2021年11月30日火曜日

Mecir's Tennis (290) フォアハンド・ぶれない軸のために

フォアハンドで大切なこと。

  • 軸がぶれないこと
  • スイングの際に体重が前(ネット方向)にかかってしまわないこと。
  • 両腕に力が(いっさい)入らないこと。スイングに力を入れないこと(速いラケットの動きはNG)

では、なぜ軸がぶれるのか?なぜスイングの際に力が入って前に体重が流れるのか?なぜ腕に力が入るのか(なぜラケットスイングスピードが速すぎるのか)?

答えは「正しいフォームのフォアハンドでないから」。正しいフォームで打っていない場合、体の力が正しく(効率的に)ボールに伝わならない。しかし、プレーヤーは相手コートにボールを打ち返さなくてはならないために、補おうとする。その結果、上のような問題が起きる。スイング(フォーム)の力が正しく(効率的に)ボールに伝わっていない。

ボールがネットする、またはすれすれでネットを越える場合は、これらの問題が起きていると言える。

正しいフォームとは何か。フォアハンドスイングで体の力がボールに伝わるためには、次を(少なくとも)みたす必要がある。

  • テイクバックでは右腰と右腕を一体では引かない。まず、右腰を回す。それに右腕が(腰から離れずに)ついていく。右腰が回りきるまでは右腕は動かさない(右腕に力を入れない)。右腰が回りきってから、初めて、右腕のテイクバックを開始する。(右腰のテイクバックと右腕のテイクバックの2度のテイクバックがあるイメージ。)なお、右腰のテイクバックの間、腕は(できるだけ)腰に近いところにある。(離れていると腰のテイクバックで腕を使ってしまったり、右腰と右腕を同時に(独立に)回してしまいがちなので。)右腰のテイクバックでは右腕に一切力を入れないイメージが大切(腕に力が入ると、腰のテイクバック中に腕が動いてしまう。)
  • スイング中を通じて、右腕には一切力を入れない。ボールへのパワーは、足が担う。膝をしっかり曲げて、足をしっかり踏み出す、または足をしっかり運ぶことでボールに力を与える。
  • テイクバックでは右手は右肘から引く。つまり右肘を折って、右肘から引いていく。(レンドルのテイクバックのイメージ)。右腕を折りたたみながらテイクバックするという表現でも良い。
  • フォーワードスイングを開始するのは、オープンスタンス、クローズドスタンスに関係なく、右足である。フォワードスイングは、右足が起点となる。腰や肩、腕でフォワードスイングを開始してはいけない。
  • もう一つ、フォワードスイングを開始するのは左肩である。または左腕である。右足と左肩でスイングを開始することで、体の左右のタイミングは一致する。また、左肩手動でフォワードスイングを開始するすることが、左手の壁を作ることにもつながってくる。
  • ボールをよく見て、正しいタイミングでボールをラケットでヒットする。ボールをよく見るためには、ボールがバウントするところを見る。そのためには、顎(あご)を引おて左肩越しにボールを見る。正しいタイミングでヒットするためには、ボールがバウンドするタイミングでテイクバックは完了していなくてはならない。ボールが地面にバウンドするタイミングでフォワードスイングを開始する。
  • ボールをよく見て、正しいタイミングでボールをヒットするためには、ボールがバウンドするまでにボールが打ちやすい位置に足を運ぶことが必須。ずぼらをして足を止めてはいけない。例えば高く上がったボールに対しては、必ず打ちやすい高さの場所まで移動してボールを打つこと。ボールが遅いからと言って、足を止めて、高い打点でボールを打ってはいけない。
  • ボールがバウンドするまでに右腰のテイクバックは終わっていなくてはならない。なぜならそのあとに右腕のテイクバックがあり、そのあとでフォワードスイングが始まるから。つまり、右腰のテイクバックはボールがバウンドするまでに右腕のテイクバックを行う時間だけ早く完了していなくてはならない。右腰のテイクバック完了とボールのバウンドが一致している場合、右腕のテイクバックの時間が無くなってしまう。
  • ボールが飛んでくる間(=テイクバックの間)、左肩を入れて、左手でボールを指す。ボールを指すのは左手の人差し指とは限らない。左ひじや前腕(肘から手まで)で刺してもよい。大切なのは、ボールが近づいてくるのに合わせてボールを指す左手も動かすこと。つまり、テイクバック方向に指す腕も動く。言い換えると、ボールが近づいてくるのに合わせて、だんだんと左肩が入ってくる。
  • フォワードスイングで大切なのは、テイクバックと同様、右腰が先に回転して、右腕はそれについていくだけ(力を入れていないので)だということ。つまり、テイクバックでもフォワードスイングでも右腰が動き、力を入れていない右腕は遅れてその動きについてくる。これがボールにインパクトを与える。右腕のスイングの速さではなく、この微妙な時間差こそがボールを強くたたくエネルギー源になる。
  • フォロースルーにおいて、左手による壁ができる。この壁を作るためには、フォワードスイングにおいて左手が「使われている」必要がある。正確には、肩を回す大きなスイングの中で肩を介して左肩、左腕も動いている。この動きがないと左手の壁を作るのは難しい。言い換えると、テイクバック時の左肩と左手によるボール指し、早いテイクバックと右足によるフォワードスイングのキックオフ、体全体によるスイング(フォワードスイング)、速すぎない(ゆっくりとした)フォワードスイングなどの結果として、左手による壁ができる。壁を作るのは目的ではなく、結果である。言い換えると、左手による壁ができるのは必要条件であって、決して十分条件ではない。
上記を実現するために大切な脳内イメージは次のとおり。
  • 大きなフォーム。大きな動き。「テレビで見るようなメシールのおおげさな動きをマネする」と言ってもよい。ボールをヒットする際には、必ず「微調整」が必要となる。フォームが大きい方が微調整はしやすい(大きな流れの中でその動きを調整できるため)。また、テイクバックが遅れると微調整はその分だけしづらい。微調整をフォームではなく「力」で行おうとして、余分な力が体のどこか(特に腕)に入りやすくなり、その結果、力が効果的にボールに伝わらなくなる。また、テイクバックが遅れるのは致命傷である。ボールのバウンドに合わせてフォワードスイングが開始できないと、その分を「力」や「スイングの速さ」で取り戻そうとしてしまう。したがって、早いテイクバック(と、それに伴う右足によるスムーズなフォワードスイングの開始は、余計な力を入れないためには重要(必須)である。
  • 大きなスイングでは、「野球のピッチャーの動き」をイメージするとよい。体全体を使てピッチングをするフォームと、体全体を使う大きなスイングのイメージは似ている。体のどこかだけを動かす(意識する)のではなく、まずは体全体でスイングする。すべてはそこから始まる。
  • 大きなスイングでは、右サイド(右腰・右手)と左サイド(左肩・左手)が同期すること。そのためには、両方の腰(つまり骨盤)と両肩の線を同時に回転させるイメージが良い。特に両方の肩が独立に動くと、バランスが取れなくなり、どこかに余分な力が入る。逆に、体の左右を同期させるために良いのは、大きなスイングを心掛けること。体の部分(例えば右腰)に気持ちが集中すると、大きなスイングができない。そのために、右腰と左肩の同期が難しくなる。まずは体全体を同期させる大きなスイングを行い、その中で体の各部のチェックポイントを確認する。
  • 左右が同期する大きなスイングでは、上体が立っていることが望ましい。体が傾いていると左右の動きがバラバラになりやすい。状態が地面に垂直の場合、体の回転が明確になる。体を垂直に保つことでボールからの距離が離れるように感じるが、実際には問題はない。当然、垂直になった体の上に頭が位置しており、その頭は(体の垂直が保たれているのだから)ぶれることはない。
  • ラケットをゆっくりと振ること。ゆっくりとしたスイングを心掛ける。スイングがゆっくりだと飛び出すボールのスピードが遅くなるように感じるが、それは間違い。ゆっくりしたスイングの方がボールに力が伝わりやすく、またボールの軌道は安定する。早いテイクバックにより、ゆっくりとしたスイングが可能となる。(テイクバックが遅れると、それを補うためにスイングが速くなる。)速いスイングのボールはネットすれすれとなりやすく、ネットする危険も大きい。