールをとらえるまでは大変ですが、一度ロックオンしてしまえば安定してボールを強くヒットできます。
Mecir's Tennis (232) ゾーンとスコープ(1)
どれほど正しいフォームを身に着けていても、ゲームで使えなければ意味がありません。練習の時は、ボールは自分のところに飛んできます(練習相手は打ちやすい場所にボールをうとうとしてくれるでしょう)が、ゲームではその逆です。打ちづらいところ、打ちづらいところを選んで、相手はボールを配球します。
そんな打ちづらいボールであってもそれを強く打ち返すのが、テニス(グランドストローク)の基本です。つい、我々は、「ボールをどこに打つか」という、つまり配球を考えます。しかし、ボールの配球よりもまず強いボールを打つことが大切です。
強くボールを打つためには、よい打点でボールを打つことです。よい打点とは、つまり、ボールを強く打つことができる打点です。ここでは、その打点を「ゾーン」と呼ぶことにします。ゾーンでボールを打てば、自然なスイングで自然に強いボールを打つことができます。(自然なスイングで強いボールを打つことができる打点をゾーンと呼ぶというのが正しいかもしれません。)
テニスは、ミスをすると負けるスポーツです。ボールを打つときには、常にミスをする可能性とのメンタルな戦いがあります。ゾーンでボールを打つということは、メンタルストレスなく強いボールが打てるので、より安定したよいボールを打つことができます。きちんと打てば必ずボールが相手のコートの入るため、相手のコートにボールを入れるという意識も不要になります。
つまり、相手が打ちづらいところにボールを打ってきた場合であっても、体を移動して自分のゾーンでボールを打つことが最優先事項となります。どこを狙って打つか(ボールの配球)は、その後の課題です。まずは、ゾーンにボールを入れること、それにより強くボールをヒットすることが重要です。
つまり、相手のボールがこちらに飛んでくる間に、ボールをゾーンに持ってこなくてはなりません。もちろん、相手のボールの軌道を変えることはできません。したがって、まずは自分の体をスムーズに移動して、ボールをゾーンに入れる必要があります。
「ボールをゾーンにひきつける」というイメージです。
メシールのテニスでは、上体はできるだけ立てた状態を維持します。これは、言い換えると、目線の高さが一定に保たれるということです。つまり、ボールを追いかけながらも、目線の高さは一定に保たれるのです。
目をライフルの照準(スコープ)と考えると、スコープはボールを捉えます。そして、ボールがゾーンに入ってきたときに引き金を引くのです。言い換えると、目でボールを追いかけながら、体をゾーンに移動し、ボールがゾーンに入ってきたら、引き金を引いてボールをヒットします。
ポイントは、なんとなくというイメージでボールを打つのではなく、しっかりとボールをゾーンにひきつけるイメージを持つことです。引き付ける役割をするのが、スコープです。したがって、スコープ、すなわち目の高さを一定にしてボールを引き付けるイメージは重要です。なお、スコープはどうしてもゾーンにボールを入れることができなかった場合には、強くボールをヒットするのを諦め、ミスしない最善の強さでボールを運ぶことになります。
一球一球のボールごとに、ゾーンでボールを打てているかどうかを判断することが大切になります。ゾーンでボールを打てれば何も考えずに強いボールが打てますので、ストレスなくボールをヒットできます。少しでも多くの場合にゾーンでボールを打つことろ心がけるのは、もちろんです。
そんな打ちづらいボールであってもそれを強く打ち返すのが、テニス(グランドストローク)の基本です。つい、我々は、「ボールをどこに打つか」という、つまり配球を考えます。しかし、ボールの配球よりもまず強いボールを打つことが大切です。
強くボールを打つためには、よい打点でボールを打つことです。よい打点とは、つまり、ボールを強く打つことができる打点です。ここでは、その打点を「ゾーン」と呼ぶことにします。ゾーンでボールを打てば、自然なスイングで自然に強いボールを打つことができます。(自然なスイングで強いボールを打つことができる打点をゾーンと呼ぶというのが正しいかもしれません。)
テニスは、ミスをすると負けるスポーツです。ボールを打つときには、常にミスをする可能性とのメンタルな戦いがあります。ゾーンでボールを打つということは、メンタルストレスなく強いボールが打てるので、より安定したよいボールを打つことができます。きちんと打てば必ずボールが相手のコートの入るため、相手のコートにボールを入れるという意識も不要になります。
つまり、相手が打ちづらいところにボールを打ってきた場合であっても、体を移動して自分のゾーンでボールを打つことが最優先事項となります。どこを狙って打つか(ボールの配球)は、その後の課題です。まずは、ゾーンにボールを入れること、それにより強くボールをヒットすることが重要です。
つまり、相手のボールがこちらに飛んでくる間に、ボールをゾーンに持ってこなくてはなりません。もちろん、相手のボールの軌道を変えることはできません。したがって、まずは自分の体をスムーズに移動して、ボールをゾーンに入れる必要があります。
「ボールをゾーンにひきつける」というイメージです。
メシールのテニスでは、上体はできるだけ立てた状態を維持します。これは、言い換えると、目線の高さが一定に保たれるということです。つまり、ボールを追いかけながらも、目線の高さは一定に保たれるのです。
目をライフルの照準(スコープ)と考えると、スコープはボールを捉えます。そして、ボールがゾーンに入ってきたときに引き金を引くのです。言い換えると、目でボールを追いかけながら、体をゾーンに移動し、ボールがゾーンに入ってきたら、引き金を引いてボールをヒットします。
ポイントは、なんとなくというイメージでボールを打つのではなく、しっかりとボールをゾーンにひきつけるイメージを持つことです。引き付ける役割をするのが、スコープです。したがって、スコープ、すなわち目の高さを一定にしてボールを引き付けるイメージは重要です。なお、スコープはどうしてもゾーンにボールを入れることができなかった場合には、強くボールをヒットするのを諦め、ミスしない最善の強さでボールを運ぶことになります。
一球一球のボールごとに、ゾーンでボールを打てているかどうかを判断することが大切になります。ゾーンでボールを打てれば何も考えずに強いボールが打てますので、ストレスなくボールをヒットできます。少しでも多くの場合にゾーンでボールを打つことろ心がけるのは、もちろんです。
2014年7月13日日曜日
Mecir's Tennis (231) サーブではどこまで膝を曲げるか?
九鬼潤さんのレッスンで、「サーブでは膝を十分に曲げて、膝を戻す勢いでボールをヒットする」ということを教わりました。
では、サーブではどこまで膝を曲げこむのでしょうか。
その答えは「可能な限り」です。「可能な限り膝を曲げこむ」ということは、決して体の限界まで膝を曲げるという意味ではありません。
プレーヤーの体力、脚力、パランスにより、膝を曲げこんで力をため込み、膝を伸ばす力で跳ね上がることができるレベルは異なります。
つまり、バランスを崩すことなく曲げこんだ膝を伸ばしてボールを打つことができるレベルまでがその人が膝を曲げることができる限界です。この限界まで膝を曲げるというのが正解です。
最近の男子のトッププロでも、たとえばスイスのバブリンカなどはそれほどまでは深く膝を曲げこみません。かつてのボリス・ベッカーはかなり深く曲げこんでいました。
どこまで曲げこめるのかは、その人によります。それを超えてまで曲げる必要はないのです。その人の限界まで曲げこむのが理想的な膝の曲げこみということになります。
では、サーブではどこまで膝を曲げこむのでしょうか。
その答えは「可能な限り」です。「可能な限り膝を曲げこむ」ということは、決して体の限界まで膝を曲げるという意味ではありません。
プレーヤーの体力、脚力、パランスにより、膝を曲げこんで力をため込み、膝を伸ばす力で跳ね上がることができるレベルは異なります。
つまり、バランスを崩すことなく曲げこんだ膝を伸ばしてボールを打つことができるレベルまでがその人が膝を曲げることができる限界です。この限界まで膝を曲げるというのが正解です。
最近の男子のトッププロでも、たとえばスイスのバブリンカなどはそれほどまでは深く膝を曲げこみません。かつてのボリス・ベッカーはかなり深く曲げこんでいました。
どこまで曲げこめるのかは、その人によります。それを超えてまで曲げる必要はないのです。その人の限界まで曲げこむのが理想的な膝の曲げこみということになります。
2014年7月12日土曜日
Mecir's Tennis (230) クラシックだろうがフォアハンドスイングは絶対にインサイドアウト!のワケ
最近のテニスでは、フォアハンドは「アウトサイドイン」でスイングするそうです。昔ながらのテニススタイルの私には、ちょっと驚きのセオリーです。
メシールのテニス、まさにオールドクラシックスタイルのテニスでは、フォアハンドではアウトサイドインのスイングはあり得ません。それは不可能です。その理由を今回は書きたいと思います。
Mecir's Tennis (226) 柔らかいスイングとは?(その1) ~前腕と上腕は同期しないで書きましたが、メシールのスイングでは、右手前腕が右手上腕・右肩から遅れて出てきます。さらに、その上腕・肩は腰の回転から遅れて出てきます。
スイングがアウトサイドインになっている場合、上腕・肩が腰の回転から遅れて出てくることを考えると、上腕・肩が回転するときには左肩は大きく開いていることになります。まさに「振り遅れ」のフォームになってしまいます。
これでは、ボールコントロールができません。
一方、スイングがインサイドアウトであればどうでしょうか。この場合には、右手上腕と右肩が遅れ出て出てきても、左肩が開くことはありません。つまり、左肩を開くことなく右肩が腰の回転から遅れ出てくることができます。
腰の回転と右肩・右手上腕の回転のずれが、ボールにパワーを与えます。(そして、右肩・右手上腕の回転と右手前腕の回転のずれがボールにコントロールを与えます。)どうしても、このずれは必要です。体が開かずに(左肩が開かずに)このずれを作るためには、スイングはどうしてもインサイドアウトにならざるを得ないのです。
メシールのテニス、まさにオールドクラシックスタイルのテニスでは、フォアハンドではアウトサイドインのスイングはあり得ません。それは不可能です。その理由を今回は書きたいと思います。
Mecir's Tennis (226) 柔らかいスイングとは?(その1) ~前腕と上腕は同期しないで書きましたが、メシールのスイングでは、右手前腕が右手上腕・右肩から遅れて出てきます。さらに、その上腕・肩は腰の回転から遅れて出てきます。
スイングがアウトサイドインになっている場合、上腕・肩が腰の回転から遅れて出てくることを考えると、上腕・肩が回転するときには左肩は大きく開いていることになります。まさに「振り遅れ」のフォームになってしまいます。
これでは、ボールコントロールができません。
一方、スイングがインサイドアウトであればどうでしょうか。この場合には、右手上腕と右肩が遅れ出て出てきても、左肩が開くことはありません。つまり、左肩を開くことなく右肩が腰の回転から遅れ出てくることができます。
腰の回転と右肩・右手上腕の回転のずれが、ボールにパワーを与えます。(そして、右肩・右手上腕の回転と右手前腕の回転のずれがボールにコントロールを与えます。)どうしても、このずれは必要です。体が開かずに(左肩が開かずに)このずれを作るためには、スイングはどうしてもインサイドアウトにならざるを得ないのです。
2014年7月11日金曜日
Mecir's Tennis (229) Mecir vs Gilbert
Mecir vs Gilbert match is now available on Youtube.
メシールとブラッド・ギルバート(Winning Uglyの著者で有名)の試合をユーチューブで見ることができます。(こちら)
メシールとブラッド・ギルバート(Winning Uglyの著者で有名)の試合をユーチューブで見ることができます。(こちら)
2014年7月8日火曜日
Mecir's Tennis (228) 柔らかいスイングとは?(その3) ~前腕のイメージのサーブへの応用
柔らかいスイングとは?(その1)と(その2)で述べた自由な前腕のイメージは、サービスでも有効です。サービスの場合も、前腕を自由に使うことでサービススイングに柔軟さが出てきます。メシールのサーブは、スイングスピードは速くないものの自由自在に相手のいやなところに打つこと出来るフォームでした。そのヒントは、自由な前腕に隠されています。
面白いことに、ここでも、(その1)で述べたコナーズとメシールの違いが現れています。コナーズの肩と前腕と上腕が一体となって動くサーブに対して、メシールは肩と上腕が一体ですが前腕は自由に使っています。
コナーズとメシールのゲームを見ていると、その違いがよく分かります。
面白いことに、ここでも、(その1)で述べたコナーズとメシールの違いが現れています。コナーズの肩と前腕と上腕が一体となって動くサーブに対して、メシールは肩と上腕が一体ですが前腕は自由に使っています。
コナーズとメシールのゲームを見ていると、その違いがよく分かります。
Mecir's Tennis (227) 柔らかいスイングとは?(その2) ~前腕のイメージ
Mecir's Tennis (226) 柔らかいスイングとは?(その1)で、「前腕と上腕は同期せず、上腕は方と一緒に動き、前腕はそれに遅れて出てくる」と書きました。
もともと、右腰の回転に対して肩(と上腕)が遅れてくるので、前腕はさらにそこから遅れることになります。このイメージどおりにスイングすると、さすがに「遅れすぎ」たスイングイメージになってしまいます。
逆に、スイング中に前腕が送れ過ぎないように意識すると、今度はラケット面が早くかぶってしまい、むしろ、上腕よりも先に回ってしまいます。
そうならないコツとして、「前腕はボールをヒットした後に回転する」というのが有効な脳内イメージです。Mecir's Tennis (226) で書いたとおり、前腕は自由度が高く、メシールの自由なスイングは、この前腕の自由さから来ています。ただ、その自由な前腕のコントロールは、脳内イメージではインパクト後になるのです。
それでも実際には、インパクト前後で前腕が上腕とは独立して動きますので、十分にコントロールが効いたスイングが可能です。この微妙なタイミングは、練習することでつかむしかありません。
もし、これまで、前腕と上腕が同時に動くタイプのスイング(コナーズ型)をしていた場合には、ほんの少しだけいままでよりも前腕を自由に使うだけでよいのです。上腕や肩の回転イメージを変える必要はありません。
もともと、右腰の回転に対して肩(と上腕)が遅れてくるので、前腕はさらにそこから遅れることになります。このイメージどおりにスイングすると、さすがに「遅れすぎ」たスイングイメージになってしまいます。
逆に、スイング中に前腕が送れ過ぎないように意識すると、今度はラケット面が早くかぶってしまい、むしろ、上腕よりも先に回ってしまいます。
そうならないコツとして、「前腕はボールをヒットした後に回転する」というのが有効な脳内イメージです。Mecir's Tennis (226) で書いたとおり、前腕は自由度が高く、メシールの自由なスイングは、この前腕の自由さから来ています。ただ、その自由な前腕のコントロールは、脳内イメージではインパクト後になるのです。
それでも実際には、インパクト前後で前腕が上腕とは独立して動きますので、十分にコントロールが効いたスイングが可能です。この微妙なタイミングは、練習することでつかむしかありません。
もし、これまで、前腕と上腕が同時に動くタイプのスイング(コナーズ型)をしていた場合には、ほんの少しだけいままでよりも前腕を自由に使うだけでよいのです。上腕や肩の回転イメージを変える必要はありません。
2014年7月7日月曜日
2014 ウィンブルドン 白のウェア
ウィンブルドンの選手のウェアについて、アンダーウェアまで白で統一するようにというオールイングランド・ローンテニス・アンド・クロケット・クラブの通達について、選手から不満の声が上がっているという。フェデラーも、「規則には従うが、(個人的な意見としては)厳しすぎるのではないか」とコメントしているそうだ。
クラブ側のこの通達の趣旨は、「ウィンブルドンはコマーシャリズムには流されない」ということなのか。それとも別の理由があるのか。ウィンブルドンは、素晴らしいプレーを見せる(魅せる)プレーヤーがいてこその大会だ。クラブ側は、プレーヤーが納得するような説明をするべきだと思う。
オールイングランド・ローンテニス・アンド・クロケット・クラブが白にこだわる理由は、伝統か、格式か、それとも権威か。
ウィンブルドンが特別な大会であることは、世界中の誰もが認めるところだ。それでも、やはり、伝統や格式、権威を誇示する必要があるのだろうか。そういえば、最後まで白のボールにこだわったのもウィンブルドンだった。あの有名な、スラセンジャーの白のボールだ。(さすがに、ボールの色まで白に戻すことはしていないが。今のところは。)
オールイングランド・ローンテニス・アンド・クロケット・クラブが白にこだわる理由は、伝統か、格式か、それとも権威か。
おそらく、本音は権威なのだろう。数少ない、残された英国の権威の象徴がそこにある。グローバル化の流れと一致するのが難しい権威という目に見えない力に、クラブはどこまでこだわり続けることができるか。今や、それは、「昔懐かしい伝統」では済まなくなりつつある。いや、正しいかどうかに関係なく流れに逆らってこだわり続けることこそが、もしかしたら伝統の言葉の意味するところなのかもしれない。
今となっては、ジョン・マッケンローのセンターコートでのタッキーニのウェアはなつかしい。特に、赤の肩のラインのウェアは、多くのテニスファンが忘れることができないだろう。あのウェアを見るだけで萎縮した選手が、あのころどれほどいたことだろうか。
そういえば、伝統に逆らって黒のパンツでコートに立とうとして白に換えるように指示されたのも、マッケンローだった。小さな大会であれば、おそらくデフォ(棄権)していただろうマッケンローも、さすがにウィンブルドンでは棄権ができなかった。
クラブ側のこの通達の趣旨は、「ウィンブルドンはコマーシャリズムには流されない」ということなのか。それとも別の理由があるのか。ウィンブルドンは、素晴らしいプレーを見せる(魅せる)プレーヤーがいてこその大会だ。クラブ側は、プレーヤーが納得するような説明をするべきだと思う。
オールイングランド・ローンテニス・アンド・クロケット・クラブが白にこだわる理由は、伝統か、格式か、それとも権威か。
オールイングランド・ローンテニス・アンド・クロケット・クラブが白にこだわる理由は、伝統か、格式か、それとも権威か。
おそらく、本音は権威なのだろう。数少ない、残された英国の権威の象徴がそこにある。グローバル化の流れと一致するのが難しい権威という目に見えない力に、クラブはどこまでこだわり続けることができるか。今や、それは、「昔懐かしい伝統」では済まなくなりつつある。いや、正しいかどうかに関係なく流れに逆らってこだわり続けることこそが、もしかしたら伝統の言葉の意味するところなのかもしれない。
今となっては、ジョン・マッケンローのセンターコートでのタッキーニのウェアはなつかしい。特に、赤の肩のラインのウェアは、多くのテニスファンが忘れることができないだろう。あのウェアを見るだけで萎縮した選手が、あのころどれほどいたことだろうか。
そういえば、伝統に逆らって黒のパンツでコートに立とうとして白に換えるように指示されたのも、マッケンローだった。小さな大会であれば、おそらくデフォ(棄権)していただろうマッケンローも、さすがにウィンブルドンでは棄権ができなかった。
Mecir's Tennis (226) 柔らかいスイングとは?(その1) ~前腕と上腕は同期しない
昔(確か1986年)にジャパンオープンでメシールと対戦した福井烈選手(今はNHKのテニス解説者として知られていますね)が、メシールを評して、こんな風に言っていました。
「素人にいるじゃないですが、振り遅れてスイングする人が。メシールはあれなんです。あ、振り遅れたなと思ったらすごく回転の良いボールが返ってくる。」
これは、どういうことでしょうか。今回は、このことについて考えてみます。
メシールのスイングは、まず右足が回転し、右ひざが回転し、次に右腰が回転し、肩と腕が一緒に回転してスイングを構成します。この順番が、ほんのわずかにずれています。力が、足からだんだん上半身に伝わってくるイメージです。
ずれは少しずつですが、結果的には最初から最後までが大きなずれになります。「ラケットが遅れて出てくる」ようなイメージです。これが、メシールのスイングが振り遅れたように見える(打点が遅れているように見える)理由です。
ここで、大切なことが一つあります。それは、上に書いた「肩と腕が同時に回転する」という部分です。忘れていけないのは、腕です。
腕は肘を境に、肩に近い方を上腕(じょうわん)、手の方を前腕(ぜんわん)と言います。そして、肩と同時に回転するのは上腕だけなのです。前腕は、上腕からさらに遅れて回転します。このことがとても大切です。
もし、上腕と前腕が肩と一緒に回転するとすると、それはとても「硬い」スイングになります。このスイングをする選手が昔いました。それは、アメリカのジミー・コナーズです。コナーズは、肩と腕(上腕および前腕)を同時に回転することで、ブレの少ないスイングをしました。こちらの動画像を見てください。見事なまでに、肩と腕が一体になって回転しています。
この打ち方はスイングのブレが少ない代わりに、大きなリスクがあります。それは、スイングに遊びがないということです。また、スイングに強弱がないため、打ったボールに伸びを与えることができません。コナーズのフォアハンドでは、それを補うために体を大きく回転します。コナーズは、多くの場合にジャンプしながらボールをヒットすることで、ボールにパワーを与えようとしました。それは、安定感とボールのパワーを両立させるための、コナーズの工夫だったのだと思います。
実は、最近のウエスタングリップのフォアハンドは、やはり肩と腕が一緒に回転します。例えば、錦織圭のフォアハンドを見てください。ボールがヒットする直前までは、ほぼ、肩と腕が一緒に回転しています。錦織はヘビーウエスタングリップですが、グリップが厚くなればなるほど、この傾向が強くなります。
メシールのような、イースタングリップで柔らかいフォアハンドは、どうやって実現するのでしょうか。そして、なぜメシールのスイングは振り遅れているように見えるのでしょうか。
その答えは、上に書いた通り、肩と上腕の回転から前腕の回転を少し遅らせることにあります。言い換えると、ボールをヒットするときに前腕は上腕よりも遅れて出てきます。
メシールのフォアハンドを見てみてください。肩と上腕が一体になって回転し、前腕が上腕より少し遅れて出てくるのがわかると思います。そして右ひじは常に曲がっています。これは、そこにゆとりがある証拠です。
前腕が上腕よりも遅れるということは、前腕の動きは上腕に支配されないということです。前腕には自由度が与えられます。その自由な腕の動きで、ボールを押し出すことができます。または、ボールに下から上への回転を与えることもできます。つまり、ボールをここで操ることができるのです。
前腕がボールを操ることができることは、ウエスタングリップのフォアハンドにはできないことです。微妙なずれがボールコントロールに影響するテニスのスイングで、こんな自由が許されるのは、そこまでのお膳立てがしっかりしているからです。足、腰、肩、上腕の回転がきちんと連動しているおかげで、最後の前腕には自由度が与えられます。
乱暴な言い方をすれば、「すべてのお膳立ては前腕に自由度を与えるため」だったのです。上腕と前腕を固定してしまっては、せっかくのお膳立てが台無しです。最後の最後に、前腕を遅らせてスイングしてください。その代わりに、そこで、自由を満喫するのです!
メシールとコナーズのゲームをこちらで見ることが出来ます。両者の違いがよく分かります。
「素人にいるじゃないですが、振り遅れてスイングする人が。メシールはあれなんです。あ、振り遅れたなと思ったらすごく回転の良いボールが返ってくる。」
これは、どういうことでしょうか。今回は、このことについて考えてみます。
メシールのスイングは、まず右足が回転し、右ひざが回転し、次に右腰が回転し、肩と腕が一緒に回転してスイングを構成します。この順番が、ほんのわずかにずれています。力が、足からだんだん上半身に伝わってくるイメージです。
ずれは少しずつですが、結果的には最初から最後までが大きなずれになります。「ラケットが遅れて出てくる」ようなイメージです。これが、メシールのスイングが振り遅れたように見える(打点が遅れているように見える)理由です。
ここで、大切なことが一つあります。それは、上に書いた「肩と腕が同時に回転する」という部分です。忘れていけないのは、腕です。
腕は肘を境に、肩に近い方を上腕(じょうわん)、手の方を前腕(ぜんわん)と言います。そして、肩と同時に回転するのは上腕だけなのです。前腕は、上腕からさらに遅れて回転します。このことがとても大切です。
もし、上腕と前腕が肩と一緒に回転するとすると、それはとても「硬い」スイングになります。このスイングをする選手が昔いました。それは、アメリカのジミー・コナーズです。コナーズは、肩と腕(上腕および前腕)を同時に回転することで、ブレの少ないスイングをしました。こちらの動画像を見てください。見事なまでに、肩と腕が一体になって回転しています。
この打ち方はスイングのブレが少ない代わりに、大きなリスクがあります。それは、スイングに遊びがないということです。また、スイングに強弱がないため、打ったボールに伸びを与えることができません。コナーズのフォアハンドでは、それを補うために体を大きく回転します。コナーズは、多くの場合にジャンプしながらボールをヒットすることで、ボールにパワーを与えようとしました。それは、安定感とボールのパワーを両立させるための、コナーズの工夫だったのだと思います。
実は、最近のウエスタングリップのフォアハンドは、やはり肩と腕が一緒に回転します。例えば、錦織圭のフォアハンドを見てください。ボールがヒットする直前までは、ほぼ、肩と腕が一緒に回転しています。錦織はヘビーウエスタングリップですが、グリップが厚くなればなるほど、この傾向が強くなります。
メシールのような、イースタングリップで柔らかいフォアハンドは、どうやって実現するのでしょうか。そして、なぜメシールのスイングは振り遅れているように見えるのでしょうか。
その答えは、上に書いた通り、肩と上腕の回転から前腕の回転を少し遅らせることにあります。言い換えると、ボールをヒットするときに前腕は上腕よりも遅れて出てきます。
メシールのフォアハンドを見てみてください。肩と上腕が一体になって回転し、前腕が上腕より少し遅れて出てくるのがわかると思います。そして右ひじは常に曲がっています。これは、そこにゆとりがある証拠です。
前腕が上腕よりも遅れるということは、前腕の動きは上腕に支配されないということです。前腕には自由度が与えられます。その自由な腕の動きで、ボールを押し出すことができます。または、ボールに下から上への回転を与えることもできます。つまり、ボールをここで操ることができるのです。
前腕がボールを操ることができることは、ウエスタングリップのフォアハンドにはできないことです。微妙なずれがボールコントロールに影響するテニスのスイングで、こんな自由が許されるのは、そこまでのお膳立てがしっかりしているからです。足、腰、肩、上腕の回転がきちんと連動しているおかげで、最後の前腕には自由度が与えられます。
乱暴な言い方をすれば、「すべてのお膳立ては前腕に自由度を与えるため」だったのです。上腕と前腕を固定してしまっては、せっかくのお膳立てが台無しです。最後の最後に、前腕を遅らせてスイングしてください。その代わりに、そこで、自由を満喫するのです!
メシールとコナーズのゲームをこちらで見ることが出来ます。両者の違いがよく分かります。
2014年6月20日金曜日
Mecir's Tennis (225) ついに見つけました!遅いボールを強く打つ方法
遅い球を打ち込むのが不利な薄いフォアハンドグリップ。私自身、これが苦手でいつも苦戦してきました。
相手の速い球には比較的強いイースンタングリップでは、ストローク戦になった時には有利です。特に相手のボールを逆サイドに振り、相手に甘い球を返させるというのはよく使う方法です。しかし、せっかく相手に甘い(浅い)ボールを打たせても、それをアプローチショットで強く打ってネットしたりアウトしたり、またはちびってしまって悔しい思いを何度もしてきました。チャンスボールが、むしろピンチボールです。これでは何のために相手に甘い球を打たせているのか分かりません。
これは、イースタンフォアハンドが、相手のボールが緩い時や特に自分が走りながら打つ(またはボールのところに移動してから止まって打つ)時には難しいからです。
これは、プロのプレーではめったに見ることができないショットですので、メシールのビデオではなかなか分析できませんでした。プロのゲームで、そこまでのイージーボールは、逆にめったにないからです。
さて、緩いボールを強く打つポイントはなんでしょうか。それは、軸をスゥエー(移動)回転だけでボールを打つという事です。そして、ここでいう軸とは右腰(右利き)です。つまり、スイングを右腰回転で打ち、しかもその際に右腰を固定するのです。
具体的なスイングイメージは次のようになります。
相手の速い球には比較的強いイースンタングリップでは、ストローク戦になった時には有利です。特に相手のボールを逆サイドに振り、相手に甘い球を返させるというのはよく使う方法です。しかし、せっかく相手に甘い(浅い)ボールを打たせても、それをアプローチショットで強く打ってネットしたりアウトしたり、またはちびってしまって悔しい思いを何度もしてきました。チャンスボールが、むしろピンチボールです。これでは何のために相手に甘い球を打たせているのか分かりません。
これは、イースタンフォアハンドが、相手のボールが緩い時や特に自分が走りながら打つ(またはボールのところに移動してから止まって打つ)時には難しいからです。
これは、プロのプレーではめったに見ることができないショットですので、メシールのビデオではなかなか分析できませんでした。プロのゲームで、そこまでのイージーボールは、逆にめったにないからです。
さて、緩いボールを強く打つポイントはなんでしょうか。それは、軸をスゥエー(移動)回転だけでボールを打つという事です。そして、ここでいう軸とは右腰(右利き)です。つまり、スイングを右腰回転で打ち、しかもその際に右腰を固定するのです。
具体的なスイングイメージは次のようになります。
- ボールが飛んできたら、まず、ボールを打つ位置に右足を持っていく。その際に、右ひざを曲げておくこと。
- 右腰をボールに向かって突き出す。右腰を引いてはいけない。(腰を引くとその後でその腰を前に出すことになり、そこにスゥエーが発生するため。)
- 右ひざのばねでフォワードスイングする。その際、右腰を軸として体を回転するイメージでスイングする。
- スイングは強くラケットを振ること。大きくラケットを振り切ること。
ここで、特に、右腰をボールに向かって突き出すイメージが重要です。これで右腰が固定されます。「これではテイクバックが取れない」と思われるかもしれませんが、それでよいのです。遅いボールでは、腰の回転によるテイクバックは不要です。逆に、テイクバックを作らないために、右腰を前の方で固定してしまうのです。
また、右腰を突き出せば、左足は後ろになります。極端なオープンスタンスになりますが、これも問題ありません。相手のボールが遅い場合には、右腰固定により左足はオープンでよいのです。その体勢から、順クロスにも、逆クロスにも打つことができます。
この打法を、実際にゲームで試してみました。相手の技量にもよりますが、技量が高くない場合には、頻繁にこの打法でボールを打つことになります。場合によっては、サーブレシーブからこの打法で打つこともありました。一方、相手のボールが一定以上の強さの場合には、もちろんこの打ち方はしません。これは、あくまで相手のボールが緩い場合の打ち方です。
2014年6月3日火曜日
2014 全仏オープン 男子シングルス 準々決勝 モンフィス vs マレー
モンフィスが、準々決勝でマレーと当る。準々決勝4試合のうちでは最も楽しみな試合だ。
互いに身体能力が高いといわれている二人のプレーヤーだが、どちらかというとマレーの方が基礎的な身体能力が高いように思える。というよりも、モンフィスは体の使い方がうまいために身体能力が高いように見えているだけかもしれない。(それでも、他の男子選手よりは高いとは思うが。)
マレーにモンフィスが対抗できるとすれば、モンフィスがどれだけリズムに乗ってボールを打ち返せるかだと思う。モンフィスは、マレーのようにパワーでボールを打ち切らない。ボールの配給、つまりプレースメントが命綱だ。ボールを引き付けてマレーの予想の逆の場所に打ち返すだけの余裕があれば、モンフィスの勝ちだろう。いったんタイミングをつかめば、そのままモンフィスのペースで試合が進むだろう。そして、私は、今のモンフィスであれば、その可能性は十分にあるように思う。
いずれにしても、楽しみなゲームだ。
互いに身体能力が高いといわれている二人のプレーヤーだが、どちらかというとマレーの方が基礎的な身体能力が高いように思える。というよりも、モンフィスは体の使い方がうまいために身体能力が高いように見えているだけかもしれない。(それでも、他の男子選手よりは高いとは思うが。)
マレーにモンフィスが対抗できるとすれば、モンフィスがどれだけリズムに乗ってボールを打ち返せるかだと思う。モンフィスは、マレーのようにパワーでボールを打ち切らない。ボールの配給、つまりプレースメントが命綱だ。ボールを引き付けてマレーの予想の逆の場所に打ち返すだけの余裕があれば、モンフィスの勝ちだろう。いったんタイミングをつかめば、そのままモンフィスのペースで試合が進むだろう。そして、私は、今のモンフィスであれば、その可能性は十分にあるように思う。
いずれにしても、楽しみなゲームだ。
2014年6月2日月曜日
2014 全仏オープン 男子シングルス 4回戦 来るかモンフィス
以前も書いたが、私が今一番好きな男子テニスプレーヤーはモンフィスだ。ガエル・モンフィスはフランスの黒人選手で、おそらく今のテニスプレーヤーでは最もイマジネーションのあるプレーができる男子選手の一人だろう。
ヤニック・ノアやアンリ・ルコントなど、往年のフランスの男子プレーヤーはユニークなキャラクターが多いが、モンフィスは彼らに負けず劣らずだ。しかも、とても理にかなったフォームでボールを打つところが、前者の二人とは大きく違う。
モンフィスのことを、身体能力が優れているからプレーがユニークだという人がいるが、私はその逆だと思う。よいフォームで打つからこそ、そのたぐいまれな身体能力が活きてくるのだ。
たとえば、以前にも書いたが、生で見たアンディー・マレーの身体能力はすごかった。対戦相手のフェレールがかわいそうに思えるぐらいだった。しかし、マレーはその身体能力を活かしきっていない。むしろ、その身体能力でプレーを100%ではなく80%ぐらいに抑えることでも、まだ勝つことができる。そういうスタイルがマレーだ。それは、マレーのフォームが理想的ではないからに他ならない。マレーが今のフォームで100%でボールをヒットしたら、相手のコートにはボールは入らないだろう。
モンフィスは、100%の力を出し切る理想的なフォームで、だから100%の能力を出し切ることができる。モンフィスがもっとまじめに(?)テニスに取り組めば、おそらく、もっと上位にランクされるプレーヤーになるだろう。そのあたりのこだわりのなさは、ルコントを思い出してしまう。歯がゆいばかりだ。
そのモンフィスが、2014年の全仏オープンでベスト8をかけてガルシア・ロペスと当る。その次がベルダスコとマレーの勝者との対戦だ。今のモンフィスであれば、いやいつのモンフィスだって、この3者に対しては十分な勝機がある。そして、あと2回勝てばナダルとフェレールの勝者と準決勝だ。
モンフィスにはあと2回勝ってもらい、ナダルとの準決勝を見せてほしい。そして、ナダルに対して、100%で戦うモンフィスが見てみたい。今のところ、ローラン・ギャロスの赤土で調子が良いナダルと対等に戦えそうなのは、ジョコビッチとモンフィス(ただし100%の力を出したとき)ぐらいしか見当たらない。
モンフィスは、ほかの選手よりもボールを打つまでの歩数が平均的に少ない。細かく足を動かすモンフィスは想像がつかない。そのあたりは、メシールとよく似ている。理想的な体の使い方でボールを打つから、そういうことができる。というよりも、自然にそういうスタイルになる。
究極的に体を効率的に使うモンフィスと、究極的に強引にボールを打つナダル。レッドクレーの上での芸術と格闘技のせめぎあいだ。同じようなプレースタイルばかりでは面白くない。全く反対のスタイルが戦うことができるのが、テニスの面白いところなのだから。
ヤニック・ノアやアンリ・ルコントなど、往年のフランスの男子プレーヤーはユニークなキャラクターが多いが、モンフィスは彼らに負けず劣らずだ。しかも、とても理にかなったフォームでボールを打つところが、前者の二人とは大きく違う。
モンフィスのことを、身体能力が優れているからプレーがユニークだという人がいるが、私はその逆だと思う。よいフォームで打つからこそ、そのたぐいまれな身体能力が活きてくるのだ。
たとえば、以前にも書いたが、生で見たアンディー・マレーの身体能力はすごかった。対戦相手のフェレールがかわいそうに思えるぐらいだった。しかし、マレーはその身体能力を活かしきっていない。むしろ、その身体能力でプレーを100%ではなく80%ぐらいに抑えることでも、まだ勝つことができる。そういうスタイルがマレーだ。それは、マレーのフォームが理想的ではないからに他ならない。マレーが今のフォームで100%でボールをヒットしたら、相手のコートにはボールは入らないだろう。
モンフィスは、100%の力を出し切る理想的なフォームで、だから100%の能力を出し切ることができる。モンフィスがもっとまじめに(?)テニスに取り組めば、おそらく、もっと上位にランクされるプレーヤーになるだろう。そのあたりのこだわりのなさは、ルコントを思い出してしまう。歯がゆいばかりだ。
そのモンフィスが、2014年の全仏オープンでベスト8をかけてガルシア・ロペスと当る。その次がベルダスコとマレーの勝者との対戦だ。今のモンフィスであれば、いやいつのモンフィスだって、この3者に対しては十分な勝機がある。そして、あと2回勝てばナダルとフェレールの勝者と準決勝だ。
モンフィスにはあと2回勝ってもらい、ナダルとの準決勝を見せてほしい。そして、ナダルに対して、100%で戦うモンフィスが見てみたい。今のところ、ローラン・ギャロスの赤土で調子が良いナダルと対等に戦えそうなのは、ジョコビッチとモンフィス(ただし100%の力を出したとき)ぐらいしか見当たらない。
モンフィスは、ほかの選手よりもボールを打つまでの歩数が平均的に少ない。細かく足を動かすモンフィスは想像がつかない。そのあたりは、メシールとよく似ている。理想的な体の使い方でボールを打つから、そういうことができる。というよりも、自然にそういうスタイルになる。
究極的に体を効率的に使うモンフィスと、究極的に強引にボールを打つナダル。レッドクレーの上での芸術と格闘技のせめぎあいだ。同じようなプレースタイルばかりでは面白くない。全く反対のスタイルが戦うことができるのが、テニスの面白いところなのだから。
2014年5月19日月曜日
テニスグッズ紹介(6) モトカワ比較
私はラケットのグリップにはオーバーグリップをまかないタイプです。つまり、もともとのグリップをそのまま使います。といっても、元のグリップがシンセティックの場合には、革のグリップに巻き替えています。
つまり、多くのプレーヤーが自分に合ったオーバーグリップを探すように、私は自分に合ったレザーグリップを探しています。
もともとのグリップテープのことをモトカワ(モトグリ)というそうですね。漢字で書くと素革でしょうか。アメリカではReplacement Grip(取り換え用グリップテープ)と呼ぶみたいです。
主要なラケットメーカーのほとんどはレザーグリップを販売しています。どこがどこのOEMなのかわかりませんが、それぞれ特徴があるように思います。
試した中でやはりよいと思うのはフェアウェイのオリジナルです。これに勝るものはないと思いますが、値段が高いことと手に入らなくなってきたことがネックです。
キモニーが出しているフェアウェイグリップテープは革(レザー)ではありません。以前購入しましたが、フカフカしていて、使いにくかったです。インターネットで見るとフェアウエイレザーは輸入モノ(?)の中国製のオリジナルと、キモニーがライセンスを引きついた日本製のものがあるようですね。前者の方が後者よりも倍ぐらい高いようです。私が購入したのは日本製の方だと思います。
以前はGAMMAのリプレースグリップを使っているのですが、グリップエンドが汗をかくとすべるので、あまり良い製品だとは思いません。米国出張の時に購入したのですが、安いのですがよいとは言えないと思います。
Winning Shotのレザー製のリプレースメントグリップが結構気に入ったのですが、なかなか見つけることができません。インターネットでさがしてみると、どうやら完売とのことです。残念。
現在は、YonexのレザーグリップとBabolatのレザーグリップを使っていますが、前者の方がしっくりきます。革独特のざらつきを感じ、汗をかくとつるつるになるGAMMAのレザーとは対照的です。Babolatの方はYonexよりもやや劣る感じがしますが、実用的には問題ないと思います。
つまり、多くのプレーヤーが自分に合ったオーバーグリップを探すように、私は自分に合ったレザーグリップを探しています。
もともとのグリップテープのことをモトカワ(モトグリ)というそうですね。漢字で書くと素革でしょうか。アメリカではReplacement Grip(取り換え用グリップテープ)と呼ぶみたいです。
主要なラケットメーカーのほとんどはレザーグリップを販売しています。どこがどこのOEMなのかわかりませんが、それぞれ特徴があるように思います。
試した中でやはりよいと思うのはフェアウェイのオリジナルです。これに勝るものはないと思いますが、値段が高いことと手に入らなくなってきたことがネックです。
キモニーが出しているフェアウェイグリップテープは革(レザー)ではありません。以前購入しましたが、フカフカしていて、使いにくかったです。インターネットで見るとフェアウエイレザーは輸入モノ(?)の中国製のオリジナルと、キモニーがライセンスを引きついた日本製のものがあるようですね。前者の方が後者よりも倍ぐらい高いようです。私が購入したのは日本製の方だと思います。
以前はGAMMAのリプレースグリップを使っているのですが、グリップエンドが汗をかくとすべるので、あまり良い製品だとは思いません。米国出張の時に購入したのですが、安いのですがよいとは言えないと思います。
Winning Shotのレザー製のリプレースメントグリップが結構気に入ったのですが、なかなか見つけることができません。インターネットでさがしてみると、どうやら完売とのことです。残念。
現在は、YonexのレザーグリップとBabolatのレザーグリップを使っていますが、前者の方がしっくりきます。革独特のざらつきを感じ、汗をかくとつるつるになるGAMMAのレザーとは対照的です。Babolatの方はYonexよりもやや劣る感じがしますが、実用的には問題ないと思います。
テニスグッズ紹介(5) Wilson Leather Bag (ラケット6本入り)続報
テニスグッズ紹介(1)で、Wilsonのレザーのテニスバッグを紹介しました。
この時点でほぼ売り切れだったのですが、人気があったからでしょうか、Wilson社は後継となる新たなモデル(Wilson Black Leather 6 Pack Bag)の発売を始めたようです。値段は、前回同様$600で、決して安いとは言えません。
前回よりも濃い色調になっており、より「テニスバッグに見えない感」が強いようです。Tennis Warehouseでの紹介はこちら。
私は、旧モデルの3本入りの方を使っています。(Tennis Warehouseでの紹介はこちら。)「テニスバッグに見えては困るとき」にはたいへん重宝しています。
この時点でほぼ売り切れだったのですが、人気があったからでしょうか、Wilson社は後継となる新たなモデル(Wilson Black Leather 6 Pack Bag)の発売を始めたようです。値段は、前回同様$600で、決して安いとは言えません。
前回よりも濃い色調になっており、より「テニスバッグに見えない感」が強いようです。Tennis Warehouseでの紹介はこちら。
私は、旧モデルの3本入りの方を使っています。(Tennis Warehouseでの紹介はこちら。)「テニスバッグに見えては困るとき」にはたいへん重宝しています。
Mecir's Tennis (224) Happy Birthday!
Mecir's Tennis (223) 腕をリラックス
Mecir's Tennis (222)で、腕が遅れて出てくることを書きましたが、このうち方のよい点の一つは、最後に腕が出てきたときに、その腕を自由に使えることです。
腰の回転と腕によるスイングが一体になると腕の自由度が下がります(腰に連動せねばならないため)。逆に腕が後から出てくると、そのまま腕を使って自由な打ち方ができます。
メシールのフォアハンドが、しばしば「自由な打ち方」と言われるのは、その理由です。たとえば、ぎりぎりまで打つコースを隠すことができるのも、この自由さがあるからです。
このように腕を自由に使うためには、フォワードスイングがドアスイングになってはいけません。フォワードスイングの前半では、腰の回転に合わせて腕も一緒についてくることが必要です。Mecir's Tennis (179) 腕が遅れて出てくることと打点が後ろになることは別の話なのです! で書きましたが、右腕は右胸の前でセットされていなくてはなりません。
腰回転の後でボールを打つ段に、自由なスイングをするために大切なことが2つあります。
一つ目は、腕に力を入れないことです。極端に言うと、腕の力をほとんど抜きます。これは、腕をぶらぶらさせるということとは別です。Mecir's Tennis (179)で書いたとおり、腕の位置は右胸(右腰)の前に固定します。ラケットヘッドはネットの方向を向きます。腕をそこで固定した状態で、腕の力を抜くのです。実際には全く腕が動かないわけではなく一定のテイクバックがありますが、その場合でも極力、腕には力を入れません。
もう一つは、肘をわずかに曲げておくことです。スイングの途中で右ひじを伸ばしてはいけません。インパクトでボールを捉えるまでは、右ひじを少し曲げておくことで「遊び」を作ります。この遊びにより、微妙な調整やコントロールができます。そして、ボールをインパクトした後に、その右ひじを伸ばしていきます。今度は、ボールに体重を乗せ、ボールを前方に運んでいくのです。
メシールのスローモーションのフォアハンドの映像を見てみてください。テイクバックからフォロースルーで腕の力が抜けて、さらにボールヒットの前後でも右ひじがわずかに曲がっていることがわかります。これがスイングのゆとりを生んでいるのです。
腰の回転と腕によるスイングが一体になると腕の自由度が下がります(腰に連動せねばならないため)。逆に腕が後から出てくると、そのまま腕を使って自由な打ち方ができます。
メシールのフォアハンドが、しばしば「自由な打ち方」と言われるのは、その理由です。たとえば、ぎりぎりまで打つコースを隠すことができるのも、この自由さがあるからです。
このように腕を自由に使うためには、フォワードスイングがドアスイングになってはいけません。フォワードスイングの前半では、腰の回転に合わせて腕も一緒についてくることが必要です。Mecir's Tennis (179) 腕が遅れて出てくることと打点が後ろになることは別の話なのです! で書きましたが、右腕は右胸の前でセットされていなくてはなりません。
腰回転の後でボールを打つ段に、自由なスイングをするために大切なことが2つあります。
一つ目は、腕に力を入れないことです。極端に言うと、腕の力をほとんど抜きます。これは、腕をぶらぶらさせるということとは別です。Mecir's Tennis (179)で書いたとおり、腕の位置は右胸(右腰)の前に固定します。ラケットヘッドはネットの方向を向きます。腕をそこで固定した状態で、腕の力を抜くのです。実際には全く腕が動かないわけではなく一定のテイクバックがありますが、その場合でも極力、腕には力を入れません。
もう一つは、肘をわずかに曲げておくことです。スイングの途中で右ひじを伸ばしてはいけません。インパクトでボールを捉えるまでは、右ひじを少し曲げておくことで「遊び」を作ります。この遊びにより、微妙な調整やコントロールができます。そして、ボールをインパクトした後に、その右ひじを伸ばしていきます。今度は、ボールに体重を乗せ、ボールを前方に運んでいくのです。
メシールのスローモーションのフォアハンドの映像を見てみてください。テイクバックからフォロースルーで腕の力が抜けて、さらにボールヒットの前後でも右ひじがわずかに曲がっていることがわかります。これがスイングのゆとりを生んでいるのです。
九鬼潤さんのレッスン
以前、メシールのテニス(16) メシールのフォアハンド(基本はオープンスタンス)で、メシールと九鬼潤さんのプレースタイルが似ているということを書いた。九鬼さんは1945年生まれなので、これを書いているときに70歳まえ、お元気なうちにそのプレーをぜひ見たいと思っていた。
その九鬼さんのレッスンを受ける機会があった。自分のテニス人生の中でも、かなり貴重な機会だったと思う。
九鬼さんは、終始、基本的なことが大切だと言っていた。そして、生徒たちに体の軸がぶれることを何度も指摘していた。
九鬼さんによると、ストロークは3つの段階からなるらしい。
一段階目は、何も考えずにボールをしっかり打つ段階。この段階では、ボールを自分の打点でしっかり打つことだけを考える。(もちろん、体の軸はブレないこと。)素早く、その打点に入り、しっかりボールを打つことが大切だそうだ。
二段階目は、相手のボールに合わせて打つ強さを変えること。例えば、相手のボールが遅ければしっかりとボールを押し出す、相手のボールが速ければスイングを小さめにして面がぶれないようにする。場合によってはスピン系で打つこともある。ボールの打つ強さを変えるのは、右腰、右手の前の「ふところ」の部分だ。この部分で、ボールの打ち方をコントロールする。
三段階目は、ゲームでのプレーだ。ゲームの中では走りながら打ったら、深いボール、浅いボール、跳ねるボールなど、いろいろなボールが来る。それらのボールに合わせて、相手に合わせて打つボールを選択していく。
また、私自身は、ストロークにおいてはとにかくボールを深く返すようにと何度も言われた。ボールが浅くなれば、相手に攻撃される。そうならないように、どんなボールでも深く返球する。そのことが大切だと。実際、九鬼さんと打ち合いの練習をした際にも、自分のボールが浅くなると強い球を打ち返され、結局、その圧力でどんどん不利になっていくことが何度もあった。
サーブについても、基本的なことを教わった。まず、腕に力を入れない。腕への意識を忘れ去ること。二つ目に、膝を使ってスイングすること。そして、膝の伸び上がる方向にトスを上げること。後ろにあげすぎると、力がボールに伝わらない。そして、背中をそらせた状態からそれを戻す力でスイングをすること。その反動で内側に体を畳み込んではいけない。言い換えると、前のめりになってはいけない。それは、スイングの後半で体の軸が前に倒れこむことを意味している。もう一つ大切なことは、ボールをしっかりと包むようなイメージを持つこと。ボールに力がきちんと伝わることが大切だと言い換えてもよいと思う。
ボレーについては、まず体の力を抜くこと、そしてボールをしっかりと打てる位置に早く移動することを言われた。よいポジションでボールをとらえ、前への体重移動(だけ)でボールをヒットすること、そのためにはパワーは不要だと。そして、ボールを深く打つことを、ここでも指摘された。
よい位置に素早く移動して、自分の懐でボールを打つことは、グランドストロークにおいても重要だと何度も言われていた。(上の第一段階と同じこと。)そのためには、常に攻撃する意識を持つこと。下がったり、守ったりしてはいけない。攻める気持ちが、素早い移動に通じていく。攻める気持ちを持つことと、ボールを強くたたくことは同じことを意味しているわけではない、と。
全体の3分の2は練習だったが、最後に九鬼さんも入ってゲームをした。自分が休みの間は、穴が開くほど九鬼さんのプレーを見ていた。九鬼さんが日本で初めてオープンスタンスでフォアハンドを打った人だという話題に以前触れたか、本当にその通りだった。特に、体の近いボールを逆クロスにインサイドアウトのスイングで打つボールは、おそらく九鬼さんの得意球なのだろうと思うが、切れ味が鋭く、厳しいボールだった。また、ここぞというときに前に攻め込んでいくプレーは、迫力満点だった。ボールを打つ際に、ボールに力と体重をしっかり乗せていく様子は迫力があったし、自分でもぜひ真似をしたいと思った。九鬼さんはもうすぐ70歳になるはずだけれど、そのプレーの本質的な部分は昔のままなのだろうと思った。
1時間40分程度だったと思うが、本当に「あっ」という間の時間だった。「自分はあの九鬼潤とストロークの打ち合いをしている」「自分はあの九鬼潤とゲームをしている」という時間は、まるで夢のようだった。最初は緊張したが、ゲームになると、逆に何とかして九鬼さんに厳しいボールを打ちたくて懸命で、緊張するどころではなかった(その代わりに心身ともに疲れた。)数名がぐるぐる回ってチーム分けした(全部の試合に九鬼さんは入った)が、私は九鬼さんと反対のコートにしか入れられなかったので、もしかしたら、それなりに技術を評価してくれたのかもしれない。
教わった内容は、ある意味では基本的なことばかりだ。それは、基本は大切だということを改めて教えてくれた。しかし、それよりもはるかに大切なことがある。それは、あまたある基本的なことの中から九鬼さんが指摘したことが、基本の中でも特に重要だということがわかったということだ。自分は何に注意してプレーすればよいのか、どの点が大切なのか、そういうことを自分のプレースタイルからすると憧れである九鬼さんの口から直接に聞くことができた経験は、何にもかえがたい。
その九鬼さんのレッスンを受ける機会があった。自分のテニス人生の中でも、かなり貴重な機会だったと思う。
九鬼さんは、終始、基本的なことが大切だと言っていた。そして、生徒たちに体の軸がぶれることを何度も指摘していた。
九鬼さんによると、ストロークは3つの段階からなるらしい。
一段階目は、何も考えずにボールをしっかり打つ段階。この段階では、ボールを自分の打点でしっかり打つことだけを考える。(もちろん、体の軸はブレないこと。)素早く、その打点に入り、しっかりボールを打つことが大切だそうだ。
二段階目は、相手のボールに合わせて打つ強さを変えること。例えば、相手のボールが遅ければしっかりとボールを押し出す、相手のボールが速ければスイングを小さめにして面がぶれないようにする。場合によってはスピン系で打つこともある。ボールの打つ強さを変えるのは、右腰、右手の前の「ふところ」の部分だ。この部分で、ボールの打ち方をコントロールする。
三段階目は、ゲームでのプレーだ。ゲームの中では走りながら打ったら、深いボール、浅いボール、跳ねるボールなど、いろいろなボールが来る。それらのボールに合わせて、相手に合わせて打つボールを選択していく。
また、私自身は、ストロークにおいてはとにかくボールを深く返すようにと何度も言われた。ボールが浅くなれば、相手に攻撃される。そうならないように、どんなボールでも深く返球する。そのことが大切だと。実際、九鬼さんと打ち合いの練習をした際にも、自分のボールが浅くなると強い球を打ち返され、結局、その圧力でどんどん不利になっていくことが何度もあった。
サーブについても、基本的なことを教わった。まず、腕に力を入れない。腕への意識を忘れ去ること。二つ目に、膝を使ってスイングすること。そして、膝の伸び上がる方向にトスを上げること。後ろにあげすぎると、力がボールに伝わらない。そして、背中をそらせた状態からそれを戻す力でスイングをすること。その反動で内側に体を畳み込んではいけない。言い換えると、前のめりになってはいけない。それは、スイングの後半で体の軸が前に倒れこむことを意味している。もう一つ大切なことは、ボールをしっかりと包むようなイメージを持つこと。ボールに力がきちんと伝わることが大切だと言い換えてもよいと思う。
ボレーについては、まず体の力を抜くこと、そしてボールをしっかりと打てる位置に早く移動することを言われた。よいポジションでボールをとらえ、前への体重移動(だけ)でボールをヒットすること、そのためにはパワーは不要だと。そして、ボールを深く打つことを、ここでも指摘された。
よい位置に素早く移動して、自分の懐でボールを打つことは、グランドストロークにおいても重要だと何度も言われていた。(上の第一段階と同じこと。)そのためには、常に攻撃する意識を持つこと。下がったり、守ったりしてはいけない。攻める気持ちが、素早い移動に通じていく。攻める気持ちを持つことと、ボールを強くたたくことは同じことを意味しているわけではない、と。
全体の3分の2は練習だったが、最後に九鬼さんも入ってゲームをした。自分が休みの間は、穴が開くほど九鬼さんのプレーを見ていた。九鬼さんが日本で初めてオープンスタンスでフォアハンドを打った人だという話題に以前触れたか、本当にその通りだった。特に、体の近いボールを逆クロスにインサイドアウトのスイングで打つボールは、おそらく九鬼さんの得意球なのだろうと思うが、切れ味が鋭く、厳しいボールだった。また、ここぞというときに前に攻め込んでいくプレーは、迫力満点だった。ボールを打つ際に、ボールに力と体重をしっかり乗せていく様子は迫力があったし、自分でもぜひ真似をしたいと思った。九鬼さんはもうすぐ70歳になるはずだけれど、そのプレーの本質的な部分は昔のままなのだろうと思った。
1時間40分程度だったと思うが、本当に「あっ」という間の時間だった。「自分はあの九鬼潤とストロークの打ち合いをしている」「自分はあの九鬼潤とゲームをしている」という時間は、まるで夢のようだった。最初は緊張したが、ゲームになると、逆に何とかして九鬼さんに厳しいボールを打ちたくて懸命で、緊張するどころではなかった(その代わりに心身ともに疲れた。)数名がぐるぐる回ってチーム分けした(全部の試合に九鬼さんは入った)が、私は九鬼さんと反対のコートにしか入れられなかったので、もしかしたら、それなりに技術を評価してくれたのかもしれない。
教わった内容は、ある意味では基本的なことばかりだ。それは、基本は大切だということを改めて教えてくれた。しかし、それよりもはるかに大切なことがある。それは、あまたある基本的なことの中から九鬼さんが指摘したことが、基本の中でも特に重要だということがわかったということだ。自分は何に注意してプレーすればよいのか、どの点が大切なのか、そういうことを自分のプレースタイルからすると憧れである九鬼さんの口から直接に聞くことができた経験は、何にもかえがたい。
Mecir's Tennis (222) ラケット面が開かないために重要なこと
フォアハンドのフォワードスイングではラケット面が開いてはいけないのですが、開かないために重要なことがあります。それは、腰回転主導でスイングするということです。
手の力を抜き、腰の回転を主導で腕とラケットがそれについてくるスイングです。これにより、ラケット面がフォワードスイングで開かなくなります。
とはいえ、この打ち方は相手のボールが速い時には振り遅れに持つなります。したがって、それほど極端でなくてもよいのですが、最低でも腰の回転と腕の回転は同時でなくてはなりません。相手のボールが速くない時は、腰が先に回り腕が遅れるイメージになります。
また、腰の回転だけではパワーが不足する(ほとんど場合がそうですが)には背筋を使います。(目シールのストロークで上体が立っているのはその理由。)腰の回転→背筋→腕が出てくるという流れになります。
なお、このポイントは、特に弾んだ高い打点の場合や、相手のボールが速くない場合に特に有効です。逆に、低いボールや速いボールの場合には、腰、背中、腕は同時に出ていくイメージの方がよいです(振り遅れてしまうため)。
メシールのフォアハンドは、しばしば「腕が遅れて出てくる」と評されていました。これは、まさに、腰の回転が腕の振りよりも先である証拠です。
手の力を抜き、腰の回転を主導で腕とラケットがそれについてくるスイングです。これにより、ラケット面がフォワードスイングで開かなくなります。
とはいえ、この打ち方は相手のボールが速い時には振り遅れに持つなります。したがって、それほど極端でなくてもよいのですが、最低でも腰の回転と腕の回転は同時でなくてはなりません。相手のボールが速くない時は、腰が先に回り腕が遅れるイメージになります。
また、腰の回転だけではパワーが不足する(ほとんど場合がそうですが)には背筋を使います。(目シールのストロークで上体が立っているのはその理由。)腰の回転→背筋→腕が出てくるという流れになります。
なお、このポイントは、特に弾んだ高い打点の場合や、相手のボールが速くない場合に特に有効です。逆に、低いボールや速いボールの場合には、腰、背中、腕は同時に出ていくイメージの方がよいです(振り遅れてしまうため)。
メシールのフォアハンドは、しばしば「腕が遅れて出てくる」と評されていました。これは、まさに、腰の回転が腕の振りよりも先である証拠です。
2014年3月27日木曜日
2014 ソニーオープン 錦織の快進撃
2014年のソニーオープン(アメリカ・マイアミ)での錦織のプレーは、快進撃と呼んでよいだろう。世界ランク21位の選手が、15位、4位、5位に勝ったのだから十分に評価できる。
4位のフェレールに勝った2日後に、5位のフェデラーにも勝利した。ともにフルセットマッチの試合だったが、錦織のプレーは2つの試合では別人のようだった。
フェレールのゲームでは恐る恐る打っていたボールを、フェデラー戦ではフルパワーで打ち込んでいたのだ。こんな世界のトップ選手でも、思い切ってボールを打てる試合と、アウト・ネットを気にしながらボールを打つ試合があるのだと思うと面白い。
それは、相手によるのか、自分の体調か、それともコートコンディションによるのか。おそらく、それらすべての組み合わせなのかもしれない。
このことは、アマチュアプレーヤーにも勇気をくれる。トッププロでもボールを100%の力で打てないことがあるのだ。アマチュアでそういうことがあっても、当たり前。言い換えると、試合で大切なことは、まずは「ボールをこわごわ打つのではなく、思い切って打つことができるように自分を調整する」ことだ。それがどうすればよいのかは、私にはよくわからないけれど。
フェデラーとの試合はゲームは競っていた(フルセットで第3セットも4-4まではタイ)にも関わらず、錦織の試合後のコメントは自信に満ちていた。それは、錦織にとってこの試合が楽しかったからに違いない。
最後のバックハンドクロスは、本当はリスキーで難しいショットだと思う。しかも、エラーすると、デュースになってしまう。しかし、錦織には躊躇は全くなかった。まさにエラーするという発想がないショットだ。
試合直後の錦織は、意外なほど落ち着いていた。むしろ、精神的苦しんだ試合のほうが勝利の喜びは大きいのだろう。抑圧されたコーラ瓶の空気が栓を抜いたときに爆発するように。試合を楽しんだ錦織は、勝利の喜びよりも自分のプレーができた幸せな感覚のほうが大きいのだろう。
ボールを強く打つことができれば、コースやコーナーを狙うこともできる。そうすれば、テニスは楽しくなる。エラーするのではないかというマイナス思考ではなく、どうやってポイントを取るかというプラス思考でプレーできる時ほど、テニスは楽しいことはない。
昨年のウィンブルドンで私は「錦織は優勝する有資格者」と書いた。今回のソニーオープンでは、「有資格者」どころか「候補者」といってよいだろう。次の試合はジョコビッチだが、フェデラー戦と同じように錦織がボールを打ち切ることができるなら、勝利するチャンスは十分にあるだろうし、それよりも、なによりも、錦織自身が試合を楽しむことができるだろう。
4位のフェレールに勝った2日後に、5位のフェデラーにも勝利した。ともにフルセットマッチの試合だったが、錦織のプレーは2つの試合では別人のようだった。
フェレールのゲームでは恐る恐る打っていたボールを、フェデラー戦ではフルパワーで打ち込んでいたのだ。こんな世界のトップ選手でも、思い切ってボールを打てる試合と、アウト・ネットを気にしながらボールを打つ試合があるのだと思うと面白い。
それは、相手によるのか、自分の体調か、それともコートコンディションによるのか。おそらく、それらすべての組み合わせなのかもしれない。
このことは、アマチュアプレーヤーにも勇気をくれる。トッププロでもボールを100%の力で打てないことがあるのだ。アマチュアでそういうことがあっても、当たり前。言い換えると、試合で大切なことは、まずは「ボールをこわごわ打つのではなく、思い切って打つことができるように自分を調整する」ことだ。それがどうすればよいのかは、私にはよくわからないけれど。
フェデラーとの試合はゲームは競っていた(フルセットで第3セットも4-4まではタイ)にも関わらず、錦織の試合後のコメントは自信に満ちていた。それは、錦織にとってこの試合が楽しかったからに違いない。
最後のバックハンドクロスは、本当はリスキーで難しいショットだと思う。しかも、エラーすると、デュースになってしまう。しかし、錦織には躊躇は全くなかった。まさにエラーするという発想がないショットだ。
試合直後の錦織は、意外なほど落ち着いていた。むしろ、精神的苦しんだ試合のほうが勝利の喜びは大きいのだろう。抑圧されたコーラ瓶の空気が栓を抜いたときに爆発するように。試合を楽しんだ錦織は、勝利の喜びよりも自分のプレーができた幸せな感覚のほうが大きいのだろう。
ボールを強く打つことができれば、コースやコーナーを狙うこともできる。そうすれば、テニスは楽しくなる。エラーするのではないかというマイナス思考ではなく、どうやってポイントを取るかというプラス思考でプレーできる時ほど、テニスは楽しいことはない。
昨年のウィンブルドンで私は「錦織は優勝する有資格者」と書いた。今回のソニーオープンでは、「有資格者」どころか「候補者」といってよいだろう。次の試合はジョコビッチだが、フェデラー戦と同じように錦織がボールを打ち切ることができるなら、勝利するチャンスは十分にあるだろうし、それよりも、なによりも、錦織自身が試合を楽しむことができるだろう。
2014年3月3日月曜日
Mecir's Tennis (221) サーブレシーブのTIPS
レディーポジションは「女の子のもじもじポーズ」ですが、その際に、ラケットとへその距離を少しとります。そして、ボールが飛んでくるときに手を体にひきつけます。
これによって、むしろ体が前に出てステップインする力になります。
ステップインを足で行うと、バランスが微妙に変わります。それよりも、腕(手)を引き付けることでそれをステップインの力に変えてしまうのです。
同時に、それはテイクバックのスタートにもなります。静から動はどのスポーツでも難しいですが、手の引付により、レディーポジションという静からステップインという動に簡単に移ることができるのです。
これによって、むしろ体が前に出てステップインする力になります。
ステップインを足で行うと、バランスが微妙に変わります。それよりも、腕(手)を引き付けることでそれをステップインの力に変えてしまうのです。
同時に、それはテイクバックのスタートにもなります。静から動はどのスポーツでも難しいですが、手の引付により、レディーポジションという静からステップインという動に簡単に移ることができるのです。
Mecir's Tennis (220) ただ一つ守るべきこと
相手のボールによって、フォアハンドはいろいろです。
ボールが遅い場合、よく跳ねる場合はテイクバックを大きくとるでしょう。腰を十分にひねって体の横、遅い打点でボールを打ちます。
相手のボールが低く速い場合、特に相手のボレーに対するパッシングショットでは右肩はあまり深く入らず、オープンスタンスで打点も前になります。
相手のボールによって、フォアハンドの打ち方は変わります。が、変わらないことが一つあります。
それは、テイクバックでラケットヘッドがネット方向を向くという脳内イメージです。どんなことがあっても、それがショートラリーの練習であっても、テイクバックでのラケットヘッドはネット方向を向きます。
どんなことがあっても、ラケット面を開いてはなりません。大げさに言うと、テイクバックではそのことだけを考えていればよいぐらいです。
それを達成するイメージとしては、体ではなくラケットを中心に考えることです。テイクバックでは、ラケットを固定してしまい、それに合わせて体を動かせばよいのです。ラケットは両手でしっかりと位置を固定するイメージです。
ボールが遅い場合、よく跳ねる場合はテイクバックを大きくとるでしょう。腰を十分にひねって体の横、遅い打点でボールを打ちます。
相手のボールが低く速い場合、特に相手のボレーに対するパッシングショットでは右肩はあまり深く入らず、オープンスタンスで打点も前になります。
相手のボールによって、フォアハンドの打ち方は変わります。が、変わらないことが一つあります。
それは、テイクバックでラケットヘッドがネット方向を向くという脳内イメージです。どんなことがあっても、それがショートラリーの練習であっても、テイクバックでのラケットヘッドはネット方向を向きます。
どんなことがあっても、ラケット面を開いてはなりません。大げさに言うと、テイクバックではそのことだけを考えていればよいぐらいです。
それを達成するイメージとしては、体ではなくラケットを中心に考えることです。テイクバックでは、ラケットを固定してしまい、それに合わせて体を動かせばよいのです。ラケットは両手でしっかりと位置を固定するイメージです。
2014年2月2日日曜日
2014年 デビスカップワールドグループ1回戦 添田の役割の大きさ
何度も書くように、私はテニスを見るときにナショナリズムとは無縁なのですが、デビスカップは例外です。国対抗戦ですので、テニスのプレーを楽しむというよりも、好きな国を応援する意識になります。
デビスカップはよくできていて、最低で2名でも戦えます。ダブルスとシングルスが別のプレーヤーの場合はシングルス2名、ダブルス2名の4名でも戦えます。
シングルススペシャリスト2名とダブルススペシャリスト2名がもちろん一番良い布陣ですが、たった一人のプレーヤーでも突出していれば勝ち上がれるのがデビスカップの面白いところです。そのプレーヤーがシングルス2勝して、さらにダブルスでも勝てばよいわけです。
選手層が厚い国で、特にダブルススペシャリストを有する国は有利です。ダブルスでの勝利を計算できると、シングルスプレーヤーの一方がランク・レベルが低くても勝ち上がるチャンスが大きくなります。
もちろん、強いシングルスが2枚あると圧倒的に有利です。しかし、シングルスは体への負担が大きい(とくにデビスカップはタイブレークなしの5セットマッチというもっとも厳しいルール)ために、強いシングルスを2枚そろえるのは容易ではありません。
一般的な個人戦とは違い、国のテニス協会やキャプテンの役割がかなり大きいのがデビスカップです。どのようなメンバーで戦うかが、勝ち上がるためのの最も大きなカギになります。
今の日本チームは、突出した一人のプレーヤーに依存するタイプになっています。もちろん、そのプレーヤーは錦織です。錦織がシングルスで2勝することが勝利の条件になります。さらに、ダブルスにも出場して、そこでも勝たなければ3勝できない(勝ち上がれない)という状況です。
そう考えると、錦織に続くプレーヤーの重要性がよくわかります。もう一人のシングルスプレーヤーが「絶対負ける」という状況であれば、錦織にかかる負担は大きすぎます。たとえ2割でも3割でも、小記す可能性があれ、No.1プレーヤーはそれだけ負担が小さい中で戦うことができます。
その意味では、今の日本では添田豪の役割はもっとも重要です。添田が少しでも勝つ確率を上げることができれば、錦織は負担が減り、デビスカップにかける時間を増やすこともできるでしょう。(逆に、デビスカップが負担になりすぎたり、それが故障につながったりすると、錦織自身がデビスカップに参加できなくなります。)
今回のデビスカップ1回戦では日本が3勝を挙げて、2回戦進出を決めました。最終戦はエキシビションマッチですが、添田がカナダのポランスキーと対戦しました。
添田のプレースタイルは、ポランスキーや錦織とも比較的近いグランドストロークを主体とするプレーで、見ている限り、合理的なフォームで強くボールを打つことができるスタイルです。今、世界ランキングは140位台のようですが、これだけのテニスでも100位に入れないことに、男子テニスの世界の壁の高さを感じさせます。
体を合理的に使えることは、体格的に不利な日本人には大切なことです。添田は錦織よりも5つほど年上ですが、錦織よりも早くから合理的なテニスフォームを身に着けていたようです。もしかしたら、添田の道を錦織が辿っているのかもしれません。
私は(おそらく素人だからだと思いますが)添田と錦織のプレースタイルそのものには、それほど大きな差を感じることができません。もちろん、錦織の球際の強さは添田の比ではないですし、またプレーのイマジネーションの深さは添田は錦織にはかないません。ただ、小さなテイクバックから腕力ではなく体の回転でボールをヒットする基本的なボールを打つフォームそのものは、二人は似たタイプだと思います。
30歳を前にした添田には厳しいかもしれませんが、添田に求められるのはフィジカルの強さかもしれません。強引なプレーをするための体力ではなく、合理的なフォームを維持するための体力が必要だからです。それは、添田のテニスを長持ちさせ、ランキングを上げるためにも大切なことかもしれません。
2013年のデビスカップで大躍進したカナダですが、ラオニッチが出場できないというだけで(実績的には)格下の日本に敗退することになりました。同じことが、錦織が出場できないだけで日本にも起こりえます。そうならないための対策として、シングルス・ダブルスともに全体の底上げは必須でしょう。
デビスカップはよくできていて、最低で2名でも戦えます。ダブルスとシングルスが別のプレーヤーの場合はシングルス2名、ダブルス2名の4名でも戦えます。
シングルススペシャリスト2名とダブルススペシャリスト2名がもちろん一番良い布陣ですが、たった一人のプレーヤーでも突出していれば勝ち上がれるのがデビスカップの面白いところです。そのプレーヤーがシングルス2勝して、さらにダブルスでも勝てばよいわけです。
選手層が厚い国で、特にダブルススペシャリストを有する国は有利です。ダブルスでの勝利を計算できると、シングルスプレーヤーの一方がランク・レベルが低くても勝ち上がるチャンスが大きくなります。
もちろん、強いシングルスが2枚あると圧倒的に有利です。しかし、シングルスは体への負担が大きい(とくにデビスカップはタイブレークなしの5セットマッチというもっとも厳しいルール)ために、強いシングルスを2枚そろえるのは容易ではありません。
一般的な個人戦とは違い、国のテニス協会やキャプテンの役割がかなり大きいのがデビスカップです。どのようなメンバーで戦うかが、勝ち上がるためのの最も大きなカギになります。
今の日本チームは、突出した一人のプレーヤーに依存するタイプになっています。もちろん、そのプレーヤーは錦織です。錦織がシングルスで2勝することが勝利の条件になります。さらに、ダブルスにも出場して、そこでも勝たなければ3勝できない(勝ち上がれない)という状況です。
そう考えると、錦織に続くプレーヤーの重要性がよくわかります。もう一人のシングルスプレーヤーが「絶対負ける」という状況であれば、錦織にかかる負担は大きすぎます。たとえ2割でも3割でも、小記す可能性があれ、No.1プレーヤーはそれだけ負担が小さい中で戦うことができます。
その意味では、今の日本では添田豪の役割はもっとも重要です。添田が少しでも勝つ確率を上げることができれば、錦織は負担が減り、デビスカップにかける時間を増やすこともできるでしょう。(逆に、デビスカップが負担になりすぎたり、それが故障につながったりすると、錦織自身がデビスカップに参加できなくなります。)
今回のデビスカップ1回戦では日本が3勝を挙げて、2回戦進出を決めました。最終戦はエキシビションマッチですが、添田がカナダのポランスキーと対戦しました。
添田のプレースタイルは、ポランスキーや錦織とも比較的近いグランドストロークを主体とするプレーで、見ている限り、合理的なフォームで強くボールを打つことができるスタイルです。今、世界ランキングは140位台のようですが、これだけのテニスでも100位に入れないことに、男子テニスの世界の壁の高さを感じさせます。
体を合理的に使えることは、体格的に不利な日本人には大切なことです。添田は錦織よりも5つほど年上ですが、錦織よりも早くから合理的なテニスフォームを身に着けていたようです。もしかしたら、添田の道を錦織が辿っているのかもしれません。
私は(おそらく素人だからだと思いますが)添田と錦織のプレースタイルそのものには、それほど大きな差を感じることができません。もちろん、錦織の球際の強さは添田の比ではないですし、またプレーのイマジネーションの深さは添田は錦織にはかないません。ただ、小さなテイクバックから腕力ではなく体の回転でボールをヒットする基本的なボールを打つフォームそのものは、二人は似たタイプだと思います。
30歳を前にした添田には厳しいかもしれませんが、添田に求められるのはフィジカルの強さかもしれません。強引なプレーをするための体力ではなく、合理的なフォームを維持するための体力が必要だからです。それは、添田のテニスを長持ちさせ、ランキングを上げるためにも大切なことかもしれません。
2013年のデビスカップで大躍進したカナダですが、ラオニッチが出場できないというだけで(実績的には)格下の日本に敗退することになりました。同じことが、錦織が出場できないだけで日本にも起こりえます。そうならないための対策として、シングルス・ダブルスともに全体の底上げは必須でしょう。
2014年2月1日土曜日
Mecir's Tennis (219) 腰の回転の次に何を回転させるか?
フォアハンドにおいて、フォワードスイング(前半)では腰の回転でリードするということを何度も書いています。一方で、腰の回転だけで打つ脳内イメージは間違えています。
腰の回転では、微妙なコントロール無理です。
では、フォワードスイング中盤から後半にかけて回転させるのはどこでしょうか?
答えは、腕ではありません。肩です。腰に続いて、肩を回転させます。腕については、ひじや手首は、固定します。がっちりと固定するのではありませんが、ひじや手首は使わないと追っているほうがよいです。
肩の回転というのは大切な割にはあまり注目されていないような気がします。現代テニスでも、腰の回転の次は腕を使うイメージがあります。
メシールのフォアハンドでは、腰でフォワードスイングを始めたら、その次には(ひじや手首を使わずに)肩を回転します。
Youtubeのメシールのふぉわハンドのスローモーション(こちら)を見てください。肩を支点に腕が回転しています。また、腕の(ひじの)角度はフォワードスイング内で(肩を中心に回転している間)あまり変わっていません。
腕を肩を支点として回転させる場合、肩甲骨よりも腕の付け根の体の前側の金忍苦を使う方がイメージが正しいと思います。すでにフォワードスイングが始まって腰の回転で進んでいますので、さらにそれを前に引っ張るには前側の筋肉が最適です。この筋肉の名前は、筋肉に関するサイトによると大胸筋というそうです。
腰の回転でフォワードスイングを始めたら、次は大胸筋で肩を引っ張って回します。
この2つの回転を正しくすると、以前「腕の力を抜くこと」で書いたように、腕に力を入れる必要がなくなります。実際、コート上で試してみると、肩を回すという感覚があれば、腕にはほとんど力を入れなくても重くコートに突き刺さるボールを打つことができます。
また、フォロースルーが明らかに大きくなります。その結果、ボールコントロールの精度が上がります。
腕に力を入れてはいけないですし、また入れる必要もないのです。
腰の回転でフォワードスイングを始めたら、次は大胸筋で肩を引っ張って回します。
この2つの回転を正しくすると、以前「腕の力を抜くこと」で書いたように、腕に力を入れる必要がなくなります。実際、コート上で試してみると、肩を回すという感覚があれば、腕にはほとんど力を入れなくても重くコートに突き刺さるボールを打つことができます。
また、フォロースルーが明らかに大きくなります。その結果、ボールコントロールの精度が上がります。
腕に力を入れてはいけないですし、また入れる必要もないのです。
2014年1月27日月曜日
Mecir's Tennis (218) 改めてフォアハンドテイクバックを考える(その5) スイングのパワーはどこから?
⇒Mecir's Tennis (214) 改めてフォアハンドテイクバックを考える(その1) 1980年後半という「移行期」
⇒Mecir's Tennis (215) 改めてフォアハンドテイクバックを考える(その2) 1980年代後半のメシールのフォアハンド
スピンのかかった安定したボールは打ちやすくなりますが、同じ打ち方をしていては、ボールの力が落ちるはずです。(それまでは、ボールをラケット面に垂直にあてることでパワーを得ていたのですから、当然かもしれません。)
では、どこからパワーを得ればよいでしょうか。
テイクバックを大きく、または自由にする(力を抜く)ことかと思います。腕の力を抜き、ゆっくりと大きくテイクバックを取ることで、ボールにパワーを与えやすくなります。ラケットヘッドがネットを向いている限り、テイクバックを多少大きくとることには問題がありません。また、(もし、これまでの打ち方が右わきの締まった打ち方をしているのであれば)多少は脇が空いても大丈夫です。
右腰と右足です。つまり、スイング状態に頼らないように、右足、そして腰の回転でしっかりとフォワードスイングをして、しっかりボールを運ぶことです。その際、スイングそのものでボールにパワーを与えようとすると、ラケットスイングが速くなりすぎてしまいます。スイングスピードを上げるのではく、足と腰でボールを運ぶ意識が必要です。
力を入れようとして状態が傾くことはNGです。状態はあくまで地面に垂直になります。背中の軸をしっかりとまっすぐ立てて体を回転します。
次に、ラケットを下から上に振り上げることです。ボールをスピードで打ち込むのではなく下半身で運ぶイメージのためには、ゆっくりと振っても大丈夫だという安心感も大切です。そのためには、ラケットスイングを下から上にすることで、確実にネットを超え、かつベースライン近く深くバウンドするボールが有効です。
ラケットの重さを信じることも有効です。メシールのラケットはかなり重たかったそうですが、この重さがボールを運んでくれます。逆に、そのために、重いラケットを使っているのです。
腰の回転で行うテイクバックを早めにとることも有効です。それによって時間の余裕ができ、腰の回転によりフォワードスイングをリードできます。テイクバックが遅れると腕でスイングをすることになり、ラケット面をボールに垂直にあてたくなります。その方がボールにはパワーが伝わるからです。
情をまとめると、次のようになります。「早めに右足を決めて腰の回転でテイクバック・フォワードスイングをリードすること。瀬長が丸まらないようにしっかりと地面に垂直に立てる。ラケットヘッドがネットを向いていれば、スイングは比較的自由に振ってもよい。低いボールは下から上に、高いボールは水平に。ただし、ラケットスイングが速くならないように気を付けること。」
⇒Mecir's Tennis (215) 改めてフォアハンドテイクバックを考える(その2) 1980年代後半のメシールのフォアハンド
⇒Mecir's Tennis (216) 改めてフォアハンドテイクバックを考える(その3) ラケットヘッドはどこを向くか
⇒Mecir's Tennis (217) 改めてフォアハンドテイクバックを考える(その4) ヘッドがネット方向を向いていれば何をしてもよい
⇒Mecir's Tennis (217) 改めてフォアハンドテイクバックを考える(その4) ヘッドがネット方向を向いていれば何をしてもよい
「Mecir's Tennis 改めてフォアハンドテイクバックを考える」(1)〰(4)において、ラケットヘッドをネットに向けてテイクバックすることの重要性を書きました。これをコートで試しすと、特にそれまでテイクバックでラケット面が開いていたプレーヤーの場合には、ボールのパワーが極端に落ちると思います。
スピンのかかった安定したボールは打ちやすくなりますが、同じ打ち方をしていては、ボールの力が落ちるはずです。(それまでは、ボールをラケット面に垂直にあてることでパワーを得ていたのですから、当然かもしれません。)
では、どこからパワーを得ればよいでしょうか。
テイクバックを大きく、または自由にする(力を抜く)ことかと思います。腕の力を抜き、ゆっくりと大きくテイクバックを取ることで、ボールにパワーを与えやすくなります。ラケットヘッドがネットを向いている限り、テイクバックを多少大きくとることには問題がありません。また、(もし、これまでの打ち方が右わきの締まった打ち方をしているのであれば)多少は脇が空いても大丈夫です。
右腰と右足です。つまり、スイング状態に頼らないように、右足、そして腰の回転でしっかりとフォワードスイングをして、しっかりボールを運ぶことです。その際、スイングそのものでボールにパワーを与えようとすると、ラケットスイングが速くなりすぎてしまいます。スイングスピードを上げるのではく、足と腰でボールを運ぶ意識が必要です。
力を入れようとして状態が傾くことはNGです。状態はあくまで地面に垂直になります。背中の軸をしっかりとまっすぐ立てて体を回転します。
次に、ラケットを下から上に振り上げることです。ボールをスピードで打ち込むのではなく下半身で運ぶイメージのためには、ゆっくりと振っても大丈夫だという安心感も大切です。そのためには、ラケットスイングを下から上にすることで、確実にネットを超え、かつベースライン近く深くバウンドするボールが有効です。
ラケットの重さを信じることも有効です。メシールのラケットはかなり重たかったそうですが、この重さがボールを運んでくれます。逆に、そのために、重いラケットを使っているのです。
腰の回転で行うテイクバックを早めにとることも有効です。それによって時間の余裕ができ、腰の回転によりフォワードスイングをリードできます。テイクバックが遅れると腕でスイングをすることになり、ラケット面をボールに垂直にあてたくなります。その方がボールにはパワーが伝わるからです。
情をまとめると、次のようになります。「早めに右足を決めて腰の回転でテイクバック・フォワードスイングをリードすること。瀬長が丸まらないようにしっかりと地面に垂直に立てる。ラケットヘッドがネットを向いていれば、スイングは比較的自由に振ってもよい。低いボールは下から上に、高いボールは水平に。ただし、ラケットスイングが速くならないように気を付けること。」
Mecir's Tennis (217) 改めてフォアハンドテイクバックを考える(その4) ヘッドがネット方向を向いていれば何をしてもよい
⇒Mecir's Tennis (214) 改めてフォアハンドテイクバックを考える(その1) 1980年後半という「移行期」
⇒Mecir's Tennis (215) 改めてフォアハンドテイクバックを考える(その2) 1980年代後半のメシールのフォアハンド
Mecir's Tennis (216) 改めてフォアハンドテイクバックを考える(その3) ラケットヘッドはどこを向くかにおいて、ラケットヘッドがテイクバックでネット方向を向くフォアハンドの練習方法を説明しました。
しかし、実際のグランドストロークでは、テイクバックでラケットをロック(セット、固定)することはできません。それでは、ボールに威力を与えることができません。テイクバックをなくすことはできません。
しかし、繰り返しますが、そのテイクバックでラケット面を開くことは許されません。言い換えると、ラケットヘッドはネット方向を向き続けなくてはなりません。
テイクバックでのラケットの動きを、許される方向(OK)と許されない方向(NG)に分けると、次のようになります。
⇒Mecir's Tennis (215) 改めてフォアハンドテイクバックを考える(その2) 1980年代後半のメシールのフォアハンド
Mecir's Tennis (216) 改めてフォアハンドテイクバックを考える(その3) ラケットヘッドはどこを向くかにおいて、ラケットヘッドがテイクバックでネット方向を向くフォアハンドの練習方法を説明しました。
しかし、実際のグランドストロークでは、テイクバックでラケットをロック(セット、固定)することはできません。それでは、ボールに威力を与えることができません。テイクバックをなくすことはできません。
しかし、繰り返しますが、そのテイクバックでラケット面を開くことは許されません。言い換えると、ラケットヘッドはネット方向を向き続けなくてはなりません。
テイクバックでのラケットの動きを、許される方向(OK)と許されない方向(NG)に分けると、次のようになります。
- OKな方向
- ラケットヘッドはネット方向を向いたまま、(ラケットを伏せた状態で)ラケット面方向に動かす。
- ラケットヘッドをネット方向に向けたまま、ラケットの中心軸方向にラケットを動かす。
- ラケットヘッドをネット方向に向けたまま、ラケットのフレーム方向(ラケット面を含む面内で)にラケットを動かす。
- NGの方向
- 体の回転に合わせてラケットヘッドを扇型方向に動かす。(ラケット面がだんだん開いてしまう。)
体の回転に対してラケットを動かしていないのでよいテイクバックのように思いますが、正しくありません。ラケットヘッドは、体に固定すると勝手に後ろ向きになっていくです。
Mecir's Tennis (216) 改めてフォアハンドテイクバックを考える(その3) ラケットヘッドはどこを向くか
⇒Mecir's Tennis (214) 改めてフォアハンドテイクバックを考える(その1) 1980年後半という「移行期」
⇒Mecir's Tennis (215) 改めてフォアハンドテイクバックを考える(その2) 1980年代後半のメシールのフォアハンド
フォアハンドのテイクバックでのラケットヘッドの向きの脳内イメージは、「テイクバックの間、ずっとネット方向を向く」です。テイクバックで体が開店することを考えると、「肩を結ぶ線と平行である」でもよいかもしれません。
そして、なんとしても「テイクバックでラケット面が開く」ということを阻止せねばなりません。どんな場合でも、テイクバックでラケット面が開いてはいけないのです。これは、絶対に守らねばならないことです。
一方で、テイクバックは腰が回転します。ここに、イメージを誤りやすい点があります。もし、レディーポジションでラケットヘッドがネット方向(0時方向)を向いているとすると、テイクバックでフォアハンド側に腰を90度回したらラケットヘッドも3時方向を向いてしまいます。(テイクバックは腰で回転して、手を使いません。)そのままテイクバックを続けると、ラケットヘッドは0度(ネット方向)からどんどん後ろを向いてしまいます。
それを避けるためには、以下のような脳内イメージが有効です。
テイクバックをする間、ラケットはそのままネット方向を固定した状態でロックします。腰は時計方向に回転します。テイクバックトップからフォワードスイングに入ると、腰の回転は逆時計回りに回転します。ある段階に入るとちょうどラケットを振り出す位置に腰が戻ってきます。
そのタイミングでラケットを振り始めるのです。つまるところ、腰が回転している間、ラケットの動きを止めておくわけです。
こんな打ち方ができるのかと思うかもしれませんが、例えば、一番最初に良く行うショートラリーで試してみるとよいと思います。意外に簡単にできます。そして、これにより、①ラケットヘッドがネット方向を向いたままスイングするイメージ、②腰の回転でテイクバックからフォワードスイングをするイメージをつかむことができます。
この打ち方は、また、アプローチショットで使うことができます。アプローチショットは、イースタングリップでは、スピン量を増やすという打ち方をしませんので、「テイクバックを小さく、フォワードスイングを大きく」が有効です。その時に、ラケットをロック(セット)してしまうとラケットスイングのブレが小さくなり、コントロール精度が上がります。
⇒Mecir's Tennis (215) 改めてフォアハンドテイクバックを考える(その2) 1980年代後半のメシールのフォアハンド
フォアハンドのテイクバックでのラケットヘッドの向きの脳内イメージは、「テイクバックの間、ずっとネット方向を向く」です。テイクバックで体が開店することを考えると、「肩を結ぶ線と平行である」でもよいかもしれません。
そして、なんとしても「テイクバックでラケット面が開く」ということを阻止せねばなりません。どんな場合でも、テイクバックでラケット面が開いてはいけないのです。これは、絶対に守らねばならないことです。
一方で、テイクバックは腰が回転します。ここに、イメージを誤りやすい点があります。もし、レディーポジションでラケットヘッドがネット方向(0時方向)を向いているとすると、テイクバックでフォアハンド側に腰を90度回したらラケットヘッドも3時方向を向いてしまいます。(テイクバックは腰で回転して、手を使いません。)そのままテイクバックを続けると、ラケットヘッドは0度(ネット方向)からどんどん後ろを向いてしまいます。
それを避けるためには、以下のような脳内イメージが有効です。
テイクバックをする間、ラケットはそのままネット方向を固定した状態でロックします。腰は時計方向に回転します。テイクバックトップからフォワードスイングに入ると、腰の回転は逆時計回りに回転します。ある段階に入るとちょうどラケットを振り出す位置に腰が戻ってきます。
そのタイミングでラケットを振り始めるのです。つまるところ、腰が回転している間、ラケットの動きを止めておくわけです。
こんな打ち方ができるのかと思うかもしれませんが、例えば、一番最初に良く行うショートラリーで試してみるとよいと思います。意外に簡単にできます。そして、これにより、①ラケットヘッドがネット方向を向いたままスイングするイメージ、②腰の回転でテイクバックからフォワードスイングをするイメージをつかむことができます。
この打ち方は、また、アプローチショットで使うことができます。アプローチショットは、イースタングリップでは、スピン量を増やすという打ち方をしませんので、「テイクバックを小さく、フォワードスイングを大きく」が有効です。その時に、ラケットをロック(セット)してしまうとラケットスイングのブレが小さくなり、コントロール精度が上がります。
Mecir's Tennis (215) 改めてフォアハンドテイクバックを考える(その2) 1980年代後半のメシールのフォアハンド
Mecir's Tennis (214) 改めてフォアハンドテイクバックを考える(その1) 1980年後半という「移行期」の続き
では、メシールはどうだったでしょうか。メシールの選択は、この中でとてもユニークだったように思います。
メシールは、この時代の最後のウッドラケットプレーヤーであったにもかかわらず、ウッドラケットのフォアハンドの呪縛にはかかっていませんでした。マッケンローやエドバーグがグラファイトラケット時代になってウッドラケットの呪縛から抜け出すことができなかったのに、ウッドラケットを使い続けたメシールは苦しまなかったことは、面白いと思いませんか?
これはどういうことかというと、メシールはジュニアのころから近代的なフォアハンドを身に着けていたということです。よく、海外の解説者がメシールの試合で「まるでクラブプレーヤーのようだ」と称していたのは、正しくありません。クラブプレーヤーの多くは、テイクバックからフォワードスイングでラケット面が開いて打つ打ち方です。そして、そのようなプレーヤーは、ほぼ間違いなくあるレベルから上に行くことはできていません。
メシールは、テイクバックで決してラケット面が開きません。言い換えると、ラケットヘッドは決して6時方向には向きません。(ましてや、7時、8時方向を向くことはありません。)
その代わりに、メシールは腰の回転を使いフォワードスイングをするわけです。ラケットでスイングしたい気持ちを抑え、フォワードスイングを腰の回転でリードします。これは、現代テニスでは誰もがすることですが、1980年代後半のテニスでは容易なことではありませんでした。飛ばないラケットであるウッドラケットのプレーヤーはむしろ腰の回転でボールを打つ習慣があるだろうと思うかもしれません。しかし、そのことよりも、ボールをラケット面に垂直に打つことでパワーを得るという習慣が邪魔をしたのです。この方法でパワーを与えるためには、フォワードスイングからラケット面が開きます。言い換えると、ラケットヘッドが6時の方向を向きます。
ウッドと比べてはるかにパワーがある(ボールが飛ぶ)グラファイトラケットの出現が、皮肉にも、イースタングリッププレーヤーを苦しめたのです。
メシールが、ラケット面の小さいウッドラケットで、なぜラケット面が開かないフォアハンドを身に着けたのかわかりません。当時のトッププロには珍しい190㎝もの長身がパワーの助けになったからかもしれません。重いウッドラケットの特性を無意識に活かそうとしていたのかもしれません。
ぜひ、本人から聞いてみたいものです。
では、メシールはどうだったでしょうか。メシールの選択は、この中でとてもユニークだったように思います。
メシールは、この時代の最後のウッドラケットプレーヤーであったにもかかわらず、ウッドラケットのフォアハンドの呪縛にはかかっていませんでした。マッケンローやエドバーグがグラファイトラケット時代になってウッドラケットの呪縛から抜け出すことができなかったのに、ウッドラケットを使い続けたメシールは苦しまなかったことは、面白いと思いませんか?
これはどういうことかというと、メシールはジュニアのころから近代的なフォアハンドを身に着けていたということです。よく、海外の解説者がメシールの試合で「まるでクラブプレーヤーのようだ」と称していたのは、正しくありません。クラブプレーヤーの多くは、テイクバックからフォワードスイングでラケット面が開いて打つ打ち方です。そして、そのようなプレーヤーは、ほぼ間違いなくあるレベルから上に行くことはできていません。
メシールは、テイクバックで決してラケット面が開きません。言い換えると、ラケットヘッドは決して6時方向には向きません。(ましてや、7時、8時方向を向くことはありません。)
その代わりに、メシールは腰の回転を使いフォワードスイングをするわけです。ラケットでスイングしたい気持ちを抑え、フォワードスイングを腰の回転でリードします。これは、現代テニスでは誰もがすることですが、1980年代後半のテニスでは容易なことではありませんでした。飛ばないラケットであるウッドラケットのプレーヤーはむしろ腰の回転でボールを打つ習慣があるだろうと思うかもしれません。しかし、そのことよりも、ボールをラケット面に垂直に打つことでパワーを得るという習慣が邪魔をしたのです。この方法でパワーを与えるためには、フォワードスイングからラケット面が開きます。言い換えると、ラケットヘッドが6時の方向を向きます。
ウッドと比べてはるかにパワーがある(ボールが飛ぶ)グラファイトラケットの出現が、皮肉にも、イースタングリッププレーヤーを苦しめたのです。
メシールが、ラケット面の小さいウッドラケットで、なぜラケット面が開かないフォアハンドを身に着けたのかわかりません。当時のトッププロには珍しい190㎝もの長身がパワーの助けになったからかもしれません。重いウッドラケットの特性を無意識に活かそうとしていたのかもしれません。
ぜひ、本人から聞いてみたいものです。
Mecir's Tennis (214) 改めてフォアハンドテイクバックを考える(その1) 1980年後半という「移行期」
Mecir's Tennis (209) プロのテイクバックではラケットヘッドが後ろを向かない理由において、フォアハンドテイクバックではラケットヘッドが後ろを向かないことの理由について書きました。
このところ、ずっと、そのことを考えている。「イースタングリップのフォアハンドで最も大切なことと、つまりもっとも守らなくてはならないことは、テイクバックでラケットヘッドが後ろ(6時方向)を向かないことなのではないだろうか」と。
言い換えると、脳内イメージでは、テイクバックではラケットヘッドは常にネット方向(0時方向)を向いていなくてはなりません。
このイメージが、フォアハンドでは、何よりも大切なのではないだろうかと思うのです。なぜなら、イースタングリップのフォアハンドでは、ラケット面がボールに垂直に当たってはいけないからです。
ラケットがウッドからグラファイトにほぼシフトしたメシールの世代は、イースタングリップ多難の時代でもありました。ボールが飛ばないウッドラケットではラケット面がボールをまともにとらることが、むしろちょうどよかった時代がありました。その時代は、基本的なイメージとしては、ラケット面がボールと垂直になり、ラケット面はボールをまともに捉える打ち方がベストでした。
しかし、ラケットがグラファイトに移行し、アマチュアでさえ高速なボールが打てるようになって、ラケット面とボールが垂直に当たる時代は終わりを告げました。その移行期が、ちょうど1980年代の後半だったのです。
メシールがプレーヤーであった1980年後半は、ラケットはほぼグラファイト系に移行しましたが、選手たちはウッドラケットで育った時代でした。厚い当たりでフォアハンドを打ってきた選手たちは、グラファイトへの移行に苦しみました。
コナーズは厚いグリップでしたが、スイングとしてはボールに対してラケット面を垂直当てるスイングでした。コントロールしにくいこの打ち方を、コナーズは脚力(フットワークという意味と、腰を落としてスイングのぶれを極限まで小さくするという意味)で補いました。が、年齢の衰えと同時に、この打法はだんだんと通用しなくなっていったのです。
マッケンローは、テイクバックをほとんど取らないことでこの問題に立ち向かいました。マッケンローのフォアハンドは、感覚としてはフォアボレーのようでした。ラケットをセットするとほとんどテイクバックを取らずにラケット面の操作だけでボールの方向や球質をコントロールします。この方法は、ラケット面を作ることに天才的なマッケンローでのみ許される方法でした。比較的スピードの速い単調なプレーヤーに対しては有効ですが、緩急をつけるプレーヤーや、極めて速いボール(全盛期のベッカーやレンドルなど)に対しては難しいスタイルです。
エドバーグは、もっともフォアハンドに苦しんだ選手だと思います。イースタングリップであるにもかかわらずテイクバックで面を伏せて、スピン系のボールを打とうとしました。これは、かなり不安定なストロークになり、エドバーグはテイクバックの大きさを大きくしたり小さくしたりすることでこれに挑みましたが、最後まで安定したフォアハンドストロークを打つことはできませんでした。
ベッカー、ヴィランデル、チャンなどは、おそらく若いころからグラファイトのラケットを使っていたのではないかと思います。スタイルはいろいろですが、ウェスタングリップとテイクバックでラケット面を伏せて下から上に擦りあげるスイングでヘビースピンのフォアハンドプレーでした。
このところ、ずっと、そのことを考えている。「イースタングリップのフォアハンドで最も大切なことと、つまりもっとも守らなくてはならないことは、テイクバックでラケットヘッドが後ろ(6時方向)を向かないことなのではないだろうか」と。
言い換えると、脳内イメージでは、テイクバックではラケットヘッドは常にネット方向(0時方向)を向いていなくてはなりません。
このイメージが、フォアハンドでは、何よりも大切なのではないだろうかと思うのです。なぜなら、イースタングリップのフォアハンドでは、ラケット面がボールに垂直に当たってはいけないからです。
ラケットがウッドからグラファイトにほぼシフトしたメシールの世代は、イースタングリップ多難の時代でもありました。ボールが飛ばないウッドラケットではラケット面がボールをまともにとらることが、むしろちょうどよかった時代がありました。その時代は、基本的なイメージとしては、ラケット面がボールと垂直になり、ラケット面はボールをまともに捉える打ち方がベストでした。
しかし、ラケットがグラファイトに移行し、アマチュアでさえ高速なボールが打てるようになって、ラケット面とボールが垂直に当たる時代は終わりを告げました。その移行期が、ちょうど1980年代の後半だったのです。
メシールがプレーヤーであった1980年後半は、ラケットはほぼグラファイト系に移行しましたが、選手たちはウッドラケットで育った時代でした。厚い当たりでフォアハンドを打ってきた選手たちは、グラファイトへの移行に苦しみました。
コナーズは厚いグリップでしたが、スイングとしてはボールに対してラケット面を垂直当てるスイングでした。コントロールしにくいこの打ち方を、コナーズは脚力(フットワークという意味と、腰を落としてスイングのぶれを極限まで小さくするという意味)で補いました。が、年齢の衰えと同時に、この打法はだんだんと通用しなくなっていったのです。
マッケンローは、テイクバックをほとんど取らないことでこの問題に立ち向かいました。マッケンローのフォアハンドは、感覚としてはフォアボレーのようでした。ラケットをセットするとほとんどテイクバックを取らずにラケット面の操作だけでボールの方向や球質をコントロールします。この方法は、ラケット面を作ることに天才的なマッケンローでのみ許される方法でした。比較的スピードの速い単調なプレーヤーに対しては有効ですが、緩急をつけるプレーヤーや、極めて速いボール(全盛期のベッカーやレンドルなど)に対しては難しいスタイルです。
エドバーグは、もっともフォアハンドに苦しんだ選手だと思います。イースタングリップであるにもかかわらずテイクバックで面を伏せて、スピン系のボールを打とうとしました。これは、かなり不安定なストロークになり、エドバーグはテイクバックの大きさを大きくしたり小さくしたりすることでこれに挑みましたが、最後まで安定したフォアハンドストロークを打つことはできませんでした。
ベッカー、ヴィランデル、チャンなどは、おそらく若いころからグラファイトのラケットを使っていたのではないかと思います。スタイルはいろいろですが、ウェスタングリップとテイクバックでラケット面を伏せて下から上に擦りあげるスイングでヘビースピンのフォアハンドプレーでした。
2014年1月26日日曜日
2014年全豪オープン4回戦 ナダルVS錦織(番外編) 号泣
「今までのナダル戦の中では一番手応えを感じスコア的にも惜しいところまでいきました。」「そのせいか試合後は悔しさを感じずにはいれませんでした。ちょっと恥ずかしい話ですが試合後シャワーを浴びながら号泣。久しぶりにこんなに悔しかったです。」
オンラインニュースに、《錦織、ナダル戦後「シャワー浴びながら号泣」<全豪オープン>》という記事が出ていた。錦織のブログをフォローした記事のようだ。
これまで、数えきれないほどのプロスポーツ選手がトップ選手に挑戦し、敗戦直後にシャワールームで号泣してきたであろう。珍しい話でも何でもない。それが記事なるのはやりすぎというのか、うらやましいというのか…。それだけ錦織が注目されているということだろうが。
「一番悔やむのは3セット目5-4の自分サーブのゲーム。思い出すだけでも苦しいです。ここまで善戦して1セットも取れないことが自分としては許せませんでした。」
2014年全豪オープン4回戦 ナダルVS錦織(2) 意義ある敗戦に書いたが、このゲームは、テレビで観戦していても、本当にがっかりのゲームだった。たとえ敗戦してもナダルから1セットを取るのは、単にゲームが競るからではない価値がある。つまり、試合全体から見ても、そのセットから見ても、錦織の試合の組み立てが奏功し、将来に対しての可能性を証明できるということだ。
これまで、数えきれないほどのプロスポーツ選手がトップ選手に挑戦し、敗戦直後にシャワールームで号泣してきたであろう。珍しい話でも何でもない。それが記事なるのはやりすぎというのか、うらやましいというのか…。それだけ錦織が注目されているということだろうが。
「一番悔やむのは3セット目5-4の自分サーブのゲーム。思い出すだけでも苦しいです。ここまで善戦して1セットも取れないことが自分としては許せませんでした。」
2014年全豪オープン4回戦 ナダルVS錦織(2) 意義ある敗戦に書いたが、このゲームは、テレビで観戦していても、本当にがっかりのゲームだった。たとえ敗戦してもナダルから1セットを取るのは、単にゲームが競るからではない価値がある。つまり、試合全体から見ても、そのセットから見ても、錦織の試合の組み立てが奏功し、将来に対しての可能性を証明できるということだ。
おそらくこのセットを取れば、錦織は、試合後にも将来に向けての明るいビジョンを持てたことだろう。自分の戦略に自信が持てたことだろう。
「今でもたくさんの人がいい試合だったと言ってくれますが、いいプレーをしただけでは勝てないんですよね。この試合で自分に何が足りないのかが全く見えなくなった気分です。少し悩んでるんですかね。」
私には、このメッセージが、第3セットを5-4で自分のサービスゲームをアンフォースド・エラーの繰り返しで落としたことからくるように見える。錦織の戦略は決して間違えていないのに、その戦略の上でこんなゲームをしてしまうことで、戦略そのものが正しいのかどうか、自信がなくなってしまっている。もちろん、マイケル・チャンがその部分はきちんと伝えるのだろうが。
⇒ 2014年全豪オープン4回戦 ナダルVS錦織(2) 意義ある敗戦
⇒ 2014年全豪オープン4回戦 ナダルVS錦織(1) 錦織の戦略
「今でもたくさんの人がいい試合だったと言ってくれますが、いいプレーをしただけでは勝てないんですよね。この試合で自分に何が足りないのかが全く見えなくなった気分です。少し悩んでるんですかね。」
私には、このメッセージが、第3セットを5-4で自分のサービスゲームをアンフォースド・エラーの繰り返しで落としたことからくるように見える。錦織の戦略は決して間違えていないのに、その戦略の上でこんなゲームをしてしまうことで、戦略そのものが正しいのかどうか、自信がなくなってしまっている。もちろん、マイケル・チャンがその部分はきちんと伝えるのだろうが。
⇒ 2014年全豪オープン4回戦 ナダルVS錦織(2) 意義ある敗戦
⇒ 2014年全豪オープン4回戦 ナダルVS錦織(1) 錦織の戦略
2014年1月20日月曜日
2014年全豪オープン4回戦 ナダルVS錦織(2) 意義ある敗戦
以前にも書いたが、私は、スポーツのナショナリズムをあまり是としない。日本人だから日本人選手を応援するという意識は、(フットボールのように、あえて最初からナショナリズムのための応援という場合を除いて)私には全くない。美しいプレーヤーは美しい。それは国籍に関係ない。正直なところ、ほんのわずかの例外を除いて、日本人のプロテニスプレーヤーのテニスを美しいとは(残念ながら)感じることができない。
したがって私はこれまで、錦織が日本人だからという気持ちで応援したことはない。しかし、錦織を一人のプレーヤーとしてみたとき、錦織のプレーは見ていて楽しい。だから、錦織の試合を観戦するのが好きだ。こんなに見ていてい楽しいプレーヤーは、今のトッププロ選手の中でも多くはない。錦織のプレーにはイマジネーションがあふれており、体格的に不利な点をアイデアと戦略とスピードでカバーしている。その結果、錦織のテニスはその特徴が際立ってきた。
日本人が現在の世界No.1に挑戦するからではなく、まだ若く将来が期待される才能あふれる若いプレーヤーがNo.1に挑戦するという意味で、この試合は興味深い試合だった。
錦織がコーチにマイケル・チャンを迎えたことはとてもユニークだ。私がよく参考にさせていただいているブログ(「テニスからテニスへ」)では、錦織のプレーには背後霊のようにマイケル・チャンが見えると、的確な表現がされていた。背後霊の力を得て、錦織は取りつかれたようにこれからも前に進んでいくのだろう。
ところで、このゲームを見ていて、錦織のプレーは、往年のマイケル・チャンとはかなり異なるように感じた。マイケル・チャンは相手のボールを受けて、受けて、受け流して、そこから攻撃を展開することが多かった。
錦織のプレーは、常に先手を取ろうとする。受け流すのはナダルのほうだ。と言っても、ナダルのボールは強烈で、受け流すというよりも、正確には「相手に攻撃されないパワフルな球を安全に(無理せずに)打ち込む」という印象だ。ボールに威力があるから、受け流しても相手に攻撃されない。そして、ここぞというチャンスの時にだけリスクの高いボールをコーナーに打ち込んでポイントを取りに行く。いつものナダルのスタイルだ。
錦織のショットは、一本目から攻撃的だ。しかも、相手の予想する最も可能性が高いショット(つまり、錦織はこういうボールを打ってくるだろうと予測するショット)とは違う選択肢を選ぶ。例えばレシーブでも、相手のサーブがよい時(サーバは甘い球がリターンされると予想するだろう)ほど、さらに良いリターンを返そうとする。よいサーブを打った相手は、だから一瞬驚く。グランドストロークでは、ほとんどのボールでオープンコートを作ろうとする。多少のリスクと無理は承知の上だ。
テレビ観戦して気づいたが、この試合での錦織のショットはジャンプショットが多かった。力を逃がさずに相手の予想とは違う意外性のあるコースに配給し、裏をかこうとするためだ。このジャンプショットは、意味なく力の無駄遣いをするエアケイとは異なる。このことは、ナダルVS錦織(1)に書いた。
しかし、世界の2位にまで上り詰めたマイケル・チャンに、錦織はまだ大きく水をあけられていると言わざるを得ない。錦織は、全盛期のチャンと比べると、まだ成熟していない。
錦織がマイケル・チャンに届いていないと感じたのは、第3セットで5-4からの錦織のプレーだ。錦織は、理想的な展開とプレーで4-4からナダルのサービスをブレークした。次のゲームを取ると第3セットをナダルから取り返すことができる。しかし、錦織は、ここでアンフォースド・エラーを連続し、このゲームを簡単に失う。このアンフォースド・エラーは、「惜しい」では済まないショットだった。技術ではない、メンタルからくるアンフォースド・エラーだ。(追記:このことは、試合後のインタビューで錦織自身も認めていたようだ。)
マイケル・チャンは、こういうゲーム展開に強かった。決して無理をしない。しかし、守りにも入らない。上背や体格から相手を圧倒する必殺のショットを持たない現役時代のマイケル・チャンは、相手の心理を読み、ここぞとばかりに相手の嫌がるボールを打ち、精神面とボール配給の両方から相手を追い詰めた。常に、気持ちは相手の上側にあり、相手を見下ろしながらプレーしていた。
錦織は委縮して、攻めきれなかった。自分の気持ちが相手の上に持ってくるか、相手の下に入ってしまうか。その差は大きい。本当の修羅場を、錦織はまだ乗り越えていない。
この敗戦は、錦織にとっては、お金では表せない貴重な授業料となった。どんなに高価なコーチングを受けるよりもこの一試合から学んだことの方が多いだろう。学習できる内容が、これほど多く詰め込まれた試合は、おそらく錦織にとっても初めてなのではないか。世界で最も強い、つまり世界で最も多くのことを与えてくれるナダルと対戦することで初めて得た経験がてんこ盛りに詰め込まれていた。おそらく、錦織とマイケル・チャンは、何時間も、いや何日もかけてこの対戦を話し合い、分析するだろう。そこから錦織が学ぶことは数知れない。そして、頭の良い錦織は、それらのすべてを必ず吸収するだろう。
【追記】上の記事を書いた後、試合後の錦織のインタビューを見た。「勝たないと、どうしようもない。」錦織のコメントの「ナダル」という文字を誰か錦織にとって格下のプレーヤーの名前で置き換えても、違和感がない内容だった。つまり、錦織は(おそらく)心からナダルに対して「勝ちたい、勝てるはずだ」と思ってこの試合に臨んだようだ。(もちろん、マイケル・チャンの影響は大きかったのだろう。)これからを期待させるインタビューだった。
⇒2014年全豪オープン4回戦 ナダルVS錦織(1) 錦織の戦略
⇒2014年全豪オープン4回戦 ナダルVS錦織(番外編) 号泣
⇒Wimbledon 2013 錦織は優勝する「有資格者」
したがって私はこれまで、錦織が日本人だからという気持ちで応援したことはない。しかし、錦織を一人のプレーヤーとしてみたとき、錦織のプレーは見ていて楽しい。だから、錦織の試合を観戦するのが好きだ。こんなに見ていてい楽しいプレーヤーは、今のトッププロ選手の中でも多くはない。錦織のプレーにはイマジネーションがあふれており、体格的に不利な点をアイデアと戦略とスピードでカバーしている。その結果、錦織のテニスはその特徴が際立ってきた。
日本人が現在の世界No.1に挑戦するからではなく、まだ若く将来が期待される才能あふれる若いプレーヤーがNo.1に挑戦するという意味で、この試合は興味深い試合だった。
錦織がコーチにマイケル・チャンを迎えたことはとてもユニークだ。私がよく参考にさせていただいているブログ(「テニスからテニスへ」)では、錦織のプレーには背後霊のようにマイケル・チャンが見えると、的確な表現がされていた。背後霊の力を得て、錦織は取りつかれたようにこれからも前に進んでいくのだろう。
ところで、このゲームを見ていて、錦織のプレーは、往年のマイケル・チャンとはかなり異なるように感じた。マイケル・チャンは相手のボールを受けて、受けて、受け流して、そこから攻撃を展開することが多かった。
錦織のプレーは、常に先手を取ろうとする。受け流すのはナダルのほうだ。と言っても、ナダルのボールは強烈で、受け流すというよりも、正確には「相手に攻撃されないパワフルな球を安全に(無理せずに)打ち込む」という印象だ。ボールに威力があるから、受け流しても相手に攻撃されない。そして、ここぞというチャンスの時にだけリスクの高いボールをコーナーに打ち込んでポイントを取りに行く。いつものナダルのスタイルだ。
錦織のショットは、一本目から攻撃的だ。しかも、相手の予想する最も可能性が高いショット(つまり、錦織はこういうボールを打ってくるだろうと予測するショット)とは違う選択肢を選ぶ。例えばレシーブでも、相手のサーブがよい時(サーバは甘い球がリターンされると予想するだろう)ほど、さらに良いリターンを返そうとする。よいサーブを打った相手は、だから一瞬驚く。グランドストロークでは、ほとんどのボールでオープンコートを作ろうとする。多少のリスクと無理は承知の上だ。
テレビ観戦して気づいたが、この試合での錦織のショットはジャンプショットが多かった。力を逃がさずに相手の予想とは違う意外性のあるコースに配給し、裏をかこうとするためだ。このジャンプショットは、意味なく力の無駄遣いをするエアケイとは異なる。このことは、ナダルVS錦織(1)に書いた。
しかし、世界の2位にまで上り詰めたマイケル・チャンに、錦織はまだ大きく水をあけられていると言わざるを得ない。錦織は、全盛期のチャンと比べると、まだ成熟していない。
錦織がマイケル・チャンに届いていないと感じたのは、第3セットで5-4からの錦織のプレーだ。錦織は、理想的な展開とプレーで4-4からナダルのサービスをブレークした。次のゲームを取ると第3セットをナダルから取り返すことができる。しかし、錦織は、ここでアンフォースド・エラーを連続し、このゲームを簡単に失う。このアンフォースド・エラーは、「惜しい」では済まないショットだった。技術ではない、メンタルからくるアンフォースド・エラーだ。(追記:このことは、試合後のインタビューで錦織自身も認めていたようだ。)
マイケル・チャンは、こういうゲーム展開に強かった。決して無理をしない。しかし、守りにも入らない。上背や体格から相手を圧倒する必殺のショットを持たない現役時代のマイケル・チャンは、相手の心理を読み、ここぞとばかりに相手の嫌がるボールを打ち、精神面とボール配給の両方から相手を追い詰めた。常に、気持ちは相手の上側にあり、相手を見下ろしながらプレーしていた。
錦織は委縮して、攻めきれなかった。自分の気持ちが相手の上に持ってくるか、相手の下に入ってしまうか。その差は大きい。本当の修羅場を、錦織はまだ乗り越えていない。
この敗戦は、錦織にとっては、お金では表せない貴重な授業料となった。どんなに高価なコーチングを受けるよりもこの一試合から学んだことの方が多いだろう。学習できる内容が、これほど多く詰め込まれた試合は、おそらく錦織にとっても初めてなのではないか。世界で最も強い、つまり世界で最も多くのことを与えてくれるナダルと対戦することで初めて得た経験がてんこ盛りに詰め込まれていた。おそらく、錦織とマイケル・チャンは、何時間も、いや何日もかけてこの対戦を話し合い、分析するだろう。そこから錦織が学ぶことは数知れない。そして、頭の良い錦織は、それらのすべてを必ず吸収するだろう。
【追記】上の記事を書いた後、試合後の錦織のインタビューを見た。「勝たないと、どうしようもない。」錦織のコメントの「ナダル」という文字を誰か錦織にとって格下のプレーヤーの名前で置き換えても、違和感がない内容だった。つまり、錦織は(おそらく)心からナダルに対して「勝ちたい、勝てるはずだ」と思ってこの試合に臨んだようだ。(もちろん、マイケル・チャンの影響は大きかったのだろう。)これからを期待させるインタビューだった。
⇒2014年全豪オープン4回戦 ナダルVS錦織(1) 錦織の戦略
⇒2014年全豪オープン4回戦 ナダルVS錦織(番外編) 号泣
⇒Wimbledon 2013 錦織は優勝する「有資格者」
2014年全豪オープン4回戦 ナダルVS錦織(1) 錦織の戦略
私はテニスのプロではないので技術的なことはよくわからないが、2014年全豪オープン4回戦 ナダルVS錦織での錦織のプレーからその戦略を私になりに考えてみた。
まず目についたのは、錦織は、様子見のための単純な打ち合いをしなかったことだ。相手のナダルの出方を伺って…などというのは、チャレンジャーたる錦織の戦略ではない。それは、王者ナダルの戦い方だ。
錦織は、打ち合いの一本目から主導権を自分が握ろうとした。一本目でどちらかのサイドに相手を小さく振って、次の返球を待つ。その返球が甘いと判断したら、二本目はもう少し大きく逆サイドに振る。場合によっては、裏をかいて同じサイドに振ることもある。その返球次第で三本目で勝負に出る。バウンドして高く弾む前にボールをヒットしてオープンコートに打ち込み、そのままネットを取ったり、コーナーいっぱいを狙ったり、ショートボールやドロップボールを打ったりと、多彩な攻撃を仕掛ける。このゲームで再三にわたって奏効したドロップボールはこの「三本目」がこの試合でうまく機能したことを示している。
世界のトッププレーヤーの中では上背がない錦織だが、ボールを低い位置でも高い位置でも、またベースラインからでもサービスラインからでも多彩なショットが打てるので、一本目や二本目が相手の読みを外し、相手のバランスを崩す。その結果、この三本目が効いてくる。単純な攻めしかできないプレーヤーには考えられない戦略だ。この組み立てがきれいに決まると、そのポイントだけではなく、そのゲーム全体を有利に運びやすくなる。相手は、少しずつ精神的に追い込まれていくだろう。
まともに打ち合っては、高く弾むナダルのショットが上背のない錦織を苦しめるのは明らかだ。力対力の打ち合いでナダルに力の入りにくい高いボールを打たされて、多くの下位ランカーたちは試合をさせてもらえずナダルの前を敗者として通り過ぎていった。
錦織は違った。3本の組み立てをポイントの最初から使うことで、ナダルの跳ねるボールを打ち合うことを回避した。もちろん、その3本の組み立ては、すべてのショットに多少のリスクを伴う。自分のボールが甘いと一気に逆襲を受けるし、リスクが高い分だけ多少のミスは避けることができない。
このゲームの統計(STAT)で錦織のネットポイントとアンフォースド・エラー数がともにナダルの倍以上だったのは理由がある。ウイナーの数がナダルと錦織で同数だったのも同じ理由だ。繰り返しドロップショットを決めナダルを翻弄したのは、この1本目から2本目にかけてのおぜん立てがあってこのことだ。2013年ウィンブルドン男子決勝でのジョコビッチの意味のないドロップショットの繰り返しとは全く質の異なる、レベルの高い戦略に裏付けられていた錦織のドロップショットだったのだ。
3本で少しずつ厳しいボールを配給して相手を仕留める方法は目新しいものではない。しかし、現代の高速ストロークを主体とするテニスにおいてこれを実践するには、スピードに負けない反応の速さに加えて正確なコントロールと相手の裏をかくイマジネーションが必要となる。錦織は、パワーでは多くのトッププロに劣るが、これらのすべてのタレント(能力)を備えている。
極端なパワーや特殊な技術ではなく、厚いフォアハンドグリップであるにもかかわらずコートの中でコースを広く打ち分けることができ、かつイマジネーションあふれたプレーができる錦織には最適な戦略だ。ナダルが、この試合後のインタビューで「錦織はボールのコースを変えてくる」と指摘したのは、おそらくこのことだと思う。
Youtubeで見る数年前の錦織であれば、この戦略は難しかったと思う。このころの錦織のプレーは、今日の試合と比較するとまるでスローモーションのようだ。今の錦織には、この戦略が可能なだけの体の動きの速さがある。ほんの少し、おそらく、0.1秒程度であっても足の動きが遅れるだけで、ボールはもうネットしたりアウトしたりする。恐るべき高速な世界に錦織はいる。
この戦略がおおむねナダルに通用したことは、錦織の今後のプレーの方向性を確固たるものにしたに違いない。ナダルに通用するということは、世界のほとんどのプレーヤーに通用するということだ。あとはその精度を上げ、ボールの選択肢を増やしていくだけだ。それだけで、錦織はトップ10に必ず入れる。それが明らかになっただけでも、この敗戦の授業料は決して高かったとは思えない。
⇒ 2014年全豪オープン4回戦 ナダルVS錦織(2) 意義ある敗戦
⇒2014年全豪オープン4回戦 ナダルVS錦織(番外編) 号泣
⇒Wimbledon 2013 錦織は優勝する「有資格者」
まず目についたのは、錦織は、様子見のための単純な打ち合いをしなかったことだ。相手のナダルの出方を伺って…などというのは、チャレンジャーたる錦織の戦略ではない。それは、王者ナダルの戦い方だ。
錦織は、打ち合いの一本目から主導権を自分が握ろうとした。一本目でどちらかのサイドに相手を小さく振って、次の返球を待つ。その返球が甘いと判断したら、二本目はもう少し大きく逆サイドに振る。場合によっては、裏をかいて同じサイドに振ることもある。その返球次第で三本目で勝負に出る。バウンドして高く弾む前にボールをヒットしてオープンコートに打ち込み、そのままネットを取ったり、コーナーいっぱいを狙ったり、ショートボールやドロップボールを打ったりと、多彩な攻撃を仕掛ける。このゲームで再三にわたって奏効したドロップボールはこの「三本目」がこの試合でうまく機能したことを示している。
世界のトッププレーヤーの中では上背がない錦織だが、ボールを低い位置でも高い位置でも、またベースラインからでもサービスラインからでも多彩なショットが打てるので、一本目や二本目が相手の読みを外し、相手のバランスを崩す。その結果、この三本目が効いてくる。単純な攻めしかできないプレーヤーには考えられない戦略だ。この組み立てがきれいに決まると、そのポイントだけではなく、そのゲーム全体を有利に運びやすくなる。相手は、少しずつ精神的に追い込まれていくだろう。
まともに打ち合っては、高く弾むナダルのショットが上背のない錦織を苦しめるのは明らかだ。力対力の打ち合いでナダルに力の入りにくい高いボールを打たされて、多くの下位ランカーたちは試合をさせてもらえずナダルの前を敗者として通り過ぎていった。
錦織は違った。3本の組み立てをポイントの最初から使うことで、ナダルの跳ねるボールを打ち合うことを回避した。もちろん、その3本の組み立ては、すべてのショットに多少のリスクを伴う。自分のボールが甘いと一気に逆襲を受けるし、リスクが高い分だけ多少のミスは避けることができない。
このゲームの統計(STAT)で錦織のネットポイントとアンフォースド・エラー数がともにナダルの倍以上だったのは理由がある。ウイナーの数がナダルと錦織で同数だったのも同じ理由だ。繰り返しドロップショットを決めナダルを翻弄したのは、この1本目から2本目にかけてのおぜん立てがあってこのことだ。2013年ウィンブルドン男子決勝でのジョコビッチの意味のないドロップショットの繰り返しとは全く質の異なる、レベルの高い戦略に裏付けられていた錦織のドロップショットだったのだ。
3本で少しずつ厳しいボールを配給して相手を仕留める方法は目新しいものではない。しかし、現代の高速ストロークを主体とするテニスにおいてこれを実践するには、スピードに負けない反応の速さに加えて正確なコントロールと相手の裏をかくイマジネーションが必要となる。錦織は、パワーでは多くのトッププロに劣るが、これらのすべてのタレント(能力)を備えている。
極端なパワーや特殊な技術ではなく、厚いフォアハンドグリップであるにもかかわらずコートの中でコースを広く打ち分けることができ、かつイマジネーションあふれたプレーができる錦織には最適な戦略だ。ナダルが、この試合後のインタビューで「錦織はボールのコースを変えてくる」と指摘したのは、おそらくこのことだと思う。
Youtubeで見る数年前の錦織であれば、この戦略は難しかったと思う。このころの錦織のプレーは、今日の試合と比較するとまるでスローモーションのようだ。今の錦織には、この戦略が可能なだけの体の動きの速さがある。ほんの少し、おそらく、0.1秒程度であっても足の動きが遅れるだけで、ボールはもうネットしたりアウトしたりする。恐るべき高速な世界に錦織はいる。
この戦略がおおむねナダルに通用したことは、錦織の今後のプレーの方向性を確固たるものにしたに違いない。ナダルに通用するということは、世界のほとんどのプレーヤーに通用するということだ。あとはその精度を上げ、ボールの選択肢を増やしていくだけだ。それだけで、錦織はトップ10に必ず入れる。それが明らかになっただけでも、この敗戦の授業料は決して高かったとは思えない。
⇒ 2014年全豪オープン4回戦 ナダルVS錦織(2) 意義ある敗戦
⇒2014年全豪オープン4回戦 ナダルVS錦織(番外編) 号泣
⇒Wimbledon 2013 錦織は優勝する「有資格者」
Mecir's Tennis (213) バックハンドでラケット面が開かないこと
フォアハンドの技術についての話題が圧倒的に多いこのブログですが、今回はメシールのバックハンドについて書きます。
フォアハンド同様にバックハンドもテイクバックでラケット面が開く(上を向く)のはよくありません。よくないというよりも、ラケット面は絶対に上を向いてはいけません。
ラケット面がテイクバックで真上を向く人はいない(真上を向いたらスライスしか打てません)ですが、上を向いてはいけないというのはそういう意味ではありません。ラケット面の法線方向は、常に水平よりも下を向いていなくてはいけないということです。
これは、フォアハンドと全く同じです。テイクバックでラケット面が上を向いてしまうと、ラケット面はそのまま下から上の軌道を取った時に、順回転のかからない全くのフラットボールを打つことになります。
両手バックハンドは片手で打つフォアハンドと比べてスイング中にラケット面がぶれにくいので、それでもフォアハンドほどは不安定になりません。また、両手バックハンドは片手で打つフォアハンドのように腕でスイングすることができない(体の回転でしかスイングができない)ので、スイングスピードもフォアハンドほど出ませんので、フラットにボールを打ってもボールがすっ飛んでしまいにくいという特徴があります。
とはいえ、それでもラケット面(の法線)が水平よりも上を向いてはよくありません。何よりも、順回転がかかったフラットドライブボールを打つことができません。(ましては、ヘビースピンは打てません。)
では、どうすればよいか。ここでは、ラケットを縦に使う脳内イメージを活用します。つまり、ラケット面上で縦方向(ラケットのブリッジ=付け根方向からラケットのトップ方向)にラケット面上でボールを転がすイメージです。順クロス、ダウン・ザライン(ストレート)、逆クロスのそれぞれについてこのイメージでスイングをします。ボールを運ぶ方向に、いわゆる「縦振り」をするわけです。
これにより、スイングはグリップ側から出て行ってラケットヘッドが遅れ出てくるイメージになります。また、(縦に長い)ラケット面を活かすことで、よりうまくラケット面上で回転をかけることができます。
何よりもラケット面がテイクバックで開きにくくなります。ラケット面がテイクバックで開いていると、逆クロスには打つことができません。この、「ラケット面を縦に使って縦振りする」脳内イメージにより、逆クロスバックハンドも打つことができるようになります。
「バックハンド縦振り」の弱点は、スイングスピードを速くすることができないことです。縦方向に長くスイングするのが目的ですから、逆いうとスイングは長く大きくなります。「じんわり」と押し出していくようなイメージです。
が、それでよいのです。メシールのグランドストロークは、鋭く早くスイングすることでスピンの効いたボールを打つタイプではありません。ラケット面上で長くボールをホールドしてフラットドライブでしっかりと打ち出すのがメシールのグランドストロークですので、ラケット面の縦使いはまさにメシールのテニスなのです。
フォアハンド同様にバックハンドもテイクバックでラケット面が開く(上を向く)のはよくありません。よくないというよりも、ラケット面は絶対に上を向いてはいけません。
ラケット面がテイクバックで真上を向く人はいない(真上を向いたらスライスしか打てません)ですが、上を向いてはいけないというのはそういう意味ではありません。ラケット面の法線方向は、常に水平よりも下を向いていなくてはいけないということです。
これは、フォアハンドと全く同じです。テイクバックでラケット面が上を向いてしまうと、ラケット面はそのまま下から上の軌道を取った時に、順回転のかからない全くのフラットボールを打つことになります。
両手バックハンドは片手で打つフォアハンドと比べてスイング中にラケット面がぶれにくいので、それでもフォアハンドほどは不安定になりません。また、両手バックハンドは片手で打つフォアハンドのように腕でスイングすることができない(体の回転でしかスイングができない)ので、スイングスピードもフォアハンドほど出ませんので、フラットにボールを打ってもボールがすっ飛んでしまいにくいという特徴があります。
とはいえ、それでもラケット面(の法線)が水平よりも上を向いてはよくありません。何よりも、順回転がかかったフラットドライブボールを打つことができません。(ましては、ヘビースピンは打てません。)
では、どうすればよいか。ここでは、ラケットを縦に使う脳内イメージを活用します。つまり、ラケット面上で縦方向(ラケットのブリッジ=付け根方向からラケットのトップ方向)にラケット面上でボールを転がすイメージです。順クロス、ダウン・ザライン(ストレート)、逆クロスのそれぞれについてこのイメージでスイングをします。ボールを運ぶ方向に、いわゆる「縦振り」をするわけです。
これにより、スイングはグリップ側から出て行ってラケットヘッドが遅れ出てくるイメージになります。また、(縦に長い)ラケット面を活かすことで、よりうまくラケット面上で回転をかけることができます。
何よりもラケット面がテイクバックで開きにくくなります。ラケット面がテイクバックで開いていると、逆クロスには打つことができません。この、「ラケット面を縦に使って縦振りする」脳内イメージにより、逆クロスバックハンドも打つことができるようになります。
「バックハンド縦振り」の弱点は、スイングスピードを速くすることができないことです。縦方向に長くスイングするのが目的ですから、逆いうとスイングは長く大きくなります。「じんわり」と押し出していくようなイメージです。
が、それでよいのです。メシールのグランドストロークは、鋭く早くスイングすることでスピンの効いたボールを打つタイプではありません。ラケット面上で長くボールをホールドしてフラットドライブでしっかりと打ち出すのがメシールのグランドストロークですので、ラケット面の縦使いはまさにメシールのテニスなのです。
Mecir's Tennis (212) ハイボレーとローボレー
ハイボレーとローボレーはどちらが簡単でしょうか。
プロはともかくとして、アマチュアプレーヤーの場合は、ハイボレーが得意な人もいれば、ローボレーが得意な人もいると思います。初心者にとってはローボレーは難しいですが、薄いグリップを覚えると、逆に、ローボレーの方がむしろ安定しているという人も多いのではないかと思います。
ところが、ハイボレーが調子よく打てる時にローボレーがうまく打てないことや、その逆になる場合があります。昨日はローボレーは問題なく打てていたのに、今日はなぜかネットに引っかかるなぁ、というような場合です。
これは、ハイボレーとローボレーでは役割が違うことからきていると思います。ハイボレーはパンチ、ローボレーは流すイメージです。ハイボレーは短く打ち、ローボレーは深く打ちます。ハイボレーは力強くボールをヒットしますが、ローボレーはボールを運ぶように打ちます。
メシールのテニス(210)でも書きましたが、力強くボールを打つ場合にはラケットを短く持つことが有効です。つまり人差し指の付け根を意識するわけです。一方、運ぶように打つ場合にはグランドストロークと同じように小指の付け根を意識してボールを打ちます。
これを切り替えることで、どちらのボレーも安定して打てるようになります。言い換えると、この違いを意識しておかないと、重心が人差し指に来ている日は「今日は、なぜか、ローボレーがうまくいかないなあ」ということになるわけです。
プロはともかくとして、アマチュアプレーヤーの場合は、ハイボレーが得意な人もいれば、ローボレーが得意な人もいると思います。初心者にとってはローボレーは難しいですが、薄いグリップを覚えると、逆に、ローボレーの方がむしろ安定しているという人も多いのではないかと思います。
ところが、ハイボレーが調子よく打てる時にローボレーがうまく打てないことや、その逆になる場合があります。昨日はローボレーは問題なく打てていたのに、今日はなぜかネットに引っかかるなぁ、というような場合です。
これは、ハイボレーとローボレーでは役割が違うことからきていると思います。ハイボレーはパンチ、ローボレーは流すイメージです。ハイボレーは短く打ち、ローボレーは深く打ちます。ハイボレーは力強くボールをヒットしますが、ローボレーはボールを運ぶように打ちます。
メシールのテニス(210)でも書きましたが、力強くボールを打つ場合にはラケットを短く持つことが有効です。つまり人差し指の付け根を意識するわけです。一方、運ぶように打つ場合にはグランドストロークと同じように小指の付け根を意識してボールを打ちます。
これを切り替えることで、どちらのボレーも安定して打てるようになります。言い換えると、この違いを意識しておかないと、重心が人差し指に来ている日は「今日は、なぜか、ローボレーがうまくいかないなあ」ということになるわけです。
Mecir's Tennis (211) ドロップボレーのコツ
ドロップボレーでボールを殺そうとする際に、打点を後ろに遅らせてしまっていることはありませんか?打点を後ろにすることでボールの勢いを吸収できるように無意識に感じるからだと思います。
が、これは間違いです。むしろ逆です。
ドロップボレーを打ちたい場合は、打点を前にします。そして、通常のボレーよりも前足をやや前に踏み込むぐらいのイメージを持ちます。そして、打球の勢いをその踏み込み足で吸収してしまいます。踏み込む勢いや足のクッションで吸収する勢いの量をコントロールします。吸収量は相手のボールの勢いやネットからの距離、ボールにかける逆回転の量などによって異なります。
また、踏み込むことで、ラケット面を(開いて)前に滑らせることができるために、ボールに逆回転をかけやすくなります。打点を後ろにするとラケット面が地面に垂直になるため、ボールに開店をかけることが難しくなります。
これは、アプローチショットのドロップショットにも応用が利きます。打点を前にすることでスイングに勢いが出て、相手にドロップショットだと分かりにくくなるという利点もあります。
が、これは間違いです。むしろ逆です。
ドロップボレーを打ちたい場合は、打点を前にします。そして、通常のボレーよりも前足をやや前に踏み込むぐらいのイメージを持ちます。そして、打球の勢いをその踏み込み足で吸収してしまいます。踏み込む勢いや足のクッションで吸収する勢いの量をコントロールします。吸収量は相手のボールの勢いやネットからの距離、ボールにかける逆回転の量などによって異なります。
また、踏み込むことで、ラケット面を(開いて)前に滑らせることができるために、ボールに逆回転をかけやすくなります。打点を後ろにするとラケット面が地面に垂直になるため、ボールに開店をかけることが難しくなります。
これは、アプローチショットのドロップショットにも応用が利きます。打点を前にすることでスイングに勢いが出て、相手にドロップショットだと分かりにくくなるという利点もあります。
Mecir's Tennis (210) フォアハンドアプローチショットのコツ
フラットドライブ系のフォアハンドは、スピン系と比較して、アプローチショットではやや不利です。スピン系では、ハードヒットしてネットに出ても、回転を大きくすることでベースラインより内側でボールをバウンドさせることができます。コントロールが生命線であるフラットドライブでは、ネット近くでボールを(強く)打つことは、ベースライン付近よりも打ち込める範囲が狭くなります。しかも、アプローチショットでは足を動かしながらになりますので、さらに微妙なコントロールは容易ではありません。
しかし、もし、ヘビースピンでアプローチショットを打つのであれば、それはフラットドライブ系の(つまりメシールの)テニスではなくなってしまいます。フラットドライブ系で、いかに安定したアプローチショットを打つか。これは、案外難しいテーマです。
そこで、フラットドライブ系で安定して(つまり正確なコントロールで)アプローチショットを打つ工夫が一つあります。それは、ラケットを短く持つことです。ラケットを短く持つことで、ボールに対するパワーは小さくなりますが、ボールコントロール精度が向上します。もともと、アプローチショットではネット方向への勢いがあります。つまり、大切なのはパワーではなく、前に動きながらでも狙った場所に正確にボールを運ぶコントロールです。
が、もちろんですが、アプローチショットでラケットを短く持つことはできません。ショットによってラケットの持つ場所を変えるのはあまりに高等技術であり、一般には(メシールのテニスでは)そのような方法は望ましくありません。(そんなことができる人がいるのでしょうか?)
そこで、ラケットを持ち替えずにラケットを短く持つ方法を紹介したいと思います。それは、人差し指の付け根を意識してスイングをするのです。通常のフォアハンドグランドストロークでは、メシールのスイング(フラットドライブ系)では小指の付け根に一番力が入ります。これにより、ゆっくりと大きなスイングができます。
が、アプローチショットで短くスイングをする場合には小指の付け根を意識したスイングを人差し指の付け根の意識に切り替えます。これは、人差し指の付け根だけで打つという意味ではありません。あくまで、意識をそちらに置くということです。(小指の付け根も同じ。)もちろん、スイングそのものを変える必要はありません。スイングは通常のストロークと同じです。
これにより、ラケットを短く感じ、その分だけボールが飛んでいきにくくなります。(そして、ボールが飛んでいきにくいという意識も重要です。)また、ラケットが短くなることでスイング半径を小さく(やや速く)することができます。ラケットが短い分、コントロールもしやすくなります。
同じアプローチショットでも、意図的に大きなスイングでゆっくりとラケットを動かして打つ場合もあります。(特に、足を止めて打てるような余裕がある場合など。)このような場合は、小指の付け根を意識したスイングで大丈夫です。アプローチショットによって、意識する指を換えればよいのです。
しかし、もし、ヘビースピンでアプローチショットを打つのであれば、それはフラットドライブ系の(つまりメシールの)テニスではなくなってしまいます。フラットドライブ系で、いかに安定したアプローチショットを打つか。これは、案外難しいテーマです。
そこで、フラットドライブ系で安定して(つまり正確なコントロールで)アプローチショットを打つ工夫が一つあります。それは、ラケットを短く持つことです。ラケットを短く持つことで、ボールに対するパワーは小さくなりますが、ボールコントロール精度が向上します。もともと、アプローチショットではネット方向への勢いがあります。つまり、大切なのはパワーではなく、前に動きながらでも狙った場所に正確にボールを運ぶコントロールです。
が、もちろんですが、アプローチショットでラケットを短く持つことはできません。ショットによってラケットの持つ場所を変えるのはあまりに高等技術であり、一般には(メシールのテニスでは)そのような方法は望ましくありません。(そんなことができる人がいるのでしょうか?)
そこで、ラケットを持ち替えずにラケットを短く持つ方法を紹介したいと思います。それは、人差し指の付け根を意識してスイングをするのです。通常のフォアハンドグランドストロークでは、メシールのスイング(フラットドライブ系)では小指の付け根に一番力が入ります。これにより、ゆっくりと大きなスイングができます。
が、アプローチショットで短くスイングをする場合には小指の付け根を意識したスイングを人差し指の付け根の意識に切り替えます。これは、人差し指の付け根だけで打つという意味ではありません。あくまで、意識をそちらに置くということです。(小指の付け根も同じ。)もちろん、スイングそのものを変える必要はありません。スイングは通常のストロークと同じです。
これにより、ラケットを短く感じ、その分だけボールが飛んでいきにくくなります。(そして、ボールが飛んでいきにくいという意識も重要です。)また、ラケットが短くなることでスイング半径を小さく(やや速く)することができます。ラケットが短い分、コントロールもしやすくなります。
同じアプローチショットでも、意図的に大きなスイングでゆっくりとラケットを動かして打つ場合もあります。(特に、足を止めて打てるような余裕がある場合など。)このような場合は、小指の付け根を意識したスイングで大丈夫です。アプローチショットによって、意識する指を換えればよいのです。
2014年1月19日日曜日
Mecir's Tennis (209) プロのテイクバックではラケットヘッドが後ろを向かない理由
多くの(男子)プロに共通していることの一つに、テイクバックでのラケットヘッドの向きがあります。アマチュアはテイクバックでラケットヘッドが後ろを向きますが、プロは後ろを向きません。
具体的に書くと、プロのテイクバックではラケットヘッドの向きが(ネット方向を0時として)6時方向または7時〰8時方向を向きます。
トッププロは、テイクバックトップでも6時より前方向になります。つまり、アマチュアのほうがテイクバックが大きいわけです。これはどうしてでしょうか。
以前、三角巾の図でテイクバックの開始を説明しました。つまり、テイクバックではラケットは(脳内イメージで)ネット方向を向きます。実際にも、レディーポジションでラケットヘッドはネット方向(0時方向)をむいていますから、そこからだんだん1時、2時と進んでいくわけです。
このヘッドの回転は、腰の回転です。テイクバックでは腕を使わないのですから、腰の回転でラケットヘッドは0時から1時、2時と進んで行くわけです。
プロは、このテイクバックを腰の回転で先導し、そのあとのフォワードスイングの前半も腰の回転を使います。つまり、腕は(まったく動かさないというわけではないものの)動かさないイメージです。腕を使い始めるのは、インパクト直前からです。
アマチュアは、フォワードスイングをどうしても腕で振ってしまいます。そのためには力とラケットの勢いが必要で、そのためにラケットを大きく引くことになります。ラケットヘッドは、勢いをつけるために、4時、5時、6時…とどんどん後ろを向いていくわけです。
プロはフォワードスイングを腰の回転で開始しますから、ラケットヘッドは脳内イメージでは2時ぐらいでフォワードスイングが始まります。実際にも、5時ぐらいになります。
ポイントは、(テイクバックはもちろんのこと)フォワードスイングを腰の回転でリードできるかどうかです。これがプロとアマチュアの違いです。
具体的に書くと、プロのテイクバックではラケットヘッドの向きが(ネット方向を0時として)6時方向または7時〰8時方向を向きます。
トッププロは、テイクバックトップでも6時より前方向になります。つまり、アマチュアのほうがテイクバックが大きいわけです。これはどうしてでしょうか。
以前、三角巾の図でテイクバックの開始を説明しました。つまり、テイクバックではラケットは(脳内イメージで)ネット方向を向きます。実際にも、レディーポジションでラケットヘッドはネット方向(0時方向)をむいていますから、そこからだんだん1時、2時と進んでいくわけです。
このヘッドの回転は、腰の回転です。テイクバックでは腕を使わないのですから、腰の回転でラケットヘッドは0時から1時、2時と進んで行くわけです。
プロは、このテイクバックを腰の回転で先導し、そのあとのフォワードスイングの前半も腰の回転を使います。つまり、腕は(まったく動かさないというわけではないものの)動かさないイメージです。腕を使い始めるのは、インパクト直前からです。
アマチュアは、フォワードスイングをどうしても腕で振ってしまいます。そのためには力とラケットの勢いが必要で、そのためにラケットを大きく引くことになります。ラケットヘッドは、勢いをつけるために、4時、5時、6時…とどんどん後ろを向いていくわけです。
プロはフォワードスイングを腰の回転で開始しますから、ラケットヘッドは脳内イメージでは2時ぐらいでフォワードスイングが始まります。実際にも、5時ぐらいになります。
ポイントは、(テイクバックはもちろんのこと)フォワードスイングを腰の回転でリードできるかどうかです。これがプロとアマチュアの違いです。
2014年1月13日月曜日
Mecir's Tennis (208) フォアハンドでのテイクバックのラケット面
フォアハンドのテイクバッグでのラケット、腕、手首の動きはとても複雑で、おそらく文章で表現するのは無理なのではないかと思います。言い換えれば、これまでに誰も正しいラケットの動きを説明できなかったのではないかと思います。
と言っても、では私が解説できるわけではないのですが、ヒントになりそうなことを書いてみたいと思います。
テイクバックの前半では腕を動かさず、腰の回転だけでラケットを引くことは何度も書いています。その結果として、メシールのフォアハンドでは、男子プロテニスプレーヤーのトップ選手の中で唯一、ラケットヘッドが下を向いてテイクバックします。
そのあとは、相手の打ったボールにもよりますが、大なり小なりのテイクバックが入ります。(まったく腕を動かさないテイクバックはNGです。スイングには、かならず「遊び」の部分が必要です。車のアクセルと同じです。)
実際にはラケットヘッドはネットを向きません。4時から5時ぐらいの方向を向きます。(0時がネット方向。)しかし、これは、ラケットヘッドが6時以降(6時、7時、8時方向など)を向くことを避けるための脳内イメージです。ラケットヘッドは、絶対に6時方向を向いてはいけません。
ラケット面が伏せられている(脳内イメージを持つ)限りは、そのあとのテイクバックは比較的自由です。相手のボールが遅い場合は大きなテイクバックでもよいですし、速い場合は小さなテイクバックで構いません。相手のボールや自分のうちタイボールに合わせます。ただし、ラケット面は伏せたままです。
ラケット面を伏せたスイングイメージ(脳内イメージ)として有効なのは、ラケットを伏せたままラケット面の法線方向にラケットを動かすことです。また、手首(リスト)を使わないことです。これにより、ラケット面が間違えても上を向くことがありません。
そこまでこだわるのは、フラットドライブ系のフォアハンドでは、どうしてもラケット面が開きやすいからです。これまで何でも書いていますが、インパクトではラケット面がボールに垂直にあたるからと言って、テイクバックでもラケット面が開いてはいけないのです。伏せた面がフォワードスイングででだんだん開いていき、ボールをヒットするときにちょうどラケット面がボールに垂直になるのです。
フォワードスイングは、再び腕を使わず、体の回転でラケットを運びます。腕を使うのはインパクト直前からです。インパクト直前からは、逆に、腕を使います。それも、上と同じ「遊び」が必要だからです。この小さな遊び(腕の操作)で最終的なボールコントロールをします。
テイクバックでラケット面が伏せられていても、体の回転に合わせてフォワードスイングをすると、インパクト時ではちょうどラケット面がボールに垂直に当たります。言い換えると、そうなるようにフォワードスイングをします。イメージとしては、インサイドアウトで下から上にラケットスイングをすることで、伏せられたラケット面がインパクトで垂直になるはずです。
(このあたりの3次元的なラケット面の動きは文章にするのはなかなか難しいです。といっても、逆に、絵にするのも難しいのですが。)
フォワードスイングでは、フラットドライブ系のボールを打つ場合にはインパクトからラケット面の法線方向にラケットを振ります。スピンポールを打ちたければスイング方向がややフレーム方向になるようにスイングします。このあたりは、打ちたいボールに合わせて加減を変えてやることになります。スイングスピードや腕の力は打ちたいボールよって変えてはなりません。同じスピードで、同じ力で、ただしスイング方向とラケット面の法線方向を少し変えるだけです。
と言っても、では私が解説できるわけではないのですが、ヒントになりそうなことを書いてみたいと思います。
テイクバックの前半では腕を動かさず、腰の回転だけでラケットを引くことは何度も書いています。その結果として、メシールのフォアハンドでは、男子プロテニスプレーヤーのトップ選手の中で唯一、ラケットヘッドが下を向いてテイクバックします。
そのあとは、相手の打ったボールにもよりますが、大なり小なりのテイクバックが入ります。(まったく腕を動かさないテイクバックはNGです。スイングには、かならず「遊び」の部分が必要です。車のアクセルと同じです。)
- その際のテイクバックでは、まず、ラケット面を必ず伏せた脳内イメージを持ちます。
- さらにラケットヘッドをネットに向ける脳内イメージを持ちます。
実際にはラケットヘッドはネットを向きません。4時から5時ぐらいの方向を向きます。(0時がネット方向。)しかし、これは、ラケットヘッドが6時以降(6時、7時、8時方向など)を向くことを避けるための脳内イメージです。ラケットヘッドは、絶対に6時方向を向いてはいけません。
ラケット面が伏せられている(脳内イメージを持つ)限りは、そのあとのテイクバックは比較的自由です。相手のボールが遅い場合は大きなテイクバックでもよいですし、速い場合は小さなテイクバックで構いません。相手のボールや自分のうちタイボールに合わせます。ただし、ラケット面は伏せたままです。
ラケット面を伏せたスイングイメージ(脳内イメージ)として有効なのは、ラケットを伏せたままラケット面の法線方向にラケットを動かすことです。また、手首(リスト)を使わないことです。これにより、ラケット面が間違えても上を向くことがありません。
そこまでこだわるのは、フラットドライブ系のフォアハンドでは、どうしてもラケット面が開きやすいからです。これまで何でも書いていますが、インパクトではラケット面がボールに垂直にあたるからと言って、テイクバックでもラケット面が開いてはいけないのです。伏せた面がフォワードスイングででだんだん開いていき、ボールをヒットするときにちょうどラケット面がボールに垂直になるのです。
フォワードスイングは、再び腕を使わず、体の回転でラケットを運びます。腕を使うのはインパクト直前からです。インパクト直前からは、逆に、腕を使います。それも、上と同じ「遊び」が必要だからです。この小さな遊び(腕の操作)で最終的なボールコントロールをします。
テイクバックでラケット面が伏せられていても、体の回転に合わせてフォワードスイングをすると、インパクト時ではちょうどラケット面がボールに垂直に当たります。言い換えると、そうなるようにフォワードスイングをします。イメージとしては、インサイドアウトで下から上にラケットスイングをすることで、伏せられたラケット面がインパクトで垂直になるはずです。
(このあたりの3次元的なラケット面の動きは文章にするのはなかなか難しいです。といっても、逆に、絵にするのも難しいのですが。)
フォワードスイングでは、フラットドライブ系のボールを打つ場合にはインパクトからラケット面の法線方向にラケットを振ります。スピンポールを打ちたければスイング方向がややフレーム方向になるようにスイングします。このあたりは、打ちたいボールに合わせて加減を変えてやることになります。スイングスピードや腕の力は打ちたいボールよって変えてはなりません。同じスピードで、同じ力で、ただしスイング方向とラケット面の法線方向を少し変えるだけです。
Mecir's Tennis (207) フットワークとスイングは一つ
このブログでは、「メシールのラケットスイングの方法論」に注目した記事を多く書きました。つまり、どちらかというとメシールのスイングの上体(上半身)の使い方について議論してきました。特にフォアハンドの分析を重点的に行いました。
最近、メシールのテニス(206)で下半身の重要性を書きました。そして、このブログのテーマも、今後はスイングの分析ではなく、下半身の使い方を含めたテニスのプレー全体の話題が中心となっていくと思います。メシールの独特で美しいスイングを活かして、どのようにゲームを戦うのかというのが、このブログの話題の終着駅です。もちろん、プレースタイル全体の議論についても、メシールのビデオの分析結果のまとめが中心となります。
なお、話題が上半身から下半身の使い方に変わっていくということは、テニススイングでは上体の使い方は大切なのではないという意味ではありません。むしろ逆です。正しいフォーム(上体)を身に着けていなければ、フットワークやステップワークなどの下半身を考えてもあまり意味がありません。正しいフォームが身についてこそ、そのフォームで動くボールをヒットする下半身の使い方を考えることができるのです。
で、さて、広いシングルスコートのあらゆる場所に飛んでくるあらゆるタイプのボールを打ち返すために、どういう意識を持てばよいでしょうか?フットワークは大切と誰もが言いますが、それはどういうことでしょうか?
最近、Youtubeで"Miloslav Mecir"で検索すると、二人の選手のビデオが混在してリストされます。ファンの方はご存じの通り、Miloslav Mecirとその息子(Jr.)です。Miloslav Mecir Jr.は1988年1月20日生まれですのでもうすぐ26歳です。(この記事は、2014年1月13日に書いています。)
往年のメシールファンは、息子であるメシール・ジュニアに往年のプレーを求めると思いますが、それはやはり酷ですね。おそらく、トッププロの世界ではメシールの往年のテニスは簡単には通用しないでしょう。
二人のミロスラフ・メシールのプレーを比較するわけではないですが、映像を見ていると明らかに父メシールが優れている点があります。それが、ステップワーク(フットワーク)です。以前も書いたのですが、メシール(父)のステップワークはテニス史上のプレーヤーの中でもトップクラスだったのではないかと思います。二つの、矛盾する評価を、当時のメシールはされていました。
- メシールのフットワークは、ほとんど動いていないようにみえる。ゆったりと動いている。
- メシールのフットワークは、猫のように素早い(ビッグキャット)。
この二つは、全く違うことを書いています。当時は、誰もその理由を解説してくれませんでした。私にも、この矛盾する二つは、ともに正しいように思います。どうしてなのだろう?
今、私はこんな風に思います。「メシールにはフットワークという考え方がなかったのだろう」、と。
今、私はこんな風に思います。「メシールにはフットワークという考え方がなかったのだろう」、と。
例えば、コートの中心に立つと、コートの一番端に来たボールまでは、足を3歩動かすと届きます。特にメシールのフォアハンドは(当時としては珍しい)オープンスタンスでしたので、本当に3歩でボールを打つことができます。結局、「3歩動いてボールをヒットする」ですが、この「3歩動く」のと「ボールをヒットする」のを別の動きと考えるか、ひとつの動きと考えるかが、メシールのフットワーク(ステップワーク)の考え方の違いです。
ややこしいと思われるかもしれませんが、こういうことです。つまり、「テニスのスイングは足を3回動かしてボールを打つ」とスイングを定義してしまえば、フットワークという考え方はなくなるのです。ステップそのものがストロークの一部です。
これがメシール独特ののフットワークイメージです。メシールのテニスでは、フットワークとスイングは一つなのです。フットワークはスイングの一部でしかないのです。特に3歩目は、ボールに近づくためのステップではありません。3歩目はボールをヒットするための踏み込みとなるわけです。
こう考えることで、「ボールのところに走って行って打つ」という考え方は消えます。いわゆるフットワークはなくなります。これが、上の二つの矛盾するメシールのフットワークイメージの理由ではないかと思うのです。フットワークがないのですから動いていないように見えます。一方で、足の動きがスイングの一部ですからするすると(自然に、滑らかに)ボールに近づいていくように見えます。
この考え方には弱点もあります。その一つは、細かい足の調整はできないということです。多くのプレーヤーが「時間に余裕があれば細かい足の動きで調整する」と考えるでしょうが、メシールが横の動きにおいてグランドストロークでそのような細かいステップの調整をしているのを見たことがありません。メシールは最初から3歩でボールを打つと決めていますので、その3歩がボールに近づくステップでもあり、同時に調整するステップでもあります。
Mecir's Tennis (206)で書いた「上体に力を入れない」ということと、上に書いた「3歩のステップがスイングの一部」という考え方の延長線上にあるのは、次のイメージです。
ゲーム中には意識も力もすべて下半身にあり、3歩でボールを打てる場所と体勢を作ることだけに集中する。
ボールが飛んできたら、とにかく3歩でよい形を作ります。よい形ができれば、腰の回転を強くすることで少しでも強い球を打つようにしますが、その場合にも上体には力を入れません。
メシールは、あるインタビューでインタビュアーに「あなたの腕の使い方は独特ですね」と言われてこう返事をしたそうです。「テニスは足でするものだ。」
これを、私は、いわゆる「テニスは足ニス」ということかと思っていたのですが、実は違うのかもしれません。メシールは、コート上で下半身のことしか考えていなかったのではないかと思います。以下にボールに対してよい位置で3歩目のステップでボールをヒットするのか、それだけを考えてグランドストロークをしていたのではないかと想像するのです。相手がどんなボールを打ってきても、スピン系のボール、スライス系の切れていくボール、フラット系の深い強い球、どんなボールが来ても、3歩目でボールを打つスイング。これがメシールのテニスだと思います。
Mecir's Tennis (206) 上半身(特に腕)の力を抜くこと
強いボールを打ちたいとき、振り遅れたスイングを挽回したいときがあります。このようなときには、どうしても強くラケットを振りたい、速くラケットを振りたいと感じるものです。
チャンスボールや甘いボールが来て相手を追い込みたい場合でも、相手のボールが深かったり厳しかったりして追い込まれた場合でも、上半身に力を入れないこと、腕に力を入れずにスイングすることが、メシールのテニスの重要な点の一つです。
王貞治はあれだけのホームランを打った往年の名選手ですが、それほど体格が立派だったわけではありません。その体格は、とても世界で最もホームランを打つ選手には見えませんでした。その王選手が現役時代に受けたインタビューで、こんなことを言っていました。「スイングは力ではない。スイングの力配分は、2→8→2が理想だ。」インパクトの一番力が入るところですら、8割の力で打つわけです。それが、あの体格でもホームランを打ち続けることができた理由の一つだったと思います。
メシールのグランドストロークのフォームは、非常にコンパクトです。特に、(何度も書いていることですが)テイクバックはラケットを持ったまま上体を回転するだけのシンプルでコンパクトなフォームです。利点も多いコンパクトなフォームですが、欠点もあります。たとえば、コンパクトなテイクバックの場合は、スイング全体でタイミングやリズムを取ることが容易ではありません。
たとえば、余裕があるときに強いボールを打つ場合がよくあります。このような場合、一般にはテイクバックを大きくとると思いますが、メシールのようなコンパクトなスイングではあまり大きなテイクバックを取ることができません。(とはいえ、テイクバックが全く変わらないわけではありませんが。)
テイクバックを大きくすることでで力が入りすぎると、テイクバックのスイング軌道が微妙にずれます。スイングが微妙にずれると、薄いグリップのフォアハンドでは、ボールが安定しません。その結果コントロールが乱れ、チャンスボールであるはずが、逆にボールがアウトしたりネットしたりすることがあるのです。
では、強く・速くスイングしたいときにはどうすればよいでしょうか?まず強調したいのは、「そのような場合でも、スイングスピードを変えてはいけない」ということです。しかも、その力は7割~8割程度です。つまるところ、メシールのテニスではフルスイングをしてはいけないのです。
正確に言うと、上体や腕の力でフルスイングをしてはいけません。通常のストロークと違うのは、下半身です。足や腰などです。足については、より正確なポジショニングをします。正確であればあるほど、強くスイングをすることができるからです。そして、腰の回転を速くします。速くといってもフル回転するわけではありません。通常よりも力強く振る程度です。
「下半身を強く使おう」という意識は、それだけで十分です。どこをどう使うと考えずに「下半身を使って強くボールを打とう」と思うだけで十分です。なぜなら、人は無意識に、体勢を崩してまではボールを強く打たないからです。つまり、いくら下半身を強く使おうと思っても、バランスを崩すことは(無意識に)ありません。
このことは、上体とは異なる点です。上体、特に腕を強く振るとスイングが乱れ、ラケット面が微妙にずれます。何度も書きますが、薄いグリップではラケット面のずれは致命傷です。下半身に力を入れても、入れすぎても、ラケット面がずれることはありません。
つまるところ、フラットドライブ系のフォアハンドでは、チャンスボールでは、速い球を打つことを目指すのではなく、より正確に狙った場所にボールを打つことを優先するわけです。
相手に押し込まれてテイクバックが遅れている場合も同じです。スイングを速くすることで挽回しようとしてはなりません。もともとがテイクバックがコンパクトなのですから、多くの場合は挽回は可能です。挽回をする際には、腕に力を入れてスイングスピードを上げるのではなく、テイクバックをよりコンパクトにします。または、どうしても力を入れるのであれば、背筋の力を使います。
しかし、その前に、フットワーク(正確にはステップワーク)やスイング(フォーム)で挽回することを考えます。足を踏み出して打つことは当然できませんので、バックステップを使います。または、バギーホイップなどを使います。これによりスイングの形が少し崩れるのですが、それでも腕の力を変えてはいけません。
全力でボールを打たないというのは、現代テニスの常識からはNGなのかもしれません。しかし、メシールのテニスにおいては、「全力でヒットしない勇気」「7割から8割の力でボールを打つ感覚」が重要となります。フルスイングをしなくてもよいボールを打つことができるということは、ボールと体の位置関係が正しいということでもあります。力が入りやすい位置にボールを持ってこなくては、「脱力のテニス」はできません。
しかし、もし、ボールの位置がずれたとしても、それでも力を入れてはいけないのです。その場合には、スイングを崩して打ちます。本来は望ましくないことですが、多少崩れたとしても、腕などの上半身に力を入れてしまうよりははるかにましです。実際、メシールにビデオを見ていると、実はスイングバランスが崩れていることが頻繁にあります。トッププロであっても、常に100%の位置でボールをヒットできるわけではないのです。
「上体を強く使わない勇気」は、本当に勇気が必要です。しかし、思い出してください。メシールが全力でボールをヒットしている姿を見せたことがあるでしょうか?そのことを信じて、7割、8割の力でボールを打つのです。
チャンスボールや甘いボールが来て相手を追い込みたい場合でも、相手のボールが深かったり厳しかったりして追い込まれた場合でも、上半身に力を入れないこと、腕に力を入れずにスイングすることが、メシールのテニスの重要な点の一つです。
王貞治はあれだけのホームランを打った往年の名選手ですが、それほど体格が立派だったわけではありません。その体格は、とても世界で最もホームランを打つ選手には見えませんでした。その王選手が現役時代に受けたインタビューで、こんなことを言っていました。「スイングは力ではない。スイングの力配分は、2→8→2が理想だ。」インパクトの一番力が入るところですら、8割の力で打つわけです。それが、あの体格でもホームランを打ち続けることができた理由の一つだったと思います。
メシールのグランドストロークのフォームは、非常にコンパクトです。特に、(何度も書いていることですが)テイクバックはラケットを持ったまま上体を回転するだけのシンプルでコンパクトなフォームです。利点も多いコンパクトなフォームですが、欠点もあります。たとえば、コンパクトなテイクバックの場合は、スイング全体でタイミングやリズムを取ることが容易ではありません。
たとえば、余裕があるときに強いボールを打つ場合がよくあります。このような場合、一般にはテイクバックを大きくとると思いますが、メシールのようなコンパクトなスイングではあまり大きなテイクバックを取ることができません。(とはいえ、テイクバックが全く変わらないわけではありませんが。)
テイクバックを大きくすることでで力が入りすぎると、テイクバックのスイング軌道が微妙にずれます。スイングが微妙にずれると、薄いグリップのフォアハンドでは、ボールが安定しません。その結果コントロールが乱れ、チャンスボールであるはずが、逆にボールがアウトしたりネットしたりすることがあるのです。
では、強く・速くスイングしたいときにはどうすればよいでしょうか?まず強調したいのは、「そのような場合でも、スイングスピードを変えてはいけない」ということです。しかも、その力は7割~8割程度です。つまるところ、メシールのテニスではフルスイングをしてはいけないのです。
正確に言うと、上体や腕の力でフルスイングをしてはいけません。通常のストロークと違うのは、下半身です。足や腰などです。足については、より正確なポジショニングをします。正確であればあるほど、強くスイングをすることができるからです。そして、腰の回転を速くします。速くといってもフル回転するわけではありません。通常よりも力強く振る程度です。
「下半身を強く使おう」という意識は、それだけで十分です。どこをどう使うと考えずに「下半身を使って強くボールを打とう」と思うだけで十分です。なぜなら、人は無意識に、体勢を崩してまではボールを強く打たないからです。つまり、いくら下半身を強く使おうと思っても、バランスを崩すことは(無意識に)ありません。
このことは、上体とは異なる点です。上体、特に腕を強く振るとスイングが乱れ、ラケット面が微妙にずれます。何度も書きますが、薄いグリップではラケット面のずれは致命傷です。下半身に力を入れても、入れすぎても、ラケット面がずれることはありません。
つまるところ、フラットドライブ系のフォアハンドでは、チャンスボールでは、速い球を打つことを目指すのではなく、より正確に狙った場所にボールを打つことを優先するわけです。
相手に押し込まれてテイクバックが遅れている場合も同じです。スイングを速くすることで挽回しようとしてはなりません。もともとがテイクバックがコンパクトなのですから、多くの場合は挽回は可能です。挽回をする際には、腕に力を入れてスイングスピードを上げるのではなく、テイクバックをよりコンパクトにします。または、どうしても力を入れるのであれば、背筋の力を使います。
しかし、その前に、フットワーク(正確にはステップワーク)やスイング(フォーム)で挽回することを考えます。足を踏み出して打つことは当然できませんので、バックステップを使います。または、バギーホイップなどを使います。これによりスイングの形が少し崩れるのですが、それでも腕の力を変えてはいけません。
全力でボールを打たないというのは、現代テニスの常識からはNGなのかもしれません。しかし、メシールのテニスにおいては、「全力でヒットしない勇気」「7割から8割の力でボールを打つ感覚」が重要となります。フルスイングをしなくてもよいボールを打つことができるということは、ボールと体の位置関係が正しいということでもあります。力が入りやすい位置にボールを持ってこなくては、「脱力のテニス」はできません。
しかし、もし、ボールの位置がずれたとしても、それでも力を入れてはいけないのです。その場合には、スイングを崩して打ちます。本来は望ましくないことですが、多少崩れたとしても、腕などの上半身に力を入れてしまうよりははるかにましです。実際、メシールにビデオを見ていると、実はスイングバランスが崩れていることが頻繁にあります。トッププロであっても、常に100%の位置でボールをヒットできるわけではないのです。
「上体を強く使わない勇気」は、本当に勇気が必要です。しかし、思い出してください。メシールが全力でボールをヒットしている姿を見せたことがあるでしょうか?そのことを信じて、7割、8割の力でボールを打つのです。
2014年1月2日木曜日
25年を挟んだトランプのカード合わせ(マレー&レンドル、フェデラー&エドバーグ、ジョコビッチ&ベッカー、錦織&チャン…)
1980年後半のメシールが活躍した時代には、世界の男子プロテニスはタレントがそろっていました。マッケンローやレンドル、ベッカー、エドバーグ、ヴィランデル、コナーズといったNo.1経験選手はそれぞれ個性的で、さらにはメシール、マイケル・チャン、ヤニック・ノア、ルコントといったユニークな選手がバイ・プレーヤーとして揃っていました。今から思うと、テニスの歴史の中でも際立った華やかな時期だったのではないでしょうか。
それが理由かどうかはわかりませんが、この世代の選手たちが、現在の男子テニスプレーヤーのコーチととなるケースが続いています。マレーはレンドルをコーチとして迎いいれて二人の念願のウィンブルドンを勝ち取りました。それを習うかのようにジョコビッチがベッカーと、フェデラーがエドバーグをコーチとして契約したのです。日本の錦織圭がマイケル・チャンと契約をしたニュースを見ました。シャラポアとコーチ契約をしたコナーズは、あっさりと契約解除されたようですが、それにしても・・・どういうことでしょうか、このコーチ契約ラッシュは。
後は、ナダルがマッケンローかヴィランデルと契約すれば、一揃い当時と現代の選手でセットができるのではないかと思ってしまいます。
以前も書きましたが、この時代の名プレーヤーは、みんな何か弱点とそれを補う素晴らしい長所を持っていたことが特徴でした。マッケンロー、コナーズとエドバーグのフォアハンド、レンドルのボレー、ヴィランデルのサーブなどは、私が見ていても到底美しいといえるものではなかったのです。
今のプレーヤーは、いわゆるトップ4を含めて全員がオールラウンドプレーヤーであり、大きな欠点を持っていません。テニス技術は、明らかに今の選手のほうが上だと思います。技術的には、レジェンドよりも専任コーチの方が最新技術のコーチングには向いているのではないかと思います。
一方、現在のトッププレーヤーは当時の選手たちと比べてもメンタルも安定しており、マナーもよく、メンタル面でも現在のトッププレーヤーの方が全般に優れている印象があります。実際、誰かがコメントしていましたが、「当時のトッププレーヤーたちは選手間での仲が悪かったが、今は違う」そうです。今のトッププレーヤーのほうがはるかに「大人」だと思います。
そう考えると、私には彼らがレジェンドから何をコーチされるのだろうかと思ってしまいます。勝手に想像してみました。
もしかしたら、今のトップ選手はあまりに力が均衡してしまい、そこから抜け出すためのきっかけを手探りしているのかもしれません。その時に、実績が豊かなレジェンドたちから何かヒントを得ることができるのではないかと思ったのかもれません。実際、レンドルとマレーのコンビは全米オープンやウィンブルドンでの優勝を考えると成功しているといえるでしょう。マレーの成功で、もしかしたら、レジェンドたちから新しい何かを学ぶことができると、ほかのトッププレーヤーも考えているのでしょうか。
今後、どのコンビが成功するのか、1980年代後半のテニスシーンを楽しんだ私には、2014年の男子プロテニスのゲームを観戦する楽しみが一つ増えました。
ミロスラフ・メシールは、以前の記事にも書きましたが、2014年もデ杯の監督をするようです。したがって、おそらく、特定の選手のコーチング職には就かないでしょう。社会主義国である(であった?)スロバキアらしく、国の選手の育成がメシールの本業なのでしょう。が、しかし、あの美しいテニスを、理にかなったテニスを、誰かに伝えていってほしい。そういう気持ちを私には拭うことができないのです。
それが理由かどうかはわかりませんが、この世代の選手たちが、現在の男子テニスプレーヤーのコーチととなるケースが続いています。マレーはレンドルをコーチとして迎いいれて二人の念願のウィンブルドンを勝ち取りました。それを習うかのようにジョコビッチがベッカーと、フェデラーがエドバーグをコーチとして契約したのです。日本の錦織圭がマイケル・チャンと契約をしたニュースを見ました。シャラポアとコーチ契約をしたコナーズは、あっさりと契約解除されたようですが、それにしても・・・どういうことでしょうか、このコーチ契約ラッシュは。
後は、ナダルがマッケンローかヴィランデルと契約すれば、一揃い当時と現代の選手でセットができるのではないかと思ってしまいます。
以前も書きましたが、この時代の名プレーヤーは、みんな何か弱点とそれを補う素晴らしい長所を持っていたことが特徴でした。マッケンロー、コナーズとエドバーグのフォアハンド、レンドルのボレー、ヴィランデルのサーブなどは、私が見ていても到底美しいといえるものではなかったのです。
今のプレーヤーは、いわゆるトップ4を含めて全員がオールラウンドプレーヤーであり、大きな欠点を持っていません。テニス技術は、明らかに今の選手のほうが上だと思います。技術的には、レジェンドよりも専任コーチの方が最新技術のコーチングには向いているのではないかと思います。
一方、現在のトッププレーヤーは当時の選手たちと比べてもメンタルも安定しており、マナーもよく、メンタル面でも現在のトッププレーヤーの方が全般に優れている印象があります。実際、誰かがコメントしていましたが、「当時のトッププレーヤーたちは選手間での仲が悪かったが、今は違う」そうです。今のトッププレーヤーのほうがはるかに「大人」だと思います。
そう考えると、私には彼らがレジェンドから何をコーチされるのだろうかと思ってしまいます。勝手に想像してみました。
もしかしたら、今のトップ選手はあまりに力が均衡してしまい、そこから抜け出すためのきっかけを手探りしているのかもしれません。その時に、実績が豊かなレジェンドたちから何かヒントを得ることができるのではないかと思ったのかもれません。実際、レンドルとマレーのコンビは全米オープンやウィンブルドンでの優勝を考えると成功しているといえるでしょう。マレーの成功で、もしかしたら、レジェンドたちから新しい何かを学ぶことができると、ほかのトッププレーヤーも考えているのでしょうか。
今後、どのコンビが成功するのか、1980年代後半のテニスシーンを楽しんだ私には、2014年の男子プロテニスのゲームを観戦する楽しみが一つ増えました。
ミロスラフ・メシールは、以前の記事にも書きましたが、2014年もデ杯の監督をするようです。したがって、おそらく、特定の選手のコーチング職には就かないでしょう。社会主義国である(であった?)スロバキアらしく、国の選手の育成がメシールの本業なのでしょう。が、しかし、あの美しいテニスを、理にかなったテニスを、誰かに伝えていってほしい。そういう気持ちを私には拭うことができないのです。
2013年12月31日火曜日
Mecir's Tennis (205) ラケットの重さをどこで感じるか
ラケットにはトップヘビーやトップライトなど、重さとは別にバランスがあり、最近のラケットではバランスはほとんど表記されています。私はあまり詳しくないのですが、ラケットヘッドが遅れて出てくるタイプのスイングはトップライトなほうがよく、フラット系のスイングはヘッドが重いほうがよいそうです。
私は、テニスの専門家ではないので詳しいことはわかりませんが、トップヘビーがよいか、トップライトがよいかは、体の回転とラケットの動きがどのぐらい一致しているかによるのではないかと考えています。ラケットが体の比較的近くを体と一緒に回転するタイプは、トップヘビーは向いていません。遠心力で体とラケットの回転にずれが生じやすいからです。
ミロスラフ・メシールが現役時代に使っていたラケットを、スロバキアの首都であるブラチスラバのテニス協会のレストランで見たことがあります(動画像はこちら)。ご覧いただければお分かりの通り、メシールのスノワート社製のラケットはガラスケースに入れて展示されており、残念ながら手に取ることはできませんでした。
したがって、私の想像なのですが、このラケットは重心が…というよりもスロートのところがかなり重くなっているのではないかと思います。つまり、このスロートの部分が重くっており、メシールがフォワードスイングをするときにはこの部分を意識してラケットを振っていたのではないかと思うのです。
メシールのスイングは、現代テニスの誰よりも、ラケットと体が一体になって動きます。インパクトの直前ぐらいまでは体の回転にラケットはついていくだけで、インパクトから初めて腕を使うイメージです。つまり、テイクバックからフォワードスイングにおいてはラケットの体に近い場所、すなわちスロート部分あたりを体の回転に合わせて振り出すイメージになります。ラケットがトップヘビーとなると、体とラケットの距離が離れ、そのために体の回転とラケットヘッドの回転に微妙なずれが出てしまうのです。スロート部分を走らせるイメージであれば、実質的には体の回転だけでラケットを振る(フォワードスイングする)ことができます。
ラケットヘッドに重心があるほうが遠心力でラケットを強く振ることができます。ただ、メシールの場合、ラケット全体が十分に重かったそうですので、その必要はないのかもしれません。
なお、メシールの現役時代のラケットのアップ写真は、メシールのテニス(112) どうしてもウッドラケット?(おまけ)をご覧ください。
私は、テニスの専門家ではないので詳しいことはわかりませんが、トップヘビーがよいか、トップライトがよいかは、体の回転とラケットの動きがどのぐらい一致しているかによるのではないかと考えています。ラケットが体の比較的近くを体と一緒に回転するタイプは、トップヘビーは向いていません。遠心力で体とラケットの回転にずれが生じやすいからです。
ミロスラフ・メシールが現役時代に使っていたラケットを、スロバキアの首都であるブラチスラバのテニス協会のレストランで見たことがあります(動画像はこちら)。ご覧いただければお分かりの通り、メシールのスノワート社製のラケットはガラスケースに入れて展示されており、残念ながら手に取ることはできませんでした。
したがって、私の想像なのですが、このラケットは重心が…というよりもスロートのところがかなり重くなっているのではないかと思います。つまり、このスロートの部分が重くっており、メシールがフォワードスイングをするときにはこの部分を意識してラケットを振っていたのではないかと思うのです。
メシールのスイングは、現代テニスの誰よりも、ラケットと体が一体になって動きます。インパクトの直前ぐらいまでは体の回転にラケットはついていくだけで、インパクトから初めて腕を使うイメージです。つまり、テイクバックからフォワードスイングにおいてはラケットの体に近い場所、すなわちスロート部分あたりを体の回転に合わせて振り出すイメージになります。ラケットがトップヘビーとなると、体とラケットの距離が離れ、そのために体の回転とラケットヘッドの回転に微妙なずれが出てしまうのです。スロート部分を走らせるイメージであれば、実質的には体の回転だけでラケットを振る(フォワードスイングする)ことができます。
ラケットヘッドに重心があるほうが遠心力でラケットを強く振ることができます。ただ、メシールの場合、ラケット全体が十分に重かったそうですので、その必要はないのかもしれません。
なお、メシールの現役時代のラケットのアップ写真は、メシールのテニス(112) どうしてもウッドラケット?(おまけ)をご覧ください。
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