2011年4月24日日曜日

メシールのテニス(11) テイクバック始動

メシールのテイクバック・フォロースルーが、”横振り”ではなく、下から上に切り上げるような”縦振り”であることは、前に書きました。この”縦振り”を、どうやって実現するのか。「メシールのテニス(4) フォアハンド(球出し)」で、私は、球出しなら打てるけれども、コートではまだ難しいと書きました。これに対する”正解”が今回のテーマです。正解のポイントは、テイクバック始動にあります。今回は、テイクバックの始動に焦点を当てて考えてみます。”すべてはテイクバックの始動で決まってしまう”という話です。

まず、縦振りのスイングで必須な事はなにか。それは、テイクバックで、ラケットヘッドを下に(地面に)向けるということです。これは、必須です。
これをしないと、スイングは、必ず横振りになります。横振りになると、テイクバックでラケット面は開いてしまいます。テイクバックでラケットが開くと、打点が後ろになります。「メシールのテニス(10)」で書いたとおり、薄いグリップのフォアハンドであっても、打点は前でなくてはなりません。逆に、ラケットヘッドを下に向ければ、テイクバックで面は開きません。面が開かないと、打点が前になるのです。

さて、では、どうすればラケットヘッドを下向きにしながらテイクバックできるか。これが、案外難しいのです。

腰の回転(テイクバック)に合わせてラケットを引くと、スイングは”横振り”になり、ラケット面は自動的に開いてしまいます。ラケットヘッドを落とすのも(体の構造上)難しくなります。

では、腰の回転を使わずに(手だけで)テイクバックをするとどうでしょうか。この場合、確かにラケット面は開きませんし、ラケットヘッドも下を向きます。しかし、この場合は腰の回転が使えません。テイクバックで、体が前を向いたままになってしまいます。また、腰の回転が使えないために、ひじを引くのみでのテイクバックとなります。その結果、ひじを後ろに引く分しかテイクバックが取れず、大きな(小さくない)テイクバックをとることができなくなります。

正解は、この、前者と後者の間にあります。腰の回転でもなく、正面を向いたままでもなく、テイクバックを取るのです。どうすればよいでしょうか。

まず、正面を向いたまま、ラケットを両手で持って(女の子のもじもじポーズで)右足を真後ろに(ネットと反対側に)少し引いてみましょう。右足のつま先は、ネットを向いたままです。この時には、ラケットを両手で持っていますので、自然に左肩が前(ネット側)を向くはずです。また、その際に、ラケットヘッドを地面に向けておけば、ラケット面を開かずに、自然にテイクバックができます。(ラケットヘッドを下に向けることは、きちんと意識してください。)ラケット面は、開くことはありません。なぜなら、左手でラケットを持っているからです。このために、右手はラケット面を開くことができないのです。

このテイクバックは、いろいろな「副作用(よいほうの)」があります。

まず、テイクバックで、意識せずに左肩が前に出ます。左手は、自然と、体の前(左前方)に出てきます。(体のそばで折りたたんだりすることはありません。)また、左肩が前に出るために、背筋が伸びます。背中が丸まりません。すべて、「よい副作用」です。メシールのフォアハンド(テイクバック)で、右足のつま先がいつも前(ネット側)を向いている理由も、これでわかります。

これが、メシールのフォアハンドテイクバックの”正解”なのです。なんと簡単なことでしょうか。”もじもじ”ポーズのまま、ラケットを左手で持った状態で、右足を真後ろに引く。これだけです。

実際のプレーでは、右足を引くのではなく、左足を前に出す、両足を動かさない(が、左手をラケットから離さないことで面が開かないようにする)など、オプションはいろいろだと思います。が、基本形は右足を(軽く)引くということになります。繰り返しになりますが、テイクバックの始動では、体を回すのではないということが重要な点です。左足を引くことによるラケットヘッドの下向と左肩の回転、これだけです。「体は横を向くのに、腰の回転を使っていない」という点が大切なポイントなのです。体の回転によるテイクバック始動との違いを、しっかりと意識してください。

なお、実際のテニスコートでは、テイクバック始動は以下のようになるでしょう。
ネットの向こうからボールが飛んできます。(フットワークでボールの飛行線に合わせて体を移動させてあと)まず、右足を引くのです。この際に、背筋はしっかりと伸びる(上体は立つ)はずですし、右肩も前に突き出されるはずです。この際の体の距離とボールの距離が適切になるように、トレーニングすればよいのです。体がテイクバックを覚えたら、頭はボールとの距離を取るだけでよくなります。
ただし、飛んでくるバールの打点が高い場合、低い場合などについては、原則は同じですが、さらに工夫が必要になります。特に高い球への対応はテイクバックのトップに工夫が必要です。これについては、別項で解説します。

このブログは、昔懐かしい、ミロスラフ・メシール(メチージュ)について語るための、個人的なブログです。と言っても、私は、週末プレーヤであり、プロでも、専門家でもありません。また、実は、他のテニスプレーヤーについては全く興味がなく、メシールのテニスだけしか語ることができません。もし、ご興味があれば、時々、楽しんでいただければ幸いです。

0 件のコメント:

コメントを投稿