2011年6月5日日曜日

歩数の少ないフットワークについて

Na Liのテニスは、今のテニスから見ると少し古いタイプの、フラットドライブを中心としたテニスです。クラシックなスタイルが、決勝戦の相手のスキアボーネが、ループスピンとスライスを多用し、戦略を中心としたテニスをするために、その違いが際立っています。

しかし、Na Liの決勝進出は、ラケットが軽量化して厚いグリップでボールを高い打点でひっ叩くことが主流となりつつある現代テニスでも、ボールを下から上にこすりながら、厚い当たりでボールをしっかり打つクラシックスタイルが十分に通用することを示してくれています。

それは、決勝だけではなく、勝ち上がりにおいて、アザレンカ、シャラポワ(シャラポワは優勝候補だった)などを破っていることからも、わかることです。この二人は、まさに、新しいタイプのテニスプレーヤーだと言ってよいでしょう。

Na Liのプレーは、決勝戦においても、安定しています。この安定感は、腰を落としたストローク、そして腰を落とすためにしっかりとしたフットワークがあってこそです。Na Liは、素晴らしい安定したフットワークを見せてくれています。。

まさに、テニスは足ニスです。

Na Liと比べると、スキアボーネは、足がよく動いていました。と書くと、「あれ?」と思わるかもしれません。フットワークがよかったのは、Na Liではなの、と。

この二人のフットワークを比較すると、よいフットワークというのは、足がよく動くということではないことが分かります。一言でいうと、「歩数が少ないフットワークの方がよいフットワークだ」ということです。

歩数が多く、微調整をする、いわゆる「細かいフットワーク」というのは、実は、必ずしもよいフットワークではありません。なぜなら、上体は、細かいフットワークが終わるまで待たされるからです。足が細かい調整をしている間、上体は、スイング(テイクバック)をスタートできないばかりか、スタートの準備すらできないことがあるのです。

歩数の少ないフットワークは、ボールをヒットした後に、元のポジション(レディーポジション)に戻るときにも必要です。自分の打ったボールにもよりますが、基本的には元の位置近くに戻ると思いますので、その場合は、打点まで行った足跡を、そのまま踏みながら戻るようなイメージになります。

ボールの位置まで行くときにはこの大きな歩幅のステップを守れていても、戻る場合にはつい忘れがちです。たとえば、相手のボールが浅い場合には、前に移動して打ちますが、戻るときに、つい、細かいステップで戻ってしまったりしていないでしょうか?戻りながら歩幅をそろえ、戻った時には次のボールへのスプリットステップができるようになるのは、しかも無意識できるようになるには、トレーニングが必要です。

なお、歩数の少ないフットワークは、当然ですが歩幅が大きくなります。大きな歩幅で、しかし、その歩数で微調整までせねばならないのです。外から見たら大雑把に見えるそのフットワークは、実は技術的には高度です。そして、メシールは、まさに、この、歩数の少ないテニスプレーヤーの代表と言ってもよいでしょう。このことは、また、別項で書こうと思います。

0 件のコメント:

コメントを投稿