2013年5月31日金曜日

Mecir's Tennis (163) ゆっくり打つという事は早く動くという事

メシールは現役時代、解説者から「スイングスピードが信じられないぐらい遅い」と言われていました。「精密に測定したら、ラケットのガットにボールが接している時間がコンマ数秒長いのではないか」と言うコメントも効いたことがあります。

ゆっくりラケットを振ってボールをしっかり押し出す。まさに「一昔前のテニス」の基本通りです。

しかし、ゆっくりラケットを振るという事は、実は、速くラケットを振るよりも忙しいのです。

ゆっくりラケットを振ろうと意識すると、それまでの準備もゆっりになってしまいがちです。が、それは正反対です。

ゆっくりラケットを振ることができるのは、ラケットを振る準備が十分にできているからです。つまり、速くラケットを振る場合よりも準備を急がねばならないわけです。

早くステップワークをして、早く構えて、早くテイクバックをして…やっとゆっくりとラケットを振ることができるわけです。

ゆっくりとラケットを振るメシールのフットワークや準備が、決して忙しいように見えなかったわけ。実際には、ゆっくりと準備をしていたわけではありません。では、なぜ、準備もゆっくりしているように見えたのか。

それについては、別項で書きたいと思います。

2013年5月18日土曜日

Mecir's Tennis (162) イースタングリップの打点は前(2)

Mecir's Tennis (160) イースタングリップの打点は前(1)を書いた後に気になってちらちらとWebを見ているのですが、なぜか、『ウエスタングリップの打点はイースタングリップよりも前(フォアハンドの場合)』という記事を見かけます。

下の錦織の写真を見てください。


 

これとMecir's Tennis (160) イースタングリップの打点は前(1)のメシールのフォアハンドインパクトを見ればわかりますが、明らかにメシールの打点の方が前です。

それは当然です。

一つは、ウエスタングリップ(錦織)では腕を曲げたままボールをヒットすることが多いので、それだけ打点は前になりにくい(体の近くになる)のです。

イースタングリップではスイングはインサイドアウトで前方・上方に向けて振るイメージですが、ウエスタングリップではアウトサイドインで左方向・上方(その後ワイパーのように下方)です。したがって、もう一つの理由は、横に払うウエスタングリップよりも、前に押し出すイースタングリップの方が打点が前になりやすいのです。

フォアハンドストロークに関して言うと、薄いグリップの方が打点が後ろと言うのは全くの誤りです。イースタングリップでは、以下に右肩を前に出して、腕を伸ばすところでインパクトできるか(それだけボールにパワーを与えることができるか)がポイントです。

2013年5月15日水曜日

Mecir's Tennis (161) バックハンドのテイクバック



メシールのバックハンドで驚くのは、テイクバック(トップ)でラケットが体とほぼ平行になる点です。さらによく見ると、平行よりもラケットヘッドは外を向いています。(写真とイラストを見てください。)

脳内イメージでは、これはもう、ラケットヘッドを真横(9時)に引いているイメージだと思います。とても小さなテイクバックで、こんなのでどうやってボールに力を与えるのだろうと感じると思います。

その分、大きなフォワードスイングとフォロースルーが要求されるのが、メシールのバックハンドです。

Mecir's Tennis (160) イースタングリップの打点は前(1)




何度も書いていることですが、フォアハンドのイースタングリップはウエスタングリップよりも打点が後ろだというのは、誤ったイメージです。イースタングリップではウエスタングリップよりも打点が後ろでもボールを打つことができると言うだけで、本体の打点は逆です。

イースタングリップはウエスタングリップよりもむしろ打点を前に置かなくてはなりません。ウエスタングリップのように体の回転とラケットスイングでボールに力を与えることができないため、前方への体重移動や大きなフォロースルーでボールに力を与えるためです。

上の写真はメシールのフォアハンドストロークのインパクトの瞬間です。どの写真も、右肩が前に突き出されて、腕はさらに前(ラケットはそのさらに前)にあります。このポイントが、イースタングリップ(メシールのフォアハンド)で一番力が入る場所だという事です。

Mecir's Tennis (162) イースタングリップの打点は前(2)に続く。

2013年5月13日月曜日

Mecir's Tennis (159) 相手のボールが厳しい場合の対応

Mecir's Tennis (158)では、最近のスピン系のフォアハンドに比べて、メシールの様なイースタングリップのフォアハンドは取り扱いが難しいという事を書きました。

では、逆に、メシールのフォアハンドが有利な場合はないのでしょうか。

その一つが、相手の打った球が速いまたは深いなど、よいボールだった時の対応です。この場合、次の3つのうち、一つをコンパクトにすることで対応が可能です。どれでしょうか。
  1. ボール地点に足を運ぶステップワーク
  2. テイクバック
  3. フォロースルー
正解は、2のテイクバックです。メシールのフォアハンドでは、緊急の場合には2のテイクバックをかなり(極限まで)小さくすることができます。脳内イメージで言うと、ほんのちょっとだけラケットを引く程度まで小さく、です。

これは、言い換えると、1と3は手を抜いたり、省略したり、コンパクトにしてはいけないということも意味しています。もう少し詳しく書きましょう。

もし、相手の打ったボールが速くまたは深く飛んできた場合、通常と同じように1のステップワークをせねばなりません。この部分を省略(手抜き)をしてはいけません。これは、つまり、ステップワークが間に合わないとテイクバックする時間が取れないのではと言う心配をしなくてもよいという事です。テイクバックを限りなく小さくすれば対応が可能です。

テイクバックはできるだけ小さくすることが可能です。ただし、それには条件があります。それは、テイクバックでは無駄な動きをしてはいけないという事です。

レディーポジション(構え)は、ラケットを持つ手が腰の前(胸の前にならない)女の子のもじもじポーズです。ラケットは原則的にはネット方向(0時方向)です。11時や10時を向いてはいけません。そこから、骨盤の回転だけで、テイクバックします。右肘はやや曲げたまま、多少のボールの高さにあわせます。

また、テイクバックを含めて、動き全体で体に力を入れすぎてはいけません。あくまで、力ではなく、正しいフォームでボールを打ち返すという意識が必要です。どちらかと言うと、体の力は通常のストロークよりも抜いても構わないぐらいです。

実際、相手のボールが速いという事は、多くの場合は、高く弾まないボールです。高い場合は、モジモジポーズの位置から右腕が上に上がることになりますので、時間がやや余分にかかります。いずれにしても、テイクバックは小さくとります。

相手のボールにもよりますが、テイクバックの開始はボールが足元近くで(相手のボールが深い良い球ですのでかなりベースラインよりにバンドすると想定します)バウンドするタイミングで開始しても、なんとか間に合います。相手のボールがネットを超えてベースライン近くでバウンドする間、できるだけ早くテイクバックを開始したいところですが、我慢です。まずはステップワークで、十分な場所まで移動(または足の位置を決める)ことを優先します。

小さなテイクバックの後、すぐにフォワードスイングに入ります。ここから先を小さくしてはなりません。この点も大切です。相手のボールに勢いがありますので、イースタングリップでは面を作るだけでもボールが返ることが多いのですが、それに甘えてはいけません。とても小さいテイクバックからであっても、フォロースルーは大きくとります。それによって、ボールの方向や高さなどをコントローするためです。

メシールのフォアハンドは、難しいうち方ですが、利点もあるということですね。

2013年5月12日日曜日

Mecir's Tennis (158) 体重移動は大切(特にメシールフォアハンドでは大切)

メシールのグランドストローク(特にフォアハンド)は、イースタングリップが特徴です。最近の(昔と比較して)パワーのあるラケットでも、イースタングリップは、パワーの出にくいグリップです。

別の言い方をすると、最近のパワーの出やすいラケットの特長を活かしてないグリップとも言えます。

しかも、薄いグリップはラケット面の調整が微妙で、面が少しずれるだけでボールはネットしたりアウトしたりと、コントロールができます。スイングでパワーを補おうとすると、ラケット面がぶれるという弱点があります。

パワーが出にくく、しかもパワーをスイングで補うことができない(ラケット面がぶれやすい)何とも厄介なグリップが、イースタングリップです。

ボールコントロールは右親指からスイングする(フレーム方向にスイングする脳内イメージ)でよいとして、パワーはどうやって加えればよいでしょうか。

それは、次の2点です。
  1. 素早いテークバック
  2. 前方への体重移動
この2つは独立ではなく、連携しています。前方への体重移動がボールへのパワーになるわけですが、そのためには、素早いテークバックが必要です。テークバックが遅いと、どうしても、スイングそのものでボールにパワーを与えようとしてしまうからです。少しでも早く構えて、しっかりと体重を前に移動してボールに力を与えることが肝心です。

どんなボールでも左足(フォアハンド)を踏み出して打てるわけではありません。体重移動=左足踏込ではありません。どんなボールでも、少しでもボールに体重を乗せて打とうとすることが大切なのです。ボールを押し出すように打つのではなく、体重を載せようとすれば自然とボールを押し出す形になるというのが理想です。

例えば、右足を踏み出してオープンスタンスでフォアハンドを打つ時すら、体重を前に乗せることはできるはずです。

2013年5月10日金曜日

Mecir's Tennis (157) 3対7と言うよりも0対10のテイクバックとフォロースルー(その2)

3対7と言うよりも0対10のテイクバックとフォロースルー(その1)で書いた内容の補足をしておきます。


まず、レディーポジションからテイクバック(骨盤回転)までですが、右手の位置は、体の正面になります。この右手の位置は重要です。右手の位置が右側のズボンのポケットに手が入る位置(体の右側)ではNGです。あくまで、体の前です。脳内イメージとしては、右腕全体が体の前にあるような感じがするはずです。

右腕の置き場所ですが、あまり良い例ではありませんが、腕を骨折などしたときに固定するイメージが近いかもしれません。(ただし、メシールのフォアハンドでは、この写真よりも手の位置が下になります。右手(両手)がおへその前かもう少し下をイメージしてください。)


骨盤回転による体のテイクバックの後に右腕によるテイクバックがあります。骨盤回転テイクバックと右腕によるテイクバックを明確に分けることが大切です。この2つを同時に行おうとすることは、フォアハンドストロークの不安定さに直結します。

この腕テイクバックは、2点、注意が必要です。①できるだけ小さなループが望ましい、②右肩の前あたりでループさせる脳内イメージが理想的です。この右腕によるテイクバックを最小にすることを、3対7と言うよりも0対10のテイクバックとフォロースルー(その1)では0(ゼロ)と書いたわけです。

試してみればわかりますが、このような小さなテイクバックを取ると、時間の余裕ができます。ボールが飛んできても、振り遅れるというよりも、むしろ、ボールがネットを超えてワンバウンドし、さらにこちらに向かってくる時間がたっぷりと取れます。この時間を有効に生かして、ボールのコース、球種、高さなどを選択するのです。大きなテイクバックではボールに振り遅れないなどの心配がありますが、このテイクバックではむしろ攻撃的な気持ちになれます。いろいろな選択肢の中からボールをヒットできるので、テニスそのものを楽しむことができるのです。

メシールが好調の時には、体に全く力が入らず、自由自在にボールを操るように見えるのは、実はこの方法があるからだと思います。

さて、体の前に右腕を位置し、小さなテイクバックを体の前(右肩の前)というテイクバックをすると、一つ、心配があります。本当にボールに力が乗るのか、打ち負けないかということです。実際、ゲームなどでは、一度でもボールに打ち負けたりすると不安になって、テイクバックが大きくなって行ってしまうことがあります。

これが落とし穴です。

ボールにパワーを与えるのは、右足(特に右ひざ)の足の運び、骨盤の順回転(フォワードスイング)、右腕のフォロースルーなどの力です。このメシールの打ち方が許されるのは、これらがしっかりとボールに力を与えることができるということが条件になります。それをさぼって右腕のテイクバックの大きさでボールを打とうとすると、スイング全体を変えなくてはならなくなります。メシールのフォアハンドではなくなるのです。

もう一つとても大切なのは、フォロースルーです。よいフォロースルー(つまり大きなスイングで、かつ、ボール方向に腕とラケット面がしっかりと伸びていく)は、テイクバックの時からイメージしておきます。「フォロースルーありき」です。

スイングの目的が大きなフォロースルーなのですから、フォロースルーで「ちびる」心配がなくなります。フォロースルーのイメージを最初からもってスイングすることが、安定した、狙ったところにボールを打つコツです。

Mecir's Tennis (156) 3対7と言うよりも0対10のテイクバックとフォロースルー(その1)

テイクバックとフォロースルーの力の入れ方は3:7(2:8)などと言います。「スイングでは、後ろを小さく、前を大きく」という事です。

メシールのフォアハンドを見ていると、大げさではなく、テイクバックは0でフォロースルーが10と言っても過言ではないのかと思います。もちろんこれは、脳内イメージで、実際にはテイクバックで右腕の力が0にはならないでしょう。が、イメージとしては、テイクバックではほぼ力を抜いているイメージです。逆に、フォロースルーをかなり大きくとるイメージです。


テイクバックでの右手の力は0です。右足を決めた時に、ラケットを右腰のところにセットしたら、その後は右腕は何もしないのです。右足はくさびを打つように、ボールに対してしっかりと固定します。次に骨盤を回してテイクバックを起動します。さらに、腕を使ってテイクバックを・・・・しないのです。

右腕は力を抜いて、腰の位置にセットしたままにします。右腕は、体の右横ではなく体の前に置きます。(視野の中に右手が見えるぐらいの位置です。)

体(骨盤)がテイクバック側に回転する間も、右腕は動かしません。と言っても、力は抜いて、楽に構えます。

さらに、体(骨盤)がフォワードスイング側に回転を初めても、まだ右腕は動かしません。体の回転についていくだけです。

右腕が意識的に動くのは、インパクト前あたりからです。ここで初めて、右腕を意識して使います。と言うよりも、今度は、右腕を大きく使います。その勢いは、フォロースルーまで続きます。どんなに大きなフォロースルーを取っても構いません。いえ、大きなフォロースルーを取らねばなりません。(0対10の10の方です。)

言い換えると、10のフォロースルーが取れるように、テイクバックからフォワードスイングを準備せねばなりません。右足の位置を誤ると、これができません。右足の位置を決めることがどれだけ大切で微妙な事であるかが分かると思います。

フォロースルーは、ボールの質を決めます。縦系に振り上げてスピン系のボールを打つ場合、横系に振ってサイドスピン系(順クロス)のボールを打つ場合、インサイドアウトに振ることで逆クロスのボールを打つ場合など、すべては大きなフォロースルーでボールの質を決めます。

特に大切なのは、パンチの利いたボールを打ちたい場合です。この場合は、脇を締めることでボールをしっかりと打ちます。脇を締めるだけで、右腕の使い方は同じです。

テイクバックでの右腕の使い方が0であるというのは、窮屈なスイングに思う人もいるでしょう。実際、最近の厚いグリップのフォアハンドでは、大きなテイクバックを取ることが多いので、このメシールのフォアハンドには違和感があるかもしれません。

もちろん、これは脳内イメージですので、実際には右腕は多少動きます。小さなループを無意識に作ります。(本当に、右腕を腰のあたりにがちがちに固定してしまわないように注意してください。そのために、テイクバックでは右腕の力を抜いています。)

もう一つ、右腕はあまり動かなくても、ラケットは動きます。ラケットは長いので、右腕のグリップの方向が少し変わるだけでも、ラケット先端は大きく動きます。

例えば、メシールのフォアハンドの様子(1枚目と2枚目)を見てください。ラケットは1から2にかけて大きく移動しています。が、右腕は右腰に対して、そんなに大きく動いていません。(まったく動いていないわけではないのですが。)

グリップの向きや右脇の開き方など、ラケットの支点となる部分が動けば、ラケット先端は大きく動くという事です。したがって、言い換えると、やはりメシールのフォアハンドでは、「ラケットは右腰前に固定したままでテイクバックする」というのが正しい脳内イメージなのです。

こちらのフォアハンド画像(連続写真)でも、テイクバックで右腕が動いているように見えますが、脳内イメージでは、ほぼ右腕を固定しているはずです。(逆に、右腕をテイクバックで動かした場合には、もっと大きなラケットと右腕の移動が見られるはずです。)

2013年5月8日水曜日

Mecir's Tennis (155) テイクバックでは左肩を入れる…の謎

フォアハンドのテイクバックではしっかりと左肩を入れる…とよく言われます。が、実際にメシールのプレーを見ていると、いつもそこまで左肩が入っているわけではありません。と言っても、完全に左肩がひらいた状態で打つことはまずないのですが。

左肩を入れてテイクバックをしようとすると、どうしても背中がネットに向いてしまって、クローズドスタンスになります。バックハンドではこれで正しいのですが、フォアハンドでは背中はネットには向きません。

どう考えたらよいのかなあ…と思ってメシールのビデオを観ていて、ふと気が付きました。

確かにメシールのフォアハンドでは、体がボールに対して横を向いています。イメージとしては、飛んできたボールの飛球線に対して、体がネットに対して2時から3時方向を向いています。

これは、何のためか。簡単です。体を回転させてボールをヒットするためです。

つまり、ボールが飛んできたときに、体を横に向けたり、左肩を入れたりすることが大切なのではないのです。体を回転させながらボールをヒットすることが大切なのです。

どれだけ体を横に向けるか、左肩を入れるかは、どれだけ体を回転させながらストロークを打つことができる(余裕がある)かによって決まってきます。

相手のボールがゆるくてチャンスの場合には、思い切って左肩を入れるのもよいでしょう。なぜなら、それだけ大きく体の回転を使ってボールを打つ余裕があるからです。

相手の球が速くて低い場合。あまり大きな体の回転は使えないでしょう。そのような場合でも、最低限の回転を確保するためには、ボールに対して体を横に向ける必要があります。多少、左肩が開いていたとしても。

強弱の程度はあれ、必ず、体を回転することでボールをヒットする。だからこそ、体はボールに対して横向きになるのです。腕の力は不要です。体の回転と大きなフォロースルーでボールを打つ(運ぶ)のです。大切なのは、強くボールを打つことではなく、ラケット面をボールに対して正しくあてることです。

ボールに対して体を横向きにするのは、目的(結果)ではなく手段だという事です。

2013年5月6日月曜日

三度(みたび)、ブラチスラバへ!(2)

三度(みたび)、ブラチスラバへ!(1)の続きです。まずは、ブラチスラバにある中央駅の写真を。

雪解けのスロバキアテニス協会コートです。コート整備が進んでいました。冬に来た時にあったエアドームはすっかり片づけられていました。きれいな赤土のコートでした。


ジュニアの選手が練習していました。後ろに見えているのはアリーナ(Aegonアリーナ)です。

テニスパブ(Tenis Pub)で、ビールとスープを飲みながら、ジュニアの練習を見ていました。Free WiFiサービスがあるので、日本とSkypeをしながら。スープのお味は…比較的シンプルなお味。

今回も、スロバキアでメシールに会うことはできませんでした(当たり前ですね)。いつか、直接会って話を聞く機会がきっとありますように…。

Mecir's Tennis (154) どうしてもウッドラケット?(ふたたび)

Googleで、時々、Miloslav Mecirと言う文字列で検索をしてみます。特に画像検索をすると、新しいメシールの画像が見つかることがあります。

Webサイトを見ると、これもありがたいことに、スロバキアのWebサイトであっても、自動翻訳のおかげで「なんとなく」記事の内容が分かることがあります。

下の画像は、あるチェコのWebサイト(上)とチェコオープンを紹介したWebサイト(下)の画像です。



どちらのページもチェコ語なので何を書いているのかわからないのですが、どうやら前者のページはメシールのラケットがウッドであることを書いているようです。この写真を見る限り、比較的最近のメシール(45歳前後?)の写真のようですが、往年のスノワートのラケットを使っています。(メシールの現役時代のラケットのアップ写真は、メシールのテニス(112) どうしてもウッドラケット?(おまけ)をご覧ください。)

このWebサイト(の自動翻訳)を読む限り、どうやら、メシールは、このスノワートのラケットのストックをまだ持っているようです。引退後のメシールの写真でも、彼がウッド以外のラケットを持っているところを見たことがありません。大変なこだわりようです。

Mecir's Tennis (153)  ボールの先端を見よう

ちょっと悲しいというのか、歳をとってくると目に来ます。以前よりも、コート上でボールを見ることができなくなってくる…気がします。

私の場合、特に、ボレーに影響が出てきています。今まで打てていたボールをボレーで打ち返せないのです。ネットしたりアウトしたりと、ボールをラケット面の真ん中で打てずにミスの回数が増えてきました。

が、最近、年齢のせいにするのは正しくないのではないかと思い始めています。単なる「言いわけ」ではないのかと。

私(ごとき)のレベルでは、実は、もともと、若いころからボールをきちんと見ていなかったのではないかと思うのです。見えなくなったのではなく、元から見ていないのではないのかと。若いころは目がボールから切れて(離れ)てもヤマ勘で打てていたボールが(年齢とともに体の反応が悪くなったために)打てなくなってきただけではないのかと。

そこで、もう一度考えてみました。ボールを見るとはどういうことなのでしょうか。

ボールを見るという事は、ボールの軌道を少しでも早く知るという事です。本当は、ボールの進む場所を先に見る(予測する)ことができれば一番良いのです。が、もちろんそれは無理です。

そこで、少しでも早くボールの飛球経路を知るために、ボールの先頭を見ます。ボールの飛ぶ先端(前側)を見ることで、ほんの一瞬ですが、ボールの進む方向(情報)を取得できるのです。


ボールの先端を見るということ自身は、実は、それほど意味があるわけではありません。ボールが進む速度を考えると、先端から得る情報はその後のボールの軌道の情報をほんの一瞬(意味のない程度)だけ早く教えてくれるだけです。

しかし、ボールの前を見るように心がけていると、動くボールに対して、視線が遅れることがありません。一瞬、ボールを追い切れなくなったとしても、すぐに目が追い付いてくれるのです。


試してみたらわかったのですが、こうやってボールを見ていると、ボールの回転やボールのライン(野球のボールで言うところの縫い目)までもが見えるようになります。つまり、年齢に関係なく、視力に関係なく、ボールは見えるのです。年齢を理由に「最近、ボールが見えなくなってねえ」というのは全く嘘だということが分かるはずです。

Mecir's Tennis (152)  締まったインパクト(最近のテニスには使えない打ち方?!の続き)

Mecir's Tennis (151)  最近のテニスには使えない打ち方?!では、ラケット面とスイング面を一致させることを書きました。ボーリング打法です。

もちろん、これは脳内イメージですので、実際にはスイングとラケット面がスイング中にずっと同じ面になるのは難しいです。では、特に、スイングのどの部分でラケット面をスイング面に含めるのがよいでしょうか。

それは、インパクトです。インパクトの時に、できるだけラケット面をスイング面に一致させるようにするのが理想的です。その理由は、ボールにラケットスイングの力が伝わりやすいからです。

フォワードスイングの途中ではスイング面とラケット面が多少ずれていても構いませんが、インパクト時には一致させるイメージでスイングしてみてください。この時、右脇がしっかりと締まることが分かると思います。そして、ボールに体の力がラケットを通じて伝わります。その瞬間、締まったスイングになるというイメージです。

締まったフォアハンドインパクトのためには、右足かかとは外側に出てはいけません。また、右ひざも内側に折れ込むイメージです。どちらかと言うと、インサイドアウトのスイングイメージになると思います。

勘違いしてはいけないのですが、このような締まったインパクトスイングはどの場合にでもできるわけではありません。相手のボールが比較的甘い場合で、とくに打点が腰よりも低い場合に有効です。打点の高いボールではこのような打ち方はできません。

Mecir's Tennis (151)  最近のテニスには使えない打ち方?!

このブログは、スロバキア(選手時代はチェコスロバキア)のプロテニスプレーヤーであるミロスラフ・メシール(メチール)のテニスについて考えるブログです。メシールは、最近では主流ではないイースタングリップのフォアハンドプレーヤーであり、フォアハンドについては最近のテニススタイルとは異なる点が多々あります。

今回は、その中でも恐らくかなり現在のテニススタイルとは異なるフォアハンドの打ち方について書きます。したがって、メシールのテニスに興味のない方には参考にならないと思います。参考にならないというよりも、最近のテニス理論とはかなり違うので納得がいかないかもしれません。

いつも通り、これは脳内イメージですので、実際にはこの通りになっているわけではありません。「方法」と「結果」の違いでも書きましたが、大切なのは方法の説明であって結果の解説ではないことを思い出してください。

さて、メシールのフォアハンドですが、まず、そのスイングスタイルを分かりやすく例えるならば、何に近いかを考えてみました。良い例がなかなか浮かばないのですが、一番近いのはボーリングの投げ方だと思います。フォアハンドストロークの打ち方がボーリングのボールの投げ方に近いのです。ウソのようですが、かなり近いと言ってもよいと思います。以下に、その脳内イメージを説明します。


メシールのフォアハンドでは、まずラケットを持つ右肘を緩やかに曲げます。右肘はまっすぐではだめですし、曲げすぎて力が入りすぎるのもダメです。自然に緩やかに曲がった状態です。(原則的には、スイングの間、右肘はずっと緩やかに曲げておきます。)

上腕部、肘から先、ラケットは同じ面内におさまります。これは、つまり、手を甲側や掌(てのひら)側に曲げないという事です。イメージとしては、運動会の行進の時の手の使い方に似ています。

さらに、ラケット面も同じ面内になります。この面は、地面に垂直に近くなります。(体の構造上、完全に垂直と言うわけではありません。)この場合、親指はこの面内で前方向(スイングする方向)にあります。


さらに、スイングですが、この面内で行います。つまり、親指方向にそのままラケットを下から斜め上方向に振り上げます。肘も軽く曲げたままです。そうすると、ラケットは面でなくフレームでボールを打つことになってしまいますが、これはあくまで脳内イメージです。実際には、ラケット面でボールを打つはずです。この点は、正しいサーブを打つ「コツ」(2)で書いたとおりです。どうも、人間の本能で、上図のイメージでラケットを振っても、実はラケット面側でボールを捉えるようなのです。(その理由は、私にはよく分かりません。)

上図で示したスイング面ですが、図では地面に垂直になっていますが、実際には多少傾くはずです。完全に地面に垂直ならずに、ボールに合わせて傾いた面内でスイングしても構いません。ただし、傾いていてもよいのでその面内でスイングをすることが大切です。スイング面とラケット面がずれてはいけません。

また、その面は、ネット方向から傾くこともあります。インサイドアウト方向やアウトサイドイン方向など、打つボールのタイプや方向によって異なります。(下図を見てください。)

このスイングで(と言うよりも、どのスイングでもですが)大切なことは、フォロースルーまでしっかりと振り切ることです。また、フォロースルーではできるだけ長くスイング面とラケット面を一致させることも大切です。(つまり、ラケット面をこねないようにするという事です。)スイング中に力を入れる必要はありません。むしろ、ラケット面でボールをしっかりと触り、そのままフォロースルーまで大きなスイングでボールを運ぶイメージが有効です。もし、力を入れるのであれば、どちらかと言うとフォロースルーの時に入れる方がよいぐらいです。


この稿で書いたことをまとめてイメージすると、まさにボーリングの投法に似ているように思います。(と言っても、私はボーリングの正しい投げ方を知りませんので、ボーリングの専門家には「全然違う」と言われるかもしれません。そのあたりは、野球の投球フォームとテニスのサーブが違うというのと同じですね。)

なお、アプローチショットはラケットを横に振るで説明した打ち方は、この打ち方をそのまま使います。つまり、体の前にこの面を置いて、親指方向にラケット面を面内においてスイングします。方向がちょっと違いますが、車のワイパーのようなイメージです。繰り返しますが、スイング面内にラケット面が含まれており、親指からスイングします。