2013年4月23日火曜日

Mecir's Tennis (145) ”ラケットセット”( レディーポジションとテイクバックの間にあるモノ)

以前、プロとアマチュア(中) 自分自身のコーチになろうで書きましたが、私は、自分がプレーするときに、時々ビデオを撮ってそれを分析します。自分のプレーを第三者の目で見て、この点がよくない、ここを修正したほうがよいと「自分をコーチング」するわけです。

私の場合はメシールのテニスを目指しますので、自分のビデオとメシールのビデオを見比べます。その際に、いろいろな発見があります。

今まで、グランドストロークは、次のプロセスから構成されると思っていました。
  1. レディーポジション
  2. テイクバック
  3. (テイクバックトップ)
  4. フォワードスイング
  5. インパクト
  6. フォロースルー
しかし、実はメシールのグランドストロークには、1と2の間にもう一つプロセスがあることに気が付きました。今回は、この、レディーポジションとテイクバックの間にあるもう一つのプロセスについて書きます。

まず、レディーポジションとテイクバックの二つのステップを、ボールの位置がどこかと言う視点で区別すると、以下のようになります。
  1. レディーポジション⇒自分の打ったボールがネットを超えて相手のコートでバウンドする
  2. テイクバック⇒相手のボールはネットを超えて自分のコートでバウンドする
これを見ればわかりますが、1と2の間には、ボールの視点からも抜けがあります。つまり、「相手のコートでボールがバウンドして、相手がボールを打ち、相手のボールがネットを超えてくる」間です。これは、上の1と2の間になります。

この間、プレーヤーは何をしているでしょうか。もちろん、スプリットステップがあります。さらに、ボールが飛んでくるにしたがって、ステップワークが入ります。

が、スプリットステップやステップワークは、主として下半身の仕事です。上半身は、この期間に何をするのでしょうか。

メシールの映像を見ていると、そこには、ラケットセットと呼ぶようなプロセスが入ります。そして、このラケットセットがとても大切です。

ラケットセットが何かを書く前に、正しいプロセスとその時のボールの位置をまとめてみます。分かりやすいように、スプリットステップも入れておきます。
  1. レディーポジション⇒自分の打ったボールがネットを超えて相手のコートでバウンドする
  2. スプリットステップ⇒相手コートでボールがバウンドし、相手がボールを打つ
  3. ステップワーク(下半身)+ラケットセット(上半身)⇒相手が打ったボールがネットに向いて飛んでくる
  4. テイクバック⇒相手のボールがネットを超えて自分のコートでバウンドする
  5. (テイクバックトップ)
  6. フォワードスイング
  7. インパクト
  8. フォロースルー
メシールのフォアハンドの連続写真で、ステップ1、ステップ3とステップ4を見てみましょう。


上の写真がステップ1(すなわちレディーポジション)です。この後に、スプリットステップ(ステップ2)が入ります。さて、大切なことは、これはラケットスイングのスタート地点ではないという事です。スイングは、ここから始まるのではなく、2のラケットセットからスタートします。


上の写真がステップ3のラケットセットです。これはスイングの途中ではなく、スイングの始まりです。スイングはここから始まります。


上の写真はステップ4のテイクバックです。2のラケットセットからラケットを後ろに引いています。つまり、スイングがスタートしています。

さて、スイングスタートをレディーポジションではなく、ラケットセットから始めるというのはどういう事でしょうか。ラケットセットの定義は、「そのままラケットを引く(骨盤を回す)とテイクバックを開始できるスタート地点」です。1のレディーポジションは正面を向いており、フォアサイド、バックサイドのどちらにボールが来ても対応できる体勢です。ここからでは、そのまま4には移動できません。

メシールのようなイースタングリップ(=薄めのグリップ)では、スイングの正確性が命です。スイングやラケット面の微妙なずれは、ボールコントロールを失うことに直結します。

そのためには、できるだけ、できるだけシンプルなスイングにしたいのです。ある状態から骨盤を回転させるだけ・ラケットを引くだけでテイクバックが完了することが理想です。そのある状態は、レディーポジションではありません。したがって、テイクバックの前に、ステップ3のラケットセットの状態が必要になるわけです。

ステップ2のスプリットステップが終わった後、よほどのランニングショットではない限り、ステップは5歩程度で完了します。これがステップ3のステップワークです。下半身がステップワークを完了した時に、上半身はどうなっているでしょうか。それが、ステップ3のラケットセットです。下半身がボールを打つ形を作った時に、上半身はテイクバックを開始できる場所にラケットをセットします。

ラケットセットは、「そのままラケットを引くことができる」という事ですので、ラケットヘッドはテイクバックの時の方向を向きます。フォアハンドでは、したがって、0時方向を向くはずです。(上のステップ3のメシールの写真を見てください。)ラケットヘッドは、決して11時方向、10時方向、9時方向を向くことはありません。一方、バックハンドではラケットヘッドは0時方向から9時方向の間のどこか(テイクバックをしやすい方向)を向くことになります。

ラケットセットは、3つ目のプロセスですが、カチッとしたプロセスではありません。ステップ2からステップ4への連続動作の一つになることもあります。実際、「今日はグランドストロークの調子が良いなあ」と思う時は、ステップ2とステップ4の間でラケットセットが自然にできていることがあります。

ステップ3は、むしろ、調子が悪い時にチェックしてみるのがよいかもしれません。例えば、フォアハンドで、ステップ1からそのままステップ4に移動しようとしていないか。つまり、ラケットヘッドが9時方向を向いているところから、そのままテイクバックを始めていないか。その場合には、メシールのテニス(グランドストローク)では決して安定したテイクバックを取ることはできていないはずです。

ラケットセットにより、ステップ4のテイクバックはスムーズで、そして正確になります。スイング(とくにテイクバック)に安定感が出ます。この安定したテイクバックは、実は、メシールにテニスでは極めて重要です。

ラケットセットと言うプロセスを入れることで、実は私のスイング(そして、メシールのテニスを目指す多くのプレーヤーのスイング)の安定性が向上することは、間違いないと思います。

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