2013年3月23日土曜日

Mecir's Tennis (142) アプローチショットではラケットを横に振る

薄い(イースタン)グリップにとって厄介なのは、遅い球です。特に、緩い球を前に走りながら打つアプローチショットは、動きを伴うために不安定であり、かつ短い距離で強くヒットするために、ベースライン付近のグランドストロークよりも難しいといっても過言ではありません。

フォアもバックも、スライス系でアプローチショットを打つことはできても、ドライブ系のアプローチショットではネットするかバックアウトしてしまいます。

そこで、ボールコントロールしやすいスイングが必要になります。それが、横ふりのスイングです。ラケットを縦ではなく横に振ります。ラケットを、ネットに垂直ではなくに平行に振るイメージです。これにより、薄いグリップでも、強くラケットを振ることができ、ボールにスピン回転を与えやすくなります。また、ラケット面をやや下を向けることができるため、バックアウトの心配がなくなります。

2013年3月22日金曜日

Mecir's Tennis (141) 遅いボールの場合のテイクバックのタイミング:やや上級編

これまで、テイクバックはラケットを引くタイミングと同期させるということを書いてきました。具体的には、次の通りです。
  1. ボールがネットを超えて飛んでくるタイミングでラケットを引く。
  2. ボールがバウンドするタイミングでテイクバックからフォワードスイングに切り替える。
普通のスピードのボールに対してはこれでよいのですが、問題は「遅い球」です。または[高いバウンドの球」です。アプローチショットなども同じです。

これらの場合には、2でフォワードスイングを始めると、スイングが早すぎる(速すぎるではありません)ことになるのです。

この場合、もちろん、ラケットスイングを遅くすればその時間差を埋めることができるかもしれません。しかし、ポイントの中でスイングのスピードを調整するのは、かなり高度な技術です。多くの場合には、スイングが不安定になります。(グリップが薄めのフォアハンドストローカーには、ちょっとしたラケット面の誤差が命取りになります。)

薄いグリップのフォアハンドには、遅いボールは速いボールよりも打ちづらいのです。

では、どうすればよいか。それは、上の1と2のタイミングの取り方をやめて、骨盤でタイミングを取ることです。具体的には次のようになります。
  1. ボールがネットを超えて飛んでくるタイミングで骨盤をテイクバック側に回転させる(フォアハンドの場合は上から見て時計方向に回す)。
  2. ボールがバウンドするタイミングで骨盤をフォワードスイング側に回転させる。
つまり、今まではラケットでタイミングを取ってきたのを、骨盤(の回転)でタイミングを取るように切り替えます。

1については、実際には、骨盤の回転とラケットの回転は同期する(ややラケットの回転は骨盤の回転に追随する)ので、結局同じことになります。

2については、遅いボールの場合には、骨盤が先に回ることになります。が、ここで、ラケットは骨盤回転よりも後に出ていくことができます。このタイミングのずれは、上体(腕など)がコントロールできます。これにより、遅いボールでもラケットをしっかりと振ることができます。

もちろん、それよりもさらにスピードが遅いボール(本当にポーンと跳ね上がるようなボール)については、バウンドのタイミングで骨盤やラケットスイング(フォワードスイング)を開始するのをやめても構いません。この場合には、時間はたっぷりありますので、自分のタイミングで骨盤を回し、フォワードスイングをスタートさせてもよいでしょう。

骨盤でタイミングを取るのは、例えば、チャンスボールで浅い球をアプローチショットするときなどがに有効です。フォワード力は骨盤に任せて、ラケットはボールを強くかつ正確にとらえること(さらにしっかりと振り切ること)に専念できるのが魅力です。

Mecir's Tennis (140) なぜ腰を落とすのか?どこまで腰を落とすのか?

腰を落としなさい。膝を曲げなさい。そんな風に言われます。でも、誰も、なぜ腰を落とすのかを説明してくれません。

腰を落とすほうが安定するから?本当でしょうか。私の経験では、腰を落としていると、逆に動きづらいです。人は、歩くときに、腰を落としては歩きません。その方が動きづらい(下半身が疲れる)からです。

また、腰を落とすといっても、どこまで腰を落とすのでしょうか?蜘蛛のようにべたっと地面につくほど足を広げる人はいないでしょう。「何となく、腰を落としていると自分が思う程度に腰を落とす」という感覚的なイメージの人がほとんどではないかと思います。

では、なぜ腰を落とす(膝を曲げる)のか?

答えは簡単です。ボールをヒットするときには、必ず、腰を落としてボールを打つからです。ボールを打てばわかりますが、逆に、腰を落とさずにボールを打つのは難しいです。ほとんど、上半身の力だけでボールを打つことになります。骨盤を使うこともできません。

骨盤を使って(骨盤を回転させて)ボールを打とうとしてみればわかりますが、膝が曲がっていなくては骨盤を回転させることができません。

そう考えると、もう一つの答えは容易に見つかります。どの程度まで腰を落とす(膝を曲げる)のか。自分がボールをヒットするときに腰を落とす程度がその目安になります。

そう思って、レディーポジションで腰を落として構えてみてください。そして、ボールが飛んできたら、その状態(腰の高さ)を維持してステップしてみてください。で、その腰の高さのままでボールを打ってみてください。

どれほど楽にボールを打つことができるか、すぐにわかると思います。何しろ、レディーポジションですでにボールを打つ体勢になっているようなものです。もし、腰を落としていない場合には、ボールの場所までステップして行ってから、改めて腰を落とさなくてはなりません。そこには上下動が発生します。1球なら良いですが、2球、3球…とラリーが続くと、それによる負担の大きさがはっきりわかってきます。

腰を落としてステップするのは、腰を落とさないよりも疲れます。しかし、腰を落とさずにステップして行き、ボールに合わせて腰を落とす作業を(ラリーが続くことで)繰り返す方が、腰を落としたままステップするよりもはるかに負担が大きいことがわかります。しかも、前者は後者よりも安定性に欠けます。というよりも、腰を落として上下動がない状態でストロークをする方が安定します。

地面に近い低いボールを打つ場合は例外ですが、そうではない場合には、多くのプレーヤーは膝が地面につくほどまで腰を落としません。腰を落としたままでステップすることは、そんなに負担は大きくない(しんどくない)はずです。

2013年3月21日木曜日

Mecir's Tennis (139) プレー中に「ストロークでは膝をしっかり曲げる」ことを意識するのは間違い(前編)

Mecir's Tennis (138)で、目標を達成するには、結果の理解ではなく、方法の理解が大切だと書きました。話が抽象的すぎて分かりにくいかもしれませんが、スポーツにおいてはとても大切なことです。今回は、その一つの例として、ストロークで膝を曲げるという子をと考えてみたいと思います。
 

タイトルには、 「ストロークでは膝をしっかり曲げることを意識する」ことは間違いだと書きましたが、より正確に書くと次のようになります。

「ストロークでは膝をしっかり曲げる」「ストロークでは下半身を安定させる」などとよく言います。膝を曲げること自身は、間違いではありません。ただし、プレーヤーは、プレー中に膝を曲げることを意識(=目標に)してはなりません。

今回は、このことについて考えていこうと思います。

例えばミロスラフ・メシール(メチール)は、現役当時、「腰が低い」「膝をしっかり曲げている」と評されるプレーヤーの一人でした。それがメシールの安定したストロークを支えているとよく言われていました。

一方で、(世界のトッププロと比較するのも変ですが)公営コートのアマチュアプレーヤーで「膝はよく曲がっているのだけれども、それがフットワークを逆に阻害している(動きが鈍いとかボールが安定しない)」というケースがあります。(実際には、膝が曲がっていないアマチュアプレーヤーの方がはるかに多いのですが。)

私も、昔は、プレー中に「よし、膝をしっかり曲げてストロークを打つぞ!」と意識することがありました。結果は、ほとんどの場合、動きは鈍くなり、スイングは振り遅れ、ボールは逆に不安定になり、ストロークは乱れます。

この二つの違いはなんでしょうか。同じ、「膝がよく曲がっている」にもかかわらず、評価は正反対です。

そのヒントは、次にあると思います。「メシールのショットには膝が十分に曲がっていないショットや、腰が十分に落ちていないショットがある。(上記の)アマチュアプレーヤーは、いつも、どんなボールに対しても膝が曲がっている。」

つまり、「いつも膝が曲がっている」ことは、実はよいことではないのです。いえ、はっきりと「間違いです」と言いきってもよいと思います。

なぜなら、膝がいつも曲がっているアマチュアプレーヤーは、膝を曲げることを目標にしているからです。膝を曲げれば確実に良いボールが打てるのであればよいのですが、実際には、膝を曲げることは方法の一つ(一部)でしかありません。

実際には、ボールをしっかり見る、テイクバックを早く…など、すべきことはいくつもあります。上記のアマチュアプレーヤーは、それを捨てて「膝を曲げる」ことを優先しているのです。(だから、どんな場合にでもしっかりとひざが曲がるわけです。)

ある目標(結果)を達成するためには、多くの場合、複数の方法を組み合わせます。膝を曲げること以外にもボールを見る、テイクバックを早くなど、いくつもの「方法」を組み合わせて初めて目標が達成されます。大切なことは、目標を達成することであり、特定の方法を実現することではありません。場合によっては、ある方法はあきらめて、BESTではない、BETTERな結果、またはGOODな結果を得ることも大切です。

いつも100点は理想的ですが、時には60点を取ってでも決して赤点を取らないことがスポーツでは大切なのです。特に、ミスするとポイントを失うテニスでは、赤点は致命的です。赤点を取るぐらいなら、60点でも構わないというのがテニスです。


さて、グランドストロークの目標とはなんでしょうか?私の場合、プレー中(グラウンドストローク)の意識を次の一点に置いています。
  • どんなボールでもフォロースルーを大きくとってボールをしっかりと打つこと
これが、図に示した私の目標(つまり求める結果)です。方法ではありません。

プレーヤーは、すべての「方法」を意識しながらプレーすることはできません。「膝を曲げて」「ボールをよく見て」「テイクバックを早く」…などとすべてをチェックしていては、ボールは目の前を通り過ぎて行ってしまうでしょう。

プレーヤーがゲーム中に意識できるのは、目標(結果)だけです。そして、目標を意識したときにすべての方法が実現できるように普段から練習をするのです。練習では、「フォロースルーを大きくとってボールをしっかりと打つこと」ができなかったら、その理由を確認し、修正をします。
  • ボールをしっかりと打とうとすると、自然に膝を曲げることになります。(そうしないと打球が不安定になるため。)
  • ボールをしっかり打とうとすると、自然にテイクバックが早くなります。(そうしないとラケットをしっかり振ることができなくなるため。)
  • ボールをしっかり打とうとすると、自然にボールをよく見るようになります。(そうしないと、スイートスポットでボールを捕えることができないため。)
これでわかると思うのですが、膝を曲げるとか、ボールを見るなどは、スイングの一つの技術(方法)です。そして、我々が見つけるべきは、プレー中に意識すべき目標の方なのです。

別の言い方をすると、すべての「方法」が集約されるような「目標」を設定することが重要です。

ゲーム中に「フォロースルーを大きくとってボールをしっかりと打つこと」ができなかった時、方法のうちのどれかに原因があるはずです。その理由を、ポイントとポイントのインターバルに確認することは有効です。しかし、ポイントに入ったら、その方法を目標にしてはいけません。その(まずかったと分かっている)方法を意識しながら、しかし本来の目標に向かってプレーするのです。

最後に、繰り返しになりますが、方法と目標(結果)を混乱してはなりません。特定の方法に固執してはなりません。(例えば膝を落とすことだけを重視してはなりません。)すべての方法が達成できなくても、目標はBETTERやGOODとして達成できるからです。テイクバックが遅れても、ボールを見ることができなくても、膝が曲がっていなくても、「フォロースルーを大きくとってボールをしっかりと打つこと」はできます。100点満点ではなくても、60点でも合格はするのです。

これが、Mecir's Tennis (138)に書いた、「方法」と「結果(=目標)」の違いです。

Mecir's Tennis (138) 「方法」と「結果」の違いを意識すること

どのようなスポーツでもそうですが、「このように体を使うべし」というセオリーが示されることがよくあります。アマチュアプレーヤーは、いつも、「どうやって体を使えばこのショットが打てるようになるのだろうか」という情報を求めています。

実際、このブログでも、メシールのプレーする映像を参考に、いろいろなセオリーを書いています。

が、スポーツのセオリーで勘違いしやすいことの一つが、多くのセオリーは「結果」を述べているのであって、「方法」について書いているわけではないということです。この違いを理解しないと、「練習はしているのになかなか上達に結びつかない!」ということになりがちです。

このブログでは、私は「脳内イメージ」という言葉をよく使います。これは、「結果」と「方法」が異なることがあることを知っているからです。

例えば、メシールのフォアハンドでは、テイクバックでラケットヘッドは5時の方向を向きます。こちらの画像を見ても、すべてのショットでラケットヘッドが5時方向を向いています。

しかし、これは「結果」です。大切なのは、この「結果」になるために、どんな「方法」があるかを考える(意識する)ことです。つまり、「脳内イメージ」というのは、まさにこの「方法」であるわけです。

「方法」は「結果」ではありません。しかし、いろいろな読み物では、例えばトッププロの写真を掲載して、その「結果」を解説します。読者は、それを読んで、何となくわかったような気がします。自分でもできるような気がします。

しかし、実は、どうすればその「結果」を実現できるのかという「方法」については、必ずしも説明されているわけではありません。「結果」を分析や解説しても、そこに至るための「方法」がわからなければ、結果を得ることができないのです。


このように「結果」と(それを実現するための)「方法」を区別して考え、よい「方法」によってよい「結果」を得るということは、意外に見落とされている点だと思います。

さらに大切なことがあります。

見る⇒走る⇒打つというように連続動作で一つのプレーが構築される(複雑な)テニスというスポーツでは、ある「結果」が次の「方法」になることもあります。

例えば、よいサーブを打つための方法として「内転が大切だ」ということが一般に言われています。確かに内転はよいサーブを打つという「結果(=目標)」ための「方法」です。

しかし、内転を実現する方法がわからない人にとっては、今度は、その内転が結果(=目標)になります。その場合には、内転を(「結果」として)実現するための「方法」が必要になります。どのような脳内イメージ(つまり「方法」)で内転という「結果」を得るのか。その説明がない限り、いくら「よいサーブを打つ(「結果」)のためには内転(「方法」)が必要です」と説明して、内転しているサーブの写真を掲載しても、意味がないのです。

Mecir's Tennis (137) 骨盤の仕事・サーブ編

最近の多くのスポーツでは、自分の体を有効に使うためには、次の3つの働きが大切だと言われています。
  • 骨盤
  • 体幹
  • 肩甲骨
これは、テニスでも同じです。最近、いろいろなところで、テニスにおいてこの3つが大切だということが言われています。(動きながらボールを打つという、比較的複雑な動きが要求されるテニスでは、特に、このように動きと力の軸となる働きは大切です。)

これはサーブでも同じです。サーブのパワーは、骨盤の回転からもらうのが有効です。

サーブのトスアップで骨盤を使いはじめたトッププレーヤーは、おそらくアンドレ・アガシではないかと思います。


写真を見ても、しっかりと骨盤を回してパワーをため込んでいます。(この後、フォワードスイングで骨盤を戻すことでスイングしているのはもちろんです。)

Mecir's Tennis (136) ボレーの打ち方(シングルス限定)

今回は、メシールのテニスではなく、自分の経験を書きます。シングルスでのボレーについてです。

最近は、ボレーやサーブでは薄いグリップ(コンチネンタルかバックハンドイースタン)が徹底されているからか、昔(20年ぐらい前)よりもサーブやボレーの技術は、アマチュアでも高くなっているように思います。

薄いグリップを身に着けてしまうと、特にボレーでは、後はラケット面をきちんと作れるかでローボレーが打てるかどうかが決まります。(というよりも、薄いグリップでないと、ローボレーは絶対に打てないのです。)

私は、他のショットに比べると、ボレーはあまり不得意でありません。(と思っていました。)それは、若いころに徹底して薄いグリップを覚えたからだと思います。例えば、球出し練習やボレーストローク練習では、ボレーについてはあまり苦にならず、比較的問題なくボールを打ち返すことができていました。

しかし、ゲーム(試合)になると、驚くほどにボレーをミスします。ボールが飛んできても、練習の時のようにボレーすることができないのです。フォアハンドも、バックハンドも。

しかも、この傾向は、シングルスゲームのときのみであらわれるのです。ダブルスでは、問題なく(あくまで私のレベルでの問題なさですが)ボレーができます。シングするゲームだと、とたんに、半分以上のボレーをミスするか、ミスショットします。

「シングルスでだけボレーが上手くいかない。」こういう人は、私だけではなく、案外、多いのではないでしょうか。

その理由を考えてみました。そして、それが、上半身や腕ではなく、下半身にあることが分かってきました。具体的には、足への体重のかけ方によるものだと考えています。


ボレーを打つ時に、自分のどちらの足に体重がかかっているか。これを意識することが大切です。例えば、ロングボレー(ネットから離れた位置)では軸足側に体重がかかった状態でボールを打つことが多くあります。(または、打った後に体重を右足に移動します。)

シングルスは、ダブルスと違い、守る範囲が広くなります。その分、バランスは崩れやすく、また、ラケットが届かないボールも出てきます。相手のボールのバリエーションが多いのです。そのためには、ボールをヒットする前に、自分の体重がどの足にかかっているかを意識することは有効です。体重がかかっている足を意識することにより、無意識に体のバランスを整え、相手のボールに対する間合いを取ることができるようになってきたのです。

これらの技術のさらに詳しい内容は、例えば、次などで紹介されています。

  • 勝者のフットワーク塾 ボレー編(こちら
  • 藤野俊幸のテニス楽 実践マガジン vol.39  相手の強打を跳ね返せ! ボレー支える足と運ぶ足・止める足(こちら

2013年3月20日水曜日

Mecir's Tennis (135) テイクバックでは肩を支点に腕を動かす

フォアハンド、バックハンドともに、テイクバックでは腕ではなく体を回転します。もう少し正確に書くと、骨盤をフォア方向(またはバック方向)に回転します。上体はそれについていくことで回転します。

では、その際に、腕はどうすればよいでしょうか。もちろん、テイクバック後半では、腕はボールの高さなどに合わせて動かします。しかし、テイクバック始動時はどうでしょうか。

ひとつの考え方は、テイクバック始動時は腕を固定して、体と一緒に回転するという方法です。しかし、それは、逆に言うと腕を固定することになり、柔軟性に欠けます。「なんか窮屈なスイングだなあ」というプレーヤーが時々いますが、あんな感じになります。メシールのテニスは、むしろ、「どちらかというとぐにゃぐにゃしていて、柔軟性に富んでいる」スタイルです。

一方で、メシールはむやみに腕を動かしません。無駄の少ないフォームです。では、どうすればメシールのように、無駄なく、しかし柔軟なフォームを身に着けれるのでしょうか。

ここで、腕の柔軟性は失わず、しかし腕を使わない方法があります。

それは、肩を支点にして腕を動かす方法です。腕(とくに肘)は曲げたりはしませんが、肩を中心に必要なだけ腕を回す(動かすのではなく)のです。打点が高い場合も、テイクバックの途中(とくに前半)で腕を上にあげてはいけません。ボールの高さに対してアジャスト(調整)するのは、テイクバック後半か、またはフォワードスイング前半です。

この方法は、テイクバックで腕に力が入らない利点がありますが、一方で、ラケットとボールの距離の調整はやや難しくなります。また、テイクバックやフォワードスイングのタイミングは、腕でとることは100%できなくなります。(腕には力を入れないため。)

しかし、スイングの安定性は向上するはずです。下半身、とくに骨盤の働きはますます重要になります。

2013年3月12日火曜日

Mecir's Tennis (134) 左肩だけではだめ!

Mecir's Tennis (134) では、フォアハンドのテイクバックでは、左肩を入れるということを書きました。しかし、それでは、上体だけがひねられていることになります。

下半身をひねって、上体をひねる。これが正しいテイクバックです。

下半身をひねるということはどういうことか。それは、骨盤を回すということです。

図ではうまく書けないので文字で書きますが、フォアハンドでも、バックハンドでも、飛んでくるボールに合わせてひねるのは、実は骨盤です。

足はオープンでもよいのです。(バックハンドですら、骨盤が回っていれば、足はオープンでも構いません。)

バランスが多少崩れていても、骨盤が回っていればそのねじりを戻す力でスイングはできます。スイングの力は骨盤の回転からもらうのです。

Mecir's Tennis (133) 強いボールを打つために ~ミニテニスは案外有効です

このサイトに何度も繰り返し書いてきたことですが、安定して、強い(厚い)あたりのフォアハンドは、どうすれば打てるのか。テイクバックについて、最終的な確認をしたいと思います。


脳内イメージとしては、テイクバックではラケットが体と並行である時間が長ければ長い方がよりよいのです。体とラケットが並行になるときの利点はたくさんあります。
  • 左肩がしっかりと入る。ボールを打つコースを隠せる。
  • ためを作れる。パワーが出る。
  • 打点を遅らせることができる。打つまでの時間を稼げる。
  • スピンボールが打ちやすい(薄いグリップではボールの外側をこすりあげてスピンを打つため)。
  • ボールをインサイドアウトに打ちやすい。(フラットドライブは、インサイドアウトにボールを打つ。最近の厚い当たりのスピンではアウトサイドインに打ちますが。)

焦ったり、余裕がないと、つい、上の図の左のように左肩が開いてしまい、その結果、ラケットとの間の角度が大きくなります。そうすると、もう、タメを作ることも、ボールコントロールすることも難しくなります。

テイクバックでは、骨盤を回し、左肩を回す。これがどれだけ深く、ぎりぎりまでできるか(やりすぎると振り遅れるため)がポイントです。

左肩が回ってラケットと体が平行(に近くなる)のを確認する簡単な方法があります。ミニテニス(ショートラリー)です。ネットを挟んで、サービスライン内で打ち合うストローク練習です。フラットドライブでは、体とラケットに角度が付くと、ボールがラケット面にまっすぐに(垂直に)あたります(上図左)ので、回転がかかりにくくなります。したがって、相手のサービスライン内にボールを落とすことが難しいはずです。

2013年3月5日火曜日

Mecir's Tennis (132) 強いボールを打つために ~フォロースルーの仕事

このブログは、ミロスラフ・メシール(メチール)のテニススタイルについて、いろいろな角度から書いています。特に、これまではテイクバックからフォワードスイングについて、重点的に書いてきました。

正しいフォームで正しくボールを打つためには、正しいテイクバックと正しいフォワードスイングが必要です。ただし、それだけでは、狙った場所に強いボールを打つことはできません。

さて、では、どうすれば、強いボール(よいボール)を打つことができるのか?
  • ラケットを強く振る
  • ラケットを速く振る
確かにラケットを速く、そして力を込めて振れば強いボールを打てそうな気がします。しかし、これらは、スイングの(微妙な)バランスを崩してしまうため、安定したボールを打つことが難しくなります。

良いボールを打つために大切なことは、
  • フォロースルーを大きくとること
  • 体を立てて背筋を使って打つこと
が大切です。前者は、狙った場所にボールを打つためにも必要です。(フォロースルーは自分が打ちたい方向に大きく腕を伸ばしていきます。)後者は、ボールコントロールをしながら強いボールを打つために有効です。

この二つを、自分がバランスを崩したときにもしっかりと守らねばなりません。

逆に、スイングスピードは、ラケットを振る速度を上げてはいけません。大きなフォロースルーが取れるだけの(ゆっくりとした)スイングで打つことが大切です。