メシール(メチージュ)のフォアハンドのグリップは、コンチネンタルか薄めのイースタンです。(そのどちらかは、ビデオからはわかりませんでした。)いずれにしても、いわゆる薄いグリップです。フォアハンドの薄いグリップの選手を、最近ではあまり見かけなくなりました。おそらく、ラケットの性能向上のおかげでしょう。今は、厚いグリップからラケットを横に振り、フラットドライブ、またはトップスピンを打つのがトレンドです。メシールは、薄いフォアハンドグリップから、きれいな(ヘビーすぎない)順回転のスピンボールを打ちます。トップスピンと言うよりも、いわゆる、厚いあたりの順回転ボールです。ボールはネットを超えて、比較的ベースラインに近いところで沈みます。最近で言うところのエッグボールと呼んでよいと思います。
テニスに詳しい人には全くの釈迦に説法ですが、フォアハンドも、バックハンドも、ラケットを引いたときに、①ラケット面は90度(地面に垂直)またはそれよりも伏せる、②ラケット面を体の子午線(右側面と左側面を結ぶ面)よりも後ろに行ってはいけない、という原則があります。おそらく、この2つは、グリップが厚いか薄いかに関係なく、基本中の基本だと思います。少なくとも、1980年代後半以降のトッププレーヤーで、①または②を守れていない男子プロの選手を、私は知りません。
この2つについては、特に①については、そういう癖がついている人は、修正するのに苦労するのではないでしょうか。(私がそうだっただけかもしれませんが。)私のように、レベルが中級クラスの場合、練習でラリーをしても、高いバウンドの、いわゆるそれほど力のないポワーンとしたボールを打つ機会が多くあります。特に、ラリーの相手が年配の方や女性などの場合は、相手の打った高いバウンドのボールを打ちかえすケースが多くあります。高いバウンドのボールを薄いグリップで打ちかえす時には、どうしてもラケット面が上を向いてしまいます。もちろん、順回転を強くかけるときはそうではないかもしれませんが、薄いグリップで厚いあたりを打とうとうすると、ラケットの軌道が下から上になるため、そのベクトルに垂直な面を作ると、どうしてもテイクバックからインパクトにかけて、面が上を向いてしまいます。(垂直な面にするのは、厚いあたりのボールを打つため。)
私は、テニスの練習をする際には、可能な限り自分のビデオを撮って、それをメシールのビデオと比較して見ています。世界の(かつての)トッププロと中級のアマチュアでは、当然ながら比較になどならないのですが、多くの男子プロのように体力や腕力に任せてボールをヒットするのではなく、メシールの用にきれいなフォームでボールを打つ(運ぶ)プレーヤーの場合には、アマチュアにとっても、ずいぶんとまねできるところが多いからです。
自分のビデオを何度見ても、オンコートでどれだけ意識しても、私のフォアハンドは、テイクバックからインパクトにかけて、面が上を向いていたのです。今から思えば、そんなに簡単なことになぜ気がつかなかったのかと思いますが、それは当たり前で、上から斜めに落ちてくるボールを、フラット系の厚いあたりで打とうとすると面が上を向くのは当然です。そして、その癖が、普通の(上級者の)低いあたりの時にも出て、上の①である面が上を向くという悪いフォームに陥っていたわけです。
それがわかってから、では、その癖がすぐに修正できたかと言うと、実はそれはなかなか難しいことでした。その理由と、ではどうやって癖を直したかについては、また、別の機会に書かせていただこうと思います。
メシールのバック(特にバックのダウンザラインやバックの逆クロス)を見て、この時期にも、すでにフェースアップ(面を上に向けて 順回転のボールを打つ)の技術はあったのだと、あらためて思いました。
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