最近で言えば、ジョコビッチが②です。フェデラーやナダルも、ほぼ②のようです(一瞬だけ止まる)。どうやら、最近の男子選手のほとんどが②のタイプのようです。古くは、ヴィランデルやコナーズが②でした。レンドルやベッカーも②に近いようです(一瞬止まる)。
ただし、昔の選手には①のタイプも多かったように思います。メシールは①のタイプですし、例えば、マッケンローも①のタイプです。
②はトロフィーポーズで一瞬止まる場合を含むので、①と②には明確な差があるわけではないのですが、明らかに違うのは、左手(右利きの場合)がトスアップを始動するタイミングです。①のタイプは、右腕が動いてテイクバックを開始してから、ゆっくりとトスアップが始まります。一方、②のタイプは、右腕と左腕が同時に始動を始めます。
プロに両方のタイプがあるということは、どちらが良いとか悪いとかいうことはなさそうです。
私自身は、実は、②のタイプです。ただし、②のタイプはアマチュアには難しい側面があります。一連の流れの中でボールを打たねばならないので、タイミングが少しでもずれると安定してサーブが打てないのです。
もしかしたら、アマチュアには、①のタイプが望ましいのかもしれません。今回は、①のタイプであるメシールのサーブをDVDで見て学んだことを、いくつか拾い上げてみようと思います。
もしかしたら、アマチュアには、①のタイプが望ましいのかもしれません。今回は、①のタイプであるメシールのサーブをDVDで見て学んだことを、いくつか拾い上げてみようと思います。
まず、レディーポジションですが、ストロークと同じ、「女の子のモジモジポーズ」です。ここで大切なのは、ラケットヘッドを下に下げるということです。特に、上記の①では、ラケットヘッドを上げないことが大切です。(なお、②の場合は、構えた時にラケットを腰のあたりでセットする傾向があるため、モジモジポーズはとりにくいのですが、それでも、レディーポジションでラケットをあまり上でセットをしない方がよいです。)また、レディーポジションで、右肘は緩く曲げておきます(まっすぐにのばさない)。右肘がまっすぐに伸びていると、そのまま肘が伸びた状態でテイクバックスイングに入ってしまい、スイングが大きくなってしまいます。その結果、サービスが不安定になるのです。
次に、始動のタイミングです。サーブの始動は、腰よりも上にラケットをセットし、ラケットヘッドを上に向けて、手からスタートしたくなりがちです。つまり、ひょいっとラケットヘッドを上にあげる動作を、サーブのスタートのタイミングにしてしまいがちです。かつてのグラフがこういう始動でした。しかし、これは、メシールのテニスとしてはよくありません。ラケットヘッドが上を向いていて、しかもラケットヘッドを動かすことで始動すると、インパクトまでのラケットの道のりが長くなってしまうからです。その結果、サーブが不安定になるのです。サーブの始動は、背筋で行うのがよいと思います。その結果、上体がしっかりと立ち、背中が曲がることがなくなります。
本稿の最初に書いたとおり、①のタイプでは、右手が始動してからしばらくして、左手のトスアップが始まります。(②のタイプでは、両手の始動はほぼ同時になるようです。)どのタイミングでトスアップを始めるかは、プレーヤーの打ちやすいタイミングということになります。メシールの場合は、ラケットを持つ手がちょうど体の右側(右腰のあたり)に来た時に、トスアップの始動に入ります。このトスアップの始動が右手の動きに対して早すぎると、右手(ラケットを持つ手)は、遅れて出てきますので、無理なフォームになってしまいます。(実は、私がそうです。)トスアップを開始した時に、ラケットが体の右側にまで来ているかどうかを確認すればよいと思います。
本稿の最初に書いたとおり、①のタイプでは、右手が始動してからしばらくして、左手のトスアップが始まります。(②のタイプでは、両手の始動はほぼ同時になるようです。)どのタイミングでトスアップを始めるかは、プレーヤーの打ちやすいタイミングということになります。メシールの場合は、ラケットを持つ手がちょうど体の右側(右腰のあたり)に来た時に、トスアップの始動に入ります。このトスアップの始動が右手の動きに対して早すぎると、右手(ラケットを持つ手)は、遅れて出てきますので、無理なフォームになってしまいます。(実は、私がそうです。)トスアップを開始した時に、ラケットが体の右側にまで来ているかどうかを確認すればよいと思います。
次に、テイクバックですが、テイクバックの目標は、よい(正しい)トロフィーポーズを作ることです。よいトロフィーポーズとは、右肘の角度を深く(60°~45°ぐらい)に曲げこまれ、ラケットヘッドを真上(または少しだけ前に倒してもよい)に立てた状態を作るということです。そして、左手は、まっすぐに上に向きます。この形での”ため”を作るのが、テイクバックの目標です。”ため”をしっかりつくるためには、ラケットヘッドが寝てはいけません。
テイクバックでは、いくつか注意する点があります。
テイクバックで、何よりも大切なことは、右手と左手の同期です。つまり、両手は同時に上がることです。昔から言う「バンザイポーズ」は、①でも②で変わらない原則です。右手と左手が体の両側で独立にバンザイするタイプ(①に多い)と、両手が体の前で一体でバンザイするタイプ(②に多い)がありますが、同期する原則は同じです。たとえば右手だけがトスアップで上がって、左手がまだ下がっているといる状態があるとすれば、それは修正せねばなりません。かつての松岡修造選手は、この原則に従わないサーブでしたが、特殊な打ち方だと考えるべきだと思います。
テイクバック始動からトップまでの間で、最も重要なことの一つが、腕の使い方です。腕は、(フォアハンドと同じように)肘から引きます。そして、その際、肩から肘まではあまり動かさず、レディーポジションで緩く曲げた肘を、だんだんと深く曲げていき、最終的に右肘の角度を深く(60°~45°ぐらい)に曲げこんだ状態を作るのです。その結果、ラケットヘッドは一度も下を向くことがなく、ロボットダンスのように肘だけが曲がるにしたがってラケットヘッドも上を向いていくのです。極端に言うと、テイクバックの間で動くのは、右肘だけということになります。この間、腰や肩は、大きくは回りません。特に肩はラケットごと大きく回したくなりますが、これはメシールのサーブでは誤りです。ラケットヘッドがぐるっと大回りをしてトップに来ないように、直線的にトップに移動するように気を付けます。
テイクバックで脇が開かないことも重要です。脇が開くとラケットが体から離れ、その結果、スイングに余分な力が必要になります。
テイクバックの終着点が、トロフィーポーズです。①のタイプでは、トロフィーポーズは、テイクバックトップになります。
トロフィーポーズで重要なことは、ラケット面が開かないことです。トロフィーポーズでセットされるラケット面は、意識としてはネット側を向くぐらいでも構いません。(実際には、ラケット面が3時の方向になります。3時よりも大きな角度(4時、5時)を向いてはいけません。)ボールにスピン系の回転をかけようとすると、ついつい、このタイミングでラケット面が開いてしまいがちです。しかし、それは、逆効果なのです。一度開いてしまったラケット面は、そのあと、制御ができなくなります。
トロフィーポーズでの右手のグリップの位置について、高さ方向と前後方向に2点についてコメントします。
まず、テイクバックトップ(トロフィーポーズ)における右手グリップの高さですが、あまり高くない方がよいです。グリップ位置が高くなると、ラケットヘッドが真上から体の後ろに向いてしまうからです。フォルトしないように、スピンがかかりやすいようにと、つい、グリップの位置を高くして、ラケットを高くセットしたくなりますが、これは逆効果になる場合があります。右手グリップは少なくとも、右の耳よりも下に来ることを意識してください。(これは、上記のテイクバックで、肘から引いて肘の角度を深くしていくことで、テイクバックでのラケット軌道を小さくすることで、達成できると思います。)ただし、グリップ位置が逆に低すぎると、その後のフォワードスイングに負担がかかりますので、あまり低くなりすぎないように注意が必要です。
トロフィーポーズの左手、つまりラケットヘッドが上を向いているタイミングでの左手も重要です。このタイミングにおいて、左手がまっすぐに、そして真上に伸びていなければなりません。このタイミングで、左手が斜めに上がっていたり、横に伸びていてはいけません。左手が前方向には伸びるが上に伸びない場合には、まずはトスアップで左手を前方向に伸ばしておき、トロフィーポーズのタイミングでラケットヘッドを上に向けてセットすると同じタイミングで、左手を真上に伸ばすという方法があります。ラケットと左手が並行になるので、タイミングがとりやすいはずです。
トロフィーポーズについて、②に関して気を付けることがあります。(②ですので、メシールのテニスには関係ありません。)これは、トロフィーポーズでのラケットセットが遅れないようにするということです。①では、トロフィーポーズにおいて左腕が伸びて、さらに右腕が折りたたまれ、ラケットヘッドが上を向くという形が作られます。トロフィーポーズに至るまでのスピードが早いプレーや、遅いプレーヤがいるでしょうが、早いか遅いかは特に問題にはならないと思います。
しかし、②の場合は、事情が違います。②はトロフィーポーズそのものがありません。(サーブ全体が連続動作になるため。)ただし、②の場合でも、トロフィーポーズという不連続な形がないだけであって、ラケットヘッドが後ろで回る途中にラケットヘッドが上を向く瞬間があるのは同じです。(これを、連続動作トロフィーポーズと仮に呼んでおきます。)
②において、連続トロフィーポーズのタイミングは、プレーヤーが意識せねばなりません。②の場合は、左手はトロフィーポーズになっているにもかかわらず、右手はまだ、セットされていないということがあり得るわけです。そうなると、遅れた右腕には、遅れを取り戻すために無理な力が入り、その結果としてサーブ全体が不安定になります。本来は、フォワードスイングが大きくなければならないのに、連続トロフィーポーズを含めたテイクバックが、無駄に大きくなってしまうのです。
これを避けるためには、②の場合でも早めに連続トロフィーポーズをとるか、トロフィーポーズを意識することが有効です。そうすることで、結果的には①になってしまうかもしれませんが…。
どうして、②で左手が伸びたタイミングでまだ右手がトップまで来ないかというと、無意識に、”ため”を作って、強い球を打ちたいからです。特に練習のように自由に打てる時は、最初は早いタイミングでのトップを作っていても、だんだんと、強い球を打ちたいという欲が出てきます。そうすると、少し、タイミングを遅らせて”ため”を作りたくなってしまうのです。その結果、サーブ自身が不安定になります。したがって、強いサーブよりも安定したサーブを意識して、早いタイミングでのセットを意識せねばなりません。
”ため”を作るのであれば、トロフィーポーズまでのタイミングを遅らせるのではなく、トロフィーポーズ(テイクバックトップ)を早めに作り、その状態を”ため”としなくてはなりません。つまり、①のタイプに近づくということです。②のタイプは、明確なトロフィーポーズがないため、それを勘違いしてしまいがちなのです。
どうして、②で左手が伸びたタイミングでまだ右手がトップまで来ないかというと、無意識に、”ため”を作って、強い球を打ちたいからです。特に練習のように自由に打てる時は、最初は早いタイミングでのトップを作っていても、だんだんと、強い球を打ちたいという欲が出てきます。そうすると、少し、タイミングを遅らせて”ため”を作りたくなってしまうのです。その結果、サーブ自身が不安定になります。したがって、強いサーブよりも安定したサーブを意識して、早いタイミングでのセットを意識せねばなりません。
”ため”を作るのであれば、トロフィーポーズまでのタイミングを遅らせるのではなく、トロフィーポーズ(テイクバックトップ)を早めに作り、その状態を”ため”としなくてはなりません。つまり、①のタイプに近づくということです。②のタイプは、明確なトロフィーポーズがないため、それを勘違いしてしまいがちなのです。
トロフィーポーズ(テイクバック)の後に、フォワードスイングが来ます。つまり、体はボールをヒットしに行くのですが、この際、やはり、スピンをかけたいために、つい、ラケット面が開いてしまう(上を向く)ことがあります。これは、体と腕が別々に動くために起こります。ラケットヘッドが上を向いて、テイクバックが完了したら、その後は腕を動かさずに体の動きだけでフォワードスイングに入ります。それでも、(当然ですが)腕は動きます。しかし、ラケット面は上を向かず、安定したサーブを打つことができます。
次に、インパクトです。
ボールをヒットする位置ですが、およそ、頭の真上あたりになります。これが右側にずれると、スピン系のサーブが打てず、スライス系になります。が、弊害はそれだけではありません。ボールをヒットする直前に、ラケット面が開いてしまうのです。言い換えると、右手の手の甲が90°よりも下を向いてしまいます。そして、そのままボールをこすり上げてしまうと、ボールは不安定になります。(気持ちはスピン系なのに、ラケット面がスライス系になるため。)
言葉で説明しにくいので図に示しますが、インパクトにおいて、インパクトポイント(つまり、ボールやラケット面の中心)がある位置と、手首の位置は、上限関係ではありません。インパクトポイントは頭の前上にありますが、手首は右肩の上にあります。つまり、ラケットは、地面に垂直ではなく、左側に傾きます。右手の親指は、インパクトにおいて、手の上側ではなく手の左側に来るはずです。ラケットが右耳のすぐそばを通ると、図の左側になりがちです。ある程度、右手を体から離してスイングしたほうが打ちやすいはずです。
また、頭の真上でボール打つと意識すると、ことさらに背中を(弓のように)そらせなくてはならないと考えてしまう傾向があります。かつての、エドバーグ(エドベリ)のサーブを思い出します。イメージとしては、図に示すように、腕とラケットがまっすぐになり、インパクトは頭の前うに来るイメージです。しかし、この場合は、腕とラケットがまっすぐになるため、親指が上の方に来てしまい、ラケット面が開いてしまいます。
右肩が左肩に対して十分に高いところにあれば、図に示すように、ラケットを傾ける(右手の親指をまっすぐ上に向ける)ことで無理な体勢を取らずにボールを頭の上でヒットできるはずです。
次に、インパクトです。
ボールをヒットする位置ですが、およそ、頭の真上あたりになります。これが右側にずれると、スピン系のサーブが打てず、スライス系になります。が、弊害はそれだけではありません。ボールをヒットする直前に、ラケット面が開いてしまうのです。言い換えると、右手の手の甲が90°よりも下を向いてしまいます。そして、そのままボールをこすり上げてしまうと、ボールは不安定になります。(気持ちはスピン系なのに、ラケット面がスライス系になるため。)
言葉で説明しにくいので図に示しますが、インパクトにおいて、インパクトポイント(つまり、ボールやラケット面の中心)がある位置と、手首の位置は、上限関係ではありません。インパクトポイントは頭の前上にありますが、手首は右肩の上にあります。つまり、ラケットは、地面に垂直ではなく、左側に傾きます。右手の親指は、インパクトにおいて、手の上側ではなく手の左側に来るはずです。ラケットが右耳のすぐそばを通ると、図の左側になりがちです。ある程度、右手を体から離してスイングしたほうが打ちやすいはずです。
また、頭の真上でボール打つと意識すると、ことさらに背中を(弓のように)そらせなくてはならないと考えてしまう傾向があります。かつての、エドバーグ(エドベリ)のサーブを思い出します。イメージとしては、図に示すように、腕とラケットがまっすぐになり、インパクトは頭の前うに来るイメージです。しかし、この場合は、腕とラケットがまっすぐになるため、親指が上の方に来てしまい、ラケット面が開いてしまいます。
右肩が左肩に対して十分に高いところにあれば、図に示すように、ラケットを傾ける(右手の親指をまっすぐ上に向ける)ことで無理な体勢を取らずにボールを頭の上でヒットできるはずです。
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