2014年8月19日火曜日

Mecir's Tennis (245) なぜフォアハンドテイクバックでは左肩を入れるのか?

ほとんどのテニスの教科書には、「フォアハンドのテイクバックでは左肩を開かないようにします」「左肩を入れます」と書かれています。


それは正しいのですが、どこにも、なぜ左肩を入れなくてはならないのかが書いてありません。多くのプレーヤーは、ただ経験的にそれがうまくいくからという理由で左肩を入れています。

そして、私のような未熟(で頭でっかちの)プレーヤーは、その理解ができないためにいつまでもテイクバックで左肩を入れることが出来ていません。

では、なぜ、左肩を入れるのでしょうか。答えは、実は「左肩を入れるというのは正しくない」です。「フォアハンドのテイクバックでは左肩を開かないようにします」というのは正しい。ただし、「フォアハンドのテイクバックでは左肩を入れます」というのは正しくないのです。

試しに、フォアハンドテイクバックで左肩を入れて、左手をそのまま胸につけてください。(左手は、ちょうど右の胸の前辺りに来るはずです。)そのスタイルでフォアハンドストロークでボールをヒットしてみてください。ボールを打つことは出来ますが、スイングは不安定になり、また力強く安定したボールを打つことは出来ません。

つまり、「左肩を入れる」だけではだめなのです。「左肩を入れて、さらに左手を前に出す」のです。これが正しいテイクバックです。

では、「左肩を入れて左手を前に出していればよい」のでしょうか。それでもだめです。その理由は、なぜ左手を前に出すかを考えれば分かります。

Mecir's Tennis (198) フォアハンドは阿波踊りで、右腕と左腕が同期するフォアハンドの打ち方を説明しました。また、メシールのテニス(80) えもんかけとフォアハンドでは、両肩をえもんかけ(ハンガー)のように使って肩の回転でフォワードスイングをする(腕の力ではない!)ことを説明しました。下の写真をよく見てください。確かに、両腕がきれいに並行になった状態で(腰と)肩を回転しています。


この二つを考えると、テイクバックでするべきスタイルは明らかです。両肩から「前に習え」の形で両腕を伸ばして、そのまま肩の回転(そのまえに腰が回転しますが)で体を回転させるのです。ラジオ体操第1にそういう体操があります。イメージをつかむために、見てみてください。

こんな変なポーズでボールが打てるのかと思うかもしれません。もちろん、実際には、まったくラジオ体操のままではないですが、テニスのフォアハンドの基本はこのスタイルです。


両腕を肩の前にまっすぐ出してそのまま肩を回転させるのは、両手がばらばらに動いて方を回転させるよりもスムーズで安定します。メシールのフォアハンドやフェデラーのフォアハンドが無駄なくきれいに見えるのは、それが理由です。ジョコビッチは厚いグリップですが、それでも理にかなったフォアハンドのスイングになっています。たとえば、このジョコビッチのグランドストロークの練習を見てください。よく見ると、確かにラジオ体操と同じフォームです。



それは当然です。これが、一番安定してボールを打つことが出来るフォームだからです。

両手打ちのバックハンドがフォアハンドよりも安定しやすい理由のひとつもこれです。両手打ちバックハンドでは自然に(勝手に)両肩に対して両腕が前に出て、そのまま肩が回転するからです。

0 件のコメント:

コメントを投稿