2011年10月30日日曜日

ラケットインプレッション ダンロップ社NEOMAX2000

このブログでは珍しい、テニスラケットのインプレです。

私は20代のころ(1980年代後半)にMAX200Gを使っていたのですが、それから15年間ほど(1993年~2008年)、仕事の関係でラケットに触ることがありませんでした。2008年にテニスを再開した時に、使い慣れており、しかも気に入っていたMAX200Gに近いイメージのラケット探したのですが、なかなか見つかりませんでした。(以前はストリングスのメーカーだったバボラのラケットがショップを席巻していたのには、驚きました。)ダンロップ社のRIMシリーズ(私が使ったのはダイアクラスター・リム2.5)がやや近い感触だったのですが、RIMシリーズそのものが販売終了した後でしたので、中古市場にあるものしか手に入りませんでした。

その後もずっと、MAX200Gに近い感触のラケットを探していたのですが、なかなか見つかりませんでした。今どきのテニスには向いていないタイプのラケットですから、もう、販売されることはないだろうと諦めていたのですが、1か月ほど前(2011年9月)にダンロップのネオマックス2000(Dunlop NEOMAX2000)販売開始の記事を見て、「これは!」と期待しました。楽天オープンのときにダンロップ社のブースで現物を見て、やはり求めていたラケットだと直感し、試打もせずに注文したのです。

そのラケットが、今日、届きました。早速、コートで試しに打ってみました。(実は、草大会のダブルスの試合で、練習もなしで、いきなりゲームで使ってみたのですが(笑)。)

ガットは、Wilson NXT 16を56ポンドで張ってもらいました。グリップサイズは2です。私は、普段から重いラケットを使うのですが、今回もラケットのトップ側に鉛を貼り、重さを(ガット張上がりで)375g程度にしました。

ゲームで使っただけで、まだ、十分に打ち込んでいないのですが、ネット上にもまだほとんど流れていないようですので、このラケットのインプレッションを報告しようと思います。(もちろん、ここに書くのは私個人の印象ですので、使う人によって全く異なる意見をお持ちになることもあると思いますので、あくまで参考にしてください。)

ボールを打った第一印象は、「NEOMAX2000はラケット面が大きくなったMAX200Gだ!」です。打球感は、MAX200Gの懐かしいあの感覚です。どう表現すればよいのでしょうか、振動が少なく、鈍く厚い打球感とでもいいましょうか。

しかも、MAX200Gと比べるとラケット面が大きいので、私のレベルでもスイートスポットを外した「ガシャン」というショットが少なくて、助かります。MAX200Gは、ラケット面が小さいために、なかなかラケットの真ん中でボールを捉えることができませんでした。(今でもMAX200Gを持っているのですが、これが理由で、このラケットは押入れで眠っています。)

スイートスポットを外すとボールが飛ばなかったMAX200Gと比較して、NEOMAX2000は私ぐらいの技量でもスイートスポットを大きくは外しません。そのおかげで、今日、コートでボールを打った限りでは、「スイートスポットを外してしまって飛ばないなあ」ということはありませんでした。

打球感はMAX200Gを思い出させますが、ラケット面の大きさと打球感を併せると、むしろ、ミズノのCX-603に近いかもしれません。かつて、リサ・ボンダーが使っていたラケットです。CX-603はMAX200G以上にやわらかい打球感を持つラケットで、私は気に入って使っていたのですが、フレームが弱いのが欠点でした。私は、CX-603を2本か3本、プレー中に壊しました。ガットが切れることはよくありますが、ラケットが壊れるという経験はCX-603以外ではしたことがありません。(MAX200Gもフレームが弱いそうですが、私は壊したことはありません。)

NEOMAX2000は、CX-603と同じように、「壊れてしまうのではないだろうか」と感じるぐらい、相手が打ったボールの振動をラケットが吸収してくれるような感触があります。

私は、ボールの嫌な振動を吸収してくれるやわらかい(=Flex値またはRA値が小さい)ラケットが好きなのですが、今、市場に出回っているやわらかいラケットの多くは女性向けで、ラケット面が大きすぎ、ラケット重量が軽すぎるのです。100インチ以上のラケット面は、パワーやスピードよりもコントロールを重視するプレースタイルの私には、大きすぎます。普段、鉛を貼って360g以上にしている私には、300gを切るラケットは軽すぎます。

ラケット面が大きすぎず(100インチ以下…できれば95インチ以下)、振動吸収をしてくれるやわらかいフレームのラケットとして、私は、長い間(と言っても2年半ぐらい)、Wilson K-Five98(ラケット面のサイズは98インチ)を使っていました。このラケットは、振動吸収性が高い構造を持っており、しかもそれほどはラケット面が大きくないということで、長い間、気に入って使っていました。(それでも、重量を370g程度にするために、鉛をべたべた貼っています。)

しかし、少しずつ技量が上がるにしたがって、このラケットのボールコントロール性の低さが辛くなってきました。ラケット面が大きすぎること、ラケットが2つに分かれる構造、フレームの柔らかさが、シングルスのゲームで思ったところにボールを運ぶことには、マイナスに働いたのです。ボレーなどは、いい加減な打ち方をしても相手のコートにボールが返るので、ダブルスでは重宝するのですが…。

Wilson K-Five98を使いながら、フレームが柔らかくて、ラケット面がK-Five98よりも大きくない(コントロール性が高い)ラケットを探して、見つけたのが、つぎの2つのラケットです。
ProKennex Heritage Type C Redondo Mid
トアルソン アロー
前者は海外通販で購入したのですが、日本国内ではC1 ProTour ver.07という名前で販売しているようです。(販売店に確認したところ、これらは(ほぼ)同じだろうということでした。)

Heritage Type C Redondo Midとアローは、(MAX200GやNEOMAX2000とおなじ)ブレイデッドグラファイト(ブレイデッドカーボン)という製法で作られており、比較的近い打球感を持っています。また、前者は93インチ、後者は95インチということで、ラケット面が大きすぎるということはありません。(実は、ProKennex Heritage Type C RedondoにはMidPlusがあり、こちらは98インチです。両方とも持っているのですが、93インチの方が、コントロールを重視したい私には合っています。このことからも、大きいラケット面のラケットが自分にはあまり向いていないということが分かりました。)

ただし、この2つのラケットは、(言葉で表現するのは難しいのですが)インパクトよりも少し前にラケットが撓る(しなる)ような感じがすることがあります。(特に、トアルソン アローがそうです。)特に、テイクバックが大きすぎるスイングをしてしまった時(私にはよくないフォーム)に、それが顕著です。この撓る感覚は、ボールコントロールには不向きです。インパクト前にラケットヘッドが振れてしまうので、コントロールが安定せず、ぶれる感じがするのです。(ただし、テイクバックが小さくなると、この撓りはほとんど感じなくなりましたので、私の技量によるところが大きいようです。)

NEOMAX2000は、MAX200Gと同様に、そのような撓り感はありません。また、適度にラケット面が大きいので、ボレーなどもしやすく、ダブルスでは使いやすそうです。おそらく、ダブルスでは、今後は、Wilson K-Five98よりもNEOMAX2000を使うと思います。

シングルスでは、ダブルスよりもグランドストロークのコントロール性が要求されます。ProKennex Heritage Type C Redondo Midは打球感がよく、しかもコントロール性が高いので、私は、シングルスではこのラケットを使ってきました。ただし、93インチのやや小さめのラケット面は、ラケットの真ん中でボールを捉えることができなかった時に、肘に負担がかかります。また、ボレーを打つ時は、ちょっと手を伸ばして打ったような手抜きをすると、全くボールが飛びません。その点は、NEOMAX2000に分がありそうです。もし、NEOMAX2000が、Wilson K-Five98と同じようなコントロール性の低さが問題にならないようであれば、シングルスでもNEOMAX2000を使うかもしれません。

当分は、NEOMAX2000を使い込むと思いますので、別の機会に続編を書くかもしれません。


続報はこちら⇒ラケットインプレッション ダンロップ社NEOMAX2000 (続報)

2011年10月13日木曜日

とてもよかった試合前の写真撮影とマレーの兄(ジャパンオープン2011レポート)

20年ぶりにジャパンオープンを観戦しました。当時、ちょっとしたトランクぐらいの業務用に近い大きさのビデオカメラをこっそりと(あんな大きなビデオカメラが係員に見つからないわけがない!)持ち込んで、係員に撮影しないように怒られたことを懐かしく思い出しながら、当時とは全く違う雰囲気の有明を楽しんできました。当時の出場選手で印象に残っているのは、マッケンロー、レンドル、スコット・デービス、ミカエル・ペルンフォルツなどでしょうか。メシールを見に行ったのに、残念ながら、この年(確か、1988年)は直前に参加を取りやめていました。
今年(2011年)のジャパンオープンで私が観戦したのは、準決勝と決勝(ともに男子シングルス)なのですが、決勝戦はマレーが素晴らしいプレーでナダルを破ったことは、ご承知の通りです。その様子は、おそらく、WOWOWを含めた様々なメディアで伝えられたと思います。ここでは、メディアに載らなかった(であろう)ちょっとした出来事をレポートをしたいと思います。
ご存知の通り、試合前にはネットを挟んだ選手の撮影があるのですが、今回の決勝戦では、5人がカメラにおさまりました。ナダル・マレーの両選手と、車いすの国枝選手、そして、二人の少年です。二人は、ともに13歳で、東北のジュニア大会の優勝と準優勝の選手だそうです。この記念写真の風景は、とてもよい絵でした。特に、ナダルは、強く感じるところがあったようで、少年たちにも、国枝選手にも、しきりに声をかけていました。
ナダルは、決勝戦終了後のインタビューでも、東北の大震災のことに触れていました。彼の、日本の大会に参加するにあたっての気持ちが、そこにあるようでした。
一方、優勝したマレーは、インタビューを短く切り上げました。「自分は、今から、ダブルスの決勝戦がある。(そこで、優勝するつもりなので)スポンサーや主催者への感謝の気持ちは、ダブルス決勝戦終了後に伝えたい」とういうことで、その場では観客への感謝の気持ちだけを伝えていました。単なる冗談ではなく、ダブルスでも勝てるという自信の表れだったのかもしれません。
マレーは、結局、(宣言通りに)ダブルスでも優勝するのですが、今回のペアは、実のお兄さんのジェイミー・マレーです。ジェイミーは、ダブルスではいろいろな大会に出ており、弟のアンディーとも時々ペアを組んでいるようです。
私は、やぼ用があり、決勝戦が終わった後に、すぐにスタジアムの外に出たのですが、ふと見ると、スタジアムコートのすぐ横のコートで、ジェイミー・マレーが一人でサービスの練習をしていました。コーチもパートナーもつかず、一人で10球ほどサーブを打っては、反対サイドでボールを拾っていました。見ている人もほとんどいなかったので、ボールを拾いに歩いていた彼に、観客席から、「弟は、優勝コメントを、ダブルスの決勝の後に残していたよ。だから、ダブルスの試合では優勝してね!」と声をかけたら、こちらに向いてにこっと笑って「OK」と言っていました。
本当は、練習中の選手に声をかけてはいけないのでしょうが、こんなふうな、ちょっとした触れ合いができるのがサイドコートの楽しいところですね。