2013年9月3日火曜日

全米オープン2013 哀愁のフェデラー

全米オープンは、毎年8月の終わりから始まり、9月の頭までの間にニューヨークで開催される。9月頭といえばまだ暑い日が続くが、それでも少し秋の気配が感じられるようになるシーズンだ。これから暑くなるという季節に開催される全仏オープンや全英オープンと比較して、少しさみしい、それとなく哀愁を感じはじめる季節に開催されるのが全米オープンだ。

全米オープンは、グランドスラムの中でも最もにぎやかで喧騒の会場で開催される。格式やファッションとは縁遠い、「お祭り」という言葉がぴったりくるこの会場と、一方で哀愁を感じる季節感のコントラスト。それが、私にとっての全米オープンだ。

今年の3つのグランドスラムで決勝にさえも進むことができなかったフェデラーは、全米オープンでも同じく決勝の文字が付かない4回戦で敗退しそうだ。ランキングが高いとは言えないスペインのロブレロを相手に2セットダウンとなり、ロブレロがよほどミスを繰り返さない限りもはや挽回は望めそうにない。

これまでのロブレロに対してフェデラーは10勝0敗だそうだ。それはそうだろう。ロブレロのように正攻法ではあるがプレーに特段の工夫のないプレーヤーに対して、イマジネーション豊かなフェデラーのプレーが負けるはずがないからだ。いや、なかったからだ。

この季節と相まって、「哀愁のフェデラー」という言葉が、このゲームのフェデラーのプレーにはぴったりくる。フェデラーはガッツを前面に出すタイプではないので、なおのこと哀愁が漂うのかもしれない。

工夫のないロブレロのプレーに対して、持てる技術をすべて出して戦うフェデラーだが、大切なポイントが取れない。ロブレロのプレーは確かに確実で安定しているが、フェデラーのように意外性や戦略性に富んでいるわけではない。ただ、フェデラーの組み立てが功を奏さない。意外性のあるプレーは、それなりのリスクを伴うわけだが、今のフェデラーはそのリスクに負けてしまう。

フェデラーは、ロブレロに苦戦しているというよりも、自分の作ったプレースタイルに苦戦しているように見える。恐らく、全盛期であれば面白いように決まった攻撃パターンが功を奏さない。しかしフェデラーは、それでもロブレロと正面切って打ち合いを続けたりはしない。バリエーションを使って試合を自分のペースに持ち込もうとする。それがフェデラーのテニスだからだ。

そのテニスが、今、はっきりと通用しなくなっている。フェデラーは、それでも、自分のテニスをやめたりはしないだろう。ただ打ち合うだけのテニスで勝ち残ることを、フェデラーは決して選択しないだろう。

秋風の季節が終わり、長袖のシーズンになること、フェデラーはどんな結論を出すのだろうか。

今、この瞬間にフェデラーの2013年全米オープンが終わった。

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