2015年1月30日金曜日

2015年全豪オープン準々決勝 バブリンカvs錦織 バブリンカに必ず勝つ戦略が思いつかない

試合が終わって数日たってから、このゲームをビデオで観た。全豪オープンの開催地であるオーストラリア(東海岸)は日本との時差が小さい(2時間)ために、逆に試合を見る機会が減る。昼間は、仕事をしているためだ。

このビデオで今大会(2015年全豪オープン)の錦織のゲームを初めて観た。

一言でいうと、バブリンカが一枚も二枚も上手なゲームだったというのが試合全体を通じた印象だ。錦織が勝つ可能性はかなり低いゲームだったのではないか。バブリンカが何かの理由で調子を落とさない限り。そして、現実には、すべての選手がキリキリまでチューンアップをしてくるグランドスラム大会で、ベスト8以上の選手が「調子を落とす」などということはほとんどないだろう。

つまり、錦織はバブリンカに勝つチャンスはなかったと思う。逆に、全米オープンではどうして錦織が勝ったのだろうかと思うぐらいだ。

錦織のサーブは確かに良くなった。1週目の試合では、(統計データは知らないが)ビッグサーバよりも多くのサービスエースを奪ったゲームもあった。そして、ハードコートのグランドスラムでは、サービスポイントを稼ぐことは、勝ち上がるためには重要だろう。

しかし、バブリンカ戦を見る限り、それが裏目に出たように見える。サービスでポイントを取ることに意識が言った分だけ、逆に、錦織の持ち味であるイマジネーションあふれるグランドストロークの展開が鈍っているように見えた。

第3セットのサーブアンドボレーの戦略は、光明が見えない錦織のあがきのように見えた。

錦織のフォアハンドグリップは、異様なまでに厚いグリップだ。いわゆるヘビーなウェスタングリップ。当然、ボールはループ系になる。本来は、どちらかというと展開が遅くなってしまうタイプなのだ。

それを、錦織はベースラインから後ろに下がらないことでカバーしている。このグリップの子のボールで、ベースラインから下がってしまったら、錦織には勝ち目はない。

が、しかし、ベースラインから下がらない場合でも、スピン系の、つまりループ系のボールを武器にしている限り、錦織の早い展開にも限界がある。その限界を思い知らされたのが、このバブリンカ戦だった。

実際、これからの大会で錦織がバブリンカに勝つチャンスはあるだろう。しかい、「絶対に勝てるための戦略」は、思い浮かばない。早い展開によって、錦織はフェレールに負けることはないだろう。しかし、バブリンカには、いつでも負ける可能性がある。

どうすればよいのだろうか。それを考えるのは、マイケル・チャンの仕事なのだが。

Mecir’s Tennis (263) 「懐が深い」という誤った幻想 ~スイングの途中にインパクトが来るという話

メシールのフォアハンドは、懐が深いと言われていました。現在のプレーヤーにも、懐が深いというプレーヤーは多くいます。マレーなどがそうかもしれません。

「懐が深い」という言葉からは、「ボールを十分にひきつけて打つ」というイメージが湧いてきます。そして、それが誤った打ち方につながります。

まず、メシールのグランドストロークをスローモーションで見ると、一つのことに気が付きます。それは、ボールが自分のこと―にバウントしたタイミングで、フォワードスイングが開始されているということです。懐が深いストロークというイメージのあるメシールですが、おそらく当時のプレーヤーや現在のプレーヤーと比べても、フォワードスイングの開始タイミングは早かったと思います。

繰り返しになりますが、フォワードスイングのタイミングが早いということは、明らかに「ボールを引きつけて打つ」とは異なります。

メシールのグランドストローク(特にフォアハンド)の正しい脳内イメージは、次の通りです。「スイングの途中にインパクトポイントが来る。」ボールがバウントした時にフォワードスイングが始まるのですから、当然、スイングの途中にインパクトが来ます。ボールを十分にひきつけて手元にボールが来たときにインパクトするのではありません。

スイングの途中にインパクトが来るということは、言い換えるとインパクト後にもスイングは続いているということです。そして、「むしろ、インパクト後からスイングの力が入る」というイメージです。インパクト前はスイングは開始していますが、力は入っていません。体の力を抜いてスイングをします。ただし、スイングそのものはスタートしています。そして、ボールが当たる瞬間から強いスイングを開始するのです。

フラット系のあたりの厚いボールを打つ場合には、インパクトから強くボールを押し出すように打ちます。スピン系の当たりの薄いボールを打つ場合には、インパクトから速くラケットスイング軌道を上方向にします。特に後者(当たりの薄いボール)はボールを引き付けるイメージでは打つことができません。インパクト前からスイングが始まっている必要があるのです。

2015年1月23日金曜日

Mecir’s Tennis (262) 強いボールを打つ!

フォアハンドで強いボールを打つ方法。それは、背筋でボールを打つことです。しかし、もっと大切なことがあります。それは、背中を丸めない、ということです。

背中を丸め内容にするためには、肩を張ります。肩を張るイメージの写真を見つけてきました。写真のように肘を絞って(広げないで)、背中側に肘を引っ張ります。または、背筋運動のイメージがよいかもしれません。
私の場合、日常生活で猫背なので、強くボールを打つ場合には、肩を張ることを意識しないとすぐに猫背に戻ってしまいます。同じような方には、ぜひ真似をしてみていただきたいと思います。

Mecir’s Tennis (261) クロスラリーを試してみると分かってくること

メシールのフォアハンドは、基本はオープンスタンスです。これについて分析したいと思います。

まず、デュースコートどうしてのクロスのグランドストロークとアドバンテージコートどうしでのクロスのグランドストローク、打ち合って打ちやすいのはどちらでしょうか。

私は、メシールのテニスでは、アドバンテージコートのクロスストロークだと思います。

そういえば、今までに見たメシールのダブルスでは、男子ダブルス、ミックスダブルスのどちらでも、必ずメシールはアドバンテージサイド(バックサイド)でレシーブしていました。偶然かもしれませんが、メシール自身はバックサイドを好んでいたとも予想できます。

なぜ、メシールにとって、バックサイド(アドバンテージサイド)がよいのでしょうか。

実は、私自身も、グランドストロークの練習では、バックサイドのクロスストロークの方が、フォアサイドのクロスストロークよりも、気持ちよくボールを打つことができます。

一つの理由は、バックハンドストロークです。バックサイドの場合は、ボールが鋭角に飛んできますので右足(前足)を大きく踏み込みます。(原則的には、バックハンドストロークでは右足をクロスに踏み込むことになります。)つまり、右足の踏み込みが自然なのです。深く踏み込むことで、よりクロスにボールを打つこともできます。

一方で、フォアサイドのクロスストロークでは、バックハンドはボールをストレートに打つことになりますが、そのためにはバックサイド以上に右足を深く、つまりベースラインに沿って踏み込みます。右足の動き(レディーポジションからの移動量)が、バックサイド側の時よりも大きくなるわけです。その分、足の動きが大きくなり、負担が大きくなります。しかも、センター側でボールを打つフォアサイドのバックハンドでは、バックサイドの時と異なり、ボールをサイド側に打つのが難しくなります。センターのボールをバックハンドでサイド側に打つ(つまり、逆クロスに沈むボールを打つ)のが難しいことは、テニスを知っている人であればだれでも知っている通りです。。

バックサイドのクロスストロークがフォアサイドよりも打ちやすい一番の理由は、むしろフォアハンドストロークです。一言でいうと、オープンスタンスで打つからです。

バックサイドでは、バックハンドとは逆に、ボールは浅く入ってきます。(フォアサイドでは、逆に、深く入ってきます。)ボールが浅い角度であるとは、つまり体の向いている方向にボールが飛んでくるということです。(フォアサイドでは、逆に、体の線=両肩を結ぶ線と平行に飛んできます。)

その結果、バックサイドでのフォアハンドストロークでは、オープンスタンスでボールを打つことが多くなります。これが、メシールのフォアハンドにはよくフィットするのです。だから、逆クロスのフォアハンドの方が打ちやすかったわけです。

つまり、メシールのフォアハンドは、原則はオープンスタンスで打ちます。特別な場合を除いては、オープンスタンスが正しいスタンスであり、左足(前足)を踏み込んで打つことの方が特別なのです。

で、どのような場合に左足を踏み出すか?

まず、フォアハンド側に深いボールの時を考えます。その場合には、左足を踏み出すのではなく、右足を引きます。

そう考えると、左足を踏み込むのはボールが浅い場合、特にアプローチショットの時ぐらいです。そのぐらい特別な場合を除いては、基本的には左足はオープンで打つのがメシールのフォアハンドなのです。

2015年1月19日月曜日

Mecir’s Tennis (260) 回転半径と歩幅を小さめにしてみる

どうも調子が出ないなと思った時の対応策の一つとして、スイングの回転半径やステップの歩幅を小さくしてみるというのがあります。

スイング(フォアハンド)の回転半径を小さくするというのは、やや脇を締め気味にするということです。(ぴったりと締めてしまってはいけません。)意識としては、「ペンギン」になったような感じです。

こうすることで、肩の回転に腕が同期します。肩に引っ張られて腕がうごくという脳内イメージです。上半身の回転が(スイングが)ぶれにくくなります。

ただし、この場合、フォワードスイングまで小さくならないように気を付けなくてはなりません。ペンギンスイングをするのはあくまでフォワードスイングまでで、インパクトからあとはむしろ大きめのフォロースルーを取ります。

歩幅については、やや小さめにすることで、膝をうまく使えるようになります。歩幅を大きくした方ががっしりと安定しますが、その分だけ膝を使うのが難しくなります。歩幅を小さくして膝を使うと、パワーが膝から来ますので、上体の力がそれだけ抜けるのです。

いずれの場合でも、フォワードスイングをしっかり大きくとることでボールに最後までパワーが伝わり、肩も大きく回しきることが期待できます。

錦織のサーブ(マイケル・チャンの影響)

いよいよ、2015年の全豪オープンが始まった。ユニクロのWebサイトでは錦織モデル、ジョコビッチモデルの限定販売を始めたが、両プレーヤーのポロシャツは、半日で完売した。(私は間に合いませんでした。)

その錦織の2015年初めの大会のゲーム(対ラオニッチ戦)をテレビで見た。錦織のサーブがよくなっていると聞いていたが、映像を見て驚いた。マイケル・チャンの往年のサーブと、フォームがそっくりだ。

そのマイケル・チャンも、実は当初、サーブに悩んでいた。フレンチオープンで史上最年少で優勝した時のサーブは、優勝者としては信じることができないほどゆっくりとしたサーブだった。その後、チャンは世界ランキング2位まで上がるが、その間にもっとも改善されたのがサーブだ。体全体を使って打つサーブは、小柄な体から少しでも速いサーブを打つという工夫の表れだった。

錦織も、同じことを考えたのだろう。いや、チャンからそう指導されたのだろう。今後の錦織のサーブに注目したい。

Mecir’s Tennis (259) 軸を作る(「背筋をぴんと伸ばす」)

メシールのテニスでは(そして、おそらくほとんどのプレーヤーは)、体の軸を使ってスイングをします。軸は、地面と垂直になり、原則的には傾いてはいけません。

一方で、スイングに力を与えるのは、腕の力ではなく背筋です。

この2つを考えると、スイングで重要なのは背骨だということがわかります。

背骨を地面に垂直に立てて、背骨を軸に回転します。

背骨を意識することで、背筋の力でボールを打ちます。

つまり、ボールが飛んできた際には、上半身については背筋を意識すればよいのです。背筋をしっかり立てることで背骨を中心に体が回転し、さらに背筋でボールを打つことができます。

人間は(とひとくくりにしてよいのかわかりませんが)、疲れてくると背中が曲がってくるようです。特に、肩の方(つまり背中の上の方)が曲がってきます。いわゆる、肩が落ちる、という状態です。そういう時は、いったんブレークして気分を一新し、背中を張りましょう。

背筋をぴんと伸ばしなさい、と子どものころに学校でよく言われたものです。テニスのスイングで背筋を意識するのは、背骨中心回転と背筋力の一石二鳥なのです。