2014年6月2日月曜日

2014 全仏オープン 男子シングルス 4回戦 来るかモンフィス

以前も書いたが、私が今一番好きな男子テニスプレーヤーはモンフィスだ。ガエル・モンフィスはフランスの黒人選手で、おそらく今のテニスプレーヤーでは最もイマジネーションのあるプレーができる男子選手の一人だろう。

ヤニック・ノアやアンリ・ルコントなど、往年のフランスの男子プレーヤーはユニークなキャラクターが多いが、モンフィスは彼らに負けず劣らずだ。しかも、とても理にかなったフォームでボールを打つところが、前者の二人とは大きく違う。

モンフィスのことを、身体能力が優れているからプレーがユニークだという人がいるが、私はその逆だと思う。よいフォームで打つからこそ、そのたぐいまれな身体能力が活きてくるのだ。

たとえば、以前にも書いたが、生で見たアンディー・マレーの身体能力はすごかった。対戦相手のフェレールがかわいそうに思えるぐらいだった。しかし、マレーはその身体能力を活かしきっていない。むしろ、その身体能力でプレーを100%ではなく80%ぐらいに抑えることでも、まだ勝つことができる。そういうスタイルがマレーだ。それは、マレーのフォームが理想的ではないからに他ならない。マレーが今のフォームで100%でボールをヒットしたら、相手のコートにはボールは入らないだろう。

モンフィスは、100%の力を出し切る理想的なフォームで、だから100%の能力を出し切ることができる。モンフィスがもっとまじめに(?)テニスに取り組めば、おそらく、もっと上位にランクされるプレーヤーになるだろう。そのあたりのこだわりのなさは、ルコントを思い出してしまう。歯がゆいばかりだ。

そのモンフィスが、2014年の全仏オープンでベスト8をかけてガルシア・ロペスと当る。その次がベルダスコとマレーの勝者との対戦だ。今のモンフィスであれば、いやいつのモンフィスだって、この3者に対しては十分な勝機がある。そして、あと2回勝てばナダルとフェレールの勝者と準決勝だ。

モンフィスにはあと2回勝ってもらい、ナダルとの準決勝を見せてほしい。そして、ナダルに対して、100%で戦うモンフィスが見てみたい。今のところ、ローラン・ギャロスの赤土で調子が良いナダルと対等に戦えそうなのは、ジョコビッチとモンフィス(ただし100%の力を出したとき)ぐらいしか見当たらない。

モンフィスは、ほかの選手よりもボールを打つまでの歩数が平均的に少ない。細かく足を動かすモンフィスは想像がつかない。そのあたりは、メシールとよく似ている。理想的な体の使い方でボールを打つから、そういうことができる。というよりも、自然にそういうスタイルになる。

究極的に体を効率的に使うモンフィスと、究極的に強引にボールを打つナダル。レッドクレーの上での芸術と格闘技のせめぎあいだ。同じようなプレースタイルばかりでは面白くない。全く反対のスタイルが戦うことができるのが、テニスの面白いところなのだから。

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