2015年12月29日火曜日

Mecir’s Tennis (280) スルメのようなメシールのプレー

1988年ソウルオリンピックのテニス男子決勝のビデオを見ていると、解説の坂井利郎さんがメシールを評してこう言っていました。メシールのプレーは、どちらかというとスルメの様にふにゃっとしている(が、すごいボールを打ってくる)、と。

確かに、メシールのプレーは、どちらかというとルーズでいい加減な打ち方、ふにゃっとしていてとらえどころがない、そんなイメージがあります。

一方で、メシールのビデオを見る限りメシールのストロークはたいへんきれいで、きちんとしたフォームであることがわかります。当時のマッケンローの感覚だけに頼った雑な打ち方と比較すると、丁寧さが際立ちます。むしろ当時の他のプレーヤーよりもきちんとしたフォームでボールを打っているように思えます。

この2つの矛盾したイメージがどこから来るのか、私には長い間よくわかりませんでした。

しかし、分析していくうちに、カチッとしているのはテイクバックまでであることがわかってきました。つまり、テイクバックまでをカチッとする(つまり腕には自由度を与えない)ことで、そのあとのフォワードスイングからの腕の動きに自由度が与えられていたのです。

もし、テイクバックから腕に自由度を与えるならば、逆にフォワードスイングでは腕の自由度を失うでしょう。今は厚いグリップ全盛期ですが、厚いグリップのフォアハンドがそうです。テイクバックに自由度がある分、フォワードスイングでは腰の回転と腕の回転が一体化します。(ボールをヒットする直前あたりまでは、両者はほぼ一緒に動くように見えます。)

メシールの自由なフォアハンドは、つまりフォワードスイングでは腕を腰から解放してやらねばならないのです。フォワードスイングでもテイクバック同様に腰と腕を連動させてしまうと、メシールのじゆでふにゃっとしたスルメのようなスイングは成立しません。




Mecir’s Tennis (279) 侍の刀のようにテイクバックしよう(2) フォアハンドでは左肩を「入れる」

グランドストロークでは、①上体をしっかりと立てる(体幹をまっすぐにする)こと、②状態の力を抜く(腕の力を抜く)ことが重要です。これを実現するためには、ボールが飛んで来たらまず左肩を0時の方向に向けることです。いわゆる「左肩を入れる」ことが大切です。

フォワードスイングでは腰の回転と腕の回転はずれが生じるのですが、腕の回転の力を利き腕を使いたくありません。利き腕の役割はボールにパワーを与えることではなく、ボールをコントロールすることだからです。

では、腕のスイングのパワーはどこからもらうか。一番良いのは、左肩です。または左腕です。左腕が肩の回転を引き出して、その回転で右腕も(少し遅れて)出てくるのが一番良いのです。

そうすることで、右腕(利き腕)に力を入れる必要がなくなります。

しかも上体が立っており顔が動きませんので、目はボールをしっかりとらえることができます。

後は右腕は、ボールを自由にコントローすればよいのです。ただし、そのためには、それまでのおぜん立てのバランスがすべて整っている必要がありますが。腰の回転、左腕の回転、右腕が遅れてくるタイミングなどにアンバランスが生じると、その結果、利き腕は正確にボールをヒットできなくなってしまいます。

話を戻しますが、右腕(利き腕)の負担を軽くするためにも、「ボールが飛んで来たらまず左肩を入れる」ことを条件反射にせねばなりません。

Mecir’s Tennis (278) 侍の刀のようにテイクバックしよう(1) 腰と腕の微妙な関係

以前、構えるときに侍が刀を構えるようにと書きました。フォアハンドのテイクバックでも同じです。右腰の刀と同じようにラケットを右腰においてテイクバックします。つまり、テイクバックでは腕を使わず、腰の回転によって腰の位置に置いたラケットが(つまり腕が)一緒にテイクバックします。

その分、フォワードスイングは「懐が深く」「ラケットが遅れて出てくる」イメージになります。ラケットがまるで体の後ろ側にあるようなイメージがするかと思います。

その際に気を付けることがあります。それは、フォワードスイングでは体の回転(腰の回転)と腕の振りを完全に一致させてはいけないということです。

テイクバックでは両者が一致しているので、ついフォワードスイングも同じように考えてしまいがちですが、そうではありません。

フォワードスイングで腕の振りが体の回転についてくる(少し腕が腰の回転よりも遅く出てくる)のはよいのです。腕の振りはあくまで腰の回転に引きずられて(先導されて)スタートします。絶対に腕を独立に動かしては(フォワードしては)いけません。

ただし、腕の回転は腰の回転に対して少しだけ遅れて出てきます。そこに腰の回転と腕の回転の「ずれ」が生じます。

その「ずれ」を作るためには、テイクバックの際にそのことを意識しておく必要があります。テイクバックの段階で「今は腰と腕は一緒に動いているが、フォワードスイングでは少しずれが生じるんだぞ」と意識せねばなりません。

このことを忘れると、ドンピシャのタイミングのボールについては打ちやすいが、それ以外のボールには対応できないスイングになってしまいます。どんなにスピードがあってもまっすぐに飛んでくる相手のボールは打ちやすいが、スピードはないのに高く弾んだような緩やかなボールが打てない、というようなことが起こるのです。

まとめると、腰と同時に(腰に引っ張られて)テイクバックする腕は、しかしテイクバックの最後で腰の動きから独立になります。とはいえ、フォワードスイングでは腕は腰に引っ張られて出ていきます。フォワードスイングの最初、腕の力は使いません。が、腕は、ボールコントロールする分だけは自由度を持っていなくてはなりません。

フォワードスイングでは、この微妙なずれの感覚(腕の自由度の間隔)が重要なのです。

なお、テイクバックからフォワードスイングにかけて、腕が腰から解放されるためには、腕の力が抜けていることが必要です。腕の力が入っていないと、まず腰の回転があり腕がそれに(力が入っていないので)ついていきます。しかも、腕に力が入っていないので、腕は軽やかに自由に動き始めることができるのです。

Mecir’s Tennis (277)  勇気をもって上半身の力を抜こう(2)

上体の力を抜くためには、膝が柔らかく使われていることが必要条件となります。もし、フォアハンド・バックハンドで体の部位を意識するなら、まず最初は膝です。例えば、レシーブのレディーポジション(=構えているとき)では、膝を意識します。ストローク練習でも、相手が球出しする際には、まず膝を意識します。

構えているときに膝を意識するということは、一言でいうと、膝を折るということです。極端に言うと、そのまま膝を曲げていくと膝が地面につくような形で、「膝を前に折り込む」のです。

メシールのビデオを見ると、試合前の練習ではそこまで膝を折り込んでいません。が、試合になるとしっかりと織り込んでいます。特にレシーブゲームでは明瞭にそれが見て取れます。その他、グランドストロークでも、相手がボールを打つ直前にしっかりと膝を折り込んでいます。

相手のボールが速くないときはそこまでする必要はありません。が、相手のレベルが高く、相手のボールが速い時はこのことが重要です。

その後、ボールを追いかえる際も、膝を意識します。フットワークでは、膝が伸びないことが大切です。メシールのプレーを見ても、前後左右にフットワークする際には膝が折れています。そのおかげで、上体はぶれず、地面に垂直の状態を維持できます。その結果、ボールをヒットする際にも上半身に力を入れる必要がなくなます。同時に頭の位置がぶれないのでボールコントロールが正確になります。

フットワークで膝を使う(意識する)ことは、このようにいいことずくめなのです。

Mecir’s Tennis (276)  勇気をもって上半身の力を抜こう(1)

メシールのフォームを見ていると、上体(上半身)の力がとても抜けていることに気が付きます。その代わりに、何度も書いていますが、上半身(体の軸)がまっすぐです。突っ立っているようにすら見えます。

上半身の、特に腕の力を抜くのは勇気がいります。一つ間違えるとボールを強く打つことができない気がするからです。

もし、上体の力を抜いてもパワーのあるボールを打つことができないとすると、①正しいフォームでボールを打っていない、②上半身(腕)以外に力を入れるべきところ(例えばひざとか腰とか)を正しく使うことができていない、ことが理由と考えられます。

とくに、フォアハンドでは、ボールを打つ際に上半身で気を付けることは、次の通りです。

  • 高い打点と低い打点で手の中で力を入れる場所を変える。
  • 腕の力を抜くことで腰(および肩)の回転に対して少しだけ腕が遅れて出てくるようにスイングする。
高い打点の場合には、掌の人差し指側(親指側)に力を入れます。逆に低い打点の場合には、薬指側(小指側)に力を入れます。腕に力を入れていない分、てのひらの使い方を間違えるとラケット面が微妙にずれやすいので、この点は重要です。

腕が少し遅れてくることで体のフォワードスイングと腕のスイングに微妙なずれが生じます。これが、ボールへのパワーになります。腕に力が入っていなくても、このずれからパワーをもらうことができます。

しかも、腕が遅れて出てくることで、腕の動きは体の回転から自由になります。ボールを操作することができます。スイングは体の回転で打つ・腕を使ってはいけないとよく聞きます。いわゆる「手打ちはよくない」というあれです。しかし、それは嘘です。体の回転に引っ張られて後から出てくる腕(手)は、自由に使ってよいのです。手打ちすることで、ボールを好きな方向に打ち分けることや、微妙なラケット面操作が可能になります。

繰り返しますが、それらを許しているのは、上半身・腕の力が抜けていることと、体の軸がまっすぐであるということが条件となります。

そして、上体(体の軸)がまっすぐになるためには、膝を柔らかく使うことが必須です。

2015年7月18日土曜日

Mecir’s Tennis (275)  ボールから離れてインサイドアウト(逆クロスにボールを打つイメージ)

フォアハンドでは、常に逆クロスにボールを打つ体勢を作ってそこから逆クロス、ストレート、順クロスにボールを打ち分けます。順クロスに打つ体勢から逆クロスに打つことはできません。(これはバックハンドも同じです。)

そのためには、ボールから距離を取るようにします。浅い球でも、深い球でも同じです。

ボールとの距離を取ると、自然に左手が前に出ます。左手が前に出ることで、肩の回転でスイングをすることができます。左手が遊んでいると、右手だけでスイングすることになり、力をうまくボールに伝えることができないうえに、右腕の負担が大きくてラケット面がぶれやすくなります。

肩で回転するスイングでは、フォロースルーが大きくとれます。フォロースルーが大きくとれると、インパクトからフォロースルーにかけてのスイングをゆっくりと振ることができます。早いスイングをしなくても、大きなフォロースルーがボールに厚い当たりを作ってくれるからです。

その結果、深くて重いボールを打つことができるのです。

インパクトからフォロースルーまでの一連の動作はすべては連動しており、ボールとの距離を取ることから始まっているのです。

Mecir’s Tennis (274)  もじもじポーズに加えて右腰にラケットをセットする

フォアハンドでは、右腰にラケット(正確には右腕)を「セットしてしまう」のがよいです。右ひじあたりがちょうど右腰のところに来ますので、その両者を一体化させてレディーポジションからテイクバックを行います。

テイクバックの間は、右腰を動かす(回す)だけで、右手は動かさないイメージです。右手は、右腰についていくだけです。肘から先の前腕部も動かしません。(ただし、高いボールの場合は前腕部は使ってもよい。)

これにより、テイクバックでは腕を動かすことができず、腰の回転主導でテイクバックができます。腕が動かないので、ラケットも動きません。

そうすると、テイクバックでラケット面が動かず、薄めのグリップでも精度の高いラケット面が作りやすくなります。その結果、大きなフォロースルーで強くボールを打ちやすくなるわです。


2015年6月30日火曜日

Mecir’s Tennis (273)  視線を高くできるか・視野の外に手がある違和感に慣れる

メシールのテニスでは、レディーポジションで「女の子のもじもじポーズ」ということを何度も書いています。そして、グランドストロークでは、フォアでもバックでも背筋をしっかり伸ばします。

これらは何を意味しているでしょうか。

一つ目は、目線です。背筋を伸ばしてボールを打つということは目線がその分、高いところにおきます。あたかもダンプカーを運転しているような、高いところに目線が来ます。顎が上がるわけではないのですが視線が高いところから見下ろすような感じになります。これは、高いボールを打つ場合には違和感ないのですが、低いボールを打つ際には目線とボールに距離感じます。

二つ目は、手の位置です。目線が高く、一方で手の位置は(もじもじポーズであるために)下の方になりますのでその距離が随分と離れているような感覚になります。しかも、目線と手の位置が離れているために、手が視野に入りません。視野の外、下の方に手があるイメージです。

これらは慣れないと違和感を感じます。しかし、慣れなくてはなりません。メシールのテニスを追及するのであれば、視野の外(下側)に手があるイメージに慣れる必要があります。


2015年6月16日火曜日

Mecir’s Tennis (272)  トロフィーポーズの理由

メシールのサーブでは、というよりも一般にテニスのサーブでは、トスアップの後でトロフィーポーズになります。それはなぜでしょうか。

ごく基本的なことですが、大切なことです。

よく知られていることですが、テニスのサーブでは、身長が高い人であってもインパクトポイントはネットよりも「低い」のです。つまり、インパクトポイントとネットの一番高いところを結ぶ線の延長戦は、サービスラインを超えます。つまり、インパクトポイントから直線でサーブを打っても、サービスエリアにはボールは入りません。まして、重力がある限り、直線でサービスエリアに向かうボールは、必ずネットするかアウトするのです。

つまり、どんな長身なプレーヤーであっても、身長190㎝のメシールであっても、サーブでは上にボールを打ちあげなくてはならないのです。スピンであっても、重力であっても、ボールは上に打ち上げて、その後でボールは落下して、初めてサービスエリアに入ります。

つまり、サーブは、打ち下ろすことは絶対にない、必ず打ち上げるのです。となると、トロフィーポーズには合点がいきます。トロフィーポーズで左手(右利き)が指さしている方向が、まさにその打ち上げる方向であるわけです。

トロフィーポーズを含めて、サーブで重要なことをまとめておきます。
  • トロフィーポーズでは、両肩と左手は真っ直ぐになりますが、その直線は右肩の方に傾きます。両肩が地面に並行になってはいけません。
  • トロフィーポーズでは体重は、7:3か6:4ぐらいで右足にかかります。右足荷重の右肩下がりです。ずいぶんと体の右側が後ろに傾いているようなイメージですが、それでよいのです。何しろ、左上にボールを打ちあげるのですから。
  • トロフィーポーズは、右腰主導です。手で主導してはいけません。レディーポジションは、ストロークと同じく、もじもじポーズです。
  • トロフィーポーズの前後では、右ひじを蝶番(ちょうつがい)として、体に並行に前腕を使います。体に垂直方向に動かしてはいけません。脳内イメージとしては、お金持ちが内輪で仰ぐようなイメージです。

2015年6月10日水曜日

Mecir’s Tennis (271)  再びもじもじポーズ考察

メシールのフォアハンドのレディーポジションは、「女の子のもじもじポーズ」ということを何度か書いています。

その理由は、なんでしょうか。

もじもじポーズでラケットを持った場合と、両手腰のあたりにある場合、胸の前にある場合では、手(両手)の自由度が違います。

手が上の方(たとえば頭の上)にあるほど、手の自由度は増えます。例えば、両手を頭の上に置くと、(昔懐かしいピンクレディーのUFOのように)大きく手を回すことができます。胸の前でも、両肩の間ぐらいは自由に動きます。一方で、もじもじポーズでは、手の位置はほとんど動くことはできません。足の動きや腰の動きに追随するだけです。

このことがとても大切なのです。特に、テイクバックにおいて手の動きが足や腰の動きと別々になると、スイングはあっという間に不安定になります。初動において手が足の動きについていくためには、このもじもじレディーポーズが重要になるわけです。

ただし、この方法は一つ難点があります。それは、例えばレシーブなどで相手のボールが速く、足を十分に動かしたり、腰を十分に回転する時間がない場合には対応が遅れるということです。こういう場合は、どうしても手の自由度を上げて対応せねばなりません。そこは、相手のボールに合わせた使い分けが必要になります。

2015年5月26日火曜日

Mecir’s Tennis (270)  フォアハンドの最後の「〆(しめ)」

ミニテニス(ショートラリー)、チャンスボールの浅い球のアプローチショット、相手のボールが(スピードはなくても)弾む・滑るなど多彩なボールである場合、走らされてのヒット。

これに共通するのは何でしょうか。薄いグリップでは不安定になりやすいという点です。

特にミニゲームで安定したフォアハンドが打てないと、上のすべてのショットを安定して打つことはできません。では、どうすればミニゲームで安定したボールを打てるでしょうか。

結論を言うと、スイングの〆(しめ)の部分として、肘から先のスイングをすることです。

フォアハンドでは、足が回転し、腰が回転し、肩が回転し、両腕が回転します。これらはこれまでに何度も書いてきました。しかし、これでは「臥龍点睛を欠く」のです。一番肝心な「眼」に当たるのが、肘から先の動きです。

ミニゲームは、ボールもゆっくりなので、一言でいうと「肘から先だけで打つだけでよい」ことになります。これは、上の「緩いボール、変化の大きいボール」を打つ際のポイントになります。

この「スイングの〆」としての肘から先の動きが、ボールのコントロールを決めます。裏返して言うと、肘をまっすぐにのばして、肩から先の腕を一本の棒のようにしてはいけないのです。あくまで、スイングの最後に、肘を支点とした肘から先の腕のスイングがなくてはなりません。これがない限り、ボールをコントロールすることは一切できないのです。

メシールのフォアハンドの最後の部分を見てください。スイングの最後に、肘から先を回転させていることがわかります。

Mecir’s Tennis (269)  サーブはサッカーのスローイン

以前、テニスのサーブを野球のピッチャーのフォームと似ているというのは間違いだと書きました。野球経験(ピッチャーの経験)がない人であればよいのかもしれませんが、経験があると、この説明は逆効果になります。

テニスのサーブと野球のピッチャーのフォームの違いはたくさんありますが、一番の違いは「腰を回転するかどうか」だと思います。

野球のピッチャーのフォームでは腰を強く回転させます。テニスでは、むしろ回転しない(インパクトまでは)のです。まったく異なります。

もし、テニスのサーブの正しいフォームに近い他のスポーツでいうと、サッカーやラグビーのスローインです。特に、左足を前に出したロングスローインが一番イメージに近いと思います。次の点で、スローインに近いと言えます。

  • 左足を前に出すことで、ばねが左足になる。
  • 腰を回転させず、ぎっこんばったんの前後の動きでサーブする。
  • ロングスローインのようにラケット頭の後ろに来る。そのために両方の肘が高く上がる。
その他で気を付けることは、腕に力を入れないことです。脱力した状態で上のスローインをします。私は、最近、サーブを打つときに心の中で「スロー・イン!」とつぶやきながらサーブをしています。

2015年4月1日水曜日

Mecir’s Tennis (268) 正しいサーブの打ち方

どういうわけか、巷では、スピンサーブが打てることが大切なことだと考えられています。ストロークも同じで、なぜかスピンが打てることが大切だと思われています。

大切なのは、正しいフォームでフラットが打てることです。そしてそこから、スピン系を打てるようになるのが正しい手順です。

正しいフォームを見につけることなく、スピンサーブが打てるわけがありません。しかし、実際には、「正しいフラットサーブの打ち方」の説明があまりにも少ないのです。

ここでいうフラットサーブは、回転が少なく強い当たりのサーブという意味ではなく、一番シンプルな打ち方という意味でのフラットサーブという言葉の意味で書いています。

正しいサーブの打ち方は、意外に言葉で説明するのが難しいです。言葉で書くことはできるのですが、それを正しい脳内イメージにするのが難しいのです。

  • 両腕を両肩と同じ高さで、一直線にします。両腕の肘を90度曲げます。
  • 胸を張ります。肩の線が一直線になるようにします。肘を下に下げては絶対いけません。肘が水平になるようにします。
  • そこから、腕の力を一切抜きます。腕に力を入れてはいけません。すべての腕の力を抜きます。
  • 肩の線を崩さないようにして、そのままボールを打ちます。腕の力を入れてはいけません。
  • 左ひざを柔らかく使います。それによって、上下運動(下から上の動き)を作ります。
これだけです。これだけなのですが、それが意外に難しのです。どうしても腕を使ってしまうためです。しかし腕の力を抜いても、十分に強い当たりのサーブを打つことができます。

まず、この基本フォームが身についたら、そのあとでスピンサーブなどを習得します。まずは、この基本フォームを身につけねばなりません。

2015年2月23日月曜日

Mecir’s Tennis (267) メシールの名前の付いたスタジアムがオープンしました!そして貴重なSrとJrの2ショット映像

スロバキア語は全く分からないのですが、メシール親子(二人ともミロスラフなのでややこしい)の映像と、メシールのプレーがちょっとだけ見ることができる貴重な映像です。
http://www.ta3.com/clanok/1056221/v-ziline-otvorili-novu-tenisovu-halu.html

ジリナという町にメシールの名前の付いたコートができたというニュースのようです。ジリナは、スロバキア北西の都市で、首都ブラチスラヴァから200キロほど離れており、スロバキア第4位の都市であるとのこと。

ジリナ市のスポーツホールは、保存したい

2015年2月22日日曜日

Mecir’s Tennis (266) イースタングリップのスピン系フォアハンドの打ち方

薄いグリップのグランドストロークは、ボールを厚くとらえるイメージがあります。いわゆる、フラットドライブ系です。

しかし、ゲームでのストロークを考えると、フラットドライブだけで対応できないボールがあります。例えば相手のゆるく浅いボールは、フラットドライブよりも回転をかけて打たねばなりません。つまりスピン系のボールです。

薄いイースタングリップだからといって、スピン系ボールを打たなくてもよいということではありません。むしろ、薄いグリップ系はボールの多彩さが武器ですから、スライス、フラットドライブ、スピンのどのボールでも打ち分けなくてはなりません。度のボールに対しても、2,3種類の選択肢から打つボールを選ぶことができるのが理想です。

私は厚いグリップのフォアハンドストロークを打てないのでよくわかりませんが、例えば錦織のフォアハンドを見ているとテイクバックがとても小さいことがわかります。イメージとしては、テイクバックせずにラケットをインパクトポイントにおき、インパクト時に下から上に強烈で高速にラケットを動かしているように見えます。

それと比べると、イースタングリップには必ずテイクバックが必要です。特に、スピン系フォアハンドを打つケースは相手のボールが速くない場合ですので、テイクバックを取ることになります。(逆に、速いボールに対してラケット面を作って、相手のボールの力を利用してフラットドライブを打ちます。)

つまり、イースタングリップのスピン系フォアハンドは、テイクバックを取って打つわけです。

では、フラットドライブ系とどのように打ち分けるのか。一言でいうと、「早めにスイングを開始すること」に尽きます。

まず、通常のスイングよりも早くスイングを開始します。そして、フラットドライブの場合のインパクトよりもインパクトを後にします。フラットドライブであればインパクトしている点よりも後で(言い換えると前で)ボールをヒットするのです。

逆に言えば、そのためにスイングの開始を早くするわけです。

通常、厚い当たりを目的にスイングしていると、なんとなく力が入らないような感じがしますが、それでよいのです。速くスイングするのではなく、早くスイングする。それにより、インパクトの点を通常よりも前にするのがコツです。

そうすると、自然にフォロースルーも大きくなると思います。

フラットドライブよりもスピンの方がスイング開始が早いということは、基本的にはスピンボールを打つことができるタイミングで、つまり早いタイミングで、テイクバックを開始せねばならないということになります。

2015年2月21日土曜日

なんだ、錦織が勝ってもおかしくないじゃないか

昨年(2014年)の秋に有明コロシアムで行われたエキシビションマッチ(ドリームマッチ)の再放送を見た。アガシ、チャンという二人のレジェンドがシングルス、ダブルスでプレーをした。

ダブルスは松岡修造を含めた錦織圭を含む4プレーヤーで行われたのだが、試合前のフォトセッションで驚いた。マイケル・チャンが小柄なのは知っていたがアンドレ・アガシもそれほど背は高くなかった。簡単に言えば、錦織の方がアガシよりも、もちろんチャンよりも、身長が高かったのだ。錦織は公称178㎝、アンドレ・アガシは180㎝である。錦織が低めに身長を報告する意味はないので、おそらくアガシがサバを読んでいるのであろう。実際、アガシが現役中にも、アガシが180㎝も身長があるようには見えなかった。

(ところで、4人の中で最も、というよりも唯一の、上位ランカーの経験がない松岡修造が一番長身だったのは、やや皮肉な話である。)

今のところの錦織は、グランドスラムを達成したアガシはもちろん、全仏オープンを制して世界第2位まで上り詰めたチャンにも届いていない。しかし、体格ということだけでいえば、その可能性は十分あるわけだ。アガシも、チャンも、錦織よりも身長が低いのに、十分に素晴らしい戦績を収めてきたのだから。

日本人は体格で不利だということは、ここでは言えない。なんだ、錦織が勝ってもおかしくないではないか。

2015年2月15日日曜日

Mecir’s Tennis (265) サーブで左側に壁を作る方法

サーブにおいて重要なことは、左側の壁を作ることです。今回は、サービスで体の左側の壁を作る方法を説明します。

ボールは打ちませんが、手にボールを持って次の手順で壁を作ります。まず、レディーポジションで構えます。そこから左足に体重を乗せます。さらに左ひざを曲げて、そこに体重を乗せます。次に左手をトスアップの状態で上にあげます。(実際にトスアップする必要はありません。)そのまま左ひじに体重をかけて沈み込むと、これ以上は体重をかけることができない(体重をかけると前に倒れこんでしまう)ところがあります。

これが「サーブの時に体の左側に作る壁」です。この状態を作ることが、サーブのポイントです。

この状態に対して、フォアハンドで以前書いた「えもんかけ」の打ち方をします。つまり、腕には力を入れず、肩の回転だけでサーブのスイングを行います。

右ひじは90度、手首は120度で固定したまま、腕と肩の形を変えずにそのままスイングします。肘を90度に曲げているということは、つまり「腕は曲げたまま」であるということです。腕が伸びるのはインパクト後です。テイクバックまでは、肩の回転だけでスイングをします。

トスが乱れても腕の動きで調整をしてはなりません。スイング全体の軌道を肩の動きで修正することで、トスの乱れを調整します。たとえば、後ろにトスが乱れた時は、スイングをより横方向にすることで、スピン系のサーブになります。(本来は、スピン系のサーブを打つためにトスが後ろになるのが正しいのですが。)

2015年2月13日金曜日

Mecir’s Tennis (264) サーブの右手始動型・左手始動型・両手始動型

メシールのグランドストローク、とくにフォアハンドを分析してきたこのブログですが、ストロークと比べるとサーブやボレーはほとんど話題にしていません。

その理由は、ストロークと比べてメシールのサーブ、ボレーは「平凡」だからです。ボレーは、例えば同時代の選手でいえばエドバーグなどの方が美しいでしょう。サーブも、メシールのサーブは取り立てて魅力的には、私には見えません。

ここでは、あまり詳細ではないですが、メシールのサーブを分析してみようと思います。特に右手と左手のタイミングについて考えます。

レディーポジションからトスアップを始める最初の起動、右手からでしょうか、左手からでしょうか、それとも両手同時でしょうか。

これについては、調べていないのですが、右手始動タイプ、左手始動タイプ、両手始動タイプなど、プレーヤーによっていろいろなのではないかと思います。どんなサーブを打つプレーヤーがどのタイプに属するのかについては、いつか分析しようと思いますが、今は理解できていません。

ただし、メシールについては右手始動型です。もう少し正確には右腰始動型です。右腰とそれに続て右手が先に動き始め、そのあと左手が動きます。左手がトスアップを始めるタイミングでは、右手はすでにはっきりと上に動き始めています。

その理由については、追って「サーブのタイプ分け(2)」で分析したいと思います。

往年の名選手・九鬼潤さんが脱帽「錦織は別格。全豪優勝を狙える」

日刊ゲンダイの記事です。ネット上からいつか消えてしまうと思うので、要旨だけでも残しておきます。なお、一番最後の「九鬼先生に習いたい」という生徒は私ではありません(この時点では生徒ではなかった)が、自分のことを言われているような気がします。

かつての戦績とはいえ全仏オープンでベスト32に入った元世界ランキング74位のプレーヤーから教わることができるのですから、私でなくても習いたいと思うのは自然なのではないでしょうか。しかも、九鬼潤と言えば、日本で初めてオープンスタンスでフォアハンドを打った(メシールとそっくり)と言われているのです(こちら)。私にとっては、こんなに魅力的な「先生」はいません。

テニス4大大会の初戦、全豪オープンが始まった。日本中の熱い視線を一身に集める錦織圭(25)。今年は4大大会制覇の期待が高まるが、本日登場の九鬼潤さん(69)は80年の全日本選手権で優勝し、翌年には世界プロテニス協会(ATP)ランキング74位と当時の歴代日本人選手トップに立った。今どうしているのか――。

■夢のまた夢だったウィンブルドン優勝もある

「ボクや松岡(修造)クンが現役だった頃は世界4大大会の1回戦を突破したり、ATPランキングの100位以内に入ることが大ニュースでしたからね。それが錦織クンは去年、ワールドツアーで4回優勝し、今やATP5位でしょう。もう我々とは別格も別格、異次元の大スターですよ。100年に1人の逸材と言っても過言じゃありません」

 JR横浜線相模原駅からクルマで7分の「ジュエ インドアテニス&ゴルフスクール」で会った九鬼さん、興奮した面持ちでこう言った。

「身体能力の高さもさることながら、彼の最大のストロングポイントはテニスセンスの素晴らしさですね。まさに天才肌。いちいち頭で考えて体を動かすんじゃなく、条件反射というか、一瞬のひらめきで自然に体がボールの動きに反応する。だから、どんな場面でも素早く、臨機応変に対応して勝ち進めるんです」

 もちろん、今回の全豪でもチャンスあり?

「もちろん! ケガさえなければ十分優勝を狙えます。今の男子プロテニス界は戦国時代。上位8人の実力差はほとんどなく、紙一重の状況です。しかもATP1位のノバク・ジョコビッチが27歳、2位のロジャー・フェデラーは33歳、3位のラファエル・ナダルが28歳、9位ながら去年ツアー4勝のマリン・チリッチが26歳。ベスト10に入ってる選手の中で25歳の錦織クンは、24歳で8位のミロシュ・ラオニッチに次ぐ若さです。あと2、3年はどんどん伸びてゆくでしょうから、ピークを過ぎたフェデラーを抜くのは時間の問題。世代交代とともに、彼が一気に世界の頂点に立つ可能性は高いと思います。全豪ばかりじゃなく、ボクらの時代では夢のまた夢だったウィンブルドン優勝を、もしかしたら錦織クンが達成するかもしれない。そう思うと、これからが楽しみでしょうがないですよ」

 全豪の決勝は2月1日。九鬼さんの力強い言葉で、そのコートに錦織が立っているのは間違いないような気がしてきた。

 さて、九鬼さんは12年前の4月から「ジュエ インドアテニス&ゴルフスクール」の校長兼コーチに就いている。

「当スクールはインドアのため、当然、天候や季節に左右されませんし、館内の通常コート3面とハーフコート1面はヒザや腰に負担が少ないカーペットコートを採用してます。もちろん、冷暖房完備で、託児所もあって、小さいお子さん連れでも大丈夫。オールシーズン、快適かつ安全にテニスを楽しんでいただけます」「校長といって、椅子にふんぞり返ってるわけにはいきません。今も火・水・土・日曜日の週4日、コートに出てます。担当してるのは中・上級者コース80分が9コマに、水曜日のジュニアコース50分を1コマの計10コマ。90人弱の会員さんを手取り足取り教えてます。たまに昔のワタシをご存じの方がいらっしゃって、“九鬼先生に習いたい”とご指名いただくこともある。正直、うれしいですね、ハハハ」

 かつての女子テニスのトッププレーヤー、井上悦子や雉子牟田明子のコーチでも知られた九鬼さん、教えるのはお手のものだろう。

2015年1月30日金曜日

2015年全豪オープン準々決勝 バブリンカvs錦織 バブリンカに必ず勝つ戦略が思いつかない

試合が終わって数日たってから、このゲームをビデオで観た。全豪オープンの開催地であるオーストラリア(東海岸)は日本との時差が小さい(2時間)ために、逆に試合を見る機会が減る。昼間は、仕事をしているためだ。

このビデオで今大会(2015年全豪オープン)の錦織のゲームを初めて観た。

一言でいうと、バブリンカが一枚も二枚も上手なゲームだったというのが試合全体を通じた印象だ。錦織が勝つ可能性はかなり低いゲームだったのではないか。バブリンカが何かの理由で調子を落とさない限り。そして、現実には、すべての選手がキリキリまでチューンアップをしてくるグランドスラム大会で、ベスト8以上の選手が「調子を落とす」などということはほとんどないだろう。

つまり、錦織はバブリンカに勝つチャンスはなかったと思う。逆に、全米オープンではどうして錦織が勝ったのだろうかと思うぐらいだ。

錦織のサーブは確かに良くなった。1週目の試合では、(統計データは知らないが)ビッグサーバよりも多くのサービスエースを奪ったゲームもあった。そして、ハードコートのグランドスラムでは、サービスポイントを稼ぐことは、勝ち上がるためには重要だろう。

しかし、バブリンカ戦を見る限り、それが裏目に出たように見える。サービスでポイントを取ることに意識が言った分だけ、逆に、錦織の持ち味であるイマジネーションあふれるグランドストロークの展開が鈍っているように見えた。

第3セットのサーブアンドボレーの戦略は、光明が見えない錦織のあがきのように見えた。

錦織のフォアハンドグリップは、異様なまでに厚いグリップだ。いわゆるヘビーなウェスタングリップ。当然、ボールはループ系になる。本来は、どちらかというと展開が遅くなってしまうタイプなのだ。

それを、錦織はベースラインから後ろに下がらないことでカバーしている。このグリップの子のボールで、ベースラインから下がってしまったら、錦織には勝ち目はない。

が、しかし、ベースラインから下がらない場合でも、スピン系の、つまりループ系のボールを武器にしている限り、錦織の早い展開にも限界がある。その限界を思い知らされたのが、このバブリンカ戦だった。

実際、これからの大会で錦織がバブリンカに勝つチャンスはあるだろう。しかい、「絶対に勝てるための戦略」は、思い浮かばない。早い展開によって、錦織はフェレールに負けることはないだろう。しかし、バブリンカには、いつでも負ける可能性がある。

どうすればよいのだろうか。それを考えるのは、マイケル・チャンの仕事なのだが。

Mecir’s Tennis (263) 「懐が深い」という誤った幻想 ~スイングの途中にインパクトが来るという話

メシールのフォアハンドは、懐が深いと言われていました。現在のプレーヤーにも、懐が深いというプレーヤーは多くいます。マレーなどがそうかもしれません。

「懐が深い」という言葉からは、「ボールを十分にひきつけて打つ」というイメージが湧いてきます。そして、それが誤った打ち方につながります。

まず、メシールのグランドストロークをスローモーションで見ると、一つのことに気が付きます。それは、ボールが自分のこと―にバウントしたタイミングで、フォワードスイングが開始されているということです。懐が深いストロークというイメージのあるメシールですが、おそらく当時のプレーヤーや現在のプレーヤーと比べても、フォワードスイングの開始タイミングは早かったと思います。

繰り返しになりますが、フォワードスイングのタイミングが早いということは、明らかに「ボールを引きつけて打つ」とは異なります。

メシールのグランドストローク(特にフォアハンド)の正しい脳内イメージは、次の通りです。「スイングの途中にインパクトポイントが来る。」ボールがバウントした時にフォワードスイングが始まるのですから、当然、スイングの途中にインパクトが来ます。ボールを十分にひきつけて手元にボールが来たときにインパクトするのではありません。

スイングの途中にインパクトが来るということは、言い換えるとインパクト後にもスイングは続いているということです。そして、「むしろ、インパクト後からスイングの力が入る」というイメージです。インパクト前はスイングは開始していますが、力は入っていません。体の力を抜いてスイングをします。ただし、スイングそのものはスタートしています。そして、ボールが当たる瞬間から強いスイングを開始するのです。

フラット系のあたりの厚いボールを打つ場合には、インパクトから強くボールを押し出すように打ちます。スピン系の当たりの薄いボールを打つ場合には、インパクトから速くラケットスイング軌道を上方向にします。特に後者(当たりの薄いボール)はボールを引き付けるイメージでは打つことができません。インパクト前からスイングが始まっている必要があるのです。

2015年1月23日金曜日

Mecir’s Tennis (262) 強いボールを打つ!

フォアハンドで強いボールを打つ方法。それは、背筋でボールを打つことです。しかし、もっと大切なことがあります。それは、背中を丸めない、ということです。

背中を丸め内容にするためには、肩を張ります。肩を張るイメージの写真を見つけてきました。写真のように肘を絞って(広げないで)、背中側に肘を引っ張ります。または、背筋運動のイメージがよいかもしれません。
私の場合、日常生活で猫背なので、強くボールを打つ場合には、肩を張ることを意識しないとすぐに猫背に戻ってしまいます。同じような方には、ぜひ真似をしてみていただきたいと思います。

Mecir’s Tennis (261) クロスラリーを試してみると分かってくること

メシールのフォアハンドは、基本はオープンスタンスです。これについて分析したいと思います。

まず、デュースコートどうしてのクロスのグランドストロークとアドバンテージコートどうしでのクロスのグランドストローク、打ち合って打ちやすいのはどちらでしょうか。

私は、メシールのテニスでは、アドバンテージコートのクロスストロークだと思います。

そういえば、今までに見たメシールのダブルスでは、男子ダブルス、ミックスダブルスのどちらでも、必ずメシールはアドバンテージサイド(バックサイド)でレシーブしていました。偶然かもしれませんが、メシール自身はバックサイドを好んでいたとも予想できます。

なぜ、メシールにとって、バックサイド(アドバンテージサイド)がよいのでしょうか。

実は、私自身も、グランドストロークの練習では、バックサイドのクロスストロークの方が、フォアサイドのクロスストロークよりも、気持ちよくボールを打つことができます。

一つの理由は、バックハンドストロークです。バックサイドの場合は、ボールが鋭角に飛んできますので右足(前足)を大きく踏み込みます。(原則的には、バックハンドストロークでは右足をクロスに踏み込むことになります。)つまり、右足の踏み込みが自然なのです。深く踏み込むことで、よりクロスにボールを打つこともできます。

一方で、フォアサイドのクロスストロークでは、バックハンドはボールをストレートに打つことになりますが、そのためにはバックサイド以上に右足を深く、つまりベースラインに沿って踏み込みます。右足の動き(レディーポジションからの移動量)が、バックサイド側の時よりも大きくなるわけです。その分、足の動きが大きくなり、負担が大きくなります。しかも、センター側でボールを打つフォアサイドのバックハンドでは、バックサイドの時と異なり、ボールをサイド側に打つのが難しくなります。センターのボールをバックハンドでサイド側に打つ(つまり、逆クロスに沈むボールを打つ)のが難しいことは、テニスを知っている人であればだれでも知っている通りです。。

バックサイドのクロスストロークがフォアサイドよりも打ちやすい一番の理由は、むしろフォアハンドストロークです。一言でいうと、オープンスタンスで打つからです。

バックサイドでは、バックハンドとは逆に、ボールは浅く入ってきます。(フォアサイドでは、逆に、深く入ってきます。)ボールが浅い角度であるとは、つまり体の向いている方向にボールが飛んでくるということです。(フォアサイドでは、逆に、体の線=両肩を結ぶ線と平行に飛んできます。)

その結果、バックサイドでのフォアハンドストロークでは、オープンスタンスでボールを打つことが多くなります。これが、メシールのフォアハンドにはよくフィットするのです。だから、逆クロスのフォアハンドの方が打ちやすかったわけです。

つまり、メシールのフォアハンドは、原則はオープンスタンスで打ちます。特別な場合を除いては、オープンスタンスが正しいスタンスであり、左足(前足)を踏み込んで打つことの方が特別なのです。

で、どのような場合に左足を踏み出すか?

まず、フォアハンド側に深いボールの時を考えます。その場合には、左足を踏み出すのではなく、右足を引きます。

そう考えると、左足を踏み込むのはボールが浅い場合、特にアプローチショットの時ぐらいです。そのぐらい特別な場合を除いては、基本的には左足はオープンで打つのがメシールのフォアハンドなのです。

2015年1月19日月曜日

Mecir’s Tennis (260) 回転半径と歩幅を小さめにしてみる

どうも調子が出ないなと思った時の対応策の一つとして、スイングの回転半径やステップの歩幅を小さくしてみるというのがあります。

スイング(フォアハンド)の回転半径を小さくするというのは、やや脇を締め気味にするということです。(ぴったりと締めてしまってはいけません。)意識としては、「ペンギン」になったような感じです。

こうすることで、肩の回転に腕が同期します。肩に引っ張られて腕がうごくという脳内イメージです。上半身の回転が(スイングが)ぶれにくくなります。

ただし、この場合、フォワードスイングまで小さくならないように気を付けなくてはなりません。ペンギンスイングをするのはあくまでフォワードスイングまでで、インパクトからあとはむしろ大きめのフォロースルーを取ります。

歩幅については、やや小さめにすることで、膝をうまく使えるようになります。歩幅を大きくした方ががっしりと安定しますが、その分だけ膝を使うのが難しくなります。歩幅を小さくして膝を使うと、パワーが膝から来ますので、上体の力がそれだけ抜けるのです。

いずれの場合でも、フォワードスイングをしっかり大きくとることでボールに最後までパワーが伝わり、肩も大きく回しきることが期待できます。

錦織のサーブ(マイケル・チャンの影響)

いよいよ、2015年の全豪オープンが始まった。ユニクロのWebサイトでは錦織モデル、ジョコビッチモデルの限定販売を始めたが、両プレーヤーのポロシャツは、半日で完売した。(私は間に合いませんでした。)

その錦織の2015年初めの大会のゲーム(対ラオニッチ戦)をテレビで見た。錦織のサーブがよくなっていると聞いていたが、映像を見て驚いた。マイケル・チャンの往年のサーブと、フォームがそっくりだ。

そのマイケル・チャンも、実は当初、サーブに悩んでいた。フレンチオープンで史上最年少で優勝した時のサーブは、優勝者としては信じることができないほどゆっくりとしたサーブだった。その後、チャンは世界ランキング2位まで上がるが、その間にもっとも改善されたのがサーブだ。体全体を使って打つサーブは、小柄な体から少しでも速いサーブを打つという工夫の表れだった。

錦織も、同じことを考えたのだろう。いや、チャンからそう指導されたのだろう。今後の錦織のサーブに注目したい。

Mecir’s Tennis (259) 軸を作る(「背筋をぴんと伸ばす」)

メシールのテニスでは(そして、おそらくほとんどのプレーヤーは)、体の軸を使ってスイングをします。軸は、地面と垂直になり、原則的には傾いてはいけません。

一方で、スイングに力を与えるのは、腕の力ではなく背筋です。

この2つを考えると、スイングで重要なのは背骨だということがわかります。

背骨を地面に垂直に立てて、背骨を軸に回転します。

背骨を意識することで、背筋の力でボールを打ちます。

つまり、ボールが飛んできた際には、上半身については背筋を意識すればよいのです。背筋をしっかり立てることで背骨を中心に体が回転し、さらに背筋でボールを打つことができます。

人間は(とひとくくりにしてよいのかわかりませんが)、疲れてくると背中が曲がってくるようです。特に、肩の方(つまり背中の上の方)が曲がってきます。いわゆる、肩が落ちる、という状態です。そういう時は、いったんブレークして気分を一新し、背中を張りましょう。

背筋をぴんと伸ばしなさい、と子どものころに学校でよく言われたものです。テニスのスイングで背筋を意識するのは、背骨中心回転と背筋力の一石二鳥なのです。