2011年11月22日火曜日

メシールのテニス(50) スイングにおける下半身の役割

メシールのテニスも、いろいろと書いている間に、ついに50回まで来ました。正しいことも、正しくないことも、また、どちらとも言えないことも、いろいろ書きました。いつか、これらを整理して、まとめようと思っています。

さて、今回は、グランドストロークにおいて、下半身(足)の果たす役割について考えてみたいと思います。

メシールのグランドストロークの美しさの一つは、上体の安定性です。上体の安定性は、がっしりとした下半身に支えられている…と書くのは簡単です。また、読む側も、わかったような気になっています。

しかし、がっしりと下半身を固定しては、ボールを打つことができません。上体だけでボールを打つことになってしまいます。

実は、メシールの場合、その逆です。

メシールのグランドストロークでは、利き足(フォアハンドは右足、バックハンドは左足)が軸となり、いろいろな仕事をしています。

①まずは、ボールと体の距離を適確にとるのは、利き足の仕事です。ボールが飛んでくると、まずは、利き足でボールとの間合いを取ります

②テイクバック、フォワードスイングは、すべて足がリードしています。腕ではありません。足でラケットを引き、足でラケットを振ります。上体、特に腕は、それに合わせて動いているだけです。言い換えると、上体だけでボールを打つことは、メシールのグランドストロークではありえません

フォワードスイングでは、地面を押すことで、ボールに体重を乗せます。これによって、インパクトポイントも前の方になります。地面を押すという感覚は、地面を蹴るというほどではありません。しっかりと押し出す、というイメージです。

一言でまとめると、メシールのグランドストロークは、下半身でボールを打ちます。上半身は、下半身の動きに導かれてボールを打っているだけです。上半身の力でボールをヒットするのでありませんので、上半身は、ブレが少ないように、できるだけ安定していることが重要です。これが、メシールのグランドストロークにおいて、上体が地面に垂直に維持されている理由です。

上体がぶれないためには、上体を立てておくのが一番安定しているということです。下半身主導の打ち方であれば、それが可能です。

私は、情けないことに、メシールのテニスを50回も分析をしてきて、こんなに大切なことに気が付いていませんでした。情けない限りです。

上体の使い方、スイングの仕方にばかり目を取られて、下半身の重要性を見逃していたのです。そして、メシールのプレースタイルで、上体が立っている(安定している)本当の理由が、わかっていなかったのです。

確かに、下半身をがっしりと固定することで上体を安定させようと試みたことはありますが、当然、それは、失敗でした。相撲の四股(しこ)になってしまったのです。しかし、その先について、考えることをしていませんでした。なぜ、メシールのプレーでは、あれほどまでに、上体が安定しているのかについて。

コート上において、メシールは、下半身でボールを見ていたに違いありません。上半身(特に腕)の使い方は、本能的なものでしょう。脳や目とつながっていたのは、上体ではなく、下半身だったのです。

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