2016年2月8日月曜日

Mecir’s Tennis (288) レディーポジションでラケットが水平よりも上を向くこと

「フォアハンドのテイクバックではラケット、前腕、上腕、体幹で台形を作る」は、実はレディーポジションでも重要です。特に、ラケットと前腕で台形の一部を作ると、どうなるか。

メシールのレディーポジションで見ると、ラケットヘッドはまっすぐ横から少し上に向いています。下は向きません。これは、ラケットと前腕で台形の一部を作っている効果です。

同時に、この形でレディーポジションを作ると、ラケットヘッドはネット方向を向きやすくなります。レディーポジションでラケットがネット方向を向くことは重要です。試してみればわかりますがラケットヘッドが水平よりも上に向けた状態では、ラケットヘッドは11時や10時方向を向きにくいのです。

また、テイクバックで軽く右ひじを締めるというのもレディーポジションでラケットヘッドがネット方向を向くにはよい方法です。

Mecir’s Tennis (287) 左腕主導のフォアハンド

フォアハンドのパワーは左肩または左上からもらうことを書きました。そのためにいくつか、注意するポイントがあります。

  • スイング中に、左手のひらが上を向かないこと。(できれば、地面方向を向いていること。)
  • スイング中に、左脇が(やわらかく)閉まっていること。左脇が開かないこと。
これらを注意することで、体の左側から力が逃げてしまわないようになります。

2016年2月7日日曜日

Mecir’s Tennis (286) フォアハンドとバックハンドの違い(3) レディーポジションでラケットヘッドをネット方向に向けること


フォアハンドとバックハンドの違い(1)で、テイクバックの始動ではラケット(つまり腕)ではなくまず体を回転することを書きました。この際、ラケットヘッドがレディーポジションで横を向いていたらどうなるでしょうか。

テイクバックで体が横を向く(肩がネット方向を向く)ためには、ラケットは大きく回転することになります。しかも、これはまだテイクバックの完了ではありません。ここから腕でラケットを引くわけです。

一方で、適切なラケットの回転で体の線とラケットの線を平行にするとどうなるでしょうか。この場合は、中図の通り、肩がネット方向を向きません。

したがって、小さなラケットの回転で肩がネット方向を向くためには、右図で示すようにレディーポジションでラケットはネット方向を向かねばならないのです。右図で体の回転量とラケットの回転量を比較してみてください。体はほぼ90度回転しますが、ラケットの回転はわずかです。この差が「ラケットを残して体だけを回転する」ことを意味しているわけです。テイクバックの最初にラケットと体を一体で回転すると、ラケットは横方向(2時から3時方向)を向いてしまいます。これではいけないのです。

あらかじめラケットをネット方向に向けておき、テイクバックのはじめにラケットと体の角度に差が生じることが、そのあとのテイクバックをスムーズにしてくれます。

Mecir’s Tennis (285) フォアハンドとバックハンドの違い(2) ボールが飛んできたらすぐに横を向く(初心者?)

テニスを習い始めた時に、多くの人が「ボールが飛んできたらすぐに横を向くように」と言われました。その理由を、「テイクバックを早くするために」と教わったはずです。

しかし、それは一方で、どんなボールに対しても横を向いて、まるでカニのように(?)ボールを追いかける「典型的な初心者スタイル」のような気がする人もいるでしょう。

フォアハンドとバックハンドの違い(1)で、テイクバックの始動ではラケット(つまり腕)ではなくまず体を回転することを書きました。

したがって、「ボールが飛んできたらすぐに横を向くように」という初心者指導は、実はこういうことだったのです。ボールが飛んで来たら、腕を動かさずにまず体を横に向けること。腕と体をすぐに横に向けるということではないのです。



Mecir’s Tennis (284) フォアハンドとバックハンドの違い(1) フォアハンドテイクバックのはじめでは腕を残す

フォアハンドとバックハンドのテイクバックには、決定的な違いがあります。それは、腕の使い方です。図で説明します。

レディーポジションからそのまま体をフォアハンド側またはバックハンド側に回転することを考えます。この場合、もし、腕を全く動かさないと、体の線(図の青い点線)とラケットの角度は同じ状態になります。

一方、これに腕の動きを入れるとどうなるでしょうか。図を見ればわかるように、フォアハンドとバックハンドでは、腕の動きはこの角度に対して反対の効果になります。

フォアハンドでは、腕を回転方向にひくことで、角度はより広がります。一方、バックハンドでは、腕を回転方向にひくことで、角度はより狭くなります。

これはどちらが良いことでしょうか。正解は、バックハンド側でです。ラケットと体の線に角度がつくと、フォワードスイングでそれだけラケットが遠回りします。言い換えると、ドアスイングになります。したがって、テイクバックではフォアハンドもバックハンドも、ラケットの線と体の線は、できるだけ平行になることが望ましいのです。
そのためにはどうすればよいでしょうか。それはフォアハンドのテイクバックの開始では腕を残して先に体を回転させることです。腕を残して体を先に回転を始めるイメージはこちらです。動画像の最初のコマと二コマ目を見ると、腕が残って先に体が開店をはいじめていることがわかります。その結果、テイクバックの途中で、ラケットと体が平行になっています。つまりラケットヘッドがネット方向(正確には1時方向)を向いています。

フォアハンドではこのような複雑な動きが求められますが、バックハンドはそれよりもはるかに簡単です。体と腕を一体に回転させてもよいが、腕を使えばそれだけ体とラケットが平行になります。本来の腕の回転方向に自由に腕を使えるのですから、それだけ腕はシンプルになります。(フォアハンドのようにバックハンドで腕を残して体を回転させると体とラケットに角度がついてしまいますが、そのような複雑なテイクバックをする人はいないでしょう。)

私は、フォアハンドがバックハンドよりも難しい理由は、ここにあるのではないかと思っています。

2016年2月2日火曜日

Mecir’s Tennis (283) テニスはボールをネットを越えて相手のコートに打つ競技

気を付けの姿勢でまっすぐ立ってみてください。そのまま、背筋を伸ばしたまま、しかも体を前傾にせずに、上体をまっすぐ立てたまま膝を屈伸していってみてください。

膝を曲げていくと、どうしても上体を前に倒したくなります。そのほうが楽だからです。この場合、足の裏の体重は、当然ですが指先側にかかります。

上体を直立したまま膝を曲げようとすると、足の裏の体重を指先側ではなく足の裏全体にかけることになります。どちらかというとお尻を突き出した形で、やや後ろ体重になっているのではと思うような形での沈み込みとなります。(しかし、実際にはのけぞるようにはなっていないものです。)

これが、メシールのスタイルです。見ようによってはやや不格好に見えるかもしれませんが、一方で、メシールのフォームを美しいと思う(上体がまっすに伸びた)フォームの基本形です。

これは、テニスはボールをネットを越えて相手のコートに打つ競技出会えることを考えると、理にかなったフォームです。なぜでしょうか。

もし、あなたが下から上にボールをこすりあげて回転をかけ、ネットを越えたボールが相手コート側でドロップするように打つなら、このような直立の上体にこだわる必要はありません。むしろ、それは、打ちづらくなるでしょう。

しかしもしあなたがラケットでボールを運ぶように打つメシールのようなテニスをするならば、このフォームは有効です。理にかなっています。なぜでしょうか。

このフォームでは、なんとなく体がのけぞってしまい、ふんぞり返ったような印象を受けるかもしれません。もし、ふんぞり返ってボールを打つと、打ったボールはどちらに飛んでいくでしょうか。まっすぐ横(地面に平行)でしょうか、地面と平行よりも下を向くでしょうか、逆に平行よりも上を向くでしょうか。

答えは、上を向くです。ふんぞり返っているのですから。そして、それでよいのです。

フラットドライブ系のストロークで悩ましいのは、意識がつい、ボールを地面と平行に打つイメージを持ちやすいことです。当然それではボールはネットを越えにくくなります。フラットドライブでは、どうしてもネットすれすれのボールになりやすく、その点がリスキーになってしまいます。

お尻を突き出し、上体を立てることで、ボールを打つ方向のイメージが自然にネットより高いところになります。言い換えると、上り坂に対してボールを地面(上り坂の斜面)に平行に打つようなイメージになります。

あくまで上り坂に平行なのであって、平坦な地面に対して上向きに打っているわけではありません。平坦な地面に対してえ上向きに打つのは、スピンボールのイメージです。

フラットドライブ系は、フォームを少し間違えると常にネットを意識させられます。スピンボールでネットすれすれを打つのは難しいのですが(回転量と方向を少しでも間違えるとネットしてしまうため)、フラットドライブ系はまっすぐ横に打つのはそれほど難しくありません。だからこそ、逆に、常にネットの上(たとえば1mぐらい)を狙って打つことが大切なのです。それにより、脳内イメージで随分と暗転したストロークを打つことができるようになるのです。


2016年1月17日日曜日

Mecir’s Tennis (282) フォアハンドのテイクバックではラケット、前腕、上腕、体幹で台形を作る


メシールのフォアハンドのテイクバックで、ラケットヘッドが0時から1時ぐらいの方向を向いています。つまり、ラケットヘッドはネット方向を示しています。

これが何を意味しているのでしょうか。「フォアハンドのテイクバックではラケット、前腕、上腕、体幹で台形を作る」ということです。テイクバックでは、この台形が維持されます。

イメージとしては、ラケット、前腕、上腕、体幹が作る台形(を含む平面)でテイクバックするイメージです。そのために、ラケットは写真のタイミングではまだネット方向を向くわけです。

ここで大切なことが数点あります。

まず大切なのは、肘の角度を変えないということです。この写真でも、上腕と前腕の角度は120度ぐらいですが、この角度を維持します。決して90度またはそれよりも小さい角度に腕をたたんではいけません。テイクバックが完了したら、つまりフォワードスイングに入ったらその限りではありません。

もう一つ重要なのは、ラケット面がこの台形の面内にあるということです。つまり、手首の角度は、内側に曲がりすぎても、外側に曲がりすぎてもいけません。ラケット面が台形内になるようにまっすぐにします。これは、言い換えると、レディーポジションでラケット面が10時から11時ごろの方向を向くことになります。上腕と前腕を含む面内にラケット面を置くと、その方向になるはずです。

フォワードスイングでは腕の角度は変わります(角度が大きくなります)。また、ラケット面はこの台形面から後ろ側にずれます。(ラケット面が台形面に対して遅れます。)しかし、この台形面のイメージはフォワードスイングでも維持します。それによって、スイングが安定します。

繰り返しになりますが、大切なのはテイクバックにおいては腕を線(または折れ線)で意識するのではなく、面で意識することです。腕を面で意識することでテイクバックでのラケット面が安定します。また、フォワードスイングでも腕のぶれが小さくなります。

このイメージの時に、右わきは開くでしょうか、閉まるでしょうか。答えは、「ケースバイケース」だということです。ボールが低い場合は脇は閉まりますし、高いときはやや開くでしょう。ことさら脇の開きを気にする必要はありません。打ちやすいように脇を開ければ(または閉じれば)よいのです。



2016年1月9日土曜日

Mecir’s Tennis (281) 疲れてきたときに注意すべきこと

長い時間練習していると、体力がなくなってきてだんだんとスイングがおかしくなる(ブレてします)ことがあります。自覚できるぐらいフォームが崩れ、スイングの力がどんどんボールに伝わらなくなるのがわかります。スイングの力がボールに伝わらないため、その分無理にスイングします。スイングに無理が生じると、正しいスイングからずれてきます。ずれてくると、インパクトでボールに力が伝わりません。

悪循環です。どうしてそうなってしまうのでしょうか。

理由の一つとして、「テイクバックでラケットヘッドが上がってしまう」ということがあります。言い換えると、テイクバックで腕を使ってしまうのです。

本来は、テイクバックでは腕を使いません。体の回転に引っ張られてそのまま腕も後ろに回転します。しかし、疲れてくると、この原則がぶれてきてしまうのです。

しかし、疲れてきてインパクトが弱くなったりぶれたりすると、それを補って強い球を打とうして、無意識にだんだんとテイクバックで腕を使ってしまうようです。

もう一つの理由として、フォワードスイングで腰の回転と腕の回転が一致してしまうということがあります。腰の回転に対してわずかに腕が遅れることで、ボールにパワーを伝えることができることを以前書きました。(同時に、腕が遅れることで腕でスイングをコントロールできます。)これをつい忘れてしまい、腰と腕が同時に動くため、パワーが伝わらなくなるのです。
  • 腕を使わず腰の回転でテイクバックをしているか
  • テイクバックでラケットヘッドが下がっているか(上がっていないか)
  • 腰の回転にわずかに腕が遅れて出ているか(腕が腰の回転に同期していないか)
をチェックするのがよいと思います。