2014年8月26日火曜日

Mecir’s Tennis (246) My edition of Mecir Warm-up Video

I have uploaded a video onto Youtube concerning with Mecir's warm-up, espacially forehand strokes.

メシール練習風景の動画像をYoutubeにアップロードしました。ご覧ください。

2014年8月19日火曜日

Mecir's Tennis (245) なぜフォアハンドテイクバックでは左肩を入れるのか?

ほとんどのテニスの教科書には、「フォアハンドのテイクバックでは左肩を開かないようにします」「左肩を入れます」と書かれています。


それは正しいのですが、どこにも、なぜ左肩を入れなくてはならないのかが書いてありません。多くのプレーヤーは、ただ経験的にそれがうまくいくからという理由で左肩を入れています。

そして、私のような未熟(で頭でっかちの)プレーヤーは、その理解ができないためにいつまでもテイクバックで左肩を入れることが出来ていません。

では、なぜ、左肩を入れるのでしょうか。答えは、実は「左肩を入れるというのは正しくない」です。「フォアハンドのテイクバックでは左肩を開かないようにします」というのは正しい。ただし、「フォアハンドのテイクバックでは左肩を入れます」というのは正しくないのです。

試しに、フォアハンドテイクバックで左肩を入れて、左手をそのまま胸につけてください。(左手は、ちょうど右の胸の前辺りに来るはずです。)そのスタイルでフォアハンドストロークでボールをヒットしてみてください。ボールを打つことは出来ますが、スイングは不安定になり、また力強く安定したボールを打つことは出来ません。

つまり、「左肩を入れる」だけではだめなのです。「左肩を入れて、さらに左手を前に出す」のです。これが正しいテイクバックです。

では、「左肩を入れて左手を前に出していればよい」のでしょうか。それでもだめです。その理由は、なぜ左手を前に出すかを考えれば分かります。

Mecir's Tennis (198) フォアハンドは阿波踊りで、右腕と左腕が同期するフォアハンドの打ち方を説明しました。また、メシールのテニス(80) えもんかけとフォアハンドでは、両肩をえもんかけ(ハンガー)のように使って肩の回転でフォワードスイングをする(腕の力ではない!)ことを説明しました。下の写真をよく見てください。確かに、両腕がきれいに並行になった状態で(腰と)肩を回転しています。


この二つを考えると、テイクバックでするべきスタイルは明らかです。両肩から「前に習え」の形で両腕を伸ばして、そのまま肩の回転(そのまえに腰が回転しますが)で体を回転させるのです。ラジオ体操第1にそういう体操があります。イメージをつかむために、見てみてください。

こんな変なポーズでボールが打てるのかと思うかもしれません。もちろん、実際には、まったくラジオ体操のままではないですが、テニスのフォアハンドの基本はこのスタイルです。


両腕を肩の前にまっすぐ出してそのまま肩を回転させるのは、両手がばらばらに動いて方を回転させるよりもスムーズで安定します。メシールのフォアハンドやフェデラーのフォアハンドが無駄なくきれいに見えるのは、それが理由です。ジョコビッチは厚いグリップですが、それでも理にかなったフォアハンドのスイングになっています。たとえば、このジョコビッチのグランドストロークの練習を見てください。よく見ると、確かにラジオ体操と同じフォームです。



それは当然です。これが、一番安定してボールを打つことが出来るフォームだからです。

両手打ちのバックハンドがフォアハンドよりも安定しやすい理由のひとつもこれです。両手打ちバックハンドでは自然に(勝手に)両肩に対して両腕が前に出て、そのまま肩が回転するからです。

2014年8月18日月曜日

Mecir's Tennis (244) フォアハンドテイクバックで作るループ(4)

メシールのフォアハンドは、かつてレンドルのフォアハンドと比較されることがありました。ともに、チェコスロバキアのプレーヤーだったことも理由かもしれません。

もう一つの理由は、(プロセスは違うものの)テイクバックで右肘が後ろに突き出ているため、テイクバックの写真では似ているたことがあるかもしれません。

しかし、レンドルとメシールのフォアハンドは、実はかなり違います。レンドルのフォアハンドを見てください。実は、レンドルはテイクバックであまりループをしていません。レンドルはメシールのようにテイクバックからのラケット軌道によりスピンをかけません。ラケット軌道を一定にして、手首でボールを擦りあげることでボールに強い順回転をかけています。これは、レンドルが厚めのグリップであることが理由です。

メシールは、むしろスイングの中でスピンをかけるので、スイングそのものが重要です。言い換えると、ラケットの軌道が重要です。そのため、スピン系のボールを打つためにはテイクバックでのループが必須となるわけです。

Mecir's Tennis (243) フォアハンドテイクバックで作るループ(3)

テニスをする者であれば、誰もが必ず一度は言われたことがあるはずです。「テイクバックが遅い、もっと早くラケットを引きなさい。」

そのこと自身はもちろん間違いではありません。というか、大切なことです。メシールは、特にテイクバックの早いプレーヤーでした。

テイクバックを早くせねばならないと思いつつそれが難しい理由の一つは、タイミングの問題だと思います。例えば、相手のボールが極めて遅い場合に、極めて早くテイクバックするとどうなるでしょうか。当然ながら、テイクバックが完了した状態を維持することになります。フォワードスイングとテイクバックは完全に分断され、フォワードスイングは0から力を入れることになります。

相手の急速が一定ではない場合(そして、上級者の多くは、様々なボールを打ち分けてきます)には、ボールごとに固定したテイクバック完了の長さが異なってきます。これでは、安定したタイミングでのボールヒットは容易ではありません。

そこで、テイクバックのループスイングです。テイクバック完了の「待ち」が入る場合には、テイクバックルにループを入れます。相手のボールが速くて「待ち」が入らない場合には、ループなしで引いたタイミングで今度はフォワードスイングに切り替えます。

つまり、テイクバックにループスイングを入れることで、相手のボールに合わせてスイングの「タメ」を作ることができるわけです。スピンボールを打ちやすいだけではなく、タメを作ることができるのがテイクバックでのループスイングのメリットです。

Mecir's Tennis (242) フォアハンドテイクバックで作るループ(2)

フォアハンドテイクバックで作るループ(1)で、メシールのような薄いグリップでもテイクバックでループを作ることがあることを書きました。ただし、いつもループを作るわけではなく、使い分けるということです。

また、腰より高いボールの打ち方(テイクバックでの上腕の使い方)では、腰よりも低いボールではもちろん、高いボールでもラケットは下から上に振り上げる(そのためにはどんな場合でも上腕が下を向くイメージ)ことを書きました。

では、ループの場所(高さ)は、腰よりも低いボールや腰よりも高いボールで、どのように変わるでしょうか。答えは、ループの高さはいつも同じ、です。そして、ループの高さはいつも腰の高さ、です。

なぜでしょうか。なぜ、ループの高さはいつも同じでしょうか。

まず、腰よりも高いボールです。腰よりも高いボールの場合、腰より高いボールの打ち方(テイクバックでの上腕の使い方)で書いた通り、スイングは下から上です。つまり、腰の高さでループを作ればそのまま下から上のスイングになるわけです。

腰から下の場合には、そのままラケットは下に降りていきます。つまり、上腕が下を向いていきます。上腕を下げる+三角巾=インサイドアウトで述べたとおり、腰よりも低いボールでは(も)上腕は下を向きます。上腕が下を向いた状態でフォワードスイングします。そのためには、腰の位置でループするのが都合がよいのです。

右肘の位置を固定してテイクバックでループするには、安定した右ひじの位置が望ましいのですが、最も安定するのは右腰の前です。スイングで一番力が入る場所でもあります。

気を付けることは、メシールのテニス(87)Mecir's Tennis (145)で書いた通り、テイクバックの過程ではラケットヘッドは下を向いていることです。ループするのはその後です。ループ中には上腕が上を向くことは許されます。(というよりも、そうしないとループできません。)

最後に気を付ける点は、テイクバックのループと上腕を下げることは連動するということです。試してみればわかりますが、ループ開始時に上腕が上を向いているとテイクバックで右ひじを固定してループを作ることはできません。

Mecir's Tennis (241) フォアハンドテイクバックで作るループ(1)

フラット系のグランドストロークでは、ラケットをまっすぐ引いてまっすぐ振り出すイメージがあります。実際、コナーズの厚いグリップでのフラットフォアハンドはこのタイプです。このタイプのスイングは、単調な(しかもスピードが速い)ボールには有効ですが、緩急を混ぜられた時に不利です。また、スピンポールに弱い(自分もスピンボールが打ちづらい)という弱点があります。

もちろん、厚い当たりが打ちやすい、コースが狙いやすいなどの利点もありますが、マイナスの方が多い打ち方でしょう。

薄いフォアハンドグリップでも、ループスイングは可能です。というよりも、ループスイングをするべきです。それによって、スピン系のボールを打つことができ、また相手の緩急をつけたスピン系のボールに対応することも可能です。

相手のボールが速い時にはテイクバックでループを作る必要はありません。まっすぐに引いて、まっすぐに振りだします。(動画像はこちら。)
逆に、相手のボールが速くない場合や、時間的余裕があってスピンボールを打ちたい場合には、テイクバックでループを作ります。(動画像はこちら。)

テイクバックループでは、右肘の位置は固定されています。ラケットだけがループします。


2014年8月17日日曜日

Mecir's Tennis (240) 腰より高いボールの打ち方(テイクバックでの上腕の使い方)

メシールのフォアハンドではフォワードスイングにおいて上腕は必ず水平よりも下に向けるということを書きました。これは、腰より低い場合には簡単ですが、では腰より高いボールではどうでしょうか。腰よりも高いボールのテイクバックで、どのように上腕を下げればよいでしょうか。

ここで大切なことは、腰より上のボールであっても、(腰より低いボールと同様に)下から上に振り上げるということです。「ラケットスイングは下から上」のイメージは、ボールの高さに関係なく同じです。

腕の構造上、腰より高い球で上腕を下に向けることはできません。ただし、この、「スイングは下から上に」を意識することで、脳内イメージにおいて(構造的にはあり得ないのですが)上腕を下に向けることはできます。つまり、脳内イメージでは上腕を下に向けることで、ラケットスイングは下から上に振り上げやすくなるのです。

実際には、上腕はほぼ水平になるはずです。つまり、この場合でも、フォワードスイングにおいて上腕を上に向けてはなりません。

メシールのフォアハンド(スローモーション)を見てください。バックハンド側からの撮影であるので見づらいですが、ラケットを下から上に振り上げることで上腕が(脳内イメージでは)下向きになっている様子がよくわかるはずです。


Mecir's Tennis (239) 体とグリップの距離は遠すぎても近すぎてもいけない

メシールのフォアハンド、というよりも現在のほとんどのプロテニス選手のフォアハンドは、腕と体が一体になって回転します。これにより、体(体幹)の回転が腕を通じてラケットに伝わります。

特に、グリップの薄いフォアハンドでは、ラケット面の微妙なずれがヒットするボールの大きなずれに直結します。したがって、スイングにおいてラケット(面)を高い精度でぶれないようにコントロールせねばなりません。

その際、体から腕(ラケット)が離れていると、言い換えると右脇が空いていると、それだけラケット面はブレやすくなります。したがって、ラケットを握る腕は、一定以上体から離れてはなりません。

では、逆に腕が体に近い場合はどうでしょうか。言い換えると、右脇が締まったスイングです。このスイングも、次の理由により望ましくありません。

一つは、ラケットの遠心力が使えないということです。これまでに何度も書いている通り、メシールのフォアハンドでは、肩が「えもんかけ」(ハンガー)の様に回転し、そこからぶら下がった腕がしなるように肩の回転に引っ張られてスイングします。したがって、腕の力はできるだけ抜かなくてはなりません。相手の強いボールに対して打ち返すだけのラケットのパワーが必要となりますが、そのパワーは腕力ではありません。(腕の力を使うのはインパクト直前になってから。)

では、ラケットのパワーはどこからもらえばよいでしょうか。それは遠心力です。腕の力を抜いて肩の回転でスイングするときには、ラケットの力は肩の回転からくる遠心力により得ることになります。

もし、脇が締まり、回転半径が小さくなると、その分だけ遠心力はなくなります。(遠心力は回転半球が大きくなるほど大きい。)遠心力が使えなくなると、腕の力を頼らざるを得ません。腕でラケットを振ると、腕には力が入り、肩の回転主導のスイングができなくなります。

回転半径を小さくするだけで、スイングが根本から破たんしてしまうのです。

つまり、フォアハンドのスイングでは、「遠心力が使える程度は右脇を空ける」ことになります。ラケットと体の一定の距離が必要です。



2014年8月14日木曜日

Mecir's Tennis (238) 上腕を下げる+三角巾=インサイドアウト

最近の(厚いフォアハンドグリップの)テニスでは、テイクバックでラケットヘッドが上を向く傾向にあります。これは、言い換えると、最近のテニスでは上腕が水平よりも上を向くということです。

右ひじを支点としてその水平面で見ると、手や手首は水平面よりも上にあるわけです。錦織、フェデラー、ナダル(右利き)のテイクバックを見てください。すべて右手首は右ひじよりも高いところにあります。またラケットヘッドは上を向いています。




実は、メシールのテニスでは、上腕は必ず下を向きます。打点が高い場合でも、上腕は地面に水平までです。したがって、テイクバックでラケットヘッドが上を向くことはありません。

これは、メシールのスイングがインサイドアウトであることと無関係ではありません。薄いグリップで、テイクバックでラケットを立てると、スイングをインサイドアウトに振ることができないのです。上腕が下がっているからこそ、そこからインサイドアウト(かつ下から上に)スイングできます。


テイクバクで上腕を下に向けることで、いかにインサイドアウトにスイングするかが、メシールのフォアハンドの大きなポイントです。このような打ち方の場合、腕に力がいれにくいというのがポイントです。右ひじを曲げてラケットを立てると、体の回転と腕の回転が同期するため、フォワードスイングの最初から腕の力を使うことができます。メシールのような打法では、腕に力が入るのはボールインパクト直前からです。

そのためには、Mecir's Tennis (157) 3対7と言うよりも0対10のテイクバックとフォロースルー(その2)に書いた通り、肩の回転を使うことです。腕を三角巾のように肩からつるし、肩の回転でフォワードスイングを行います。そして、インパクトから初めて腕を使うのです。したがって、腕は肩の回転から遅れて出てくることになります。

上のメシールの写真をもう一度見てください。右側では腕は肩よりも遅れています。左側の写真では腕が肩よりも前に出ています。そして、上腕は下を向いています。スイングがインサイドアウトであるのは、インパクト(左)の写真でラケット面が外(2時方向)を向いていることからわかります。