2014年10月3日金曜日

Mecir’s Tennis (249) ツボは一つだがスイングは一つではない

唐突ですが、まずフォロースルーについてです。スイングの中で腕に力が入るのは、フォロースルーです。ボールインパクト後に力を入れるイメージです。インパクト前に腕に力を入れると、スイングがぶれます。薄いグリップの場合はなおさらです。

さて、フォロースルーで力が入るのですが、そのために必要なことは何でしょうか。それは、打点(インパクトポイント)を一つにすることです。いつも同じ打点でボールを打つのです。それにより、インパクト後に腕に力を入れやすくなります。いつも同じ点でボールをヒットするのですから、そこから力を入れるということを体に覚えさせればよいからです。

打点の選択は重要です。力が入る点を、打点として選択せねばなりません。グリップやスイングによって、力が入る場所は違います。つまり、人によって、力が入るインパクトポイントが異なります。この点を見つけることは、自分のテニスを築き上げるためには必要なプロセスです。

ちなみに、メシールのフォアハンドでは力が入る打点は、右足付け根の前です。さらに正確に言うと、右足付け根の内側のあたりです。

この点をベストインパクトポイントと呼ぶことにします。

ベストインパクトポイントはボールに力が伝わりやすいだけではなく、同時にボールを強くヒットできる点だということもあります。これは、逆にベストインパクトポイント以外でボールをヒットすることを考えればわかりやすいと思います。力が入りにくい打点でボールをヒットすると、無理に力を伝えようとするとスイングがぶれてボールの軌道が狂います。逆にベストインパクトポイントでスイングに力を入れないとパワーがあるボールが飛ばないことになります。


さて、インパクトポイントが決まると、次はフォアワードスイングです。フォワードスイングでは、腕に力は入りません。そのことを前提として、フォワードスイングをどう考えればよいかについて説明します。

どんなボールが来ても、同じ打点でボールを打ちます。しかし、同じ打点でも、ボールのスピードや質は異なります。例えば、遅いボールも速いボールもあります。

同じフォワードスイングで異なるスピードのボールに対応することはできません。速いボールには小さなテイクバック、遅いボールには大きなテイクバックが必要です。(ただし、腕に力入れません。)

小さなテイクバックから大きなテイクバックの順序で説明します。

まず、一番小さなテイクバック&フォワードスイングはは手首だけを使います。手首だけでテイクバックし、手首だけでフォワードスイングすることで、ラケットだけが動きます。前腕と上腕は固定されています。(とはいえ、そういうケースはブロックでボールをリターンする場合など、限られた場合だけです。)

次に小さなテイクバックは手首以外に肘を使います。つまり、ラケットと前腕を使います。別の言い方をすると、上腕は固定したままテイクバックし、フォワードスイングしてボールを打ちます。ただし、体は回転しますので、上腕が全く動かないわけではなく、上腕は体の回転と一緒に回るということです。これは、相手のボールの速度が一定以上の場合には有効です。

次は、ラケット、前腕、上腕を使うテイクバック&フォワードスイングです。言い換えると、手首、肘、、肩を使います。これは、相手のボールが遅い場合です。相手のボールにパワーがないので、テイクバックとフォワードスイングでそのパワーを補うわけです。ただし、腕に力を入れるわけではありません。あくまで、手首、肘、肩を腕に力を入れずに使います。腕に力を入れるのは、あくまでフォロースルーの時です。

さて、インパクト点を固定すると書きましたが、実際には打点はバラバラです。いつも、ベストインパクトポイントでボールをヒットできるわけではありません。

では、どうすればよいか。答えは「あきらめる」ということです。つまり、打点がベストインパクトポイントからずれた場合には、その分だけスイングパワーがボールに伝わらないことになります。それは仕方がないのです。ベストインパクトポイントではないのですから。

ベストインパクトポイントでボールをヒットできない場合に、パワーを補うために腕に力を入れてはいけません。スイング軌道が微妙にずれて、ボールが安定しなくなります。あくまで、腕に力を入れるのは、フォロースルーです。

当然ですが、ベストインパクトポイントからの打点のずれが大きければ大きいほど、ボールのパワーがなくなります。実際のゲームでは、相手は、できるだけベストインパクトポイントから離れた打点でボールを打たせようとします。高い球、低い球、スピンの効いた球、スライスの効いた球、大きくバウンドする球…。

その中で、少しでもベストインパクトポイントに近いところでボールを打つことが、技術の高さ、勝負の強さになるわけです。ゲームの醍醐味といってもよいでしょう。

背筋を伸ばし、上体を立てて、肩の回転でボールを打つ。このフォームは、打点を固定させるために必要です。上体を常に一定に保ち、その結果として打点を一定に保ってボールを打つことが基本です。そこから打点がずれる場合でも、上体を倒したり、肩を傾けてはなりません。




0 件のコメント:

コメントを投稿