2014年2月2日日曜日

2014年 デビスカップワールドグループ1回戦 添田の役割の大きさ

何度も書くように、私はテニスを見るときにナショナリズムとは無縁なのですが、デビスカップは例外です。国対抗戦ですので、テニスのプレーを楽しむというよりも、好きな国を応援する意識になります。

デビスカップはよくできていて、最低で2名でも戦えます。ダブルスとシングルスが別のプレーヤーの場合はシングルス2名、ダブルス2名の4名でも戦えます。

シングルススペシャリスト2名とダブルススペシャリスト2名がもちろん一番良い布陣ですが、たった一人のプレーヤーでも突出していれば勝ち上がれるのがデビスカップの面白いところです。そのプレーヤーがシングルス2勝して、さらにダブルスでも勝てばよいわけです。

選手層が厚い国で、特にダブルススペシャリストを有する国は有利です。ダブルスでの勝利を計算できると、シングルスプレーヤーの一方がランク・レベルが低くても勝ち上がるチャンスが大きくなります。

もちろん、強いシングルスが2枚あると圧倒的に有利です。しかし、シングルスは体への負担が大きい(とくにデビスカップはタイブレークなしの5セットマッチというもっとも厳しいルール)ために、強いシングルスを2枚そろえるのは容易ではありません。

一般的な個人戦とは違い、国のテニス協会やキャプテンの役割がかなり大きいのがデビスカップです。どのようなメンバーで戦うかが、勝ち上がるためのの最も大きなカギになります。

今の日本チームは、突出した一人のプレーヤーに依存するタイプになっています。もちろん、そのプレーヤーは錦織です。錦織がシングルスで2勝することが勝利の条件になります。さらに、ダブルスにも出場して、そこでも勝たなければ3勝できない(勝ち上がれない)という状況です。

そう考えると、錦織に続くプレーヤーの重要性がよくわかります。もう一人のシングルスプレーヤーが「絶対負ける」という状況であれば、錦織にかかる負担は大きすぎます。たとえ2割でも3割でも、小記す可能性があれ、No.1プレーヤーはそれだけ負担が小さい中で戦うことができます。

その意味では、今の日本では添田豪の役割はもっとも重要です。添田が少しでも勝つ確率を上げることができれば、錦織は負担が減り、デビスカップにかける時間を増やすこともできるでしょう。(逆に、デビスカップが負担になりすぎたり、それが故障につながったりすると、錦織自身がデビスカップに参加できなくなります。)

今回のデビスカップ1回戦では日本が3勝を挙げて、2回戦進出を決めました。最終戦はエキシビションマッチですが、添田がカナダのポランスキーと対戦しました。

添田のプレースタイルは、ポランスキーや錦織とも比較的近いグランドストロークを主体とするプレーで、見ている限り、合理的なフォームで強くボールを打つことができるスタイルです。今、世界ランキングは140位台のようですが、これだけのテニスでも100位に入れないことに、男子テニスの世界の壁の高さを感じさせます。

体を合理的に使えることは、体格的に不利な日本人には大切なことです。添田は錦織よりも5つほど年上ですが、錦織よりも早くから合理的なテニスフォームを身に着けていたようです。もしかしたら、添田の道を錦織が辿っているのかもしれません。

私は(おそらく素人だからだと思いますが)添田と錦織のプレースタイルそのものには、それほど大きな差を感じることができません。もちろん、錦織の球際の強さは添田の比ではないですし、またプレーのイマジネーションの深さは添田は錦織にはかないません。ただ、小さなテイクバックから腕力ではなく体の回転でボールをヒットする基本的なボールを打つフォームそのものは、二人は似たタイプだと思います。

30歳を前にした添田には厳しいかもしれませんが、添田に求められるのはフィジカルの強さかもしれません。強引なプレーをするための体力ではなく、合理的なフォームを維持するための体力が必要だからです。それは、添田のテニスを長持ちさせ、ランキングを上げるためにも大切なことかもしれません。

2013年のデビスカップで大躍進したカナダですが、ラオニッチが出場できないというだけで(実績的には)格下の日本に敗退することになりました。同じことが、錦織が出場できないだけで日本にも起こりえます。そうならないための対策として、シングルス・ダブルスともに全体の底上げは必須でしょう。

2014年2月1日土曜日

Mecir's Tennis (219) 腰の回転の次に何を回転させるか?

フォアハンドにおいて、フォワードスイング(前半)では腰の回転でリードするということを何度も書いています。一方で、腰の回転だけで打つ脳内イメージは間違えています。

腰の回転では、微妙なコントロール無理です。

では、フォワードスイング中盤から後半にかけて回転させるのはどこでしょうか?

答えは、腕ではありません。肩です。腰に続いて、肩を回転させます。腕については、ひじや手首は、固定します。がっちりと固定するのではありませんが、ひじや手首は使わないと追っているほうがよいです。

肩の回転というのは大切な割にはあまり注目されていないような気がします。現代テニスでも、腰の回転の次は腕を使うイメージがあります。

メシールのフォアハンドでは、腰でフォワードスイングを始めたら、その次には(ひじや手首を使わずに)肩を回転します。

Youtubeのメシールのふぉわハンドのスローモーション(こちら)を見てください。肩を支点に腕が回転しています。また、腕の(ひじの)角度はフォワードスイング内で(肩を中心に回転している間)あまり変わっていません。

腕を肩を支点として回転させる場合、肩甲骨よりも腕の付け根の体の前側の金忍苦を使う方がイメージが正しいと思います。すでにフォワードスイングが始まって腰の回転で進んでいますので、さらにそれを前に引っ張るには前側の筋肉が最適です。この筋肉の名前は、筋肉に関するサイトによると大胸筋というそうです。

腰の回転でフォワードスイングを始めたら、次は大胸筋で肩を引っ張って回します。

この2つの回転を正しくすると、以前「腕の力を抜くこと」で書いたように、腕に力を入れる必要がなくなります。実際、コート上で試してみると、肩を回すという感覚があれば、腕にはほとんど力を入れなくても重くコートに突き刺さるボールを打つことができます。

また、フォロースルーが明らかに大きくなります。その結果、ボールコントロールの精度が上がります。

腕に力を入れてはいけないですし、また入れる必要もないのです。