2013年4月30日火曜日

Mecir's Tennis (150)  サーブのフォームは野球と同じ?

正しいサーブを打つ「コツ」()()()でテニスのサーブの打ち方を書きました。これはサーブで苦しんだ(そして今でも苦しんでいる)私が、試行錯誤してたどり着いた「コツ」です。(したがって、メシールのフォームとはちょっと違います。)

試行錯誤する中で書籍、雑誌、Webなどであちらこちらに、「テニスのサーブのフォームは野球のボールの投げ方と同じ」とあるのが気になって仕方がありません。これは、野球経験がない人が書くのでしょうか。

サーブと野球のボールの投げ方は、確かに、肩の回転を使う点では共通です。以前、グランドストロークでは「えもんかけ」のように肩を使うと書きました(こちら)が、サーブも同じです。

しかし、ひじの使い方は全く違います。野球では、ひじから先に前に突き出します。テニスのサーブは、逆に、ひじは遅らせます(肘をちょうつがいにして、右腕を降り出します)。下の写真(松阪大輔投手)の連続写真の下段の一番左を見てください。)


下のフェデラーのサーブの写真では、最後の4枚の写真で右ひじが蝶番のように動いているのがわかります(詳しくはこちら)。つまり、サーブでは右ひじは止まり、そこから腕が前に出ていくのです。

また、両者は、その少し前のステップでも異なります。野球の投球フォームでは、上の写真の上段一番右の写真のように肩を張り出して右ひじを後ろに引きます。テニスでは、右ひじは後ろに引きません(引いてはいけません)。右ひじは、ずっと体の前にあるのです。


テニスのサーブでは、野球のようにトスアップの後、肩を張って右ひじを大きく後ろに引っ張りはしません。

野球経験者の私にとって、「サーブや野球の投球フォームのように」というのはとても混乱しやすい説明なので、メシールのテニス(32) サーブ(その4) 野球の投球フォームの弊害で書いた内容を、再度掲載してしまいました。

人によって感じ方はいろいろでしょうが、私には、野球の投球よりもテニスのサーブのほうが、身に着けるのに時間がかかっています。(おそらく、野球は、物心がつくころからやっていたからでしょうね。)




Dunlop NEOMAX2000プチ情報

愛用しているダンロップ NEOMAX2000ですが、最近、新しく1本、追加購入しました。届いたラケットを見ると…どういう理由かわからないのですが、ほんの少し、これまでの製品と違っていたので、そのことを報告しておきます。

最近の一般ラケットと比較すると重いと言われているNEOMAX2000(ダンロップのサイトによるとフレームだけで320g)ですが、私にとってはまだ軽いので、私はラケットにリードテープ(いわゆるおもり)を貼っています。愛用しているリードテープはTOURNA(トーナ) LEAD SWINF WEIGHTS(リード スイング ウエイト) LDS-4という製品です。(これまではここから買っていたのですが、リストからなくなってしまいました。キモニーの同タイプは、まだ販売していますね。)


これは、アルファベットの大文字のHの形をしており、ラケットの内側に貼り付けることができます。ストリングが切れた時も張り替え時にテープをはがす必要がなく、ラケットの内側なのでプレーにも影響がなく、重宝しています。(価格が高いのが難点ですが。)


ところが、新しいNEOMAX2000は、なぜかペイントが微妙に変わってしまいました。一見しただけではわからないのですが、よくみると、以前よりもラケット表面の「つや消し度」が上がっています。以前より、ちょっと「つるつる」になっている感じです。このおかげで、上のリードテープが貼りつかなくなってしまいました。貼り付きが悪くなった程度ではなく、全然貼り付きません。

ラケットは正規品だと思うので、粗悪品という事ではなく、ダンロップ社が塗装を変更したのだと思うのですが、ほんのちょっとしたことなのですが困っています。別のリードテープを探さねば…。

ちなみに、この新しいラケットでコートでボールを打った感じでは、今までのNEOMAX(3本持っています)と打感は変わりません。また、上記のダンロップのサイトには、塗装の変更は特になにも書いてありませんでした。

2013年4月29日月曜日

Mecir's Tennis (149)  上体の力を抜く勇気を持とう

今回は、基本中の基本…あまりにも基本的なことを書きます。しかも、これまでにも何度か同じような内容を書いています。復習だと思って読んでください。

今回、書きたいのは、安定したグランドストロークのために必要なことです。

ボールが飛んできました。どこが仕事をするか。それは、目と足です。

目は、ボールがバウンドするまでは絶対のボールを見続けます。当然と思うかもしれませんが、それが難しいことが多いのです。体を移動させている場合であっても、目はボールがバウンドするところを見届けなくてはなりません。

同時に、足です。とにかく、早く動くのです。早く動いて、下半身のテイクバックを完了させるのです。早すぎて構いません。相手のボールが遅い時には、タメができることになりますが、それで構いません。タメはあればあるだけよいのです。

さて、ここまではこれまでにも書いていたことです。ここから先が、今回、追加したいことです。

それは、上体(特に腕)の力です。ここで、上体に力を入れないという事をルールにしてみます。力を入れない代わりに、大きなフォロースルーで(ネットを高いところでこえるような)ボールを打ちます(こちら)。

腕に、上体に力を入れないというのは、案外怖いものです。ボールに打ち負けそうに思うからです。しかし、まずは、力を抜いてボールを打ちます。もし、ボールに打ち負けたとすれば、それは、上体の力が抜けていることが原因ではなく、多くの場合は、上に書いた足の動き(テイクバック)が間に合っていないからです。足さえ間に合っていれば、勇気をもって上体の力を抜きましょう。

下半身を酷使して、上半身はリラックス。足にしっかり仕事をしてもらって、腕は楽しくテニスをしましょう。土台となる下半身が頑張ってくれれば、上半身は自由にボールを打てるようになります。早い球、遅い球、フラット系、スピン系、ストレート、クロス、逆クロス…。

本能はよくできていて、案外、力を抜いて打っても、必要最低限な力は入るものです。もし、もう少し強く打ちたければ、そこから少し力を追加します。力を入れているところから抜くよりも、抜いているところから入れていく方が、力の加減が操作しやすいものです。また、力を抜いて大きなフォロースルーを取ることで、厚い当たりのボールを、正確なコントロールで打つことができます。

上体の力を抜く勇気。これは、もちろん、目と足の動きができていることが条件になりますが、ゲームでは有効ですので、是非試してみてください。

2013年4月28日日曜日

Mecir's Tennis (148) 正しいサーブを打つ「コツ」(3)

正しいサーブを打つコツ(2)で、ラケットをフレーム方向に厚く振るというイメージが有効(な人もいる)ことを書きました。ここでは、フレーム方向に厚く振る際の右腕のイメージについて書きます。


図は脳内イメージ:実際には体の回転が入るので、厳密にこの面内でラケットが動くわけではない。

まず、ラケットをフレーム方向に厚く振るというイメージですが、上図の体と平行な線(実際には面)内でスイング(フォワードスイング)します。ラケット面が、この線(面)内にあるイメージです。本来はフォワードスイングが面内で動けばテイクバックスイングは面に拘束されませんが、実際にはテイクバックスイングもこの面内で動かすと、フォワードスイングのイメージがつかみやすいので有効です。

テイクバックスイングでは、まず肘を両肩の延長線の高さに持ってきて、その後で肘を蝶番(ちょうつがい)のようにしてラケットを持つ腕を振り上げることをお勧めします。(必須ではありません。)このようにしてラケットを振り上げると、上図の面内でラケットを振り上げやすいうえに、トロフィーポーズの際に肘が下に落ちないからです。イメージとしては、ロボットダンスのように右肘を使うイメージでしょうか。

その後は、正しいサーブを打つコツ(2)で書いたとおり、ラケットフレーム方向に厚いグリップだと思い、その方向にラケットスイングします。これで、ラケットがボールに薄く当たるので、正しいスピンボールが打ちやすくなります。

ここでひとつ気を付けることがあります。テイクバックで、脇を締めすぎてはいけないという事です。脇を締めると、下図のように肘より先の腕が外を向いてしまいます。その結果、ラケットフレームがスイング方向と角度を持ってしまうのです。その結果、ラケット面が開き、スイング方向とラケットフレームが同じ面内に収まらなくなります。(ラケットフレーム方向ではなく、ラケット面方向にスイングしてしまいます。)

したがって、右脇を閉じず、というよりは右脇を空けて、右腕(肘より先)が体に平行になるイメージ(下図の左)が有効です。


2013年4月27日土曜日

Mecir's Tennis (147) 正しいサーブを打つ「コツ」(2)

Mecir's Tennis (144) 正しいサーブを打つ「コツ」(1)で、ラケットの面方向ではなくフレーム方向にラケットをテイクバックすることを書きました。下の2つの連続写真を見てください。



上の連続写真では、⑥~⑧においてフレーム方向にテイクバックしていることが分かります。その結果、⑨においてラケット面(ボールを打つ方の面)がネット方向(0時方向)を向いています。


一方、2つめの連続写真ではどうでしょうか。⑦~⑩にかけて、ラケット面が開いているのが分かります。その結果、⑫においては、ラケット面がやや左方向(10時方向)を向いています。右腕が非常に強いプロ選手だからこそこうなりますが、アマチュアが⑦~⑩のテイクバックをすると⑫ではラケット面は6時や8時方向を向いてしまうでしょう。

さて、では、1枚目のようにラケットフレーム方向にスイングするにはどうすればよいでしょうか。

これは、私のコツ(まさに脳内イメージ)なのですが、私は、「厚いグリップのつもりで打つ」という事をしています。このイメージが有効な人と、そうではない人がいると思いますので、有効な人は活用してください。

サーブ(特にスピンサーブ)では、ラケットグリップはコンチネンタルまたはもっと薄いバックハンドイースタングリップです。私は、フォアハンドはイースタングリップ(=メシール)ですからあまり大きな違和感はないのですが、フォアハンドがウエスタングリップの場合には、かなり違和感があるグリップです。(とはいえ、ボレーなどでも同じですから、慣れている人はもう違和感は感じないと思いますが。)

上はウエスタングリップです。このグリップでサーブを打つと、ちょうど、ラケット面方向にスイングすることになります。

上は、コンチネンタルグリップですが、フレーム方向で打つと思えば、これがウエスタングリップになります。

さて、この薄いグリップは、フレーム方向にラケットを振るという意味では、厚いグリップです。ラケット面でボールを打つと思うと薄いグリップですが、ラケットフレームでボールを打つと思うと厚いグリップです。そして、その、フレーム方向に厚いグリップでサーブを打つのです。

「そんなことをしたら、本当にフレームでボールを打ってしまうだろう」と思われるかもしれません。しかし、下の二つの理由で、そうはなりません。
  • もともと、スピン系サーブは、ラケットがボールに対して非常に浅い角度で入ります。それは、言い換えると、もともと、フレーム方向でスイングした角度に近い浅い角度でボールが当たってるのですから、あまり違和感はありません。
  • 人間の本能でしょうか、実際にフレームでボールを打つことを、ヒトは無意識に避けるようです。私は何度も試しましたが、実際にはフレームでボールを打つことはありませんでした。
つまり、ここで書く「コツ」というは、薄いグリップで薄い角度でボールを打つ感覚が難しい場合には、発想を転換して、厚い当たりでボールを打つ(その代わりにフレーム方向にラケットを持つ)イメージが有効ではないでしょうか、ということです。

なかなかうまくスピンサーブが打てない(テイクバックでラケット面が開く)と言う人は、是非試してみてください。このイメージで、テイクバックでのラケット面の開きが収まることもあると思います。

2013年4月25日木曜日

Mecir's Tennis (146) 有効なグランドストローク練習(イースタングリップのフォアハンド)

フォアハンドグリップが薄い(イースタングリップ)では、ボールのあたりが厚くなる傾向があります。厚いグリップのフォアハンドと比較すると、「面を作る」ことがより重要になります。言い換えると、ボールコントロールはラケット面を作ることで行います。(厚いグリップの場合は、ボールを強くたたくことでボールをコントロールする傾向になります。)

この結果、イースタングリップフォアハンドプレーヤーは、往々にして、次のような状態になります。

「ラケット面を作っていればボールをコントロールできるため、ラケットを振ることよりもラケット面をつくことに集中してしまう。」

よいラケット面ができているときは、イースタングリップの場合は厚い当たりのボールが比較的低い弾道でネットを超えていきます。しかも、弾道が低いためにボールが短くなりにくく、結果的には「厚い当たりの深い良い球」になってくれるのです。

しかし、このようなフォアハンドストロークには大きな落とし穴があります。一つ間違えると、ゲーム中にラケットをしっかり振り切ることができなくなることがあるのです。

これを防ぐためには、日ごろから、次のような(簡単な)練習をすることが有効です。

それは、通常の一対一のストロークをする際に、ネットの高いところ(ロブに近いぐらい高くても構いません)を通るグランドストローク(とくにフォアハンド)を打つ練習です。ボールの速度は必要ありません。ゆっくり(本当にゆっくり)のボールで構いません。ただし、ベースラインとサービスラインの間(できればベースラインから2m以内)にバウンドさせるのです。

イースタングリップでこのような高い弾道のボールを打つには、二つの方法があります。

一つは、ラケット面を上に向けてそちらに向けてボールを厚い当たりで打つ方法です。しかし、この場合、ボールの力加減は簡単ではありません。ボールが失速してサービスラインあたりでバウンドしたり、逆にベースラインを超えたりすることもあります。したがって、この方法はNGです。

もう一つは、(ヘビースピンではなくてよいので)ドライブ系のボールを打つことです。そのために、ゆっくりでよいので、ラケットを(大きく)振り切ることです。ラケットをしっかり振り切ることで、ボールには順回転がかかり、同時にボールをしっかりコントロールできます。

横から見ていると「なんというゆっくりの(気の抜けた?)グランドストロークだ」と見えるかもしれませんが、これがとても有効な練習なのです。

イースタングリップのフォアハンドで、このようなボールを打つには、いくつか満たすべき条件があります。これを、前者の方法(ラケット面を作る)と比較しながら書いてみます。

まず、ボールに対して正しいポジションにいないと、ラケットを振り切ってボールを打つことができません。(ラケット面を作るだけでボールを打つ場合には、比較的ルーズなポジショニングでもボールが返球できます。)

次に、飛んでくるボールに対して良いタイミングでボールを打たないと、うまくコントロールできません。(ラケット面を作ってボールを打ち返す場合には、ボールに対するタイミングも比較的ルーズでも大丈夫です。)

そして、当たり前ですが、スイングを大きく、最後まで振り切らねばなりません。(これも、ラケット面を作るだけであれば振り切りが小さくても大丈夫ですが、前述のとおりこの方法ではボールの距離感を作ることは簡単ではありません。)

したがって、イースタングリップのフォアハンドプレーヤーには、「ゆっくりとした高い軌道のボールでベースライン当たりに弾むボールを打つ練習」は、意外に難しく、同時にとても有効で、かつ重要なのです。

実際の試合では、どちらのタイプのスイングも必要とされます。相手のボールが低く、速い場合には、むしろラケット面を作る打ち方が有効でしょう。逆に、相手のボールが緩い場合、こちらがつなぎのボールを打ちたい場合、比較的安全に打ち合いたい場合など、緩いドライブ系の高いボールを打つ場面も多くあります。

この両方のボールを打ち分けることとができると、その2つの打法がイースタングリップのフォアハンドプレーヤーは大きな武器になるはずです。

2013年4月23日火曜日

Mecir's Tennis (145) ”ラケットセット”( レディーポジションとテイクバックの間にあるモノ)

以前、プロとアマチュア(中) 自分自身のコーチになろうで書きましたが、私は、自分がプレーするときに、時々ビデオを撮ってそれを分析します。自分のプレーを第三者の目で見て、この点がよくない、ここを修正したほうがよいと「自分をコーチング」するわけです。

私の場合はメシールのテニスを目指しますので、自分のビデオとメシールのビデオを見比べます。その際に、いろいろな発見があります。

今まで、グランドストロークは、次のプロセスから構成されると思っていました。
  1. レディーポジション
  2. テイクバック
  3. (テイクバックトップ)
  4. フォワードスイング
  5. インパクト
  6. フォロースルー
しかし、実はメシールのグランドストロークには、1と2の間にもう一つプロセスがあることに気が付きました。今回は、この、レディーポジションとテイクバックの間にあるもう一つのプロセスについて書きます。

まず、レディーポジションとテイクバックの二つのステップを、ボールの位置がどこかと言う視点で区別すると、以下のようになります。
  1. レディーポジション⇒自分の打ったボールがネットを超えて相手のコートでバウンドする
  2. テイクバック⇒相手のボールはネットを超えて自分のコートでバウンドする
これを見ればわかりますが、1と2の間には、ボールの視点からも抜けがあります。つまり、「相手のコートでボールがバウンドして、相手がボールを打ち、相手のボールがネットを超えてくる」間です。これは、上の1と2の間になります。

この間、プレーヤーは何をしているでしょうか。もちろん、スプリットステップがあります。さらに、ボールが飛んでくるにしたがって、ステップワークが入ります。

が、スプリットステップやステップワークは、主として下半身の仕事です。上半身は、この期間に何をするのでしょうか。

メシールの映像を見ていると、そこには、ラケットセットと呼ぶようなプロセスが入ります。そして、このラケットセットがとても大切です。

ラケットセットが何かを書く前に、正しいプロセスとその時のボールの位置をまとめてみます。分かりやすいように、スプリットステップも入れておきます。
  1. レディーポジション⇒自分の打ったボールがネットを超えて相手のコートでバウンドする
  2. スプリットステップ⇒相手コートでボールがバウンドし、相手がボールを打つ
  3. ステップワーク(下半身)+ラケットセット(上半身)⇒相手が打ったボールがネットに向いて飛んでくる
  4. テイクバック⇒相手のボールがネットを超えて自分のコートでバウンドする
  5. (テイクバックトップ)
  6. フォワードスイング
  7. インパクト
  8. フォロースルー
メシールのフォアハンドの連続写真で、ステップ1、ステップ3とステップ4を見てみましょう。


上の写真がステップ1(すなわちレディーポジション)です。この後に、スプリットステップ(ステップ2)が入ります。さて、大切なことは、これはラケットスイングのスタート地点ではないという事です。スイングは、ここから始まるのではなく、2のラケットセットからスタートします。


上の写真がステップ3のラケットセットです。これはスイングの途中ではなく、スイングの始まりです。スイングはここから始まります。


上の写真はステップ4のテイクバックです。2のラケットセットからラケットを後ろに引いています。つまり、スイングがスタートしています。

さて、スイングスタートをレディーポジションではなく、ラケットセットから始めるというのはどういう事でしょうか。ラケットセットの定義は、「そのままラケットを引く(骨盤を回す)とテイクバックを開始できるスタート地点」です。1のレディーポジションは正面を向いており、フォアサイド、バックサイドのどちらにボールが来ても対応できる体勢です。ここからでは、そのまま4には移動できません。

メシールのようなイースタングリップ(=薄めのグリップ)では、スイングの正確性が命です。スイングやラケット面の微妙なずれは、ボールコントロールを失うことに直結します。

そのためには、できるだけ、できるだけシンプルなスイングにしたいのです。ある状態から骨盤を回転させるだけ・ラケットを引くだけでテイクバックが完了することが理想です。そのある状態は、レディーポジションではありません。したがって、テイクバックの前に、ステップ3のラケットセットの状態が必要になるわけです。

ステップ2のスプリットステップが終わった後、よほどのランニングショットではない限り、ステップは5歩程度で完了します。これがステップ3のステップワークです。下半身がステップワークを完了した時に、上半身はどうなっているでしょうか。それが、ステップ3のラケットセットです。下半身がボールを打つ形を作った時に、上半身はテイクバックを開始できる場所にラケットをセットします。

ラケットセットは、「そのままラケットを引くことができる」という事ですので、ラケットヘッドはテイクバックの時の方向を向きます。フォアハンドでは、したがって、0時方向を向くはずです。(上のステップ3のメシールの写真を見てください。)ラケットヘッドは、決して11時方向、10時方向、9時方向を向くことはありません。一方、バックハンドではラケットヘッドは0時方向から9時方向の間のどこか(テイクバックをしやすい方向)を向くことになります。

ラケットセットは、3つ目のプロセスですが、カチッとしたプロセスではありません。ステップ2からステップ4への連続動作の一つになることもあります。実際、「今日はグランドストロークの調子が良いなあ」と思う時は、ステップ2とステップ4の間でラケットセットが自然にできていることがあります。

ステップ3は、むしろ、調子が悪い時にチェックしてみるのがよいかもしれません。例えば、フォアハンドで、ステップ1からそのままステップ4に移動しようとしていないか。つまり、ラケットヘッドが9時方向を向いているところから、そのままテイクバックを始めていないか。その場合には、メシールのテニス(グランドストローク)では決して安定したテイクバックを取ることはできていないはずです。

ラケットセットにより、ステップ4のテイクバックはスムーズで、そして正確になります。スイング(とくにテイクバック)に安定感が出ます。この安定したテイクバックは、実は、メシールにテニスでは極めて重要です。

ラケットセットと言うプロセスを入れることで、実は私のスイング(そして、メシールのテニスを目指す多くのプレーヤーのスイング)の安定性が向上することは、間違いないと思います。

2013年4月21日日曜日

Mecir's Tennis (144) キャリオカ・ステップの良いところ

バックハンドスライスは、エースを取ることはあまりないショットですので、どちらかと言うとつなぎのショットです。攻めのショットにはなりにくいわけですから、バックハンドスライスを打つ際に最も大切なことの一つはミスをしないという事になります。

「安全に」と思って打ったつなぎのバックハンドスライスがネットすることがあります。攻めていたわけではないので、そのショックは大きいでしょう。これは、走らされて打った(あまり余裕のない)バックハンドスライスで時々、起こることです。

これをよく調べてみると、安全に打とうとするがあまり、背中が丸まってしまっていることがあるということに気が付きました。無意識に、エラーしないように背中を丸めてボールを「カット」しようとしているわけです。

背中が丸くなる(前傾になる)スライスはよくない
 


他のショットも同様ですが、バックハンドスライスも、背中を伸ばして(上体を立てて)打たねばなりません。これは、『丁寧に打とう』と思う時に背中が曲がってしまうのとは正反対の、本能に逆行していることになるかもしれません。

そういう場合に効果的なのが、キャリオカ・ステップです。キャリオカ・ステップは、どちらかと言うとアプローチショットなどで使うステップワークですが、走らされて打つバックハンドスライスでも使うことができます。キャリオカ・ステップでは、背筋が自然に伸びますので、上のように背中を丸めてしまう心配がありません。

また、右肩が入り、右足が前に出るクローズドスタンスになりますので、コースも読まれにくくなるという利点があります。

バックハンドスライスが安定しない時には、あえてキャリオカ・ステップを使うのも一つの方法です。

2013年4月18日木曜日

Mecir's Tennis (143) 正しいサーブを打つ「コツ」(1)

メシールのテニスと言うわけではなく、サーブで薄いグリップで握るためのコツです。

正しいサービスフォームでは、テイクバックでラケットヘッドが落ちた時(この項では、ラケットヘッドが落ちたところを、サーブのテイクバックと呼ぶことにします)にラケット面(ボールを打つ側の面)はどちらを向いているでしょうか。正解は、背中側です。

ナダルのサーブの写真で見てわかると思います。このラケット面が背中と逆方向またはネットと逆方向を向くと、ボールにスピンをかけて打つことができなくなります。


他の写真でも、ラケット面の方向を確認してみてください。




このラケット面が、9時方向を向いたり、または6時方向を向いてしまうと、スピン系のサーブを打つことができません。実際、テニスコートで見てみると、うまくスピンサーブを打てない人の多くは、テイクバック(ラケットヘッドが下向きになった時)に、上の写真と全く反対にラケット面が向いていることが多いことに気が付きました。

実際、サーブで厚いグリップで握ると、ラケット面は上の写真とは正反対の方向を向くことが多くなります。いちばん極端な例は、いわゆる「おばさんサーブ」です。この場合、ラケット面は、ネットと正反対(6時方向)を向くはずです。

実は、グリップが薄い場合でも、テイクバックまでのスイングが間違えていると、このようにラケット面が外を向いてしまいます。

これはなぜ起こるのか。調べてみたのですが、ラケットを引く(テイクバックする)過程で、それは起こります。具体的には、ラケットを振り上げてラケットヘッドが落ちるまでに、ラケット面方向にテイクバックすると、テイクバック(=ラケットヘッドが落ちた時)でラケット面は開きます。
上の図は、テイクバックしているときにラケット面を開いています。これは、言い換えると、ラケット面方向にラケット引いています。


そうではなく、ラケットのフレーム方向にラケットを引いてテイクバックまで持っていかなくてはなりません。ラケットのフレームで「空手チョップ」のようにラケットを引くイメージです。

このようにラケット面を開かないでテイクバックをすることは、それができる人にとっては簡単なことなのですが、そうではない人にはなかなか難しいのです。ではどうすればできるようになるか。

別項(正しいサーブを打つ「コツ」(2))で紹介したいと思います。


2013年4月14日日曜日

三度(みたび)、ブラチスラバへ!(メシールの故郷を訪ねて)

また、行ってきました。ミロスラフ・メシール(メチール)氏が住んでいる(はずです…(笑))の、スロバキアの首都・ブラチスラバです。

前回(こちら)同様に、また、ナショナルテニスセンター(NCT)に行ってきました。ブラチスラバには、「旧市街地」と言う美しい観光スポットがあるのですが、そちらに行かずにNTCに行く日本人は珍しいかもしれません(笑)。

今までは、きちんとした下調べをせずに訪問していたので、厳冬のブラチスラバを道が分からず行ったり来たりしてとてもつらかったのですが、今回はガイドマップ(地球の歩き方)を持っていったので、これまでの2回よりはスムーズに市内を移動できました。

冬の雪が降り積もっている時とは暖かさが違うので、それだけでもかなりの市内移動のしやすさでした。真冬のブラチスラバでは、バスを待つのもさむくて、寒くて…。

ブラチスラバ市内移動では、バスと路面電車(トラム)をうまく乗りこなすのがコツですが、市内も道が入り組んでいるために、前回、前々回はなかなか思うところに思うように移動ができませんでした。今回は、はじめから最短距離で移動しようとせずに、遠回りでもよいので本数が多い便(200番台のバスとか数字が一ケタのトラムとか)を選んで乗り継ぐことで、比較的スムーズに移動ができました。

前回も行ったNTCの中のスロバキアテニス協会のレストランを再訪したのですが、「テニスパブ(Tenis Pub)」と言うしゃれた(?)名前に変わっていました。レストランの中は、全く変わっていませんでしたが。なお、Tenisというのはスペルミスではなく、どうやらスロバキア語でテニスはTenisと書くようです。

この「テニスパブ」には前回同様、無料の無線LANサービスがあって、PCをインターネットにつなぐことができます。どうも、ブラチスラバ(スロバキア)には比較的あちらこちらに無料のワイヤレスネットワークがあるようです。ブラチスラバ中央駅でも、無料で接続ができました。長距離バスでも無料サービスがあると、Webで見ました。

テニス協会の前には、赤土のコートが10面ぐらいあります。冬の間はエアドームが並んでいましたが、今回(4月)は雪も解けきっており、ドームは全て取り外されていました。いくつかのコートは使えるようになっていましたが、他のコートはまだ整備中のようでした。スロバキアの春は遅いのでしょう。

「テニスパブ」にはテラスがあり、そこから10面のコートを見渡すことができます。私が行ったのは平日(月曜日)の午後だったこともあるのでしょうか、数名のジュニアの男女が練習をしていました。スロバキアビールを飲みながら、ぼんやりとその練習風景を見ているのは、なんとなくよい感じがしました。

Aegon Arena(エイゴンアリーナ)も前回訪れた雰囲気と全く変わらず、メインアリーナではバトミントンの選手が練習をしていました。

暖かくなってNTCはもう少し賑やかになっているかと思ったのですが、全体に、閑散とした感じがしたのは、スロバキアは2月のDavis Cup予選1回戦でウクライナに2-3で敗退しており、国内ではテニスの盛り上がりはいま一つなのかもしれません。

2013年3月23日土曜日

Mecir's Tennis (142) アプローチショットではラケットを横に振る

薄い(イースタン)グリップにとって厄介なのは、遅い球です。特に、緩い球を前に走りながら打つアプローチショットは、動きを伴うために不安定であり、かつ短い距離で強くヒットするために、ベースライン付近のグランドストロークよりも難しいといっても過言ではありません。

フォアもバックも、スライス系でアプローチショットを打つことはできても、ドライブ系のアプローチショットではネットするかバックアウトしてしまいます。

そこで、ボールコントロールしやすいスイングが必要になります。それが、横ふりのスイングです。ラケットを縦ではなく横に振ります。ラケットを、ネットに垂直ではなくに平行に振るイメージです。これにより、薄いグリップでも、強くラケットを振ることができ、ボールにスピン回転を与えやすくなります。また、ラケット面をやや下を向けることができるため、バックアウトの心配がなくなります。

2013年3月22日金曜日

Mecir's Tennis (141) 遅いボールの場合のテイクバックのタイミング:やや上級編

これまで、テイクバックはラケットを引くタイミングと同期させるということを書いてきました。具体的には、次の通りです。
  1. ボールがネットを超えて飛んでくるタイミングでラケットを引く。
  2. ボールがバウンドするタイミングでテイクバックからフォワードスイングに切り替える。
普通のスピードのボールに対してはこれでよいのですが、問題は「遅い球」です。または[高いバウンドの球」です。アプローチショットなども同じです。

これらの場合には、2でフォワードスイングを始めると、スイングが早すぎる(速すぎるではありません)ことになるのです。

この場合、もちろん、ラケットスイングを遅くすればその時間差を埋めることができるかもしれません。しかし、ポイントの中でスイングのスピードを調整するのは、かなり高度な技術です。多くの場合には、スイングが不安定になります。(グリップが薄めのフォアハンドストローカーには、ちょっとしたラケット面の誤差が命取りになります。)

薄いグリップのフォアハンドには、遅いボールは速いボールよりも打ちづらいのです。

では、どうすればよいか。それは、上の1と2のタイミングの取り方をやめて、骨盤でタイミングを取ることです。具体的には次のようになります。
  1. ボールがネットを超えて飛んでくるタイミングで骨盤をテイクバック側に回転させる(フォアハンドの場合は上から見て時計方向に回す)。
  2. ボールがバウンドするタイミングで骨盤をフォワードスイング側に回転させる。
つまり、今まではラケットでタイミングを取ってきたのを、骨盤(の回転)でタイミングを取るように切り替えます。

1については、実際には、骨盤の回転とラケットの回転は同期する(ややラケットの回転は骨盤の回転に追随する)ので、結局同じことになります。

2については、遅いボールの場合には、骨盤が先に回ることになります。が、ここで、ラケットは骨盤回転よりも後に出ていくことができます。このタイミングのずれは、上体(腕など)がコントロールできます。これにより、遅いボールでもラケットをしっかりと振ることができます。

もちろん、それよりもさらにスピードが遅いボール(本当にポーンと跳ね上がるようなボール)については、バウンドのタイミングで骨盤やラケットスイング(フォワードスイング)を開始するのをやめても構いません。この場合には、時間はたっぷりありますので、自分のタイミングで骨盤を回し、フォワードスイングをスタートさせてもよいでしょう。

骨盤でタイミングを取るのは、例えば、チャンスボールで浅い球をアプローチショットするときなどがに有効です。フォワード力は骨盤に任せて、ラケットはボールを強くかつ正確にとらえること(さらにしっかりと振り切ること)に専念できるのが魅力です。

Mecir's Tennis (140) なぜ腰を落とすのか?どこまで腰を落とすのか?

腰を落としなさい。膝を曲げなさい。そんな風に言われます。でも、誰も、なぜ腰を落とすのかを説明してくれません。

腰を落とすほうが安定するから?本当でしょうか。私の経験では、腰を落としていると、逆に動きづらいです。人は、歩くときに、腰を落としては歩きません。その方が動きづらい(下半身が疲れる)からです。

また、腰を落とすといっても、どこまで腰を落とすのでしょうか?蜘蛛のようにべたっと地面につくほど足を広げる人はいないでしょう。「何となく、腰を落としていると自分が思う程度に腰を落とす」という感覚的なイメージの人がほとんどではないかと思います。

では、なぜ腰を落とす(膝を曲げる)のか?

答えは簡単です。ボールをヒットするときには、必ず、腰を落としてボールを打つからです。ボールを打てばわかりますが、逆に、腰を落とさずにボールを打つのは難しいです。ほとんど、上半身の力だけでボールを打つことになります。骨盤を使うこともできません。

骨盤を使って(骨盤を回転させて)ボールを打とうとしてみればわかりますが、膝が曲がっていなくては骨盤を回転させることができません。

そう考えると、もう一つの答えは容易に見つかります。どの程度まで腰を落とす(膝を曲げる)のか。自分がボールをヒットするときに腰を落とす程度がその目安になります。

そう思って、レディーポジションで腰を落として構えてみてください。そして、ボールが飛んできたら、その状態(腰の高さ)を維持してステップしてみてください。で、その腰の高さのままでボールを打ってみてください。

どれほど楽にボールを打つことができるか、すぐにわかると思います。何しろ、レディーポジションですでにボールを打つ体勢になっているようなものです。もし、腰を落としていない場合には、ボールの場所までステップして行ってから、改めて腰を落とさなくてはなりません。そこには上下動が発生します。1球なら良いですが、2球、3球…とラリーが続くと、それによる負担の大きさがはっきりわかってきます。

腰を落としてステップするのは、腰を落とさないよりも疲れます。しかし、腰を落とさずにステップして行き、ボールに合わせて腰を落とす作業を(ラリーが続くことで)繰り返す方が、腰を落としたままステップするよりもはるかに負担が大きいことがわかります。しかも、前者は後者よりも安定性に欠けます。というよりも、腰を落として上下動がない状態でストロークをする方が安定します。

地面に近い低いボールを打つ場合は例外ですが、そうではない場合には、多くのプレーヤーは膝が地面につくほどまで腰を落としません。腰を落としたままでステップすることは、そんなに負担は大きくない(しんどくない)はずです。

2013年3月21日木曜日

Mecir's Tennis (139) プレー中に「ストロークでは膝をしっかり曲げる」ことを意識するのは間違い(前編)

Mecir's Tennis (138)で、目標を達成するには、結果の理解ではなく、方法の理解が大切だと書きました。話が抽象的すぎて分かりにくいかもしれませんが、スポーツにおいてはとても大切なことです。今回は、その一つの例として、ストロークで膝を曲げるという子をと考えてみたいと思います。
 

タイトルには、 「ストロークでは膝をしっかり曲げることを意識する」ことは間違いだと書きましたが、より正確に書くと次のようになります。

「ストロークでは膝をしっかり曲げる」「ストロークでは下半身を安定させる」などとよく言います。膝を曲げること自身は、間違いではありません。ただし、プレーヤーは、プレー中に膝を曲げることを意識(=目標に)してはなりません。

今回は、このことについて考えていこうと思います。

例えばミロスラフ・メシール(メチール)は、現役当時、「腰が低い」「膝をしっかり曲げている」と評されるプレーヤーの一人でした。それがメシールの安定したストロークを支えているとよく言われていました。

一方で、(世界のトッププロと比較するのも変ですが)公営コートのアマチュアプレーヤーで「膝はよく曲がっているのだけれども、それがフットワークを逆に阻害している(動きが鈍いとかボールが安定しない)」というケースがあります。(実際には、膝が曲がっていないアマチュアプレーヤーの方がはるかに多いのですが。)

私も、昔は、プレー中に「よし、膝をしっかり曲げてストロークを打つぞ!」と意識することがありました。結果は、ほとんどの場合、動きは鈍くなり、スイングは振り遅れ、ボールは逆に不安定になり、ストロークは乱れます。

この二つの違いはなんでしょうか。同じ、「膝がよく曲がっている」にもかかわらず、評価は正反対です。

そのヒントは、次にあると思います。「メシールのショットには膝が十分に曲がっていないショットや、腰が十分に落ちていないショットがある。(上記の)アマチュアプレーヤーは、いつも、どんなボールに対しても膝が曲がっている。」

つまり、「いつも膝が曲がっている」ことは、実はよいことではないのです。いえ、はっきりと「間違いです」と言いきってもよいと思います。

なぜなら、膝がいつも曲がっているアマチュアプレーヤーは、膝を曲げることを目標にしているからです。膝を曲げれば確実に良いボールが打てるのであればよいのですが、実際には、膝を曲げることは方法の一つ(一部)でしかありません。

実際には、ボールをしっかり見る、テイクバックを早く…など、すべきことはいくつもあります。上記のアマチュアプレーヤーは、それを捨てて「膝を曲げる」ことを優先しているのです。(だから、どんな場合にでもしっかりとひざが曲がるわけです。)

ある目標(結果)を達成するためには、多くの場合、複数の方法を組み合わせます。膝を曲げること以外にもボールを見る、テイクバックを早くなど、いくつもの「方法」を組み合わせて初めて目標が達成されます。大切なことは、目標を達成することであり、特定の方法を実現することではありません。場合によっては、ある方法はあきらめて、BESTではない、BETTERな結果、またはGOODな結果を得ることも大切です。

いつも100点は理想的ですが、時には60点を取ってでも決して赤点を取らないことがスポーツでは大切なのです。特に、ミスするとポイントを失うテニスでは、赤点は致命的です。赤点を取るぐらいなら、60点でも構わないというのがテニスです。


さて、グランドストロークの目標とはなんでしょうか?私の場合、プレー中(グラウンドストローク)の意識を次の一点に置いています。
  • どんなボールでもフォロースルーを大きくとってボールをしっかりと打つこと
これが、図に示した私の目標(つまり求める結果)です。方法ではありません。

プレーヤーは、すべての「方法」を意識しながらプレーすることはできません。「膝を曲げて」「ボールをよく見て」「テイクバックを早く」…などとすべてをチェックしていては、ボールは目の前を通り過ぎて行ってしまうでしょう。

プレーヤーがゲーム中に意識できるのは、目標(結果)だけです。そして、目標を意識したときにすべての方法が実現できるように普段から練習をするのです。練習では、「フォロースルーを大きくとってボールをしっかりと打つこと」ができなかったら、その理由を確認し、修正をします。
  • ボールをしっかりと打とうとすると、自然に膝を曲げることになります。(そうしないと打球が不安定になるため。)
  • ボールをしっかり打とうとすると、自然にテイクバックが早くなります。(そうしないとラケットをしっかり振ることができなくなるため。)
  • ボールをしっかり打とうとすると、自然にボールをよく見るようになります。(そうしないと、スイートスポットでボールを捕えることができないため。)
これでわかると思うのですが、膝を曲げるとか、ボールを見るなどは、スイングの一つの技術(方法)です。そして、我々が見つけるべきは、プレー中に意識すべき目標の方なのです。

別の言い方をすると、すべての「方法」が集約されるような「目標」を設定することが重要です。

ゲーム中に「フォロースルーを大きくとってボールをしっかりと打つこと」ができなかった時、方法のうちのどれかに原因があるはずです。その理由を、ポイントとポイントのインターバルに確認することは有効です。しかし、ポイントに入ったら、その方法を目標にしてはいけません。その(まずかったと分かっている)方法を意識しながら、しかし本来の目標に向かってプレーするのです。

最後に、繰り返しになりますが、方法と目標(結果)を混乱してはなりません。特定の方法に固執してはなりません。(例えば膝を落とすことだけを重視してはなりません。)すべての方法が達成できなくても、目標はBETTERやGOODとして達成できるからです。テイクバックが遅れても、ボールを見ることができなくても、膝が曲がっていなくても、「フォロースルーを大きくとってボールをしっかりと打つこと」はできます。100点満点ではなくても、60点でも合格はするのです。

これが、Mecir's Tennis (138)に書いた、「方法」と「結果(=目標)」の違いです。

Mecir's Tennis (138) 「方法」と「結果」の違いを意識すること

どのようなスポーツでもそうですが、「このように体を使うべし」というセオリーが示されることがよくあります。アマチュアプレーヤーは、いつも、「どうやって体を使えばこのショットが打てるようになるのだろうか」という情報を求めています。

実際、このブログでも、メシールのプレーする映像を参考に、いろいろなセオリーを書いています。

が、スポーツのセオリーで勘違いしやすいことの一つが、多くのセオリーは「結果」を述べているのであって、「方法」について書いているわけではないということです。この違いを理解しないと、「練習はしているのになかなか上達に結びつかない!」ということになりがちです。

このブログでは、私は「脳内イメージ」という言葉をよく使います。これは、「結果」と「方法」が異なることがあることを知っているからです。

例えば、メシールのフォアハンドでは、テイクバックでラケットヘッドは5時の方向を向きます。こちらの画像を見ても、すべてのショットでラケットヘッドが5時方向を向いています。

しかし、これは「結果」です。大切なのは、この「結果」になるために、どんな「方法」があるかを考える(意識する)ことです。つまり、「脳内イメージ」というのは、まさにこの「方法」であるわけです。

「方法」は「結果」ではありません。しかし、いろいろな読み物では、例えばトッププロの写真を掲載して、その「結果」を解説します。読者は、それを読んで、何となくわかったような気がします。自分でもできるような気がします。

しかし、実は、どうすればその「結果」を実現できるのかという「方法」については、必ずしも説明されているわけではありません。「結果」を分析や解説しても、そこに至るための「方法」がわからなければ、結果を得ることができないのです。


このように「結果」と(それを実現するための)「方法」を区別して考え、よい「方法」によってよい「結果」を得るということは、意外に見落とされている点だと思います。

さらに大切なことがあります。

見る⇒走る⇒打つというように連続動作で一つのプレーが構築される(複雑な)テニスというスポーツでは、ある「結果」が次の「方法」になることもあります。

例えば、よいサーブを打つための方法として「内転が大切だ」ということが一般に言われています。確かに内転はよいサーブを打つという「結果(=目標)」ための「方法」です。

しかし、内転を実現する方法がわからない人にとっては、今度は、その内転が結果(=目標)になります。その場合には、内転を(「結果」として)実現するための「方法」が必要になります。どのような脳内イメージ(つまり「方法」)で内転という「結果」を得るのか。その説明がない限り、いくら「よいサーブを打つ(「結果」)のためには内転(「方法」)が必要です」と説明して、内転しているサーブの写真を掲載しても、意味がないのです。

Mecir's Tennis (137) 骨盤の仕事・サーブ編

最近の多くのスポーツでは、自分の体を有効に使うためには、次の3つの働きが大切だと言われています。
  • 骨盤
  • 体幹
  • 肩甲骨
これは、テニスでも同じです。最近、いろいろなところで、テニスにおいてこの3つが大切だということが言われています。(動きながらボールを打つという、比較的複雑な動きが要求されるテニスでは、特に、このように動きと力の軸となる働きは大切です。)

これはサーブでも同じです。サーブのパワーは、骨盤の回転からもらうのが有効です。

サーブのトスアップで骨盤を使いはじめたトッププレーヤーは、おそらくアンドレ・アガシではないかと思います。


写真を見ても、しっかりと骨盤を回してパワーをため込んでいます。(この後、フォワードスイングで骨盤を戻すことでスイングしているのはもちろんです。)

Mecir's Tennis (136) ボレーの打ち方(シングルス限定)

今回は、メシールのテニスではなく、自分の経験を書きます。シングルスでのボレーについてです。

最近は、ボレーやサーブでは薄いグリップ(コンチネンタルかバックハンドイースタン)が徹底されているからか、昔(20年ぐらい前)よりもサーブやボレーの技術は、アマチュアでも高くなっているように思います。

薄いグリップを身に着けてしまうと、特にボレーでは、後はラケット面をきちんと作れるかでローボレーが打てるかどうかが決まります。(というよりも、薄いグリップでないと、ローボレーは絶対に打てないのです。)

私は、他のショットに比べると、ボレーはあまり不得意でありません。(と思っていました。)それは、若いころに徹底して薄いグリップを覚えたからだと思います。例えば、球出し練習やボレーストローク練習では、ボレーについてはあまり苦にならず、比較的問題なくボールを打ち返すことができていました。

しかし、ゲーム(試合)になると、驚くほどにボレーをミスします。ボールが飛んできても、練習の時のようにボレーすることができないのです。フォアハンドも、バックハンドも。

しかも、この傾向は、シングルスゲームのときのみであらわれるのです。ダブルスでは、問題なく(あくまで私のレベルでの問題なさですが)ボレーができます。シングするゲームだと、とたんに、半分以上のボレーをミスするか、ミスショットします。

「シングルスでだけボレーが上手くいかない。」こういう人は、私だけではなく、案外、多いのではないでしょうか。

その理由を考えてみました。そして、それが、上半身や腕ではなく、下半身にあることが分かってきました。具体的には、足への体重のかけ方によるものだと考えています。


ボレーを打つ時に、自分のどちらの足に体重がかかっているか。これを意識することが大切です。例えば、ロングボレー(ネットから離れた位置)では軸足側に体重がかかった状態でボールを打つことが多くあります。(または、打った後に体重を右足に移動します。)

シングルスは、ダブルスと違い、守る範囲が広くなります。その分、バランスは崩れやすく、また、ラケットが届かないボールも出てきます。相手のボールのバリエーションが多いのです。そのためには、ボールをヒットする前に、自分の体重がどの足にかかっているかを意識することは有効です。体重がかかっている足を意識することにより、無意識に体のバランスを整え、相手のボールに対する間合いを取ることができるようになってきたのです。

これらの技術のさらに詳しい内容は、例えば、次などで紹介されています。

  • 勝者のフットワーク塾 ボレー編(こちら
  • 藤野俊幸のテニス楽 実践マガジン vol.39  相手の強打を跳ね返せ! ボレー支える足と運ぶ足・止める足(こちら

2013年3月20日水曜日

Mecir's Tennis (135) テイクバックでは肩を支点に腕を動かす

フォアハンド、バックハンドともに、テイクバックでは腕ではなく体を回転します。もう少し正確に書くと、骨盤をフォア方向(またはバック方向)に回転します。上体はそれについていくことで回転します。

では、その際に、腕はどうすればよいでしょうか。もちろん、テイクバック後半では、腕はボールの高さなどに合わせて動かします。しかし、テイクバック始動時はどうでしょうか。

ひとつの考え方は、テイクバック始動時は腕を固定して、体と一緒に回転するという方法です。しかし、それは、逆に言うと腕を固定することになり、柔軟性に欠けます。「なんか窮屈なスイングだなあ」というプレーヤーが時々いますが、あんな感じになります。メシールのテニスは、むしろ、「どちらかというとぐにゃぐにゃしていて、柔軟性に富んでいる」スタイルです。

一方で、メシールはむやみに腕を動かしません。無駄の少ないフォームです。では、どうすればメシールのように、無駄なく、しかし柔軟なフォームを身に着けれるのでしょうか。

ここで、腕の柔軟性は失わず、しかし腕を使わない方法があります。

それは、肩を支点にして腕を動かす方法です。腕(とくに肘)は曲げたりはしませんが、肩を中心に必要なだけ腕を回す(動かすのではなく)のです。打点が高い場合も、テイクバックの途中(とくに前半)で腕を上にあげてはいけません。ボールの高さに対してアジャスト(調整)するのは、テイクバック後半か、またはフォワードスイング前半です。

この方法は、テイクバックで腕に力が入らない利点がありますが、一方で、ラケットとボールの距離の調整はやや難しくなります。また、テイクバックやフォワードスイングのタイミングは、腕でとることは100%できなくなります。(腕には力を入れないため。)

しかし、スイングの安定性は向上するはずです。下半身、とくに骨盤の働きはますます重要になります。

2013年3月12日火曜日

Mecir's Tennis (134) 左肩だけではだめ!

Mecir's Tennis (134) では、フォアハンドのテイクバックでは、左肩を入れるということを書きました。しかし、それでは、上体だけがひねられていることになります。

下半身をひねって、上体をひねる。これが正しいテイクバックです。

下半身をひねるということはどういうことか。それは、骨盤を回すということです。

図ではうまく書けないので文字で書きますが、フォアハンドでも、バックハンドでも、飛んでくるボールに合わせてひねるのは、実は骨盤です。

足はオープンでもよいのです。(バックハンドですら、骨盤が回っていれば、足はオープンでも構いません。)

バランスが多少崩れていても、骨盤が回っていればそのねじりを戻す力でスイングはできます。スイングの力は骨盤の回転からもらうのです。

Mecir's Tennis (133) 強いボールを打つために ~ミニテニスは案外有効です

このサイトに何度も繰り返し書いてきたことですが、安定して、強い(厚い)あたりのフォアハンドは、どうすれば打てるのか。テイクバックについて、最終的な確認をしたいと思います。


脳内イメージとしては、テイクバックではラケットが体と並行である時間が長ければ長い方がよりよいのです。体とラケットが並行になるときの利点はたくさんあります。
  • 左肩がしっかりと入る。ボールを打つコースを隠せる。
  • ためを作れる。パワーが出る。
  • 打点を遅らせることができる。打つまでの時間を稼げる。
  • スピンボールが打ちやすい(薄いグリップではボールの外側をこすりあげてスピンを打つため)。
  • ボールをインサイドアウトに打ちやすい。(フラットドライブは、インサイドアウトにボールを打つ。最近の厚い当たりのスピンではアウトサイドインに打ちますが。)

焦ったり、余裕がないと、つい、上の図の左のように左肩が開いてしまい、その結果、ラケットとの間の角度が大きくなります。そうすると、もう、タメを作ることも、ボールコントロールすることも難しくなります。

テイクバックでは、骨盤を回し、左肩を回す。これがどれだけ深く、ぎりぎりまでできるか(やりすぎると振り遅れるため)がポイントです。

左肩が回ってラケットと体が平行(に近くなる)のを確認する簡単な方法があります。ミニテニス(ショートラリー)です。ネットを挟んで、サービスライン内で打ち合うストローク練習です。フラットドライブでは、体とラケットに角度が付くと、ボールがラケット面にまっすぐに(垂直に)あたります(上図左)ので、回転がかかりにくくなります。したがって、相手のサービスライン内にボールを落とすことが難しいはずです。

2013年3月5日火曜日

Mecir's Tennis (132) 強いボールを打つために ~フォロースルーの仕事

このブログは、ミロスラフ・メシール(メチール)のテニススタイルについて、いろいろな角度から書いています。特に、これまではテイクバックからフォワードスイングについて、重点的に書いてきました。

正しいフォームで正しくボールを打つためには、正しいテイクバックと正しいフォワードスイングが必要です。ただし、それだけでは、狙った場所に強いボールを打つことはできません。

さて、では、どうすれば、強いボール(よいボール)を打つことができるのか?
  • ラケットを強く振る
  • ラケットを速く振る
確かにラケットを速く、そして力を込めて振れば強いボールを打てそうな気がします。しかし、これらは、スイングの(微妙な)バランスを崩してしまうため、安定したボールを打つことが難しくなります。

良いボールを打つために大切なことは、
  • フォロースルーを大きくとること
  • 体を立てて背筋を使って打つこと
が大切です。前者は、狙った場所にボールを打つためにも必要です。(フォロースルーは自分が打ちたい方向に大きく腕を伸ばしていきます。)後者は、ボールコントロールをしながら強いボールを打つために有効です。

この二つを、自分がバランスを崩したときにもしっかりと守らねばなりません。

逆に、スイングスピードは、ラケットを振る速度を上げてはいけません。大きなフォロースルーが取れるだけの(ゆっくりとした)スイングで打つことが大切です。

2013年2月13日水曜日

Mecir's Tennis (131) 右足とラケットの同期(2)

「右足とラケットの同期(1)」で、テイクバックで右足とラケット(面)を同期させることを書きました。これは、「テイクバックは弓矢の原理」で書いたことと関係します。

つまり、ラケット面と右足が平行になっていると、 ラケットの先と右足つま先が平行になります。

この形は、テイクバックからフォロースルーの間、できるだけ保たれることが望ましいのです。それは、いろいろなメリットがあります。
  • 足の力がラケットに伝わりやすい
  • 足がラケット面の微妙な向きをコントロールしやすい
  • 足でラケットを振るタイミングをコントロールしやすい
いずれにしても、腕ではなく足に仕事をさせることができます。腕の力をできるだけ抜いて、足がステップワークとラケットのスイング(とくにフォワードスイング)をコントロールできるほうが、より安定したストロークになるのです。

2013年2月11日月曜日

Mecir's Tennis (130) イマジネーションと最初の一歩目


テニスコート上でいろいろな人とゲームをすると、試合前の練習である程度は技術力が分かってきます。以前書きましたが、試合の時にはこの情報は大切で、まずは相手の技量を類推して、それに応じた(簡単な)ゲームプランをたてます。

相手の技量はそのフォームである程度分かるのですが、時々、「フォームはそれほど高い技術や経験があるように見えないのに、ゲームになると勝てない」という場合があります。ボールを打つフォームはぎこちないので「この相手は大丈夫」と思っていたら、ボールがしっかり返ってくるという場合です。

こういうタイプのプレーヤーには、共通した傾向があります。
  • 年齢的に若い。
  • 足がよく動く。
  • 無理をしない。
  • ボールに向かう姿勢が真摯。
特に大切なのが足(フットワーク)です。フォームはぎこちなくても、体のバランスが崩れないのでボールがちゃんと返ってくるのです。こういう相手は、意外に強い。

テニスは足ニスと言います。フットワークが大切だという事は、誰もが知っています。でも、フットワークとはなんでしょうか。やみくもに足を動かせばよいのでしょうか。

足がきちんと(というよりもやたらと)動いているのに、どちらかというと無駄にフットワークを使っている人がいます。一見「格好良い」のですが、球際には弱い感じのプレーヤーです。

フットワークでいくつか大切なことがありますが、その一つは「一歩目の早さ」です。「速い」ことよりも「早い」ことが大切です。

プレーヤーは、相手がボールを打った瞬間からが「自分がボールを打つ番」となります。その準備が遅れるために、よいボール・安定したボールを打てないプレーヤーが、アマチュアには多いのです。

では、とにかく「早く一歩目を動かせばよい」のか?そうでもありません。

正しくない一歩目は、それを修正するのに時間がかかるために、逆にロスが大きくなります。だったら、一歩目を遅らせた方がよいぐらいです。

正しい一歩目を少しでも早くスタートする。これが大切です。そのためには、何が必要なのか。

イマジネーションです。

相手がボールを打った瞬間に、プレーヤーはそれがどんなボールで、自分はどんなふうにそのボールを打つのかを、イメージせねばなりません。そのイメージが早ければ早いほど、また正しければ正しいほど、プレーヤーは有利になります。そして、そのイメージに合わせて、一歩目を少しでも早くスタートするのです。

この練習は、コートの外でもできます。例えば、テニスの試合をテレビで見て、選手の背中からの映像の場合などには一歩目のイメージを頭の中で作る練習をすればよいのです。この一歩目ができるプレーヤーは、スイングやフォームが多少ぎこちなくても、必ず、よいゲームができるはずです。

2013年2月9日土曜日

Mecir's Tennis (129) バウンドする地点を指さそう(その4)

フォアハンドで、ボールがバウンドするときに、左手(右利き)でボールを指さす(肘さす)ことを書きました。そのタイミングで、足はどうでしょうか?

フォアハンドの効き足である右足についてです。

状態(腕)だけではなく、足を「きめる」タイミングにも、ボールのバウンドは使えます。つまり、ボールがバウンドするときに、右足をの位置を決めるのです。

同時に、このタイミングで右足を軽く曲げるのも有効です。リズムをとる、わけです。リズムが取れ、右足に(フォワードスイングのための)パワーをためることもできます。

フラットドライブ系ボールはボールの進行方向側への力をそのまま打ち返すので、スイングのパワーよりも正確性が重要になります。(スピン系は、さらに上下方向に逆向き(下向きを上向き)にボールに力を加える分だけ、スイングにパワーが必要です。)

したがって、右足にパワーをため込む必要はないですが、しかし、リズムをとることや、ボールを打ち返すためのパワーが右足に必要になります。

右足のリズム・タイミングとパワーを、ボールがバウンドするタイミングでとることは有効です。

2013年2月8日金曜日

Mecir's Tennis (128) バウンドする地点を指さそう(その3)

バウンドする地点を指さそう(その1)と(その2)で、フォアハンドでは、ボールがバウンドするタイミングで、バウンドした場所を指さす(肘さす)のが有効だと書きました。

どうしてかな…と考えていた時に、気が付いたことがあります。

もちろん、一番の理由は、タイミングがとりやすいからです。バウンドのタイミングとフォワードスイング開始のタイミングを一致させることで、いつも同じタイミングでボールを打つことができます。

一般に、イースタンなどの薄めのグリップはフォアハンドが不安定になりやすい傾向にあります。ちょっとしたずれがボールコントロールに影響しますので、タイミングを一定に保つことは大切です。

それとは別に、ボールがバウンドするタイミングを使うことが有効な理由があります。

それは、「バウンドする瞬間にボールの進行方向への速度は必ず落ちる」からです。トップスピンであろうが、スライスであろうが、進行方向の速度は必ず低下します。

つまり、バウンドのタイミングを使うということは、ボールの速度が遅くなるタイミングを使うということです。これは、ボールを打つ側にとってはタイミングがとりやすい、つまり打ち返しやすい感覚になるはずです。

ボールがバウンドする前のボールスピードの感覚でテイクバックをしていたプレーヤーは、フォワードスイングに入る際に、ボールが遅くなった感覚になります。それだけ、フォワードスイングの気持ちの余裕が生まれるわけです。

これも、ボールのバウンドをタイミングとして利用する利点の一つです。プレーヤーは、ボールスピードが落ちることを、うまく利用するとよいと思います。

2013年2月4日月曜日

Mecir's Tennis (127) 夢十夜

全く個人的な出来事です。昨晩、夢の中で、ミロスラフ・メシールに会いました。

夢の中のメシールは、どういうわけか「自分は、日本語が話せるので、日本語で話しましょう」と言ってくれたのです。

どんな話をしたのか、残念ながら夢なのでほとんど覚えていません。ただ、テニス以外の話をしたこと、ずいぶんと長い時間話をしたことだけを覚えています。

すでに50歳前になったとはいえ、デビスカップ監督であるメシールはスロバキア(ブラチスラバ)では有名人だという事です。会って話をする機会はないかもしれません。

それでも、いつか話ができる機会があるかもしれないと、信じています。聞いてみたいことがたくさんあるのです。

全豪オープン2013女子決勝 Na Li (李娜)VSアザレンカ

個人的な事情で全豪オープン2013女子決勝のテレビ放送を見ることができなかったのですが、今日、WOWOWで決勝のダイジェストを観ました。ダイジェストですからすべてのプレーを見たわけではありませんが、第1セットから第3セットまで李娜のプレーが首尾一貫していたのが印象的でした。

自分のペースでテニスをする。自分のテニスでゲームを支配しようとする。それが李娜のテニスであり、李娜のテニスの魅力です。

2011年全仏オープン決勝戦のあの迷いながらのプレーとは全く違う、堂々としたプレーでした。全仏オープンの時とは違い、アジア人とか中国人とかそういうことは全く関係ない、一人のトッププレーヤーとして、李娜は李娜のテニスをやりぬきました。

私は、今回は優勝できなかったですが、李娜が2年前よりも明らかに成長したと感じました。2011年の全仏オープン優勝から1年半ほど、特にグランドスラム大会ではベスト4にすら残ることができなかった李娜ですが、今はその間の苦しみから脱して新たなステージに立ったことを、今回の大会では示してくれたように思えます。

最近の私は、今の女子テニスを面白く感じることができません。どうしてなんだろうかと、この決勝戦を見ながら考えていました。

女子テニスという言葉からするとちょっと違和感を感じますが、今の女子テニスのトップランカーを表すの一番ぴったりなのが、パワーテニスという表現です。特にトップ3であるシャラポワ、アザレンカ、ウイリアムスに共通しているのがパワーテニスだと言ってもよいでしょう。

パワーテニスとはなんでしょうか。私は、次のようなイメージを持っています。

プレーヤーは、飛んできたボールに対して、どのようなボールを打つかを選択します。強さ、高さ、コース、回転、リスクなど、相手やスコア、自分の調子、そして自分のプレースタイルから打つボールを決定します。選択は一瞬で行われるため、じっくり考える時間はありません。

そこでパワープレーヤーは、こう考えます。「現在の自分の体勢で最も強いボールを打つことを最優先しよう。」もちろん、とは言え相手の打ちやすい場所に打ち返したのでは不利になりますから、相手の打ちづらい場所を狙うことも考えます。

しかし、選択において、コースを狙う事よりも強いボールを打つことが優先します。それがパワーテニスであり、パワープレーヤーです。

パワープレーヤーの力のあるボールは、コースが少々甘くても、いきなり反撃されることはありません。反撃されないぐらいパワフルなボールを打てるからパワープレーヤーなのです。

パワープレーヤー同士の打ちあいは、「激しく見ごたえがある打ち合い」などとアナウンサーは言いますが、そうでしょうか。私には、どこか綱引き競技を見ているような気持になることがあります。パワーで押し切った方が勝ち。そこには、戦略がありません。

李娜のボールもパワフルですが、トップ3ほどのパワーはありません。あえて言うなら、パワーとプレースメントが50対50のバランスでしょうか。トップ3がおおよそ80対20程度だとすると、李娜のテニスはパワーテニスとは言えません。バランスがよいプレースタイルだと思います。

李娜は、決勝戦で自分のプレーを最初から最後まで貫きました。マッチポイントを取られた最後のボールですら、李娜は攻撃しようとしました。(そのボールは、ベースラインを大きくアウトしたのですが。)

チャンスを見て、相手の逆を突くショットを打つ、または相手を攻撃するショットを打つ。これが李娜の戦略です。相手が2歩以上ステップしなければ打てない場所を、李娜は常に狙っているように見えます。

李娜は、試合後のスピーチで、「もう私は若くはないけれど、来年も決勝戦でお会いしましょう」と観客に向かって微笑みながら話しました。私は、李娜のフットワークは、まだまだ世界の一線級で十分に通用すると思います。昔のアジア人(中国人)のイメージでは想像ができない恵まれたスポーツウーマンの体は、現在の女子のトッププレーヤーの中でもトップクラスです。あのブレない下半身と思い切りのよい攻める姿勢があれば、必ず李娜はやってくれると思います。

今の女子プロテニスプレーヤーで、パワーだけに頼ることなく、あそこまで自分から攻撃してポイントを取りに行くプレーヤーが他にいるでしょうか。

2013年2月2日土曜日

Mecir's Tennis (126) 「人格はプレースタイルを超えることができない。」(村上龍(2))

文章を書くことを生業(なりわい)とする人は、どうしてこんなに言葉をうまく使うのだろうと思うことがあります。

このブログの一番最初の記事で書いた村上龍氏の、次の一言は、私が、テニスというスポーツを愛し、自分でもプレーを楽しむ理由を、たった一言で言い尽くしてしまっています。

「人格はプレースタイルを超えることができない。」

多くのスポーツがそうであるように、テニスのプレーにも、その人のキャラクターが表れるものです。積極的なタイプはネットに出ますし、安定指向の場合はベースラインで粘るプレースタイルになるでしょう。

普段の日常生活では安定志向の人が、案外と攻撃的だったりすることがあるかもしれません。恐らく、プロであってもアマチュアであっても、その基本は同じなのではないかと思ます。

その人の人格は、その人のプレースタイルを超えることができない。

つまり、その人の人格のすべては、その人のテニスを見ていればわかるというのです。テニスのプレースタイルは、それほどまでに、人の性格やキャラクターを反映しているということです。

メシールのプレースタイルは、メシールの人格そのものです。メシールのコート上でのマナーは、メシールの人柄であり、大げさではなく生き様なのです。私がメシールのプレーをコピーしたいという気持ちは、つまりはそういうことなのです。

レベルの高いプレーヤーほど、つまりプロプレーヤーほど、プレーを見ればその人の人格がそこに浮かび上がって見えてくるものです。

2013年1月31日木曜日

Mecir's Tennis (125) バウンドする地点を指さそう(その2)

Mecir's Tennis (123) バウンドする地点を指さそう(その1)で書きましたが、メシールのフォアハンドでボールがバウンドした写真を並べます。





どの場合も、左手はボールを指さしています。正確には、指先ではなく、左ひじ(二の腕)が指しています。このあたりは、メシールのテニス(97) テイクバックの指さしは正確には「肘(ひじ)さし」に書いたとおりです。

ボールに食い込まれないため、ラケットを強く振るために必要なことです。

2013年1月30日水曜日

Mecir's Tennis (124) 緩いボールの打ち方

スピン系ではなくフラットドライブ系のメシールのフォアハンドは、速い球には比較的強いのですが、遅い球や浅い球に対して意外に苦労します。チャンスボールになるべき遅く浅い球でミスするのは、そのショックは二倍です。
 
力のない球を打つには、自分からボールに力を与えてやらねばなりません。ラケット面が少しずれてしまうだけでもネットしたりアウトしたりするフォアハンドでは、
  • 正確なラケット面を作る
  • ボールに力を与える
という二つのことを同時にせねばなりません。

力の加減をすると、この2つを達成することは(ほぼ)できません。つまり、答えははっきりしています。
  • 力のないボールを打つためには、力を入れて打つ。
つまり、スピン系のボールで強く打つのです。打ち方はこちら

Mecir's Tennis (123) バウンドする地点を指さそう(その1)

メシールのテニス(107) 左手の指さしはボールの高さに合わせるで、フォアハンドでの左手の指さしの大切さを説明しました。

今回は、そのタイミングについて説明します。

メシールのテニスでは、相手のボールがバウンドしたタイミングが、バックスイングからフォワードスイングに切り替わるタイミングです。

つまり、ボールがバウンドした時には、フォワードスイングの準備ができているという事になります。

言い換えると、左手はボールがバウンドした時にはボールを指さしていることになります。つまり、バウンドするボールを指さしすればよいのです。特に、腰よりも低いボールの場合は、バウンド地点を指さすのがよいと思います。メシールのテニス(107) 左手の指さしはボールの高さに合わせるで書いたとおり、低いボールの場合は指さしも低くなるからです。

高いボールの場合は、バウンドするタイミングで左手で指さししますが、最初から高いところを指さすことになります。

ボールのバウンドと指さしを合わせるのは、タイミングがとりやすいという意味でも、大切なイメージだと思います。

バウンドしたタイミングでフォワードスイングが始まるのですから、ボールがバウンドしたら(=指さしができたら)その左手が主導でフォワードスイングを開始します。イメージとしては、ボールが来るのを待つのではなく、自らボールを打ちに行く感じです。ボールに合わせてラケット面を作るのではなく、スイングしてボールを叩くというイメージが大切です。

2013年1月29日火曜日

Mecir's Tennis (122) フェデラーのフォアハンドとエドバーグのフォアハンド

Youtubeで面白い動画像を見つけました。Roger Federer Forehand on the APAS Systemというものです。APAS Systemが何か、まだよく理解していませんが、プレーヤーのフォームを骨格の動きで表現しています。


また、フェデラーのフォアハンドの連続写真もあります。


一方、エドバーグ(エドベリ)のフォアハンドの連続写真が以下です。


この二人のグリップは、薄めのイースタングリップですが、フォームは全く異なります。

フェデラーのフォアハンドは、右肘を支点としたいわゆるワイパースイングになっていることが分かります。一方のエドバーグは、右脇を大きく開け、右肩を支点としてスイングしています。

一番の違いは、それぞれの写真の4~5枚目です。フェデラーのスイングでは右肘が前に突き出されています。エドバーグは、右肘が後ろに残っており、ラケットヘッドが前に出て行っています。

右肘と右肩をどちらを支点にする方が安定したスイングになるかは明らかです。トルクの小さい右肘の方です。右脇が開いたスイングでフォロースルーでラケット面を伏せると、いわゆる「こねる」スイングになってしまい、ボールがネットしやすくなります。また、右脇が開いているせいでボールコントロールが難しくなります。

一方で、回転半径が大きな右肩支点スイングはパワーは出ます。かつて、ラケットの性能が高くなかったころには、大きな回転半径が必要だったのでしょう。しかし、現代のラケットであれば、右肘支点のスイングでも十分にパワーは出ます。

ワイパースイングは、厚いグリップの専売特許と言うわけではなく、イースタングリップでも重要なスイングです。ワイパースイングでは、ラケット面を伏せてしまう(ラケットをこねてしまう)イメージがありますが、インサイドアウトスイングではラケット面はどちらかと言うと地面に垂直に動きます。(まさに、車のワイパーのイメージ。)つまり、逆クロスではラケット面はフォロースルー(の前半)では伏せることはないのです。(早くラケット面を伏せてしまってはワイパースイングになりませんので、注意が必要です。)

また、肩よりも高いボールの場合には、右肩が下がることを恐れる必要はありません。右足を軸足として回転する際、右肩が下がる(左肩が上がる)ことがあります。

順クロスの場合は、どちらかと言うとアウトサイドインにスイングしますので、ラケット面は逆クロスの時よりも早く伏せることになります。ただし、この場合も、右肘を前に突き出すようなイメージにあります。

ワイパースイングの利点をまとめると、次のようになります。
  • ボールの力加減が不要である。(つまり、力いっぱいスイングすることができる。)
  • 薄めのフォアハンドグリップでもボールにスピンがかかりやすい。
このようなワイパースイングは、次の時に有効です。メシールは、次のような場合に、このようなワイパースイングを使っていました。
  • 相手のボールが高く弾む場合。
  • 相手のボールに力がない場合。(こちらの力でボールを打たなくてはならないため。)
  • アプローチショットで力の加減が難しい場合。
  • 逆クロスにボールを打つ場合。
  • 相手のボールが深く高く弾む場合。(後ろに下がりながら打つ場合。)
メシールが高いボールに対してややワイパースイングで打っている動画像はこちら

逆に、次のような場合には、ワイパースイングは向いていません。メシールは、このような場合には、フラットドライブ系でボールをヒットしています。
  • 相手のボールが低く早い球の場合。(腰の高さまたはそれ以下の場合。)
  • 相手のボールが速く、十分なテイクバックをとれない場合。
  • 高いボールを順クロスに打つ場合。
順クロスの場合は、ワイパースイングよりも、肩と腕を一体にして、肩を支点にラケットを振る方が安定します。フェデラーよりも、むしろエドバーグの打ち方です。

さて、上のフェデラーとエドバーグの写真は、もう一つ違う点があります。フェデラーが右足を軸として打っているのに対して、エドバーグは右足から左足への体重移動で打っている点です。ワイパースイングは、右足を前に出してその足を軸にするのが打ちやすいのです。

右足を軸に打つ場合に気を付けるのは、次の点です。
  • テイクバックで右ひざを曲げて入り、右ひざを曲げたままで打つ。⇒さらに、フォワードスイングで右ひざを伸ばさない。(体が上に伸び上らない。)⇒お尻を後ろに引くことで、反作用で右肘を前に出すことができる。
  • 右足を軸に回転する。頭が右足の上で動かない。
  • 打点は前に置くこと。これにより、右ひざの支点が固定する。(ボールに押し込まれると、右腕全体をアコーディオンのように前に伸ばさなくてはならなくなるため、右肘が固定できない。(右肘も前に動く。)
  • 前後の体重移動ではなく、体の回転でボールをヒットする。打ち終わった後に左足に体重が移動しないように。


ボールを強く打ちたいとき、右肘を前に突き出すことを恐れてはいけません。それは、ボールをこねて打っているのとは意味が違うからです。

Mecir's Tennis (121) レディーポジションでのラケットの持ち方(マッケンローのフォアハンドから学ぶ)

最近のプロテニスでは、どの選手も、苦手なショットと言うのはない(全プレーヤーがオールラウンド)ですが、1990年代はたいていのプロテニス選手が、トッププレーヤーでさえ、不得意なショットを持っていました。ジョン・マッケンローは、7度もグランドスラム(シングルス)で優勝していますが、あれほど知名度のあるプレーヤーであっても、歴代のシングルス優勝回数では10位にも入っていません。(歴代優勝者の一覧はこちら。)

マッケンローは、サーブ、ボレー、バックハンドストロークとあらゆるショットがすばらしかったのですが、唯一、フォアハンドのグランドストロークだけはよくありませんでした。「よくない」というのは悪いという意味ではなく、これだけのレベルの選手にしては「不安定」だったと言う意味です。マッケンローのフォアハンドストロークは、グランドストロークと言うよりも、ボレーの延長のようでした。テイクバックがほとんどなく、ラケット面を作ってタイミングでボールを打ちかえす打ち方でした。

このグランドストロークでは、他のショットがいくら優れていても、どうしてもプレーは安定しません。レンドルがウィンブルドンをとれなかったのがメンタルだとすると、マッケンローは技術的理由で全仏オープンをとれなかったのだと思います。

バックハンドは利き腕の肩(右利きの場合は右肩)を支点にスイングできますので、小さなテイクバックでも正確なショットを打つことができます。フォアハンドは、体の回転と肩の組み合わせる(複雑な)打ち方を要求されるので、バックハンドのように右肩の位置を固定するわけにはいきません。そのため、どうしてもテイクバックが必要になります。

マッケンローのフォアハンドは、体の回転を使わない(テイクバックを使わない)ボレーのような打ち方だったわけです。


サムネイル

面白いもので、フォアハンドストロークが苦手と言うのは、レディーポジションにあらわれています。写真は、マッケンローの(最近の)レディーポジションの写真です。(Youtubeの画像はこちら。)バックハンドストローク側のラケット面が前を向いているのが分かります。言い換えると、「レディーポジションで、すでに、バックハンドを打つ側の準備になってしまっている」です。


同じ左利きで薄いフォアハンドグリップのアンリ・ルコントも、同じような傾向があったようです。(マッケンローほどは顕著ではないですが。)レディーポジションで、ラケットがバックハンド寄りになっています。

レディーポジションがバックよりだからフォアハンドが苦手なのか、フォアハンドが苦手(またはバックハンドが得意)だからレディーポジションがバック寄りになるのかはよく分かりません。

ラケット面がバック寄りの場合は、当然ですが、フォアハンドのテイクバックの距離が長くなります。テイクバックが遅れ、安定性が悪くなり、下半身や体の回転との同期が難しくなります。


ラケットヘッドを前に出しておけば、テイクバックは楽です。ラケットが動く距離が短くなるので、瞬時にテイクバックができます。図にあるように、体の前にあるラケットを少しだけ後ろに引けばよいのです。(ラケットヘッドは0時方向が1時方向になるだけですので。)

体の回転とラケットの回転は一致する(体の回転でテイクバックする)のが基本ですが、メシールのフォアハンドテイクバックはラケット移動距離が短いので、相手の球が速い場合などはとりあえず手だけで引いて打つ(ラケット面を合わせるだけでボールを返す)ことを時々しています。

図のレディーポジションのラケット位置はちょっとした違いのように見えますが、体の回転とラケットが同期するタイプのメシール(マッケンローも)の場合には、この違いは無視することができない差です。

なお、歴代7回のグランドスラム優勝は、ヴィランデルと並んで2013年1月現在では第13位です。6回優勝者には、エドバーグ(エドベリ)やベッカーがいます。2013年の全豪オープンで優勝したジョコビッチも、歴代優勝回数が6回になりました。マッケンローが14位になるのも時間の問題かもしれません。

2013年1月24日木曜日

フェレール、悲願の決勝届かず(全豪テニス2013) ~フェレールと李娜

四大大会の準決勝で戦ったのは5度目。しかし決勝への壁がどうしても越えられない。「全ての試合でベストを尽くしたが、対戦した相手(ジョコビッチ、A・マリー、ナダル)は自分より優れている。私には何ができるのか」といら立つ場面もあった。メルボルン時事:抜粋

スポーツは残酷な側面を持ちます。他のスポーツと比較してアップセットが多くないと言われているテニスの場合は、なおさらです。

錦織 vs フェレール 全豪オープン2013で書いたとおり、フェレールは「試金石」の役割しか果たせない。厳しいけれど、それは事実です。

安定している(ほとんどの大会で下位ランキング選手に負けない)が上位選手には勝てないという、銀行口座のように正確な結果しか出せない選手。私にはどうしても魅力を感じることができないのです。

テニスの面白さは、イマジネーションの豊かさです。低いリスクで如何に意外性があるボールを打てるか。観客は、それを楽しみに、一本一本のショットを追いかけるのです。

最近の世界の女子テニスは、その点で、私は興味を失いつつあります。確かに、20年前と比較すると、考えられないほど女子のボールは速くなりました。強くボールをヒットするようになりました。

しかし、いくらボールを強く打っても、そこにイマジネーションと意外性がなければ、そこから個性は出てきません。「人格はテニスを超えることができない。」人格が表現されることとイマジネーションあふれるプレーは、意味が重なります。

イマジネーションあふれる人格が、イマジネーションあふれるプレーを導き出します。

「テニスを楽しみたい。」そう言い続ける李娜は、私が見ていて楽しい数少ない女子プレーヤーです。彼女のユニークなキャラクターについては、以前書きました

自分より上位ランクには勝てないけれど、自分より下位ランクには負けない選手よりも、調子に乗ったら2位と1位を連破してグランドスラムで優勝しそうな選手の方が、見ていて楽しいに決まっています。

明後日は全豪オープンテニス2013女子決勝です。ランキング2位のシャラポワを破って決勝進出した李娜とランキング1位のアザレンカ。李娜が、この大きな舞台で、どこまでイマジネーションあふれるプレーを展開してくれるか、のびのびと自分らしいプレーを展開してくれるのか、楽しみです。2012年の全豪オープンのときとはかなり違うようです。

【バックナンバー】
2011全仏オープン女子決勝 李娜(Na Li)VSスキアボーネはこちら
2012ウィンブルドン男子準決勝 ジョコビッチVSフェデラーはこちら

2013年1月21日月曜日

Mecir's Tennis (120) フォロースルー(フォアハンド)

さて、メシールのテニスも、フォロースルーを考えるところに来ました。



昔のテニスでは、「インパクト後にボールを5個分押すように打つ」と言われていました。今のスピン系テニスはフォアハンドもバックハンドもアウトサイドインが基本ですので、「ボールを押す」と言うのは今風の考え方ではないのかもしれません。

メシールのストロークは、「厚い当たりでボールが重い」典型です。この5個は、もしかしたら、6個、7個なのかもしれません。

私の様な未熟な技術しかないと、ゲームではバックアウトするのが怖くて、どうしてもラケット面をこねてしまいます。厚い当たりよりもラケット面を早く伏せることでアウトするのを防ごうとしてしまうのです。相手のボールが低いまっすぐな場合はラケット面を地面と垂直にして押し出せるのでまだよいのですが、高く跳ねるボールの場合(とくに打点が高い場合)に面をこねやすいようです。

しかし、スイングの中で、ボールの回転、安定感、重さなどを決めるのは、フォロースルーです。ボールをコントロールするのも、フォロースルーです。フォロースルーがボールを支配するすべてであり、テイクバックやフォワードスイングは、所詮、フォロースルーを作るための準備でしかないのです。

もう一つ。フラットドライブ系のスイングでは、フルスイングできるヘビースピンと比較して、どうしてもラケットスイングを全力で打つことができません。バックアウトは怖い、でも少しでも早いボールを打ちたい。上記のフォロースルーでラケット面を伏せてしまう理由の一つです。

こう考えるのがよいと思います。

まずは、(試合の序盤では)ボールスピードを期待せずに、ボールを厚く打つことを考えます。エースは取れないかもしれません。しかし、思うところによい回転のボール(つまり、厚い当たりのボール)が打てることを目指すのです。相手の打つボールへのタイミング、打点等を掴み、「力の入ったボール」が打てるようになったら、その次の段階として強くボールを打てばよいのです。





2013年1月20日日曜日

錦織 vs フェレール 全豪オープン2013

普段はメシールのビデオばかり観ている私ですが、今日はひさしぶりにプロテニスの試合をじっくりとテレビ観戦しています。全豪オープン4回戦の錦織対フェレールです。

今、これを書いている時点で、錦織は2セットダウンで2-3ですので、ここからカムバックするのは難しいかもしれません。フェレールの守りは鉄壁で、錦織がいくら攻めても、ボールは返ってきます。かつての全仏オープンのヴィランデルを思い出しました。

が、しかし、錦織とフェレールを比較すると、見ていて面白いのは明らかに錦織です。錦織のプレーはイマジネーションにあふれ、相手をどう動かして崩すか、相手にどう予測させないか(予測させないように隠すか)を考えながらボールを打ちあいます。

私は、スポーツの試合は原則的に個人(またはチーム)のものだと思っています。日本人選手だからと言って錦織を応援するという事は考えたことがありません。それでも、錦織は一人のプレーヤーとしてユニークで魅力的な選手だと思います。

正攻法で攻めるボール、相手の逆を突くボール、リスクの低いボール、リスクの高いボール…様々な要素を織り交ぜて、錦織はボールに向かいます。

フェレールは、相手が攻めることが難しいという条件の下で常に最もリスクが低いボールを選択します。言い換えると、ミスしないまたは攻撃されない範囲の一番安全なボールを打とうとするわけです。素人の私ですら、錦織が打ったボールをフェレールが次にどこに打ち返すか、打つ前から分かってしまうほどです。

ゲームの中で、錦織はリスクの高いボールと低いボールを織り交ぜながら、様々なパターンでポイントを取りに行こうとしています。が、この試合ではその戦略がなかなかうまくいかず、自分からミスするシーンが多くなり、結果的に劣勢になっています。錦織の場合、例えばナダルのようにパワーでポイントを取ることは難しいため、どのポイントも組み立てと戦略でポイントを取らねばなりません。フェレールのフットワークにボールを拾われてしまい、思うような結果にならないこともしばしばです。

もし、錦織がこの試合に負けてしまうとしても、私はこの戦略を変えてほしくないと思います。

フェレールは、試合中に紹介されましたが、これまでフェデラーとジョコビッチには全然勝てないそうです。力と戦略を組み合わせたプレーヤーに対しては、フェレールのテニスは「全く」歯が立たないのです。錦織には、そういう選手になってほしくはないと、私は思います。折角、これだけのイマジネーションがあるプレーができるのですから。

フェレールは、(フェレールには申し訳ないですが)プロテニス界においては、「フェデラーの様な歴史に残る選手または真のトップ選手の試金石」の選手なのです。フェレールのテニスの歴史での役割は、フェレールの上にいる選手と、下にいる選手を分けることなのです。

(2011年のジャパンオープンで観戦したフェレール対マレーの試合を思い出しました。スタンドから生で見てると本当によくわかったのですが、フェレールとマレーでは身体能力が違いすぎ、フェレールが勝てるという雰囲気は全くなかったのです。)

錦織は、フェレールの上にいる選手になってもらいたい。だとすれば、錦織がすることはただ一つ。戦略を含めた自分の技術でフェレールに勝つことです。フェレールにあわせたテニスをする必要はないのです。

その意味では、錦織が負けるとしても、フェレールに押し切られて敗北するのではないことが大切だと思ます。あと少し攻めきれていない、だから勝てなかった、それが大切です。この差を埋めた時に、おそらく、錦織はフェレールと言う試金石を超えたと言えるでしょう。その時は、錦織は、二度とフェレールには負けることはないと思います。

なお、フェレールの役割をこのように書くのはフェレールに対して少々残酷かもしれません。であれば、フェレールは、たとえばヴィランデルを見習えばよいと思います。ヴィランデルも、かつて、「試金石プレーヤー」でした。自分の下位選手への取りこぼしが少ないけれど、上位選手には歯が立たない時代がありました。

しかし、ヴィランデル自身が自分のプレーを改良し、ついに自分がナンバーワンになりました。すべてのプレーヤーを「自分の下」にしたのです。改善されたプレースタイルの見栄えは正直、格好いいとは言えませんでしたが、能力やセンスと違う「努力」に対して私は敬意を払います。

テニスで大切なのは、イマジネーションだと思います。なぜなら、そこには、プレーヤーの人格が現れるからです。「人格はテニスのプレースタイルを超えることができない」と思います。我々が見たいのは、テニスという姿をしたそのプレーヤー自身なのですから。

Mecir's Tennis (119) 右足とラケットの同期(1)


メシールのフォアハンドでは、テイクバックからフォワードスイングにかけて、右足つま先はネットに向かって、1時方向になります。


一般には、つま先は2時から3時方向を向きます。一般とメシールの違いを図にしてみました。

http://www.tennis4everyone.com/tennis-tips/223-odds-favor-novak-djokovic-to-win-at-wimbledon

http://www.flickr.com/photos/tennis_express/6473345073/


メシールのテニスではテイクバックトップでラケットヘッドが体の前で、かつ5時方向を向く(6時方向を向かない)ため、「小さなテイクバック」です。(こちらの写真は、どれを見ても、ラケットヘッドは5時方向を向いています。)その代わりに、ラケット面を正確(精密に)作り、確度の高いフォアハンドストロークをします。

小さなテイクバックで、確度の高いストロークのために何ができるか。

それが、右足とラケット面の連動です。一言で言うと、「テイクバックでは1時方向を向く右足とラケット面を平行にする(脳内イメージ)」です。その後、右足の力でフォワードスイングするときに、ラケット面をそれに同期させます。

これにより、テイクバックからフォワードスイング前半までは、ラケット面を右足によって操作するイメージができます。言い換えると、ラケット面を(右手で)任意に動かすことはできません。

プレーヤーは、テイクバックからフォワードスイング前半までを、右足だけに意識を集中してボールのコントロールをすればよいのです。右手に力が入るのは、フォワードスイング後半、インパクトからフォローするにかけてという事になります。

この方法の利点はたくさんあります。
  • フォワードスイングで正確なラケット面を作りやすい。
  • テイクバックからフォワードスイングで右手の力が抜ける。
  • 右腕に力が入らないので、テイクバックで右脇が締まりすぎない。
  • (右足が体の前にあるので)ラケットを体の前に置くイメージを作りやすい(体の右側に来ない)。