2011年9月27日火曜日

メシールのテニス(49) 安定したフォアハンドストローク(その9/今度こそ最終回) (復習を兼ねて)左肩の使い方など

かなり安定したと思ったフォアハンドですが、先日、シングルスの試合でビデオを撮ってみたところ、あまりにもひどかったので、再度、メシールのビデオを観て分析をしました。その結果、基本的なことが数点、かなり守られていなかったので、これまでの確認も含めて、列挙したいと思います。

(1)レディーポジションでは、左手をラケットに添えること。正しくは、バックハンドのグリップで構えておくこと。
(2)上記の(1)の形から、フォアハンドにボールが来た場合には、左手を添えてテイクバックすること。バックハンドグリップなので、左手が下からラケットを持ち上げるイメージになるのですが、この感覚に慣れる必要があります。
(3)上記の(2)では、どこかで左手が離れるが、離れた後、左肩をしっかりと”はる”こと。言い換えると、左肩に力を入れ、左肩がスイングをリードすること。左手は、何かを抱えるような形で前方に突き出すこと。
(4)上記(3)を守ると、自然に、背中に力が入り、上体が立ちます。背中でスイングをすることができます。
(5)インパクトが後ろにならないように、前でボールをヒットすること。
(6)フォロースルーでは、絶対にラケット面を伏せること。最低でも、地面に垂直になること。そのためには、フォロースルーで右腕を伸ばしていくことが大切です。
(7)ラケットは下から上に振ること。フラット系だと、つい横に振りたくなってしまいますが、これではボールはネットを超えないか、アウトしてしまいます。ヘビースピンをかけるわけではない場合でも、ラケットは下から上に振り、ボールに順回転をかけると同時に、ボールの発射角は上向きになる(水平ではない!)ことが大切です。

最後に、(7)として、繰り返しになりますが、飛んでくるボールに合わせてテイクバックをし、バウンドしたタイミングでフォワードスイングを開始するということを、つい忘れがちなので、再掲しておきます。これを徹底しないと必ず振り遅れますので、確実に調子を落とします。

2011年9月25日日曜日

古いテニスのビデオを見てみませんか?

今日、ある二人の方とシングルスの試合をしていて、ふと思ったことがあります。私は、このブログのタイトルを見ての通り、メシールのテニスを目指しています。何年にもわたり、メシールのプレーを分析し、試行錯誤を重ねることで、圧倒的に力の差がある場合は別ですが、同程度の技量の相手であれば、少しずつ、メシールのプレーを部分的に取り込むことができるようになってきているようです。

というのは、ゲーム後に、両方の方から、「あなたのバックハンドは、フォア側に来るのかバック側に来るのか、全くわからない」と言われてからです。これは、私にとっては、最大の賛辞でした。

別ブログの記事に書いたように、最近Tennis Journalの古いバックナンバー(1987年8月号)をたまたまみつけたのですが、その中で、福井烈氏がメシールのバックハンドストロークの連続写真を解説しています。メシールが順クロスと逆クロスに打つ2つの連続写真について、福井氏はこのようにコメントしています。「この3-4コマ目の写真(インパクト直前)を見てもらったら分かると思いますが、メシールの場合、順クロスと逆クロスに打つフォームが全く同じなので、どちらにボールが来るのか、全くわからないのです。」福井氏は、直前のジャパンオープン2回戦でメシールと戦っている(2-0でメシールの勝利)ので、対戦した印象でもあるのでしょう。

プロは別にしても、私ぐらいのレベルのテニスであれば、メシールの技術は、25年たった今でも十分に通用するということです。いやむしろ、望ましいことかもしれません。

今、テニスコートに行くと、若い人を中心に、ナダルのようなプレーをする(正確にはしようとする)プレーヤーを見ます。今日の試合の相手も、とてもよいフットワークと熱意のあるプレースタイルなのに、目指すテニスが難しすぎて、いくつものポイントで自滅していました。もし、そのような人が、今の男子プロのテニスをテレビで見て、それに影響を受けているのだとすると、それは不幸なことだと思います。誰から、どんなテニスを学ぶのかは、アマチュアにとっても、大切なことであるはずです。

25年前のビデオは、もしかしたら、今のアマチュアの良い教材になるかもしれません。

マジカル・ミステリー・メシール

マジカル・ミステリー・メシールという記事を書きました。Tennis Journalの古いバックナンバーが出てきたからです。メシールの特集記事がありましたので、その記事をネタに、今後も、いろいろとブログを書こうと思います。

メシールのテニス(48) サーブレシーブ時の左手の使い方

メシールはご存じのとおり(いや、ご存じでない人がほとんどでしょうが(笑))、バックハンドは両手打ちです。メシールのサーブレシーブについてビデオで分析してみました。

メシールは、レシーブゲームのレディーポジションで、左手をバックハンドストロークの位置においています。つまり、左手は、(バックハンドで)グリップを握っています。言い換えると、シングルハンドの選手のように、スロート部分においていません。

これは、つまり、バックハンドリターンは必ず両手打ちで打つことを意味しています。

オンコートとで試すと、速いサーブがバック側に入った時は、シングルハンドのスライスで逃げたくなることがあります。しかし、レシーブのレディーポジションでのこの左手のグリップは、それを否定しています。メシールにとっては、おそらく、レシーブは特別なショットではなく、そのポイントの一本目のストロークということになるのでしょう。

ストローク中も同じです。メシールの左手は、ボールを打った後、相手のボールを待つ間、ずっと、バックハンドグリップです。スロート部を持つことはありません。実は、このことは、ちょっと意外でした。というのは、メシールのフォアハンドでラケットにボールを打たせる感覚においては、左手をスロート部においておくほうが、ボールの来る場所にラケットを持ってきてやりやすいからです。左手をスロート部においておき、フォアハンド側にボールが来ると、左手でその場所にラケットを持ってきてあげると、フォアハンドが打ちやすいのです。

が、しかし、メシールは、グランドストロークでフォアハンド側にボールが来た場合には、左手を(スロート部ではなく)グリップに添えた形で左手を使ってのテイクバックを取っているようです。ただし、注意する点は、ビデオで確認する限り、ボールを待つ間の左手は、ややルーズにグリップを握っていることです。がちっと握ってしまうと、バックハンドは打ちやすいでしょうが、フォアハンドに来た時にラケットを引くという仕事がしにくいからでしょう。

メシールがレシーブを一本目のストロークだと思うのであれば、一本目から、少しでも良いところにリターンしようとするでしょう。もちろん、エラーをしない範囲で、ですが。とりあえずスライスで、ミスをしないように深くリターンするという発想は、メシールのテニスにはないようです。

2011年9月21日水曜日

メシールのテニス(47) 安定したフォアハンドストローク(その8/最終回) ラケットが打ちやすいようにスイングする

自分自身が試行錯誤しながら求めてきた安定したフォアハンドストロークですが、どうやら、最終形に近づいているようです。薄いグリップのフォアハンドを安定させるための、最後のキーワードが、「ラケットが打ちやすいようにスイングしてあげる」という脳内イメージです。

この脳内イメージは、図にすることもできません。本当に、イメージです。

相手のボールは、高さ、スピード、回転、すべてが様々です。厚いグリップでのスピン打法は、それらにお構いなくボールを下から上にこすり上げます。薄いグリップのフラットドライブは、そうはいきません。ラケット面がボールに垂直になりボールを押し出すように、ラケットを動かさねばなりません。腰よりも高い打点ではラケットヘッドを立てますし、腰より低い場合はヘッドが落ちます。前者では打点がやや体に近い側になり、後者では前方になります。いずれにしても、力が入る打点は一点しかないのです。

一番大切なことは、その唯一の打点にラケットを正しく持っていくことです。私の感覚(脳内イメージ)では、ラケットに、自分でその位置に行かせるというものです。腕の操作でその場所にラケットを持っていこうとすると、タイミングや面の角度が微妙にずれることがあります。むしろ、腕の力を抜いて、ラケットがその場所に、そのタイミングで移動することを最優先してあげればよいのです。ラケットはボールが打ちたいと思っているはずなので、右腕の力を抜けば、一番良い角度で、よいタイミングで、ボールをヒットしてくれるものです。

正しい位置にラケット持っていくのは、(右利きの場合)右手ではなく、むしろ左手です。左手がテイクバックの始動時と前半(テイクバックの後半は左手は離れますので、起動時から前半まで)にラケットを支えます。このことは、メシールのテニス(45)でも書いたとおりです。

右手を意識するのは、つまり右手の力を使うのは、むしろ、インパクト後です。インパクト後に、ボールの打球方向にしっかりとフォロースルーするのは、右手の仕事です。その際、もちろん、フォロースルーではラケット面を徐々に伏せていかなくてはなりません。

このイメージのスイングでは、右手はラケットの重さを感じます。ラケットが仕事をするので、ラケットは重い方がよいのです。(ラケットが軽いと、ボールに負けます。何しろ、右手でボールをたたくことはできないのですから。)ラケットが自分の重さでボールをヒットするのです。メシールのラケットが非常に重い(400g以上?)理由は、どうやらここにありそうです。

この脳内イメージで気を付けることが一点あります。それは、振り遅れないということです。腕でラケットを振る方法の場合は、振り遅れたらその分スイングスピードを上げることで取り返せることもあります。が、ラケットにボールを打たせる場合は、ラケットは遅れを取り戻せません。テイクバックは、絶対に遅れてはなりません。遅れた場合には、ラケットは、ラケット面を操作して帳尻を合わせようとしたりします。そうすると、逆に、ボールコントロールを失います。それどころか、試合中であれば、その後、ラケットは自分の制御ができなくなることもあります。薄いグリップでラケット制御を失ってしまったら、もう、その試合では、二度とまともなボールを打つことはできなくなります。

以上の、「ラケットが打ちやすいようにスイングする」というイメージでボールを打つ限り、今のところ、私は、試合中にフォアハンドが不安定になることはありません。もう少し、オンコートで試してみますが、実は、根拠のない自信を感じています。これが、究極の、メシールのフォアハンドの打法ではないのかな…と。

テニス日記は移動しました

私のテニス日記こちらに移動しました。個人のテニスの記録が面白いかどうかわかりませんが、もし興味がある方は、こちらをどうぞ。

全米オープン2011のカメラワークは変わってしまった…

「全米オープン2011のカメラワークは変わってしまった…」という記事を書きました。記事はこちらです。

2011年9月20日火曜日

メシールのテニス(46) 安定したフォアハンドストローク(その7) インパクトでボールを見る

インパクトでボールを見ることというのは、グランドストロークにおいて、基本中の基本の一つです。しかし、それは、ラケットの真ん中(スイートスポット)でボールを捉えるため…だけではありません。

メシールのような薄いフォアハンドグリップでは、スピンよりもフラットドライブを多用します。そのためには、ボールをしっかりと捉え、ボールを押し出すようなイメージが求められます。つまり、インパクトでラケット面がボールをしっかりと押し出す感覚が、ラケット面が1度ずれてもアウトかネットしてしまう精度での感覚が求められます。

これを目で捉えるのです。目でインパクト時にしっかりとボールとラケット面を捉えることで、しっかりとボールを捉えて押し出す感覚を持ちやすくなります。逆に、インパクト時にボールを見ないと、勘でボールを打たなくてはならず、微妙なタイミングやボールの押し出し、面の角度がずれやすくなります。

したがって、フラットドライブ系の場合は、スピン系よりも、インパクト時に目でボールとラケットをしっかり見るということが、より求められるのです。

2011年9月16日金曜日

メシールのテニス(45) 安定したフォアハンドストローク(その6) テイクバックで左手をラケットに添える

メシールは、フォアハンドのテイクバックで、かなり後ろまで左手を添えています。図を見てください。
これには、いくつか理由があります。

①最も大切なことは、テイクバックで左肩が開かないことです。左手が体の回転と一緒に回転しますので、自然に左肩がネット方向に向くはずです。これにより、両肩を結ぶ線とボールの飛球線が、平行になりやすくなります。下の図を見てください。両者が平行になると、フォワードスイングでラケット面がボールをまっすぐに押し出しやすくなります。一般には、体の回転を使って円状のスイングでボールを捉えます。メシールの場合は、スイング軌跡がより直線的です。そのために、ボールを強くたたきにくいでもりっとはありますが、ボールを自分の狙った方向に運びやすくなります。また、ラケット面のちょっとした角度を調整することで、ほとんど同じスイングでクロス、ストレート、逆クロスを打ち分けることができるのです。
②もう一つの理由は、ラケット(面)がぐらつかないことです。薄いグリップのフォアハンドでは、微妙なラケット面のぐらつきが致命傷になります。正確で精度の高いラケット操作が要求されます。そのために「仕事をさせる」ことが有効です。右手だけで操作をすると、それだけ精度が低くなります。(右手は、ボールを打つという仕事がありますので。)

③テイクバックのタイミングが遅れにくいという利点もあります。本来、仕事の少ない左手にテイクバックのタイミングを取る仕事をさせることで、忙しい右手よりもテイクバックのコントロールがしやすいはずです。その分、テイクバックが遅れたり、ボールの高さに合わせてテイクバックをしたりするという操作がしやすくなるはずです。

私の感覚では、テイクバックにおいてこんなに左手を添えていてもいいのかなと思うぐらい、左手は長い間ラケットに添えておいてよいようです。このあたりのさじ加減は、ビデオで自分でチェックするのがよいと思います。

2011年9月15日木曜日

メシールのテニス(44) 安定したフォアハンドストローク(その5) テイクバックでは体を回転させるだけ

まずは下図をご覧ください。

以前、「テイクバックではラケット(右腕)を体の後ろ(12時側)に置かずに、体の前に置く」と書きました。これは、一言で言うと、「腕をいっさい動かさず、体だけを回転させる」ということで実現できます。そして、大切なことは、体の回転は右足を引くということで実現できる、ということです。下の図を見てください。


これは、つまり、ボールがふぉわハンド側に来たら、右足だけを動かせば、体が回転し、テイクバックは完了するということです。テイクバックにおいて、腕を固定する必要はないですが、腕を大きく引く必要もないのです。

ここまでは、右腕の仕事はほとんどありません。右腕が仕事をするのは、ここから先のフォワードスイングです。下図に示すように、ボール体の距離を適切にとり、左肩をボールの方に向けます。両肩を結ぶ線とボールの飛球線は平行になります。体の正面ではなく、横にボールを持ってくるというイメージが大切です。

その後は、フォワードスイングですが、ここまで準備ができたら、あとは、ラケット面がボールをしっかりと打つことだけを意識して、自由にスイングをして構いません。ラケット面が上を向かないこと、ボールを押し出す、背筋を伸ばす、脇が開きすぎないなどに気を付けてながら、自由に大きなフォロースルーでスイングします。ラケット面がしっかりとボールをつかみ、思う方向にラケットを押し出すことに集中します。

2011年9月12日月曜日

メシールのテニス(43) 安定したフォアハンドストローク(その4) 図で示すタイミングの取り方

(メシールフォアハンドのGIFアニメーションはこちらです。)

今日、メシールのビデオを見ていて気が付いたことを書きます。以前にも同じことを書いたかもしれませんが、図を用意しましたので、繰り返しになりますが書きます。

ポイントは、テイクバックのタイミングと、フォワードスイングのタイミングです。



テイクバックでは、ボールに合わせてラケットを引きます。つまり、ボールがラケット面に吸い込まれるように、またはボールとラケットがひもで結ばれていてラケットを引くことでボールがこちらに飛んでくるかのように、ラケットを引いていくのです。

テイクバクからフォワードスイングへの切り替えのタイミングが、ボールがバウンドしたタイミングになります。ボールがバウンドしたタイミングを使って、フォワードスイングを開始します。上の3つの図で、意識するなら真ん中の図です。コート上で、常に、バウンドした瞬間に自分がフォワードスイングを開始しているかを確認すればよいのです。試合中に(頭が飽和しているときに)何か一つだけ意識するなら、これでしょう。

なお、バウンドする地点が前の方(ネットに近い方)の場合には、多少、この切り替えのタイミングが遅くても大丈夫です(バンド後にフォワードスイングを開始しても間に合います)。逆に、バウンドする点がベースラインに近い場合(いちばん極端なのは、ベースライン上でバウンドする場合)には、バウンドするよりも早いタイミングでフォワードスイングを開始する必要があります。このあたりは、多少、臨機応変に対応する必要があります。

このタイミングの取り方は、別のことも示唆してくれます。それは、自信がないストロークほど、この原則が守れない(フォワードスイングのタイミングが遅れる)ため、ますます「泥沼」に入ってしまうということです。特に、ゲームの途中では、自信がない⇒テイクバックが遅れる⇒ミスをする⇒自信がますますなくなるという、悪循環になります。こうなったら、試合中にこれを修正するのは難いでしょう。ビビったフォアハンドのままゲーム終了、ともなりかねません。

バウンドのタイミングでフォワードスイングを始めることのもう一つの利点は、ラケットを振りきることができるという事です。フォアハンドにしても、バックハンドにしても、サーブにしても、ラケットを振りきることができない(ラケット面でボールを当てただけで打ち返す)限りは、一定のレベル以上には絶対になれません。特に、面がぐらつきやすい薄いグリップのフォアハンドでは、打ち方がこわごわになると、ラケットを振り切ることができなくなりがちです。ボールを打つタイミングが安定すると、ラケットを振りきることが容易になります。

これは、逆に言うと、図の基本原則さえ守っていれば、まずは打ち損じがなくなり、精神的にも安心だということです。相手の球が少々速かろうが、スピンが効いていようが、この通りに打てば、たいていはエラーすることはありません。難しく考えなくても、これで、基本的なラリーは続くのです。これにより、精神的に追い詰められる(自滅する)ことはなくなるはずです。

メシールのテニス(42) 安定したフォアハンドストローク(その3) 背筋で打つ

安定したフォアハンドについて、ブログを書いてはコートで確かめるということをしているのですが、やはり、なかなか安定しません。バックハンドはかなり安定しており、ストレートに来たボールを鋭角のクロスに打ち返してウイナーまたはネットを取るということができるようになりました。

バックハンドが安定すればするほど、逆に、フォアハンドが不安定になるような気持ちすらしてきました(笑)。

これまで、穴の開くほど、メシールのビデオを見てきました。あらゆる分析をしました。しかし、おそらく、まだ、どこかに、重大な見落としをしているはずです。

今日、気が付いたのは、背筋の使い方です。ボールが飛んでくる。それを打ち返す時に、どこに力を入れるか。重いラケットで打点を前にして、ボールを前方に運ぶ力はなにか?

それは、背筋のはずです。背筋には、力を入れても入れすぎることはありません。その代わりに、ラケットを持つ右腕の力はできるだけ抜きます。左腕には力が入ってもよいでしょう。腹筋にも力を入れるとよいかもしれません。ラケットの重みを感じながらスイングしましょう。ラケットにボールを打たせる感じです。ラケットは「重いもの」なのです。このあたりのイメージは、かつての、ハナ・マンドリコバのフォアハンドのイメージがわかりやすいでしょう。

背筋の力が正確にラケット面に伝わるには、インパクト前ぐらいまでは右脇が開いてはいけません。(インパクトでボールを押し出す時には、当然ですが、右脇は空きます。そうしないと、腕を前方向に伸ばすことはできません。)脇を締めてインパクトでラケットを突き出すのは、やはり、ボクシングのジャブをイメージさせます。

腕の力を使わず、背筋の力でラケット面でボールを捉えて、それを前方に打ち出して(押し出して)いく。近いうちに、一度、他のフォームを忘れて、背筋で打点を前にして、ラケットを大きく振るという打ち方を試してみようと思います。

今回は、確定していない技術を書きました。結果は、また、このブログで報告します。

2011年9月11日日曜日

メシールのテニス(41) 安定したフォアハンドストローク(その2)

以前、安定した(スピン系の)サーブを打つ脳内イメージとして、「スイング中、ラケットヘッドを常にネット側(0時の方向)に向けておく」ということを書きました。これにより、ラケット面が上を向くことを防ぎ、右肘(右利き)が前に出るのを防ぐことができます。

薄いグリップのフォアハンドは、実際のコート上では、どうしてもストロークが不安定になります。これは、薄いフォアハンドグリップの宿命です。特に、相手のボールが緩い場合、または高くは寝るボールの場合に顕著です。薄いグリップは、遅い球に弱いのです。

これを防ぐため、つまり相手のボールによらずに安定したフォアハンドを打つ工夫として、スイング中にラケットヘッドをネット側に向けるというサーブの脳内イメージが、そのまま、フォアハンドでも使えます。これで、ラケット面のぐらつきが、かなりなくなります。さらに、右脇を締めることができればなおよいです。右脇が開かないと、さらに、安定感が増します。

ラケットヘッドを0時に向けておくイメージのもう一つの利点は、フラット系とスピン系の両方が打てるということです。この使い分けは、ラケット面を前に押し出すか、または巻き込むかでできます。

実際にコート上で試しましたが、実用的な脳内イメージでした。ビデオでフェデラーのフォアハンドを見ても、やはり、ラケットヘッドがずっと0時方向を向いているイメージを活用しているように見えます。

2011年9月9日金曜日

メシールのテニス(40) 安定したフォアハンドストローク(その1)

このブログを書いていて、時々、どうしてここまで「分析」するのかと思うことがあります。普通の人であれば、コートの上で経験(または体感)で身につることを、すべて、分析し、理由をつけ、そして実践しようというのが、このブログの目的です。

そのために、メシールのビデオを穴の開くぐらい見て、分析を繰り返しています。いかにも理科系(=私)がやりそうなことですね。(笑) 

その中で、映像の分析解説だけでは説明のしようがないのが、「体感イメージ」です。このブログでも、脳内イメージという言葉で、それを表現してきました。言い換えると、ビデオを通じて分析したメシールのテニスを、コート上で実践するためのイメージです。分析は進んでいるのですが、それをコート上で実践するのは容易ではなく、その二つをつなぐのが「脳内イメージ」というわけです。

脳内イメージは個人によって異なるのですが、体感的にしか説明できないことを文章(形)にするには、どうしても脳内イメージが必要です。それは仕方がないのですが、脳内イメージを書き始めると、このブログは一般性を失い、結果的には「私個人のためのブログ」になってしまいます。

そこに、ジレンマがあります。が、そのジレンマを気にしていては前に進めないので、これからは、話題や内容がだんだんと、「脳内イメージ」中心となっていきます。

能書きはここまでにして、「安定したフォアハンドストローク」です。

安定したフォアハンドのためには打点を前にせねばなりません。これは、何度も書いている通りです。打点を前にするためには、テイクバックにおいて、右手は体の前に置くイメージです。これは、もう、テイクバックではありません。テイクフロントです。ボクシングのジャブのように、腕を体の前において、脇を締めて、ボールが来たら腕を伸ばしていくのです。ラケットを後ろに引くという感覚は、全くありません。

これによって、インパクトの瞬間に頭が動かない(インパクトが前の方になるので目でボールを捉えやすい)ことや、ボールを思う方向に運ぶことができるなど、いろいろな利点があります。

ただし、肘の負担がやや大きくなります。したがって、右肘が体から離れないように、右脇を締めなくてはならないのです。

こんな小さなテイクバックで、強いボールが打てるのかと心配になるかもしれません。たしかに、小さなテイクバックでは、大きなテイクバック程の強いボールは打てません。その力は、左腕が補ってあげるのです。左腕(左肘)を前に突き出し、体の回転を左腕がつかさどることで、右腕はボールコントロールに専念できます。左腕(左肘)が推進力、右腕(右肘)がかじ取りをするのです。

2011年9月4日日曜日

メシールのテニス(39) フォアハンドで打点を前にする方法

(メシールのフォアハンドGIFアニメーションはこちらです。)

イースタンやコンチネンタルグリップのような薄いグリップのフォアハンドは、打点を後ろにしてボールを打つことができます。これは、相手の強いボールに差し込まれたときでも返球できるなどの利点はあります。

しかし、薄いグリップで打点が後ろになるのは、本来は望ましい打ち方ではありません。メシールのテニス(14) 懐が深いということでも書いたとおり、打点が後ろになると、フォアハンドは不安定になります。相手のボールの変化(速い球と遅い球が交互に来るような場合)に、ボールのコントロールができなくなってくるのです。また、ラケットを振りきることができないので、ボールのスピードや深さをコントローすることも、難しくなります。

「打点が後ろでも打ててしまう」のは、厄介なことです。なぜなら、これは、「つい、打点を後ろにしてしまう」ということが起こるからです。たとえば、相手のボールが速い時、気持ちが守りに入ってしまった時、体が疲れて足が動かない時…など、なんとか打ち返せるがために、打点が後ろになってしまうのです。

薄いグリップのフォアハンドでは、極力、打点を前にせねばなりません。そうして、ボールを、自分の意図する方向に運ばねばなりません。毎日ボールを数多く打つことができるプレーヤーには造作もないことでしょうが、週一テニスのアマチュアプレーヤーの場合は、よく、このような状況に陥ってしまいます。

では、どうすれば、フォアハンドで打点を前に置くことができるか。

一つ、よい方法があります。今、メシールのテニス(27) ラケット面はいつからいつまでボールに垂直になるか?を思い出してみてください。フラットドライブ系のストロークは、ラケット面が常にボールに対して垂直のようなイメージがありますが、それは間違いです。インパクトの前後ではラケット面は伏せられています。(スピン系と違うのは、インパクトのときにラケット面がボールに垂直になる時間が、スピン系よりは長いというだけです。)

つまり、ラケット面がボールに垂直になる(=インパクト)を前においてやるように、意図的に操作すればよいわけです。これは、テイクバックからフォワードスイングでラケット面をできるだけ長い間伏せるということです。長い間面を伏せれば伏せるほど、インパクト点は前に移動します。

実際にラケットを持ってみればわかりますが、テイクバックからフォワードスイングでラケット面を伏せる時には、テイクバックが小さい方が有利です。大きなテイクバックからフォワードスイングの場合には、どうしても、スイング中にラケット面が起き(立ち)やすいのです。

小さなテイクバックの場合は、スイングの中心が前方になりますので、それだけ、ラケット面を伏せてインパクト(ラケット面が立つ)場所を前に移動できます。

これにより、強制的にインパクトが後ろになるのを防ぐことができるはずです。

2011年9月3日土曜日

メシールのテニス(38) サーブを打つ時は膝を使いましょう

今回は、あまりにも基本的なことです。おそらく、誰もが知っている、わかっている内容です。

それは、「サーブを打つ時は、膝を少し曲げて、ばねのように使いましょう」ということです。

かつてのベッカーのように大げさに曲げる必要はありません。小さなばね程度に思ってもらえれば、それでも十分です。

サーブで膝を使う利点は、いくつかあります。

①ボールをヒットする駆動力になります。強く膝を使い大きな駆動力にすることもありますが、小さくても、小さいなりの駆動力になります。上体だけの力で打とうとすると、それだけ精度が下がります。

②膝が、ダンパー(クッション)として微調整役になります。トスが多少乱れた時(大きく乱れたらNGですが)には、膝がその微調整をしてくれます。その結果、上体はいつも同じフォームでボールを打つことができます。上体の動きは、いつも同じ方が、サービスは安定します。

③リズムが取れます。状態は、ボールを打つことに専念させたいので、リズムも膝で取る方が望ましいわけです。

これらは、すべて、「上体にはいつも同じフォームでボールを打つことに専念させてあげる」ために膝を使いましょうということです。安定したサーブを打つためには、上体をできるだけ一定のフォームにしておくことが有効です。

メシールのテニスではない、誰にでも共通の基本的なことですが、こんなちょっとしたことでも、オンコートではふと忘れてしまったりすることがあります。「どうして今日のサーブの調子は悪いのだろうか」と思った時などには、思い出してみるとよいかもしれません。