2011年7月17日日曜日

プロとアマチュア(中) 自分自身のコーチになろう

プロとアマチュア(上)において、アマチュアの利点、つまり、アマチュアはじっくり時間をかけて自分の技術を追求できることの利点を書きました。

アマチュアは、テニスで収入があるわけではありませんので、専属のコーチを雇うことはできません。自分の技術向上は、自分自身だけが頼みです。ならば、自分自身が自分のコーチになればよいとは思いませんか?自分が自分のコーチングをするのであれば、たっぷり時間があります。選手たる自分は、コーチたる自分の言うことを、何でも聞くでしょう(笑)。

自分自身が自分のコーチになるためには、何をすればよいか。

まずは、自分の目指すテニスを明確にしましょう。もちろん、目指すテニスがない(自分に一番適したテニスを目指す)というのも”あり”だと思います。しかし、折角、アマチュアなのです。勝ち負けに関係なく目指すテニスを目指すことを許されるのがアマチュアです。この機会に、目指すテニスを考えてみてはどうでしょうか?

書評:「二つのファイナルマッチ 伊達公子・神尾米最後の一年」(前)でも書きましたが、かつて、作家の村上龍氏は、テニスボーイ・アラウンド・ザ・ワールドで、こんなことを書いています。

「テニスプレーヤーの人格は、そのプレーを超えることができない。」

自分のテニスが、自分を表現する手段になることは、なんと素晴らしいことだと思いませんか?テニスを自己表現として考えることができるのも、アマチュアの特権でしょう。(真のプロフェッショナルは、自然にそうなるのでしょうが…。)

私の場合は、目指すテニスがはっきりしている(メシール)ので、この点で悩むことは全くありませんでした。

と言っても、実は、メシールのあらゆるプレーをコピーしているわけではありません。フォアハンドとバックハンドストロークとフットワーク(ステップ)は完璧なコピーを目指していますが、一方で、ボレーについては全く参考にしたことがありません。(メシールのボレーは、あまり上手ではないというか、私には魅力的ではありません…。)

自分で目指すテニス(プロのコピーでもよいですし、頭の中のイメージでもよいと思います)が決まったら、次は、自分のコーチをしましょう。ここからが本番です。

自分をコーチする際に便利なモノが、ビデオカメラです。いえ、ビデオカメラは、自己コーチングでは必須と言えるかもしれません。自分のプレーは、自分で見ることができないからです。

最近のビデオカメラは、低価格で高解像度です。ビデオカメラを用意して、自分自身を撮影するのです。撮影した映像は、スローモーション再生もできますので、フォームやプレーを、時間をかけてじっくりと分析できます。

自分でボールを打っていますので、どのときにうまく打てて、どのときにうまく打てなかったかは、自分自身でよく分かっているはずです。自分のプレーを何度も何度も繰り返し見ることで、どこをどう修正すればよいか、だんだん分かってくるはずです。

実は、「テニスプレーヤーの人格は、そのプレーを超えることができない」というのは、比喩でも、精神論でもありません。テニスは、本当に、その人の性格が出やすいスポーツです。サーブを打ってからネットダッシュしてもよいし、ステイバックしてもよい。スピン系を中心に戦う選手も、フラットドライブ系中心の選手もいます。バックハンドに至っては、両手で打っても、片手で打ってもよいのです。

基本的なプレースタイルにこれだけのバラエティーがあるスポーツも珍しいのではないでしょうか。そして、その分、プレースタイルに自分自身を反映しやすいスポーツでもあるわけです。攻めたい性格の方は攻撃的なプレースタイルを、守りたい性格の方は安定でミスの少ないスタイルを。そして、私のように、美しいテニスを求める人は美しいテニススタイルを…。

自分のプレーをビデオで穴が開くぐらいに何度も見て、同時に、自分が目指したいテニス(自分が表現したい自分)を何度も何度も考え抜くこと。あなたが(自分の)コーチ業をスタートするのであれば、まずは、そこから始めるのがよいと思います。

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