2014年6月20日金曜日

Mecir's Tennis (225) ついに見つけました!遅いボールを強く打つ方法

遅い球を打ち込むのが不利な薄いフォアハンドグリップ。私自身、これが苦手でいつも苦戦してきました。

相手の速い球には比較的強いイースンタングリップでは、ストローク戦になった時には有利です。特に相手のボールを逆サイドに振り、相手に甘い球を返させるというのはよく使う方法です。しかし、せっかく相手に甘い(浅い)ボールを打たせても、それをアプローチショットで強く打ってネットしたりアウトしたり、またはちびってしまって悔しい思いを何度もしてきました。チャンスボールが、むしろピンチボールです。これでは何のために相手に甘い球を打たせているのか分かりません。

これは、イースタンフォアハンドが、相手のボールが緩い時や特に自分が走りながら打つ(またはボールのところに移動してから止まって打つ)時には難しいからです。

これは、プロのプレーではめったに見ることができないショットですので、メシールのビデオではなかなか分析できませんでした。プロのゲームで、そこまでのイージーボールは、逆にめったにないからです。

さて、緩いボールを強く打つポイントはなんでしょうか。それは、軸をスゥエー(移動)回転だけでボールを打つという事です。そして、ここでいう軸とは右腰(右利き)です。つまり、スイングを右腰回転で打ち、しかもその際に右腰を固定するのです。

具体的なスイングイメージは次のようになります。

  1. ボールが飛んできたら、まず、ボールを打つ位置に右足を持っていく。その際に、右ひざを曲げておくこと。
  2. 右腰をボールに向かって突き出す。右腰を引いてはいけない。(腰を引くとその後でその腰を前に出すことになり、そこにスゥエーが発生するため。)
  3. 右ひざのばねでフォワードスイングする。その際、右腰を軸として体を回転するイメージでスイングする。
  4. スイングは強くラケットを振ること。大きくラケットを振り切ること。
ここで、特に、右腰をボールに向かって突き出すイメージが重要です。これで右腰が固定されます。「これではテイクバックが取れない」と思われるかもしれませんが、それでよいのです。遅いボールでは、腰の回転によるテイクバックは不要です。逆に、テイクバックを作らないために、右腰を前の方で固定してしまうのです。

また、右腰を突き出せば、左足は後ろになります。極端なオープンスタンスになりますが、これも問題ありません。相手のボールが遅い場合には、右腰固定により左足はオープンでよいのです。その体勢から、順クロスにも、逆クロスにも打つことができます。

この打法を、実際にゲームで試してみました。相手の技量にもよりますが、技量が高くない場合には、頻繁にこの打法でボールを打つことになります。場合によっては、サーブレシーブからこの打法で打つこともありました。一方、相手のボールが一定以上の強さの場合には、もちろんこの打ち方はしません。これは、あくまで相手のボールが緩い場合の打ち方です。




2014年6月3日火曜日

2014 全仏オープン 男子シングルス 準々決勝 モンフィス vs マレー

モンフィスが、準々決勝でマレーと当る。準々決勝4試合のうちでは最も楽しみな試合だ。

互いに身体能力が高いといわれている二人のプレーヤーだが、どちらかというとマレーの方が基礎的な身体能力が高いように思える。というよりも、モンフィスは体の使い方がうまいために身体能力が高いように見えているだけかもしれない。(それでも、他の男子選手よりは高いとは思うが。)

マレーにモンフィスが対抗できるとすれば、モンフィスがどれだけリズムに乗ってボールを打ち返せるかだと思う。モンフィスは、マレーのようにパワーでボールを打ち切らない。ボールの配給、つまりプレースメントが命綱だ。ボールを引き付けてマレーの予想の逆の場所に打ち返すだけの余裕があれば、モンフィスの勝ちだろう。いったんタイミングをつかめば、そのままモンフィスのペースで試合が進むだろう。そして、私は、今のモンフィスであれば、その可能性は十分にあるように思う。

いずれにしても、楽しみなゲームだ。

2014年6月2日月曜日

2014 全仏オープン 男子シングルス 4回戦 来るかモンフィス

以前も書いたが、私が今一番好きな男子テニスプレーヤーはモンフィスだ。ガエル・モンフィスはフランスの黒人選手で、おそらく今のテニスプレーヤーでは最もイマジネーションのあるプレーができる男子選手の一人だろう。

ヤニック・ノアやアンリ・ルコントなど、往年のフランスの男子プレーヤーはユニークなキャラクターが多いが、モンフィスは彼らに負けず劣らずだ。しかも、とても理にかなったフォームでボールを打つところが、前者の二人とは大きく違う。

モンフィスのことを、身体能力が優れているからプレーがユニークだという人がいるが、私はその逆だと思う。よいフォームで打つからこそ、そのたぐいまれな身体能力が活きてくるのだ。

たとえば、以前にも書いたが、生で見たアンディー・マレーの身体能力はすごかった。対戦相手のフェレールがかわいそうに思えるぐらいだった。しかし、マレーはその身体能力を活かしきっていない。むしろ、その身体能力でプレーを100%ではなく80%ぐらいに抑えることでも、まだ勝つことができる。そういうスタイルがマレーだ。それは、マレーのフォームが理想的ではないからに他ならない。マレーが今のフォームで100%でボールをヒットしたら、相手のコートにはボールは入らないだろう。

モンフィスは、100%の力を出し切る理想的なフォームで、だから100%の能力を出し切ることができる。モンフィスがもっとまじめに(?)テニスに取り組めば、おそらく、もっと上位にランクされるプレーヤーになるだろう。そのあたりのこだわりのなさは、ルコントを思い出してしまう。歯がゆいばかりだ。

そのモンフィスが、2014年の全仏オープンでベスト8をかけてガルシア・ロペスと当る。その次がベルダスコとマレーの勝者との対戦だ。今のモンフィスであれば、いやいつのモンフィスだって、この3者に対しては十分な勝機がある。そして、あと2回勝てばナダルとフェレールの勝者と準決勝だ。

モンフィスにはあと2回勝ってもらい、ナダルとの準決勝を見せてほしい。そして、ナダルに対して、100%で戦うモンフィスが見てみたい。今のところ、ローラン・ギャロスの赤土で調子が良いナダルと対等に戦えそうなのは、ジョコビッチとモンフィス(ただし100%の力を出したとき)ぐらいしか見当たらない。

モンフィスは、ほかの選手よりもボールを打つまでの歩数が平均的に少ない。細かく足を動かすモンフィスは想像がつかない。そのあたりは、メシールとよく似ている。理想的な体の使い方でボールを打つから、そういうことができる。というよりも、自然にそういうスタイルになる。

究極的に体を効率的に使うモンフィスと、究極的に強引にボールを打つナダル。レッドクレーの上での芸術と格闘技のせめぎあいだ。同じようなプレースタイルばかりでは面白くない。全く反対のスタイルが戦うことができるのが、テニスの面白いところなのだから。