2015年1月30日金曜日

Mecir’s Tennis (263) 「懐が深い」という誤った幻想 ~スイングの途中にインパクトが来るという話

メシールのフォアハンドは、懐が深いと言われていました。現在のプレーヤーにも、懐が深いというプレーヤーは多くいます。マレーなどがそうかもしれません。

「懐が深い」という言葉からは、「ボールを十分にひきつけて打つ」というイメージが湧いてきます。そして、それが誤った打ち方につながります。

まず、メシールのグランドストロークをスローモーションで見ると、一つのことに気が付きます。それは、ボールが自分のこと―にバウントしたタイミングで、フォワードスイングが開始されているということです。懐が深いストロークというイメージのあるメシールですが、おそらく当時のプレーヤーや現在のプレーヤーと比べても、フォワードスイングの開始タイミングは早かったと思います。

繰り返しになりますが、フォワードスイングのタイミングが早いということは、明らかに「ボールを引きつけて打つ」とは異なります。

メシールのグランドストローク(特にフォアハンド)の正しい脳内イメージは、次の通りです。「スイングの途中にインパクトポイントが来る。」ボールがバウントした時にフォワードスイングが始まるのですから、当然、スイングの途中にインパクトが来ます。ボールを十分にひきつけて手元にボールが来たときにインパクトするのではありません。

スイングの途中にインパクトが来るということは、言い換えるとインパクト後にもスイングは続いているということです。そして、「むしろ、インパクト後からスイングの力が入る」というイメージです。インパクト前はスイングは開始していますが、力は入っていません。体の力を抜いてスイングをします。ただし、スイングそのものはスタートしています。そして、ボールが当たる瞬間から強いスイングを開始するのです。

フラット系のあたりの厚いボールを打つ場合には、インパクトから強くボールを押し出すように打ちます。スピン系の当たりの薄いボールを打つ場合には、インパクトから速くラケットスイング軌道を上方向にします。特に後者(当たりの薄いボール)はボールを引き付けるイメージでは打つことができません。インパクト前からスイングが始まっている必要があるのです。

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