2014年8月17日日曜日

Mecir's Tennis (239) 体とグリップの距離は遠すぎても近すぎてもいけない

メシールのフォアハンド、というよりも現在のほとんどのプロテニス選手のフォアハンドは、腕と体が一体になって回転します。これにより、体(体幹)の回転が腕を通じてラケットに伝わります。

特に、グリップの薄いフォアハンドでは、ラケット面の微妙なずれがヒットするボールの大きなずれに直結します。したがって、スイングにおいてラケット(面)を高い精度でぶれないようにコントロールせねばなりません。

その際、体から腕(ラケット)が離れていると、言い換えると右脇が空いていると、それだけラケット面はブレやすくなります。したがって、ラケットを握る腕は、一定以上体から離れてはなりません。

では、逆に腕が体に近い場合はどうでしょうか。言い換えると、右脇が締まったスイングです。このスイングも、次の理由により望ましくありません。

一つは、ラケットの遠心力が使えないということです。これまでに何度も書いている通り、メシールのフォアハンドでは、肩が「えもんかけ」(ハンガー)の様に回転し、そこからぶら下がった腕がしなるように肩の回転に引っ張られてスイングします。したがって、腕の力はできるだけ抜かなくてはなりません。相手の強いボールに対して打ち返すだけのラケットのパワーが必要となりますが、そのパワーは腕力ではありません。(腕の力を使うのはインパクト直前になってから。)

では、ラケットのパワーはどこからもらえばよいでしょうか。それは遠心力です。腕の力を抜いて肩の回転でスイングするときには、ラケットの力は肩の回転からくる遠心力により得ることになります。

もし、脇が締まり、回転半径が小さくなると、その分だけ遠心力はなくなります。(遠心力は回転半球が大きくなるほど大きい。)遠心力が使えなくなると、腕の力を頼らざるを得ません。腕でラケットを振ると、腕には力が入り、肩の回転主導のスイングができなくなります。

回転半径を小さくするだけで、スイングが根本から破たんしてしまうのです。

つまり、フォアハンドのスイングでは、「遠心力が使える程度は右脇を空ける」ことになります。ラケットと体の一定の距離が必要です。



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