2013年4月30日火曜日

Mecir's Tennis (150)  サーブのフォームは野球と同じ?

正しいサーブを打つ「コツ」()()()でテニスのサーブの打ち方を書きました。これはサーブで苦しんだ(そして今でも苦しんでいる)私が、試行錯誤してたどり着いた「コツ」です。(したがって、メシールのフォームとはちょっと違います。)

試行錯誤する中で書籍、雑誌、Webなどであちらこちらに、「テニスのサーブのフォームは野球のボールの投げ方と同じ」とあるのが気になって仕方がありません。これは、野球経験がない人が書くのでしょうか。

サーブと野球のボールの投げ方は、確かに、肩の回転を使う点では共通です。以前、グランドストロークでは「えもんかけ」のように肩を使うと書きました(こちら)が、サーブも同じです。

しかし、ひじの使い方は全く違います。野球では、ひじから先に前に突き出します。テニスのサーブは、逆に、ひじは遅らせます(肘をちょうつがいにして、右腕を降り出します)。下の写真(松阪大輔投手)の連続写真の下段の一番左を見てください。)


下のフェデラーのサーブの写真では、最後の4枚の写真で右ひじが蝶番のように動いているのがわかります(詳しくはこちら)。つまり、サーブでは右ひじは止まり、そこから腕が前に出ていくのです。

また、両者は、その少し前のステップでも異なります。野球の投球フォームでは、上の写真の上段一番右の写真のように肩を張り出して右ひじを後ろに引きます。テニスでは、右ひじは後ろに引きません(引いてはいけません)。右ひじは、ずっと体の前にあるのです。


テニスのサーブでは、野球のようにトスアップの後、肩を張って右ひじを大きく後ろに引っ張りはしません。

野球経験者の私にとって、「サーブや野球の投球フォームのように」というのはとても混乱しやすい説明なので、メシールのテニス(32) サーブ(その4) 野球の投球フォームの弊害で書いた内容を、再度掲載してしまいました。

人によって感じ方はいろいろでしょうが、私には、野球の投球よりもテニスのサーブのほうが、身に着けるのに時間がかかっています。(おそらく、野球は、物心がつくころからやっていたからでしょうね。)




Dunlop NEOMAX2000プチ情報

愛用しているダンロップ NEOMAX2000ですが、最近、新しく1本、追加購入しました。届いたラケットを見ると…どういう理由かわからないのですが、ほんの少し、これまでの製品と違っていたので、そのことを報告しておきます。

最近の一般ラケットと比較すると重いと言われているNEOMAX2000(ダンロップのサイトによるとフレームだけで320g)ですが、私にとってはまだ軽いので、私はラケットにリードテープ(いわゆるおもり)を貼っています。愛用しているリードテープはTOURNA(トーナ) LEAD SWINF WEIGHTS(リード スイング ウエイト) LDS-4という製品です。(これまではここから買っていたのですが、リストからなくなってしまいました。キモニーの同タイプは、まだ販売していますね。)


これは、アルファベットの大文字のHの形をしており、ラケットの内側に貼り付けることができます。ストリングが切れた時も張り替え時にテープをはがす必要がなく、ラケットの内側なのでプレーにも影響がなく、重宝しています。(価格が高いのが難点ですが。)


ところが、新しいNEOMAX2000は、なぜかペイントが微妙に変わってしまいました。一見しただけではわからないのですが、よくみると、以前よりもラケット表面の「つや消し度」が上がっています。以前より、ちょっと「つるつる」になっている感じです。このおかげで、上のリードテープが貼りつかなくなってしまいました。貼り付きが悪くなった程度ではなく、全然貼り付きません。

ラケットは正規品だと思うので、粗悪品という事ではなく、ダンロップ社が塗装を変更したのだと思うのですが、ほんのちょっとしたことなのですが困っています。別のリードテープを探さねば…。

ちなみに、この新しいラケットでコートでボールを打った感じでは、今までのNEOMAX(3本持っています)と打感は変わりません。また、上記のダンロップのサイトには、塗装の変更は特になにも書いてありませんでした。

2013年4月29日月曜日

Mecir's Tennis (149)  上体の力を抜く勇気を持とう

今回は、基本中の基本…あまりにも基本的なことを書きます。しかも、これまでにも何度か同じような内容を書いています。復習だと思って読んでください。

今回、書きたいのは、安定したグランドストロークのために必要なことです。

ボールが飛んできました。どこが仕事をするか。それは、目と足です。

目は、ボールがバウンドするまでは絶対のボールを見続けます。当然と思うかもしれませんが、それが難しいことが多いのです。体を移動させている場合であっても、目はボールがバウンドするところを見届けなくてはなりません。

同時に、足です。とにかく、早く動くのです。早く動いて、下半身のテイクバックを完了させるのです。早すぎて構いません。相手のボールが遅い時には、タメができることになりますが、それで構いません。タメはあればあるだけよいのです。

さて、ここまではこれまでにも書いていたことです。ここから先が、今回、追加したいことです。

それは、上体(特に腕)の力です。ここで、上体に力を入れないという事をルールにしてみます。力を入れない代わりに、大きなフォロースルーで(ネットを高いところでこえるような)ボールを打ちます(こちら)。

腕に、上体に力を入れないというのは、案外怖いものです。ボールに打ち負けそうに思うからです。しかし、まずは、力を抜いてボールを打ちます。もし、ボールに打ち負けたとすれば、それは、上体の力が抜けていることが原因ではなく、多くの場合は、上に書いた足の動き(テイクバック)が間に合っていないからです。足さえ間に合っていれば、勇気をもって上体の力を抜きましょう。

下半身を酷使して、上半身はリラックス。足にしっかり仕事をしてもらって、腕は楽しくテニスをしましょう。土台となる下半身が頑張ってくれれば、上半身は自由にボールを打てるようになります。早い球、遅い球、フラット系、スピン系、ストレート、クロス、逆クロス…。

本能はよくできていて、案外、力を抜いて打っても、必要最低限な力は入るものです。もし、もう少し強く打ちたければ、そこから少し力を追加します。力を入れているところから抜くよりも、抜いているところから入れていく方が、力の加減が操作しやすいものです。また、力を抜いて大きなフォロースルーを取ることで、厚い当たりのボールを、正確なコントロールで打つことができます。

上体の力を抜く勇気。これは、もちろん、目と足の動きができていることが条件になりますが、ゲームでは有効ですので、是非試してみてください。

2013年4月28日日曜日

Mecir's Tennis (148) 正しいサーブを打つ「コツ」(3)

正しいサーブを打つコツ(2)で、ラケットをフレーム方向に厚く振るというイメージが有効(な人もいる)ことを書きました。ここでは、フレーム方向に厚く振る際の右腕のイメージについて書きます。


図は脳内イメージ:実際には体の回転が入るので、厳密にこの面内でラケットが動くわけではない。

まず、ラケットをフレーム方向に厚く振るというイメージですが、上図の体と平行な線(実際には面)内でスイング(フォワードスイング)します。ラケット面が、この線(面)内にあるイメージです。本来はフォワードスイングが面内で動けばテイクバックスイングは面に拘束されませんが、実際にはテイクバックスイングもこの面内で動かすと、フォワードスイングのイメージがつかみやすいので有効です。

テイクバックスイングでは、まず肘を両肩の延長線の高さに持ってきて、その後で肘を蝶番(ちょうつがい)のようにしてラケットを持つ腕を振り上げることをお勧めします。(必須ではありません。)このようにしてラケットを振り上げると、上図の面内でラケットを振り上げやすいうえに、トロフィーポーズの際に肘が下に落ちないからです。イメージとしては、ロボットダンスのように右肘を使うイメージでしょうか。

その後は、正しいサーブを打つコツ(2)で書いたとおり、ラケットフレーム方向に厚いグリップだと思い、その方向にラケットスイングします。これで、ラケットがボールに薄く当たるので、正しいスピンボールが打ちやすくなります。

ここでひとつ気を付けることがあります。テイクバックで、脇を締めすぎてはいけないという事です。脇を締めると、下図のように肘より先の腕が外を向いてしまいます。その結果、ラケットフレームがスイング方向と角度を持ってしまうのです。その結果、ラケット面が開き、スイング方向とラケットフレームが同じ面内に収まらなくなります。(ラケットフレーム方向ではなく、ラケット面方向にスイングしてしまいます。)

したがって、右脇を閉じず、というよりは右脇を空けて、右腕(肘より先)が体に平行になるイメージ(下図の左)が有効です。


2013年4月27日土曜日

Mecir's Tennis (147) 正しいサーブを打つ「コツ」(2)

Mecir's Tennis (144) 正しいサーブを打つ「コツ」(1)で、ラケットの面方向ではなくフレーム方向にラケットをテイクバックすることを書きました。下の2つの連続写真を見てください。



上の連続写真では、⑥~⑧においてフレーム方向にテイクバックしていることが分かります。その結果、⑨においてラケット面(ボールを打つ方の面)がネット方向(0時方向)を向いています。


一方、2つめの連続写真ではどうでしょうか。⑦~⑩にかけて、ラケット面が開いているのが分かります。その結果、⑫においては、ラケット面がやや左方向(10時方向)を向いています。右腕が非常に強いプロ選手だからこそこうなりますが、アマチュアが⑦~⑩のテイクバックをすると⑫ではラケット面は6時や8時方向を向いてしまうでしょう。

さて、では、1枚目のようにラケットフレーム方向にスイングするにはどうすればよいでしょうか。

これは、私のコツ(まさに脳内イメージ)なのですが、私は、「厚いグリップのつもりで打つ」という事をしています。このイメージが有効な人と、そうではない人がいると思いますので、有効な人は活用してください。

サーブ(特にスピンサーブ)では、ラケットグリップはコンチネンタルまたはもっと薄いバックハンドイースタングリップです。私は、フォアハンドはイースタングリップ(=メシール)ですからあまり大きな違和感はないのですが、フォアハンドがウエスタングリップの場合には、かなり違和感があるグリップです。(とはいえ、ボレーなどでも同じですから、慣れている人はもう違和感は感じないと思いますが。)

上はウエスタングリップです。このグリップでサーブを打つと、ちょうど、ラケット面方向にスイングすることになります。

上は、コンチネンタルグリップですが、フレーム方向で打つと思えば、これがウエスタングリップになります。

さて、この薄いグリップは、フレーム方向にラケットを振るという意味では、厚いグリップです。ラケット面でボールを打つと思うと薄いグリップですが、ラケットフレームでボールを打つと思うと厚いグリップです。そして、その、フレーム方向に厚いグリップでサーブを打つのです。

「そんなことをしたら、本当にフレームでボールを打ってしまうだろう」と思われるかもしれません。しかし、下の二つの理由で、そうはなりません。
  • もともと、スピン系サーブは、ラケットがボールに対して非常に浅い角度で入ります。それは、言い換えると、もともと、フレーム方向でスイングした角度に近い浅い角度でボールが当たってるのですから、あまり違和感はありません。
  • 人間の本能でしょうか、実際にフレームでボールを打つことを、ヒトは無意識に避けるようです。私は何度も試しましたが、実際にはフレームでボールを打つことはありませんでした。
つまり、ここで書く「コツ」というは、薄いグリップで薄い角度でボールを打つ感覚が難しい場合には、発想を転換して、厚い当たりでボールを打つ(その代わりにフレーム方向にラケットを持つ)イメージが有効ではないでしょうか、ということです。

なかなかうまくスピンサーブが打てない(テイクバックでラケット面が開く)と言う人は、是非試してみてください。このイメージで、テイクバックでのラケット面の開きが収まることもあると思います。

2013年4月25日木曜日

Mecir's Tennis (146) 有効なグランドストローク練習(イースタングリップのフォアハンド)

フォアハンドグリップが薄い(イースタングリップ)では、ボールのあたりが厚くなる傾向があります。厚いグリップのフォアハンドと比較すると、「面を作る」ことがより重要になります。言い換えると、ボールコントロールはラケット面を作ることで行います。(厚いグリップの場合は、ボールを強くたたくことでボールをコントロールする傾向になります。)

この結果、イースタングリップフォアハンドプレーヤーは、往々にして、次のような状態になります。

「ラケット面を作っていればボールをコントロールできるため、ラケットを振ることよりもラケット面をつくことに集中してしまう。」

よいラケット面ができているときは、イースタングリップの場合は厚い当たりのボールが比較的低い弾道でネットを超えていきます。しかも、弾道が低いためにボールが短くなりにくく、結果的には「厚い当たりの深い良い球」になってくれるのです。

しかし、このようなフォアハンドストロークには大きな落とし穴があります。一つ間違えると、ゲーム中にラケットをしっかり振り切ることができなくなることがあるのです。

これを防ぐためには、日ごろから、次のような(簡単な)練習をすることが有効です。

それは、通常の一対一のストロークをする際に、ネットの高いところ(ロブに近いぐらい高くても構いません)を通るグランドストローク(とくにフォアハンド)を打つ練習です。ボールの速度は必要ありません。ゆっくり(本当にゆっくり)のボールで構いません。ただし、ベースラインとサービスラインの間(できればベースラインから2m以内)にバウンドさせるのです。

イースタングリップでこのような高い弾道のボールを打つには、二つの方法があります。

一つは、ラケット面を上に向けてそちらに向けてボールを厚い当たりで打つ方法です。しかし、この場合、ボールの力加減は簡単ではありません。ボールが失速してサービスラインあたりでバウンドしたり、逆にベースラインを超えたりすることもあります。したがって、この方法はNGです。

もう一つは、(ヘビースピンではなくてよいので)ドライブ系のボールを打つことです。そのために、ゆっくりでよいので、ラケットを(大きく)振り切ることです。ラケットをしっかり振り切ることで、ボールには順回転がかかり、同時にボールをしっかりコントロールできます。

横から見ていると「なんというゆっくりの(気の抜けた?)グランドストロークだ」と見えるかもしれませんが、これがとても有効な練習なのです。

イースタングリップのフォアハンドで、このようなボールを打つには、いくつか満たすべき条件があります。これを、前者の方法(ラケット面を作る)と比較しながら書いてみます。

まず、ボールに対して正しいポジションにいないと、ラケットを振り切ってボールを打つことができません。(ラケット面を作るだけでボールを打つ場合には、比較的ルーズなポジショニングでもボールが返球できます。)

次に、飛んでくるボールに対して良いタイミングでボールを打たないと、うまくコントロールできません。(ラケット面を作ってボールを打ち返す場合には、ボールに対するタイミングも比較的ルーズでも大丈夫です。)

そして、当たり前ですが、スイングを大きく、最後まで振り切らねばなりません。(これも、ラケット面を作るだけであれば振り切りが小さくても大丈夫ですが、前述のとおりこの方法ではボールの距離感を作ることは簡単ではありません。)

したがって、イースタングリップのフォアハンドプレーヤーには、「ゆっくりとした高い軌道のボールでベースライン当たりに弾むボールを打つ練習」は、意外に難しく、同時にとても有効で、かつ重要なのです。

実際の試合では、どちらのタイプのスイングも必要とされます。相手のボールが低く、速い場合には、むしろラケット面を作る打ち方が有効でしょう。逆に、相手のボールが緩い場合、こちらがつなぎのボールを打ちたい場合、比較的安全に打ち合いたい場合など、緩いドライブ系の高いボールを打つ場面も多くあります。

この両方のボールを打ち分けることとができると、その2つの打法がイースタングリップのフォアハンドプレーヤーは大きな武器になるはずです。

2013年4月23日火曜日

Mecir's Tennis (145) ”ラケットセット”( レディーポジションとテイクバックの間にあるモノ)

以前、プロとアマチュア(中) 自分自身のコーチになろうで書きましたが、私は、自分がプレーするときに、時々ビデオを撮ってそれを分析します。自分のプレーを第三者の目で見て、この点がよくない、ここを修正したほうがよいと「自分をコーチング」するわけです。

私の場合はメシールのテニスを目指しますので、自分のビデオとメシールのビデオを見比べます。その際に、いろいろな発見があります。

今まで、グランドストロークは、次のプロセスから構成されると思っていました。
  1. レディーポジション
  2. テイクバック
  3. (テイクバックトップ)
  4. フォワードスイング
  5. インパクト
  6. フォロースルー
しかし、実はメシールのグランドストロークには、1と2の間にもう一つプロセスがあることに気が付きました。今回は、この、レディーポジションとテイクバックの間にあるもう一つのプロセスについて書きます。

まず、レディーポジションとテイクバックの二つのステップを、ボールの位置がどこかと言う視点で区別すると、以下のようになります。
  1. レディーポジション⇒自分の打ったボールがネットを超えて相手のコートでバウンドする
  2. テイクバック⇒相手のボールはネットを超えて自分のコートでバウンドする
これを見ればわかりますが、1と2の間には、ボールの視点からも抜けがあります。つまり、「相手のコートでボールがバウンドして、相手がボールを打ち、相手のボールがネットを超えてくる」間です。これは、上の1と2の間になります。

この間、プレーヤーは何をしているでしょうか。もちろん、スプリットステップがあります。さらに、ボールが飛んでくるにしたがって、ステップワークが入ります。

が、スプリットステップやステップワークは、主として下半身の仕事です。上半身は、この期間に何をするのでしょうか。

メシールの映像を見ていると、そこには、ラケットセットと呼ぶようなプロセスが入ります。そして、このラケットセットがとても大切です。

ラケットセットが何かを書く前に、正しいプロセスとその時のボールの位置をまとめてみます。分かりやすいように、スプリットステップも入れておきます。
  1. レディーポジション⇒自分の打ったボールがネットを超えて相手のコートでバウンドする
  2. スプリットステップ⇒相手コートでボールがバウンドし、相手がボールを打つ
  3. ステップワーク(下半身)+ラケットセット(上半身)⇒相手が打ったボールがネットに向いて飛んでくる
  4. テイクバック⇒相手のボールがネットを超えて自分のコートでバウンドする
  5. (テイクバックトップ)
  6. フォワードスイング
  7. インパクト
  8. フォロースルー
メシールのフォアハンドの連続写真で、ステップ1、ステップ3とステップ4を見てみましょう。


上の写真がステップ1(すなわちレディーポジション)です。この後に、スプリットステップ(ステップ2)が入ります。さて、大切なことは、これはラケットスイングのスタート地点ではないという事です。スイングは、ここから始まるのではなく、2のラケットセットからスタートします。


上の写真がステップ3のラケットセットです。これはスイングの途中ではなく、スイングの始まりです。スイングはここから始まります。


上の写真はステップ4のテイクバックです。2のラケットセットからラケットを後ろに引いています。つまり、スイングがスタートしています。

さて、スイングスタートをレディーポジションではなく、ラケットセットから始めるというのはどういう事でしょうか。ラケットセットの定義は、「そのままラケットを引く(骨盤を回す)とテイクバックを開始できるスタート地点」です。1のレディーポジションは正面を向いており、フォアサイド、バックサイドのどちらにボールが来ても対応できる体勢です。ここからでは、そのまま4には移動できません。

メシールのようなイースタングリップ(=薄めのグリップ)では、スイングの正確性が命です。スイングやラケット面の微妙なずれは、ボールコントロールを失うことに直結します。

そのためには、できるだけ、できるだけシンプルなスイングにしたいのです。ある状態から骨盤を回転させるだけ・ラケットを引くだけでテイクバックが完了することが理想です。そのある状態は、レディーポジションではありません。したがって、テイクバックの前に、ステップ3のラケットセットの状態が必要になるわけです。

ステップ2のスプリットステップが終わった後、よほどのランニングショットではない限り、ステップは5歩程度で完了します。これがステップ3のステップワークです。下半身がステップワークを完了した時に、上半身はどうなっているでしょうか。それが、ステップ3のラケットセットです。下半身がボールを打つ形を作った時に、上半身はテイクバックを開始できる場所にラケットをセットします。

ラケットセットは、「そのままラケットを引くことができる」という事ですので、ラケットヘッドはテイクバックの時の方向を向きます。フォアハンドでは、したがって、0時方向を向くはずです。(上のステップ3のメシールの写真を見てください。)ラケットヘッドは、決して11時方向、10時方向、9時方向を向くことはありません。一方、バックハンドではラケットヘッドは0時方向から9時方向の間のどこか(テイクバックをしやすい方向)を向くことになります。

ラケットセットは、3つ目のプロセスですが、カチッとしたプロセスではありません。ステップ2からステップ4への連続動作の一つになることもあります。実際、「今日はグランドストロークの調子が良いなあ」と思う時は、ステップ2とステップ4の間でラケットセットが自然にできていることがあります。

ステップ3は、むしろ、調子が悪い時にチェックしてみるのがよいかもしれません。例えば、フォアハンドで、ステップ1からそのままステップ4に移動しようとしていないか。つまり、ラケットヘッドが9時方向を向いているところから、そのままテイクバックを始めていないか。その場合には、メシールのテニス(グランドストローク)では決して安定したテイクバックを取ることはできていないはずです。

ラケットセットにより、ステップ4のテイクバックはスムーズで、そして正確になります。スイング(とくにテイクバック)に安定感が出ます。この安定したテイクバックは、実は、メシールにテニスでは極めて重要です。

ラケットセットと言うプロセスを入れることで、実は私のスイング(そして、メシールのテニスを目指す多くのプレーヤーのスイング)の安定性が向上することは、間違いないと思います。

2013年4月21日日曜日

Mecir's Tennis (144) キャリオカ・ステップの良いところ

バックハンドスライスは、エースを取ることはあまりないショットですので、どちらかと言うとつなぎのショットです。攻めのショットにはなりにくいわけですから、バックハンドスライスを打つ際に最も大切なことの一つはミスをしないという事になります。

「安全に」と思って打ったつなぎのバックハンドスライスがネットすることがあります。攻めていたわけではないので、そのショックは大きいでしょう。これは、走らされて打った(あまり余裕のない)バックハンドスライスで時々、起こることです。

これをよく調べてみると、安全に打とうとするがあまり、背中が丸まってしまっていることがあるということに気が付きました。無意識に、エラーしないように背中を丸めてボールを「カット」しようとしているわけです。

背中が丸くなる(前傾になる)スライスはよくない
 


他のショットも同様ですが、バックハンドスライスも、背中を伸ばして(上体を立てて)打たねばなりません。これは、『丁寧に打とう』と思う時に背中が曲がってしまうのとは正反対の、本能に逆行していることになるかもしれません。

そういう場合に効果的なのが、キャリオカ・ステップです。キャリオカ・ステップは、どちらかと言うとアプローチショットなどで使うステップワークですが、走らされて打つバックハンドスライスでも使うことができます。キャリオカ・ステップでは、背筋が自然に伸びますので、上のように背中を丸めてしまう心配がありません。

また、右肩が入り、右足が前に出るクローズドスタンスになりますので、コースも読まれにくくなるという利点があります。

バックハンドスライスが安定しない時には、あえてキャリオカ・ステップを使うのも一つの方法です。

2013年4月18日木曜日

Mecir's Tennis (143) 正しいサーブを打つ「コツ」(1)

メシールのテニスと言うわけではなく、サーブで薄いグリップで握るためのコツです。

正しいサービスフォームでは、テイクバックでラケットヘッドが落ちた時(この項では、ラケットヘッドが落ちたところを、サーブのテイクバックと呼ぶことにします)にラケット面(ボールを打つ側の面)はどちらを向いているでしょうか。正解は、背中側です。

ナダルのサーブの写真で見てわかると思います。このラケット面が背中と逆方向またはネットと逆方向を向くと、ボールにスピンをかけて打つことができなくなります。


他の写真でも、ラケット面の方向を確認してみてください。




このラケット面が、9時方向を向いたり、または6時方向を向いてしまうと、スピン系のサーブを打つことができません。実際、テニスコートで見てみると、うまくスピンサーブを打てない人の多くは、テイクバック(ラケットヘッドが下向きになった時)に、上の写真と全く反対にラケット面が向いていることが多いことに気が付きました。

実際、サーブで厚いグリップで握ると、ラケット面は上の写真とは正反対の方向を向くことが多くなります。いちばん極端な例は、いわゆる「おばさんサーブ」です。この場合、ラケット面は、ネットと正反対(6時方向)を向くはずです。

実は、グリップが薄い場合でも、テイクバックまでのスイングが間違えていると、このようにラケット面が外を向いてしまいます。

これはなぜ起こるのか。調べてみたのですが、ラケットを引く(テイクバックする)過程で、それは起こります。具体的には、ラケットを振り上げてラケットヘッドが落ちるまでに、ラケット面方向にテイクバックすると、テイクバック(=ラケットヘッドが落ちた時)でラケット面は開きます。
上の図は、テイクバックしているときにラケット面を開いています。これは、言い換えると、ラケット面方向にラケット引いています。


そうではなく、ラケットのフレーム方向にラケットを引いてテイクバックまで持っていかなくてはなりません。ラケットのフレームで「空手チョップ」のようにラケットを引くイメージです。

このようにラケット面を開かないでテイクバックをすることは、それができる人にとっては簡単なことなのですが、そうではない人にはなかなか難しいのです。ではどうすればできるようになるか。

別項(正しいサーブを打つ「コツ」(2))で紹介したいと思います。


2013年4月14日日曜日

三度(みたび)、ブラチスラバへ!(メシールの故郷を訪ねて)

また、行ってきました。ミロスラフ・メシール(メチール)氏が住んでいる(はずです…(笑))の、スロバキアの首都・ブラチスラバです。

前回(こちら)同様に、また、ナショナルテニスセンター(NCT)に行ってきました。ブラチスラバには、「旧市街地」と言う美しい観光スポットがあるのですが、そちらに行かずにNTCに行く日本人は珍しいかもしれません(笑)。

今までは、きちんとした下調べをせずに訪問していたので、厳冬のブラチスラバを道が分からず行ったり来たりしてとてもつらかったのですが、今回はガイドマップ(地球の歩き方)を持っていったので、これまでの2回よりはスムーズに市内を移動できました。

冬の雪が降り積もっている時とは暖かさが違うので、それだけでもかなりの市内移動のしやすさでした。真冬のブラチスラバでは、バスを待つのもさむくて、寒くて…。

ブラチスラバ市内移動では、バスと路面電車(トラム)をうまく乗りこなすのがコツですが、市内も道が入り組んでいるために、前回、前々回はなかなか思うところに思うように移動ができませんでした。今回は、はじめから最短距離で移動しようとせずに、遠回りでもよいので本数が多い便(200番台のバスとか数字が一ケタのトラムとか)を選んで乗り継ぐことで、比較的スムーズに移動ができました。

前回も行ったNTCの中のスロバキアテニス協会のレストランを再訪したのですが、「テニスパブ(Tenis Pub)」と言うしゃれた(?)名前に変わっていました。レストランの中は、全く変わっていませんでしたが。なお、Tenisというのはスペルミスではなく、どうやらスロバキア語でテニスはTenisと書くようです。

この「テニスパブ」には前回同様、無料の無線LANサービスがあって、PCをインターネットにつなぐことができます。どうも、ブラチスラバ(スロバキア)には比較的あちらこちらに無料のワイヤレスネットワークがあるようです。ブラチスラバ中央駅でも、無料で接続ができました。長距離バスでも無料サービスがあると、Webで見ました。

テニス協会の前には、赤土のコートが10面ぐらいあります。冬の間はエアドームが並んでいましたが、今回(4月)は雪も解けきっており、ドームは全て取り外されていました。いくつかのコートは使えるようになっていましたが、他のコートはまだ整備中のようでした。スロバキアの春は遅いのでしょう。

「テニスパブ」にはテラスがあり、そこから10面のコートを見渡すことができます。私が行ったのは平日(月曜日)の午後だったこともあるのでしょうか、数名のジュニアの男女が練習をしていました。スロバキアビールを飲みながら、ぼんやりとその練習風景を見ているのは、なんとなくよい感じがしました。

Aegon Arena(エイゴンアリーナ)も前回訪れた雰囲気と全く変わらず、メインアリーナではバトミントンの選手が練習をしていました。

暖かくなってNTCはもう少し賑やかになっているかと思ったのですが、全体に、閑散とした感じがしたのは、スロバキアは2月のDavis Cup予選1回戦でウクライナに2-3で敗退しており、国内ではテニスの盛り上がりはいま一つなのかもしれません。