2012年1月23日月曜日

李娜(Na Li)の全豪オープンテニス2012

今日、全豪オープンテニス2012で中国の 李娜 とベルギーのクライテルシュのゲームを、WOWOWで観戦しました。 李娜 は4本のマッチポイントをモノにできず敗退してしまいました。
2011年の全仏オープンで、中国人として、アジア人として初めて優勝した李娜 。その後、その明るいキャラクターが影を潜めているように見えるのが心配です。

実は、クライテルシュと李娜は、テニスのスタイルも、年齢も近い二人です。二人とも30歳前後で、テニスの世界ではベテランと言ってもよいでしょう。クライテルシュは4回、李娜は1回のグランドスラムタイトルを持っています。クライテルシュは、それだけのキャリアの中、出産後にテニスシーンに戻ってきました。李娜が、自分もいつか子どもを持ちたいと思っているかどうかは分かりません。しかし、おそらく、李娜にとってクライテルシュは、テニスのキャリアでも、人生のキャリアでも、(良い意味で)刺激を受け、学ぶところが多い選手ではないかと思います。

今日の二人の試合は、テニスの試合でありながら、コート上に、何か、そのような二人の見えない意識が流れていたように、私には思えてなりませんでした。もちろん、テニスのゲームはゲーム、そこには、言葉の上での会話はありません。しかも、この顔合わせは、実は、昨年(2011年)の決勝戦の顔合わせでもあり、テニスの試合としての互いの意識は、かなり強いものがあったでしょう。

とはいえ、その二人が早いラウンド(4回戦)で当たるほど、今のテニスは若い世代にトップがシフトしてしまっています。その中で、この、家族を持ちながら世界のサーキットを回っている二人のベテランが、そういうテニスの戦い方もあるのだということを見せてくれることは、それだけで素晴らしいことだなと思うのです。

2012年1月17日火曜日

メシールのテニス(56) フォアハンドのテイクバックでどの関節を使うか?

腕には、3か所の関節があります。肩、肘、手首です。

さて、メシールのテニスでは、どの関節を使うか。特に、フォアハンドテイクバックからフォワードスイングに焦点を絞ります。

正解は、肩⇒肘⇒手首の順です。つまり、メシールのフォアハンドテイクバックでは、肩、すなわち肩甲骨を大きく動かします。一方、肘はあまり使いません。肘の角度は、大げさに言うと、テイクバックからフォワードスイングの間、あまり変化しないのです。

一方で、肩甲骨は大きく使います。スイングの重度は、すべて、肩甲骨が使う感じです。肘と手首には、自由度をあまり与えません。

メシールのテニス(55) テイクバックでラケットヘッドはどこを向く?

ロジャー・フェデラーのフォアハンドは、セミイースタン(イースタン)グリップで、今(2012年)のテニスでは、メシールに近いのではないかと思っていました。しかし、やはり、かなり違うようです。
それは、テイクバックでの、ラケットヘッドの向きです。


図を見てほしいのですが、メシールのテニスでは、フォアハンドのテイクバックで、ラケットヘッドは下を向きます。(真下というほどではないですが、水平よりははるかに下向きです。)それと比べて、現在の、ほとんどのプレーヤのテイクバックでは、ラケットヘッドは上を向いています。

例えば、フェデラーのフォームを見てみてください。静止画なので分かりにくいですが、これは、フェデラーの練習時のフォアハンドのテイクバックです。上の図のラケットヘッドが上を向いているのと同じであることが分かります。
メシールのフォアハンドでは、同じテイクバックで、ラケットヘッドが下を向きます。その後、(特に、腰よりも高い位置のボールでは)体の後ろでヘッドが立ってループスイングになります。(ボールが腰よりも低い場合には、ループではなく直線状で打つこともあります。これは、スピンよりもフラット系の場合です。)

私が、メシールのフォアハンドが「美しい」と感じるのは、どうやら、この点にあるようです。とはいえ、なぜ、テイクバックでラケットヘッドが下を向くと「美しい」と感じるのかは、まだ、自分でもよく分からないのですが…(笑)。ただ、(当時)メシールのストロークは、「懐が深い」と言われていた理由が、これであることは間違いありません。

いずれにしても、こんなテイクバックをするプレーヤーは現代テニスでは、ほとんどいないのですから、言い換えると、私のブログは、ほとんどのテニスプレーヤーには役に立たないということになるかもしれません(笑)。でも、不思議です。このフォアハンドは、それほど理にかなっていないとも思えないのですが、なぜ、今、こういうテイクバックをする選手がいなくなってしまったのでしょうか。懐の深いストロークが打てるはずなのですが…。

かつては、レンドルも、コナーズも、程度は違えど、同じようなテイクバックだったのです。また、今のプレーヤーでも、バックハンドはヘッドを落として引く選手はたくさんいるのです。