2011年5月24日火曜日

メシールのテニス(23) メシールのフォアハンド(腰よりも高い球 その1)

これまでに、メシールの試合前のフォアハンドストローク練習を分析しました。練習では、多くの場合は、小さなテイクバックで、スピンのかかっていない、比較的パワーがない球を、腰よりも低い位置で打つのですが、これについては、おおよそ、分析できたと思っています。

しかし、実際の試合ではスピンの効いた強い球を腰よりも高い位置で打つことが多いので、上記の打ち方だけでは対応できません。試合のDVDを分析して、”生きた球”をどのようにさばくのかについて、分析が必要です。

まだ、完全に分析はできていませんが、気が付いた点をまとめてみます。

①テイクバック:ラケットの引き方については、”練習”と同じです。ヘッドを落とし、ラケット面を体の方に向けて、肘から引きます。ここは、”練習”と変えてはいけません。

②テイクバックトップ:相手のボールに勢いがあるときには、それに応じた大きなテイクバックが必要になります。この際、テイクバックは、①の延長になります。つまり、真後ろにそのまま引きます。ラケットは地面と水平まで上に上がってきます。ラケットヘッドは真後ろ向き(実際には、手とラケットがまっすぐにならないので4時から5時の方向)で、ラケット面は地面の方向を向きます。基本的にはオープンスタンスで、肩を結ぶ線がネット方向よりも内側には来ない(背中をネット側に向けない)ので、体の構造上、ラケットヘッドが6時よりも深く(7時や8時)には入りません。肩と腕の線ですら、6時の線上に来ます。

③フォワードスイング:フォワードスイングは、”練習フォーム”とは異なります。ラケットは、縦振りではなく、横振りになります。つまり、この場合は、テイクバックとフォワードスイングは軌道が異なることになります。気を付けることは、フォワードスイングでは、ラケット面が上を向かないということです。”練習ボール”は、ボールに威力がないためにボールが上から下に落ちてくるか、または打点が低いために、フォワードスイングは下から上になり、インパクトにおいてラケット面がやや上を向きます。しかし、相手のボールに威力がある場合は、ラケット面の軌道は下から上ではなく、むしろ地面と平行に近くなります。そのために、スイングの軌道もほぼ地面と平行になり、ラケット面は地面に垂直になります。この”ほぼ”が実際にはどの程度傾くかは、相手のボールの勢いなどによって変わります。

スピンをあまりかけないメシールのフォアハンドでは、ラケット面の微妙な違いがボールコントロールに大きく影響します。ラケット面が少しぶれただけで、ボールはバックアウトしたり、ネットしたりします。ラケット面の微妙な制御については、メシールは、ラケットの重さをうまく利用しているようです。重いラケットを使うことによって、ラケット面をぶれにくくしています。なお、ラケット面がぶれないためには、フォワードスイングにおいて、右肘がまっすぐ伸びないようにすること、右脇が開きすぎないようにすることの2点にも注意しなくてはなりません。

④フォロースルー:上の③におけるラケット面の軌道と角度の微調整は、むしろ、フォロースルーでコントロールする方が簡単です。メシールのフォアハンドストロークでは、ラケットヘッドが頭のあたりに来ることが多いようです。もちろん、フォロースルーでは、ラケット面は下(地面方向)を向いています。

以上、”練習ストローク”と比較して異なるのは、テイクバックトップでラケットを水平まで上げること(ラケット面は下向きで、ラケットヘッドは4時~5時)、フォワードスイングが縦振りではなく横振りになること(その結果として、フォロースルーでラケットヘッドが左耳あたりに来る)という点になります。右肘と右脇にも注意を払います。

0 件のコメント:

コメントを投稿