2012年11月27日火曜日

テニスの心理学

中古書店で、ヴィック・ブレイデンのTennis2000という書籍を購入しました。分厚い本で、最初から最後まで読むのは難しそうですが、興味のある章だけを拾い読みしています。

ヴィック・ブレイデンは、私でも知っている有名なアメリカのテニスアカデミー運営者の一人です。

技術についての章も面白いですが、第9章の「テニスの心理学」という章を興味深く読んでいます。何かにつけて一番であることがすべてと思われているアメリカのスポーツ界において、この章で、ブレイデンは、誰もが1番になれるわけではないのだから、テニスにはもっと大切なことがあるということを述べています。

その中で、「テニスに現れる個人の人格について」という項目があり、以前書いた、「人格はプレースタイルを超えることができない」という記事を思い出しました。

ブレイデンは書きます。「テニスをすると、おさえつけられていたその人の持っている本来の性格が現れてくる」と。村上龍氏の言うところの「人格はプレースタイルを超えることができない(その人の人格が必ずプレーの中に見えてくる)」ということを、ブレイデンも言っているのです。

ブレイデンは、こんなことも書いています。「前の国連大使であるアンドリュー・ヤング氏は、同僚のテニスコート での振る舞いを観察して、その人の性格について貴重な情報を得たそうである。」

私は、こんなふうに考えます。

つまり、我々は、テニスを通じて、自分の日常での性格をコントロールできる可能性がある、と。日常では難しくても、テニスによって自分を変えていくのです。

私は、昔から、自分の感情をコントロールすることが苦手でした。特に、自分が追い込まれたり、頭に「かっ」と血が上ると自分のコントロールができなくなります。これは、テニスでも同じでした。ミスをすると、自分が許せなくなり、ラケットを投げたりしてしまうのです。

今の私は、試合中も、そして普段の練習も、常に自分を客観的に見ようとしています。試合でミスをしたら、その理由を考えます。今の自分の技術の中で最善の策は何であるかを考えます。最善の策の判断を誤ったり、分かっているはずなのにボールが飛んできた瞬間に異なる判断をしたりすると、自分に腹が立ちますが、同時にそのことを忘れずに次に活かすことを考えます。

このことが、今度は、日常の自分にも影響してきます。仕事上で同じことができるようになるとまでは言い切れませんが、普段から、「客観的に自分を見る」「その時々で自分の持つ最善の選択肢を選ぶ」ことを考えるようになります。それが、また、テニスにもフィードバックします。

私を含む多くのアマチュアプレーヤーは、日常の自分の鍛錬のためにテニスをするのではありません。しかし、では、我々は、何のためにテニスをするのでしょうか…?

メシールのテニス(86) フットワーク・ステップワークは必ず必要か?

ふと思ったことがあります。

今、グランドストローク(サーブレシーブの方がイメージしやすいかもしれません)をするとします。ボールが飛んできます。ちょうど、都合の良いことに、自分の体の方に飛んできました。しかも、おあつらえ向けに、フォアハンドで打つのにちょうどよい場所に来ました。

言い換えると、たまたま、足を全く動かさなくてもよいところにボールの方からやってきたのです。(そういうケースは、実際の試合でも、いくらでもあります。)

さて、ここでステップワークを使う必要があるでしょうか?スイング前に、ステップを踏む必要があるでしょうか?

メシールのテニスでは、「必要ない」と答えます。ステップワークは、しなくてもよいなら、無理にする必要はありません。いわゆる「べた足」で打てるなら、その方が時間が稼げてよいのです。

大切なのは、ボールに対して足の位置が決まっているという事です。メシールのテニス(77)で書いたように、相手の打ったボールの高さや深さによって、足の位置はいろいろです。が、いずれにしても、一歩も足を動かさずに相手のボールに対して正しい足の位置が作れるのであれば、無理にステップを踏み直す必要はないのです。

メシールは、グランドストロークで足があまり動いてない印象があります。昔、テレビ東京でWCTファイナル決勝(マッケンロー戦)を放送した時に、解説の渡辺康二さんが言っていました。

しかし、それが悪いことではないのです。それがメシールのテニスです。メシールのテニスでは、ステップを大切にするのではなく、ボールに適切な足の位置を作ることが大切なのです。ステップワークはそのための方法でしかありません。ステップワークそのものに価値を見出してはいけません。

メシールのテニス(85) ドライブボレーのコツ

メシールは、当時の他のプレーヤーと比較してもドライブボレーを使う率が高かったように思います。アガシのように強くボールをヒットして相手を追い込むのではなく、ボールのコースを散らせて相手を仕留めるタイプのメシールとしては、やっとのことで返してきたボールについてはドライブボレーで仕留めたくなるのは当然です。

ドライブボレーは、ボレーと言うよりもストロークです。ストロークだと思うと、普通の(自分のコートでワンバウンドしてから打つ)グランドストロークと球筋がそれほど違うわけではないのに、どうして難しく感じるのでしょうか。(私には、すごく難しいショットです。)

それは、テイクバックのタイミングが取れないからです。

メシールのテニス(83)で書いたとおり、グランドストロークでは、メシールのフォアハンドのテイクバックからフォワードスイングへの切り替えは、ボールがバウンドしたタイミングで行います。ボールのバウンドが存在しないドライブボレーでは、テイクバックからフォワードスイングにどこで切り替えたらよいのかが分からないのです。

では、どのタイミングでスイングをテイクバックからフォワードスイングに切り替えたらよいのでしょうか?言い換えると、フォワードスイングを開始するタイミングはどこでしょうか?

ドライブボレーでは、相手がボールをヒットする瞬間が、通常のグランドストロークのボールがバウントするタイミングになります。つまり、相手がボールをヒットするときには、すでにテイクバックが終わっていなければならないのです。

そんなことができるのか?相手がボールを打つ瞬間にテイクバックが終わっているという事は、相手がボールを打つ時には、自分のフォア側かバック側かどちらにボールが来るのかが分かっていなくてはなりません。

が、逆に言うと、それを予測して打てる時でないとドライブボレー(とくにロングボレー)は打ってはいけないということです。予測がはずれたら、つまり相手がうまくてこちらの予測を外してきたら?

その時は、ドライブボレーを諦めればよいのです。ないしは、少し遅れてスイングをすることになります。(望ましくないですが、ダメと言うわけではないので。)

相手がボールをヒットする瞬間にテイクバックが完了することは難しいので、実際には、相手がボールをヒットしたタイミングからできるだけ早いタイミングでテイクバックを完了する、というのが正しいと思います。

もう一つ、この時のテイクバックは、通常のグランドストロークと比較して、かなり小さくなります。体の前でテイクバックを完了させる感じです。何しろ、相手が打つ瞬間(またはその直後)にテイクバックを完了せねばなりません。大きなテイクバックを取る時間的余裕がないのです。

その代わりに、フォワードスイングの時間はたっぷりあります。とは言え、通常のグランドストロークと違って、テイクバック後に走らねばなりません。できるだけ早くヒットポイントに足を運び、その後でフォワードスイングを始めることになります。

その際に辛いのは、ここではテイクバックをとれないという事です。すでにテイクバックは終わっています。

ボールが飛んでくる間に大きくゆっくりとしたフォワードスイングをとること。逆に言うと、たっぷり時間があるフォワードスイングをしているというイメージが、ドライブボレーのイメージになると思います。移動しながら(または移動後の)フォワードスイングですから、ボールと体の距離がぶれやすいです。しっかりと丁寧に足を動かして、通常のグランドストロークと同じように肩の回転(メシールのテニス(80)のえもんかけの回転)でボールをヒットします。

いずれにしても、ドライブボレーは、あくまでグランドストロークです。足の長いボールが来たのを通常通りにストロークしていると思うことが大切です。ボールのところに移動するわけですが、その最後のステップが、グランドストロークの踏み込み足と同じになるという事です。

メシールのテニス(84) なぜメシールのスイングはゆっくりに見えるのか?

メシールのスイングは、他のプロ選手(当時)と比較してもゆっくりだと言われていました。解説者がよく、「どうしてあんなにゆっくりのスイングからあんなに鋭いボールを打てるのだろうか」とテレビで言っていました。(が、その理由を説明してくれた解説者はいませんでした。)

図は、一般的なフォワードスイング(上図)と、メシールのフォワードスイング(下図)を比較したものです。メシールのテニス(83)で書きましたが、フォワードスイングにおいてメシールは腕を使いません。フォワードスイングは、肩の回転だけで行います。

一般的なスイングでは、フォワードスイングでは肩の回転と腕の振りの両方を行います。したがって、上図にあるようにその二つの速度ベクトルの和がラケットの速度となります。

腕の振りがラケット速度に加算されないメシールのスイングでは、ラケットがゆっくりと動いているように見えるわけです。

もちろん、インパクト後には腕の速度が加算されますので、そこから先は一般的なスイングと同じスピードになります。

フォワードスイングで腕が使えないのは、コート上ではなかなか「つらい」ことです。スイングの微調整(つまりごまかし)はできません。肩の回転が遅れた時(つまり振り遅れた時)にも、腕の速度で調整する(ごまかす)こともできません。フットワークを誤って、ボールを捉える高さを間違えた時も腕で調整できません。

足の位置決めと肩の回転のタイミングを常に正しく行うことができること。(それにより、インパクト前には腕に仕事をさせないこと。)これが、メシールのフォアハンドの極意だと思います。

メシールのテニス(83) 肩の回転と腕によるスイング



メシールのテニス(80)で、フォアハンドストロークでは肩をえもんかけのように使うことを書きました。これは、肩を回転させるという事を意味しています。腕で振るのではなく、体のラケットでラケットをスイングするのです。

腕がラケットを振るのは、肩が回ってからです。

前半をフォワードスイング、後半をインパクトスイングと呼ぶことにします。

この時のポイントは、フォワードスイングは「前半」ですので、まだ「後半」があるという事です。言い換えると、肩の回転(えもんかけの回転)はインパクトまでの「準備」でしかないという事です。

これは、ボールを打つ感覚(イメージ)としては厄介です。肩の回転でボールを打つイメージを作ってしまうと、「後半」の前にボールが来てしまいます。振り遅れます。

また、肩の回転のタイミングは、相手のボールに関係なく同じでなくてはなりません。後半のインパクトスイングを安定させるためには、前半のフォワードスイングの勢いをそのまま使って打たねばならないからです。

タイミングと言う意味では、インパクトスイングの時の腕に、タイミングを合わせる仕事をさせることはできません。腕は「びゅんと振る」ことしかできないのです。(ただし、スピンの度合いやスイングの上下方向の角度は、逆に腕が付けることになります。肩の回転は、常に同じ方向になるからです。)

メシールのテニス(82)では、テイクバックはボールが飛んでくるのにあわせると書きました。その後、ボールがワンバウントしたときにフォワードスイングは始まります。では、インパクトスイングは、どのタイミング(きっかけ)で始めればよいのでしょうか。

それは、インパクトの瞬間からです。つまり、腕によるスイング(インパクトスイング)はインパクトからスタートするのです。

と言っても、それはあくまでイメージです。実際には、腕は(無意識に)フォワードスイング中に必要な準備をしています。ただしそれは、「準備」でしかありません。スピン系の場合はラケット面を伏せ気味にするでしょうし、逆クロスに打つ時や右足で踏み込むときはやや脇を締めてインサイドアウトでスイングするでしょう。

しかし、フォワードスイングでは腕はスイングはしていません。腕がスイングをするのは、あくまでインパクト後なのです。

そう考えると、えもんかけ(肩)の仕事は重要です。ボールをヒットするためのインパクト前の「勢い」を腕に頼ることはできません。ボールを叩くための勢いは、肩の回転が担当することになります。

もう一つ、フォロースルーでボールを叩く勢いを付けるのが肩甲骨です。肩甲骨の力でフォワードスイングに力を与えることができます。(くどいようですが、腕は仕事をしてはいけません。)

全体のイメージを整理しておきます。

  • ボールが飛んでくる。それに合わせてテイクバック。
  • ボールがバウンドする。それをきっかけに肩の回転でフォワードスイングを開始。
  • フォワードスイングのパワーは、肩の回転と肩甲骨の力で行う。
  • インパクトまでは、腕は使えない。すべて肩が仕事をする。
  • インパクトからフォロースルーへ。この時に初めて腕は仕事をする(腕を振る)。
腕の仕事のなんと遅いことでしょうか。ボールを打ち終わって、ボールが相手コートに向けて飛び始めているところで、やっと腕は仕事をするのです。そう考えると、フォアハンドのスイングは肩(と肩甲骨)で行う、と言い切ってしまってもよいかもしれません。もちろん、それは、あくまでイメージですが。

2012年11月26日月曜日

メシールのテニス(82) ボールが飛んできたときにすべきこと ~テイクバックのタイミングがなぜ重要か?

ベースラインで構えている自分の方に相手の打ったボールが飛んできた。ボールがこっちにやってくる。さて、何をすればよいのでしょうか。

まずは、足をそのボールに合わせて位置することです。腰より低い球であれば教科書通りのうち方、高く弾むなら右足を前に出して打つ、深くバウンドするなら右足を引きながら(場合によっては左足を浮かせて)打つ。前に書きましたが、力強く打つために飛んでくるボールに合った最適な足の位置が、それぞれにあります。

もう一つ、飛んでくるボールに合わせてラケットを引くという事があります。相手のボールが速くても遅くても、スライスでもフラットドライブでも、スピンでも。同じようにラケットを引く。これによって、同じタイミングでフォワードスイングを開始できます。

相手の打つ球は、毎回、異なります。相手によっても全然違います。一球一球にスイングを合わせる(調整する)ことはできません。調整しながら打つと、どうしても相手のコートにボールを安全に返すことが優先するために、ボールを強く打つことができないのです。その結果、そのポイント(ラリー)は相手に支配されてしまいます。

ボールを強く打つためには、相手のボールに関係なく、同じタイミングでラケットを引き、同じタイミングで(軸足を使って)フォワードスイングをすることが大切です。

ボールに合わせてラケットを引くのは、ステイしている所にボールが来た場合はもちろん、ステップが入った場合、ランニングショットの場合も、すべて同じです。同じように、ボールに合わせてラケットを引きます。走らされて打つ場合には、走りながらラケットを引きます。やみくもに引くのではなく、この場合も、ボールに合わせて引くのです。

ボールを強く打つことも大切です。上のようにテイクバックとフォワードスイングのタイミングがきれいにとれた時には、ラケット面がきちんとできていれば、面を固定して軽く振るだけでもよいボールが返ることがあります。しかし、それは、そのような打ち方を意図的にするのであればよいのですが、あくまで「強く振る」と言うスイングの1パターンでなければなりません。つまり、「一度、ボールを自分のものにしてから打つ」ということには変わりがないのです。

ボールが来た時(テイクバックをする時)・フォワードスイングするときに大切なこと。それは、上体のバランスがいつも同じであるという事です。

いつも同じフォームで打つということは、上体(背筋や体の傾き、胸の向きなど)が同じだという事です。高い球と低い球で、上体を変えてはいけません。(手は、もちろん別です。手の位置は、ボールによって変わります。)できるだけいつも同じ上体の状態で打つ。これにより、ストロークは形状記憶的に同じスイングを繰り返すことができます。

こうなればしめたものです。ラケット面の方向、スイングの方向などの微調整で、自分の思う場所にしっかりと(「ミスしないように安全に」ではなく)ボールを打つことができます。まさに、これこそが、メシールのテニスです。

相手のボールがよい場合(速い、深い、切れがある、重いなど)でも打ち方を変えてはいけません。やや準備が遅れたから、その分速いスイングで調整するというのは、メシールの打ち方ではありません。準備が遅れることはメシールのテニスでは許されないのです。「準備が遅れたらそのポイントは取れない」ぐらいの覚悟で、準備に最善の努力を払うことが求められます。

メシールのテニスは、足の位置、スイングなどはフレキシブルです。いい加減に打ってるように見えるぐらいです。だからこそ、上体の形、テイクバックとフォワードスイングのタイミングは常に同じにしておかねばなりません。それによって、自由にボールを打つことが可能になっているのです。

2012年11月4日日曜日

書評 「テニスは頭脳が9割 あなたのテニスが進化する120の哲学 」(田中信弥著)

田中信弥氏の「テニスは頭脳が9割 あなたのテニスが進化する120の哲学 」を読んだ。Amazonの書評ではかなり厳しい意見が書かれている。多くの意見は、メールマガジン(メルマガ)の読者からのようだ。メルマガとほぼ同じ内容だそうなので、有償でメルマガを購読している読者が期待して書籍を購入すると、がっかりするという事だろう。

私は、メルマガは購読していないので、逆に、新鮮に本書を読むことができた。

田中氏のDVD販売(非常に高額)やWebサイト(どこかの通販のようにあおり文章が満載)については、私も品位を書くという印象がある。「この人は、山師なのではないか」という印象を持たざるを得ない。

しかし、本書を読むと、その内容は私はほぼ同感・同意見だった。私には、田中信弥と言う方は、本当にまじめにテニスに向かい合っているという印象を受けた。

この書籍のタイトルには、嘘はない。誇大広告もない。テニスの勝敗は9割が頭脳で決まると書いているわけではない。テニスは頭脳が9割と書いているのである。そして、それは、ある意味では正しいように思う。アマチュアテニスプレーヤーは、もっと真剣にテニスに向かい合うべきだと私も思うから。

たとえば、自分は何のためにテニスをしているのか。家族との時間を犠牲にして、お金をかけて(しかも、トータルでテニスにかかる費用は意外にばかにならない)、何をゴールにテニスをするのか。

そういうことを考えるべきだと、田中氏は言いたいのだろう。そして、「テニスが進化する」とあるが、「テニス技術が進化する」とは書いていない。そう、この書籍では、テニス技術はさして進化しない。しかし、著者の伝えたいことを理解できれば、自分のテニスは進化すると思う。

たとえば、「テニスを進化させるまでは充電期間だ」というのは正しいと思う。目の前の結果だけを重視してはいけないという事だ。その通りだと思う。それは、アマチュアだけに許される特権なのだから。(このことは、以前の記事でも書きました。)

この書籍は、とてもまじめにテニスに向かい合っている著者のスタンスがよく見える。文章表現も、とても丁寧で無理がない。(Web等の田中信弥氏の文章と比較するとよく分かるが、この手の書籍には珍しく、誇大な表現や誤った表現のない、平坦で読みやすい文章になってる。)この書籍はおそらく、プロのエディタが編集を担当したと思う。

こんなに良い書籍が出版できるスタンスがあるのであれば、また、これだけの高い技術的・理念的な知識があるのであれば、著者にはぜひ、この書籍の延長線上でのビジネスをしてほしい。それは、著者が何よりも求めている日本のテニスを世界に通じるレベルに押し上げることに通じるからである。

この書籍の印税はすべて、東日本震災のために使われるそうだ。その気持ちと考え、アイデアは素晴らしい。しかし、それは、有償のメルマガ記事を書籍化することとは別の話だと思う。ボランタリーであるからと言って、クオリティーを下げることは許されることではない。それは、プロとしては恥ずかしい行為であり、田中氏自身が嫌う事ではないのか?

両方を読む読者がいるのであるから、メルマガの内容をもっと掘り下げた書籍にするべきであった。その結果が、価格に反映されてもよいではないだろうか。

このあたりに、田中信弥氏の(現在の)人物の限界が見えるような気がして、残念だ。しかし、これから、もっと高いところに立てる可能性がある方であるのは間違いない。それに大いに期待したい。

「テニスを進化させるまでは充電期間だ」という事と「私はこのDVDをみて、すぐに優勝することができました!」という宣伝文句は、両立しない。美しい志と、貧しいビジネス意識ほどの差が、この二つのキャッチフレーズの間にはある。

上記のAmazonの書評では、「この書籍は読む価値がない」というような厳しい意見が複数ある。しかし、私は、この書籍は読む価値がないとは思えない。(メルマガ購読者は別として)私は、この書籍は、テニスを愛する人であれば読むに値する内容であると思う。そして、今一度、テニスにどのようなスタンスで向かうのかを考える良い機会になると思う。

メシールのテニス(81) グランドストロークでは足の仕事は二つあります

グランドストロークにおいて、足には仕事が二つあります。

①ボールの位置まで動く(ステップ)ことと、②スイング(フォワード)を起動することです。①は誰でもよく分かっているのですが、②の仕事をよく忘れてしまいます。しかし、安定したグランドストロークでは、②が大切です。

なぜなら、フォワードスイングを足ではなく、腕で始めてしまうと、スイングに無理が生じます。力任せのスイングは、たいていの場合は、②が正しくできていない時になります。逆に、スイングを軸足からスタートして、腰、腕と動かして(回して)いくと、スムーズで無理のないきれいなスイングになります。

①と②の順序は、おおよそ以下の通りです。

まず、ボールが飛んでくると、①で足のステップワークでボールのところに移動します。最後にステップする足は軸足です。フォアハンドであれば右足、バックハンドでは左足です。軸足を、早めに固定することが大切です。

私は、フォアハンドで、時々、固定する軸足の場所で悩むことがあります。ボールから遠くなりすぎたり近くなりすぎたりして、試合中に、スイングが安定しないことがあるのです。

その場合には、ボールの飛球線上に軸足(右足)を置くことにしています。そうすると、体がボールに近くなりすぎることはあっても、遠くなりすぎることはないからです。近くなりすぎた時には、右足を固定したままで(メシールのテニス(77)で示した真ん中の図)、右脇を締めて、ワイパー系のスイングでボールを打ちます。とりあえず、これで、ミスをせずにボールを打ちかえすことができます。

フォアハンドで、その後左足を踏み出すかどうかは、相手の打ったボールによります。バックハンドも同じです。一般には、よほど深くなく、また高く弾まない「普通の」ボールは、前足を踏み込んで打ちます。逆に、深いボール、跳ね上がるボールは踏み出さずにワイパー系のスイングで打ちます。

さて、右足(バックハンドの場合は左足)を固定したときに「タメ」ができますが、このタメができた後、右足には、もう一仕事してもらわねばなりません。それが、②のスイングの始動です。

スイングを始動するということは、ボールを打ち始めるタイミングを決めることです。それは、極めて重要な仕事です。②は、つまり、ボールを打つタイミングを足に決めさせるという事を意味しています。

なお、注意することは、②はあくまでフォワードスイングの起動(きっかけづくり)だけを足が担当するという事です。スイングそのものは、背筋と肩を作るえもんかけ(=肩甲骨)の回転で行います。

これはとても重要なことですが、同時に難しいことでもあります。特に、これまで、腰や肩、腕でスイングを起動していた場合には、かなりの脳内イメージチェンジが必要となります。タイミングの取り方が変わるのですから、一から練習せねばなりません。

ただし、これは、オフコートでも練習できます。何しろ、足があればよいのですから。頭の中で、向こうからボールが飛んできたとして、足を使ってスイングを起動すればよいのです。いつでもどこでもできる練習です。

なお、①と②の二つの仕事を足にさせると、実は、下半身はかなり疲れます。私の年齢では、翌日(翌々日)に筋肉痛になります。それでも、この仕事は、メシールのテニスでは、どうしても必要なことなのです。

2012年10月26日金曜日

メシールのテニス(80) えもんかけとフォアハンド

Youtubeでとあるテニスのレッスンサイトを見つけました。そこで、面白いことを解説していたのでコートで実践したところ、メシールのテニスっぽかったので紹介します。残念ながらどのサイトだったかわからなくなったので、見つけたらポインタ(URL)を掲載することにします。

そのサイトで言っていたのは、次のようなことです。
  • フォアハンドを打つ際には、両肩が「えもんかけ」になったつもりで打ちなさい。
えもんかけとは、いわゆるハンガーのことです。両肩がハンガーになったつもりで両肩を回転させるのです。
  • その際、両腕は、えもんかけの両端からぶら下がったひもだと思いなさい。
つまり、両腕は「ぶら~ん」とぶら下げて、両肩で回転をしなさいというのです。なるほど、これは道理です。この打ち方により、両腕に力が入らなくなります。また、両肩を回すことで、右手だけでボールをヒットすることを回避できます。同時に、左手をうまく使うことができるようになります。フォアハンドでは、左手の役割が重要です(メシールのテニス(68))。

さらに、これは私のイメージですが、もう一つ付け足そうと思います。

  • 両端からぶら下がったひもが回転時に遠心力で広がらないようにフラフープで押さえておきなさい。
イメージしにくいので、図を掲載しておきます。ひもをぶら下げてえもんかけを回転させると、回転時の遠心力でひもが広がります。これは、脇が開くことにつながります。これを避けるために、大きな輪でひもの広がりを防いでおくわけです。

2012年10月25日木曜日

メシールのテニス(79) フォアハンドの遅い打点について

(メシールフォアハンドのGIFアニメーションはこちらです。)

1987年(だったと思います)のジャパンオープン2回戦でメシールと対戦した福井烈が、試合後のインタビューでメシールについて、このように言っていました。

「メシールの(フォアハンド)ストロークは、打点が遅いんです。シロウトさんによくいるでしょ、打ち遅れて打点が後ろになる人。あの感じでボールを打ってくるんです。本当に疲れた。」

メシールのフォアハンドは、薄いグリップ(コンチネンタルかイースタングリップ)です。薄いグリップは打点が後ろだと、よく言います。本当でしょうか?

答えは、①打点が後ろの打ち方と②打点が前の打ち方がある、だと思います。つまり、二つの打ち方を使い分けることができるのです。厚いグリップには①が難しいので、これは、薄いグリップの利点です。

今回は、①について書こうと思います。

①の打法、つまり打点を後ろにするフォアハンドは、それほど難しくありません。もともと、腰のところでラケットを引くわけですから、テイクバックは体の後ろになります。そのままラケットを振り出せば、打点を後ろにすることができます。打点は、「右足の前」になります。

大切な点は、打法ではなく、どのような場合にこの打ち方を使うかです。

メシールのビデオを見ていると、(当然と言えば当然ですが)この打法を常に使うわけではありません。次に示す、いくつかの条件が整ったときに使うようです。
  • 相手のボールが高く跳ね上がるときには使えません。フラット系の低く弾むボールで有効です。
  • 相手のボールが速く、力がある場合に使います。遅いボールの場合は、左足を踏み込んで打点を前にする方がボールに力が乗ります。(打点を後ろにする理由がありません。
コースは打ち分けやすいので、ボールを引き付けて、コースを隠すには有利です。しかし、気を付ける点もいくつかあります。以下の点に注意する必要があります。
  • ボールの打点がほぼ一点しかありません。振り遅れたら「万事休す」です。絶対に振り遅れないこと。
  • ボールに順回転をかけにくいので、どちらかというとフラット系になります。
  • ボールへの力加減が難しいので、ボールが短くなったり、アウトしたりしやすい難点があります。
丁寧に打つ打法ですから、やや右脇を締め気味にするのがよさそうです。腰の回転主導で打つようにします。腕を主体で脇が甘い打ち方では、微妙なコントロールを失いやすくなります。つまり、もともと難しいボールコントロールがますます難しくなります。

(メシールフォアハンドのGIFアニメーションはこちらです。)

メシールのテニス(78) フォアハンドの右足とフォワードスイング(多彩なフォアハンドのために)

メシールのテニス(75) フォアハンドの右足で、右足の位置を決めることの重要性を書きました。右足を決めることは、フォワードスイングにも重要です。

右足の位置を決める。そのあと、フォワードスイングをするきっかけ(力)はなんでしょうか。それは、腕の動きではなく、右足の動きです。右足が地面を押し出し、その力で体の回転や重心の移動が発生します。

腕を使うのは、その次です。足の後です。

スイングのタイミングやきっかけは右足がつかさどります。だからこそ、右足の位置を決めることが大切なのです。

その際には、右足を突っ張ってはいけないことはもちろんです。右足に、地面を押すだけの力をためなくてはなりません。右足は柔らかく曲げておくことが必要です。

  1. 右足の位置を決める。膝を柔らかく(足をつっばらない)。
  2. テイクバック(実際には右足の位置を決めながら並行して行う)。
  3. 右足でフォワードスイングを起動。(腕はもちろん、腰の回転で始動しない。)
  4. 腰の回転でフォワードスイング。
  5. 両肩を回転させる。(4と5は実際にはほぼ同時になるでしょう。)
  6. 腕を使い始める。
この手順でフォアハンドスイングをすると、最後の腕の使い方がかなり自由になります。腕が自由なほど、多彩なボールを打つことができるのです。5の両肩の回転については、メシールのテニス(80) えもんかけとフォアハンドをご覧ください。

2012年10月24日水曜日

メシールのテニス(77) スクエアスタンスとオープンスタンス(フォアハンド)


メシールのテニス(75)で、フォアハンドの右足の位置について書きました。その際に、左足は①スクエアスタンスで前方に踏み出して打つ、②オープンスタンスで打つ、の2つの打ち方があることを、図に示しました。図を再掲載します。①が左図、②が中図です。③はNGです。オープンスタンスでは、体重を左足に移動してはいけません。

さて、①の場合と②の場合は、どう使い分ければよいでしょうか。簡単に書くと、①はフラットドライブ系、②はスピン系で使います。②の打ち方について書きます。

②のスピン系は、いわゆるワイパースイングです。1980年代のテニスファンでイメージしやすいのはマッツ・ヴィランデルです。その特徴を整理すると、次の通りです。
  • 右肘をたたんで、右脇を締める。インサイドアウトのスイングワーク。
  • 手首をワイパーのように使う。
  • 右足は柔らかく。突っ張らないように。
  • 左足は、右足よりも後ろでよい。(図を見てください。)
  • 打点は高いところで。頭よりも高いところで打ってもよい。(低いところでは、やや打ちにくいです。)
  • フォロースルーでは右肘を前に突き出す。右手首よりも右肘がネット側に来る(ワイパースイング)。
  • 打ち終わったときの体重は右足にかかる。

メシールのフォアハンドはフラットドライブが目立つので②のような打ち方はしないというイメージがありますが、必ずしもそうではありません。ヴィランデルほどはっきりとしたワイパースイングをしていないだけです。例えば、全仏オープンの様な土のコートでは、この②の打法でフォアハンドを打っています。左足の位置は、図に示すように右足のほぼ横、または少し後ろにあります。

②の打法方の利点は、他にもあります。それは、「高い打点で打ちやすい」という事です。①の打ち方は体重が乗るので重いボールが打てますが、高い打点が苦手です。②は、高い打点が得意な打ち方です。①と②を使い分けることで、ボールの高さに対応することができます。

②のもう一つの利点は、フォア側に振られた時に有利だという事です。なぜなら、打つ時に左足が後ろに残っていますので、打ち終わった時にセンターに戻りやすいのです。①では、そのような対応は容易ではありません。

2012年10月23日火曜日

メシールのテニス(76) フォアハンドの右足と目

メシールのテニス(75) フォアハンドの右足で書いた「まず右足の位置を決める」というのは、よい方のバイプロダクト(副産物)があります。それは、「右足を固定することで頭の位置が固定できる。頭の位置が固定することでボールを見ることができる」ということです。

相手のボールが速くなるときに、一番難しいのが「バランスを保つ」ということです。相手のボールがゆるくて時間的余裕があるときは、こちらの体制はいつでも整えることができます。

しかし、早い場合には、バランスを崩されがちです。バランスが崩れると、そのひずみがいろいろなところに出てきます。ボールを最後まで見ることができなくなるというのも、その弊害の一つです。

相手のボールが速くても、まず右足を決める。その上に頭を”のせる”。そして、ボールをヒットするまでボールをしっかりと見る。ボールを見ることは、ラケットの真ん中でボールを打つだけではなく、体全体のバランスを崩さないという意味でも大切です。

右足を固定してボールを見るという習慣は、いつでも練習できます。ショートラリーであっても、遅いボールを打つ相手とのストロークでも、あまり上手ではなくてボールがあちらこちらに散らばる相手とでも、練習はできます。

2012年10月22日月曜日

ラケットインプレッション ダンロップ社NEOMAX2000とバイオミメティックMax200G

ダンロップ社製のNeoMax2000を使い始めて、1年以上が経ちました。とても気に入っていて、ずっと使っています。少し前に、3本目を買ってしまいました。

さて、同じダンロップ社のバイオミメティックMax200Gです。

素材が違うのは分かっていましたが、それ以外のスペックが同じなので、もしかして…と思い、衝動買いしてしまいました。

さて、コートで打ってみた感じは…。

ダンロップ社NEOMAX2000とバイオミメティックMax200Gは別のラケットです!(笑)

他のサイトにもありましたが、バイオミメティックMax200Gは、DUNLOP MAXPLY McENROEのペイントジョブを変えただけ…のような感じがします。打感は、NeoMax2000よりも、はるかに「硬い」感じです。(MAXPLYよりは少しだけ柔らかいかも。)

NeoMax2000の方が、往年のMax200Gの打感に近いのは、おそらく誰もが認めると思います。

メシールのテニス(75) フォアハンドの右足

(メシールフォアハンドのGIFアニメーションはこちらです。)

ある一定レベルになると、相手の打つ球は速く、重く、鋭くなります。頭でいろいろ考えている余裕はなくなります。相手が打つ⇒ボールが飛んでくる⇒構える⇒打つ。この間で、フォームがどうのと考える時間はありません。あっという間の出来事です。

したがって、「フォームは完成している」と言う前提で、「ボールがフォア側に飛んできた短い時間に何を考えなくてはいけないか」が、今回のテーマです。

それは、「右足の位置を決める」という事です。その際に、右足を突っ張ってはいけません。「柔らかく右足を決める」のです。

別の記事に書きますが、フォアハンドはオープンスタンスでも打つことができます。フラット系は左足を踏み出し、スピン系は右足を踏み出します。

余談になりますが、オープンスタンスで打つことは、(今のテニスでは)なにも問題ありません。右足を踏み出して打つ(オープンスタンス)のがだめなのではないのです。オープンスタンスで打つのに、体重が右足から左足に移動するのがよくないのです。最後まで右足に体重が乗るならば、オープンスタンスでボールを打ってもよい(むしろその方がよいこともある)のです。

したがって、まず右足を決めると、その後、左足を踏み出すか、そのまま右足体重でオープンスタンスで打つか、どちらでも選択できます。つまり、右足を決めることは、どちらのうち方にも対応できるのです。

右足を決めるというのは、他にも利点があります。位置を決めやすいという事です。簡単に言うと、飛んでくるボールの飛球線に対して、右足の位置を決めてしまえばよいのです。あくまでイメージですが、飛球線上に右足を固定するという感覚がよいかもしれません。(実際には、飛球線に対して右側に右足を置くはずです。)

なにしろ、あるレベル以上になると、ボールと右足の位置関係が少しずれただけで、ボールはとんでもない方向に飛んでいきます。常に、ボールと右足の位置関係を同じにしておきたいのです。(相手のボールが遅いと、簡単に微調整ができるのですが。)

まずは右足の位置を決める。これが、ポイントです。



2012年7月27日金曜日

メシールのテニス(74) アプローチショット

メシールのテニス(73)で、お尻を突き出し、上体を前に倒す事を述べました。これは、アプローチショットにも関わってきます。アプローチショットは、ドライブボールが必須(フラットではボールが落ちないために、ネットまたはバックアウトしやすい)ですので、やはり、上体を倒します。この際、ボールを押し出すのではなく、ボールに回転を書けることが必要です。ラケット面は下を向き、フォワードスイングで右肘が前に出ます。

右肘が出ないと、ボールをフラットに押し出してしまうことになります。手首でこねると、ボールが速く失速してしまいます。

腕を体と一緒に回転させることで、右肘が自然と突き出されるのです。

メシールのテニス(73) 体重のかけ方

メシールのテニス(71)と(72)で述べたフォームについて再考したいと思います。

メシールのテニス(72)では、上体を立たせた打ち方はフラット向きだと書きましたが、厳密にいうと、上体を立てるのはよくありません。左図は、よくない例です。相手のボールが速い時などの例外的なケースを除いては、ボールに順回転を与える方が安定します。特に、相手のボールが遅い場合はフラットでボールを打つと、バックアウトまたはネットする可能性が高いのです。つまり、原則は右側の姿勢が正解です。

重心を後ろ(お尻を突き出す)ことで上体が前に倒れます。あごが体の前に出ます。

この姿勢で構え、そのまま体の軸を回転させてボールをヒットします。図には示しませんが、これにより、いくつかの効果が生まれます。
  • テイクバックで、右肘が体の線よりも後ろに出ない。上体が立つと、胸をそらせることで肘を後ろに引きすぎてしまいます。しかし、肘は、体の線よりも後ろに出ない方がよいのです。メシールのテニス(68)では、右肘が後ろに出ていますが、これは実際には望ましくないのです。上体を前に倒すことで、胸をそらせることができなくなり、腕(肘)は体より前に来ます。図で、頭の位置に注意してください。(左図は胸が反るために頭は背中側にあります。右図は上体を前に傾けるために頭が前に出ています。)

2012年7月9日月曜日

2012ウィンブルドン男子決勝 マレーVSフェデラー

2012年ウィンブルドン男子決勝であるマレーVSフェデラー戦の、リアルタイムレポートです。

第1セット。セットの序盤でフェデラーのマシンはマレーのボールへの調整に時間がかかったが、第3ゲームか第4ゲームあたりから足(フットワークも)の微調整も完了。3-3あたりから、フェデラーペースになってきた。フェデラー4-3からのマレーのサービスゲームがデュースに。マレーは、いいファーストサーブを入れ続けないと苦しい状況に。せっかくのゲームポイントでマレーのドロップショットは拾われる。ショートゲームは、よほどでないとフェデラーには通用しない。フェデラーが再度ブレークされてから、フェデラーはバックハンドをハードヒットする作戦に。第1セットはフェデラーが落としたが、このスタイルの変更が、第2セットにどうつながるのか?


第2セット。フェデラーはバックを強打し続けるが、むしろ、フォアハンドがやや打ち負けてきている。マレーがブレークポイントをここまですべてしのげているのは、まさに英国民の後押しか?マレーは、第2セット、ミスが少ない。本来は、フェデラーの方がミスをしてはいけないのだが、マレーのプレーの堅実さが目立つ。ポイントを取られる時も、最低限の抵抗をしている。自分からミスをしない。一方で、フェデラーの深いボールが、やはりまだアウトする。


解説で言っている通り、マレーのコーチであるレンドルはついにウィンブルドンをとれなかった。マレーの夢は、レンドルの夢でもある。マレー5-6の15-0からのショットは、そんなレンドルの想いがこもっているのかもしれない。その後、30-15から珍しいマレーのミスショット。こうなると、深いボールがアウトになるかインになるか、その違いですべてが決まる。しかし、最後、素晴らしいラリーからフェデラーが一本でセットを取る。先日のジョコビッチの時と同じプレーだ。

フェデラーが強いマレーのハードヒットショットに振り遅れることなく対応した時、予想通り、フェデラーのペースになる。第3セットの最初のマレーのプレーがカギとなる。このフェデラーに翻弄されてしまっているか。それとも、自分のプレーを辛抱強く続けることができるか。ミスさえ減らせば、マレーのプレーはフェデラーに十分に通用する。

第3セット。フェデラーの攻撃が多彩になる。解説の土橋さんが言うように、フェデラーのスピンボールの質がよくなって、ボールがバックアウトしにくくなってきている。マレーは、それに合わせてはいけない。正攻法が一番の攻撃力となる。フェデラーがなどのマレーのサーブでブレークポイントまで追い詰める。しかし、マレーはサーブ力で逃げる。このあたりは、力の勝利だ。クレーコートではありえない展開。しかし最後は、フェデラーが逃げ切った。マレーのファーストがかなりの確率で上がらないと、マレーは苦しい。

第4セット。2‐2からフェデラーがマレーのサーブをブレーク。最後のポイントは、第3セットの最後のポイント同じせめぎ合い。このせめぎ合いになると、フェデラーは世界で一番うまいように思う。最後のフェデラーが放ったバックハンドパッシングショットは、このショットを打つためにフェデラーはいったい何本の練習をしてきたのかと思わせた。何本ラリーが続いても、フェデラーはこのバックハンドショットを必ず打つことができる。マレーは、このままワンブレークで敗れてしまうのだろうか。

第4セットの5-3からのマレーのサーブ。よくキープしたが、そこまで。流れを食い止める雰囲気には全くならず、フェデラーの集中力は決勝でも十分に発揮された。アウエーにもかかわらず、このプレー。素晴らしい王者だと思う。ロジャー・フェデラー。

2012年7月8日日曜日

2012ウィンブルドン男子決勝 マレーVSフェデラー(予想)

マレーとフェデラーの決勝の予想。

グランドスラムはこの何大会か連続で、ジョコビッチとナダルが主役であった。2012年のウィンブルドン、久しぶりにこの主役のいないグランドスラム。しかし、さすがだ。今年の決勝の二人は、主役の代わりに主役になれる二人なのだ。


フェデラーは優勝すると7度目のウィンブルドン優勝となり史上最多となる。しかも、優勝と同時に世界ナンバー1となる。


マレーは、イギリス人として76年ぶりの優勝を狙う。なんと、ポロシャツなどで有名なフレッド・ペリー以来の優勝となるのだ。もちろん、私も、フレッド・ペリーのプレーを見たことがない。


この決勝戦の結果を予想するのは難しい。ロンドンオリンピックを控えて、究極のホームであるマレーにどんな風が吹くのか、予想もつかない。


しかし、この試合のポイントはフェデラーだ。フェデラーが高い集中力で、準決勝のジョコビッチ戦と同じプレーができれば、おそらくマレーは翻弄され、一方的な試合にすらなるかもしれない。具体的には、相手の裏をかくボール配球と、ベースライン辺りへの深い球だ。フェデラーは、おそらく、マレー戦でもジョコビッチ戦と同じ戦法をとるだろう。


マレーが力でフェデラーを抑え込もうとしたときに、それができなかったら・・・。流れは確実にフェデラーにとなる。しかし、それ以外の戦法で、マレーが勝利する筋道が見えないのも確かだ。マレーは、観客の応援を背に、フェデラーのコンピュータが狂い始めるまで攻め続けるしかないだろう。

2012年7月6日金曜日

2012ウィンブルドン男子準決勝 ジョコビッチVSフェデラー

2012ウィンブルドン男子準決勝(ジョコビッチVSフェデラー)は、フェデラーのテニスがすばらしかった。

テニスは、深いボールを打つことが基本だという事を、改めて教えてくれたフェデラーのプレーだった。両者のストロークのボールがバウンドした記録を見たらわかるだろう。フェデラーのボールは、大事なところで深かった。ベースラインから1m以内でバウンドした。

そして、もっと素晴らしいのは、ジョコビッチの深いボールを、フェデラーが必ず対応したことだ。試合前から、ジョコビッチのボールは深いとフェデラーは覚悟していたように見えた。そして、深いボールをミスすることなく、必ず打ち返した。しかも、相手のチャンスボールにならないように。

この点が肝心なところで、フェデラーの深いボールに苦しめられたジョコビッチとの大きな違いだった。

体力的には、フェデラーはもうジョコビッチにはかなわない。しかし、リスクマネージメントにおいては、フェデラーは世界でも群を抜いている。

テニスは、エラーをしたらポイントを取られる。エラーをしたら負ける。しかし、世界のこのクラスでは良いショットを打たなくてはポイントが取れない。フェデラーは、ミスをしない一番ギリギリのところでボールを打つ。これ以上狙ったらエラーになる、そのギリギリのラインだ。

ジョコビッチは、このリスクマネージメントに負けた。自分が打ったよいボールがなぜ返球されるのか、その後も攻めきれないのはなぜか、訳が分からず敗退したに違いない。

限界説も飛び交うフェデラーだが、このテニスを続ける限りはまだ十分に戦える。ただし、心技体がベストの状態で整わないと、このタイトロープを渡るテニスを一試合に渡り継続することはできない。これからもフェデラーの集中がどこまで続くのか。ぜひ見てみたい。

2012年6月11日月曜日

2012全仏オープン男子決勝 短いコメント

ナダルの優勢は変わらないにしても、ジョコビッチの最後のポイントで、トスアップした時に大声を上げた観客は許せない。

最後の数ゲーム、ジョコビッチはサービスで優位に立つしかなった。あそこのファーストサーブは、きわめて大切なポイントだった。

あまりにひどい。ゲームを壊した。テニスが分からない観客は、会場にいないでほしい。

2012年5月19日土曜日

A Happy Birthday! Milo!

A Happy Birthday, Milo. It's your 48th birthday. I really hope I can see you someday, and have a chat on your plays at your younger days...   19th May, 2012.

2012年5月17日木曜日

メシールのテニス(72) フォアハンドの軸足

フォアハンドでは、①右足軸上で体が回転する打ち方と、②右足から左足に体重移動をする打ち方があります。①はフラット系、②はドライブ系になります。メシールは、その2つを相手のボールやサーフェス、ポイントで使い分けています。

①と②で、上体の遣い方がどう違うかをメシールのテニス(71)で書きました。

①は打点が右足の前になり、②は左手の前になります。(左足の前と言ってもよいかも。)打点の場所で使い分けるのがよいかもしれません。もちろん、相手のボールに応じてこの二つの打ち方を使い分けることになります。

自分自身のビデオを観ても、上体が立ったまま体重移動なしにスピン系のボールを打とうとしたり、サーブレシーブで無理にスピン系で打ち返そうとしたりしたときは、如実にミスをしていました。このあたりをきちんと使い分けることができるようになると、技術があがると思います。

①と②の区別の図を再掲しておきます。原則的には②(右図)から①(左図)にシフトする方が簡単ですので、ゲーム中は②で構えておくべきです。右図を見てもらったらわかりますが、まるで、「ど根性ガエル」でぴょん吉がヒロシのシャツを引っ張って前に走っているようなイメージです。この際、頭を前に倒さない(①も②も頭は地面に垂直)ように注意が必要です。

2012年5月16日水曜日

メシールのテニス(71) 上体は地面に垂直でよいか?


グラウンドストロークで、上体は立っているか、傾いているか。メシールのイメージは、上体は常に地面と垂直に立っているというものです。しかし、それは、厳密には正しくありません。メシールは、上体を立てる時とやや傾ける時を使い分けています。

図にあるように、上体が立つのはフラット系のボールを打つ場合(または相手のボールがフラット系の場合)、上体が傾くのはドライブ系のボールを打つ場合(または相手のボールがドライブ系の場合)となります。なお、上体は傾いても、頭は地面と垂直です。

  • 上体が立ってボールを打つ場合
    • 相手のボールが速い(フラット系)の場合
    • サーブレシーブ(相手のセカンドサーブが極端に遅い場合を除く)
    • フラット系のボールを打ちたい場合
    • 右足軸回転でボールを打つ場合(体重移動なし)

  • 上体が傾いてボールを打つ場合
    • 相手のボールが遅い場合
    • 浅いボール・アプローチショット
    • ドライブ系のボールを打ちたい場合
    • 右足から左足に体重移動して打つ場合

上体を傾けてボールを打つ場合(すなわちドライブ系のボールを打つ場合)に、注意することがあります。それは、上体を傾けたままでぼーろを打つということではない、ということです。傾いた上体は、フォワードスイングとともに起きてきて、最後、インパクトでは結局は上体は地面と垂直になります。(その際の左手の遣い方に注意。)

私は、フォアハンドのアプローチショットが苦手でした。スライス系のフォアハンドアプローチショットしか打てないのです。その理由はこれでした。上体立ててボールを打とうとするために、ボールにドライブがかからず、ネット(またはバックアウト)してしまっていたのです。

メシールのテニス(70) グランドストロークでの膝の仕事

フォアハンド(バックハンドも同じ)で、上体の遣い方が正しくできるようであれば、次は下半身です。河畔氏をうまく使うことが、安定したグランドストロークには必須です。

では、下半身の仕事は何でしょうか。

上体の動きは、微調整が効きません。ラケット面が1度でもずれると、相手のコートには入りません。腕でボールとの距離を微調整しようなどと言うことはできません。上体の動きは、ボールに合わせて変えることはできないのです。上体の動きは、いつも一定です。

したがって、微調整は下半身で行うことになります。正しい上体の動き(ラケットスイング)ができるようになると、ボールを安定して返球できるかどうかは下半身の動きによって決まります。

まずは、正しい上体の動きを体に身につけます。頭で考えなくても上体が正しく動くまで、体に正しいフォームを覚えこませます。

そうすると、コート上で考えるのは、下半身です。下半身をどう動かすかが、すべてです。「テニスは足ニス」です。足をどう使うかの要点をまとめます。

①ボールが飛んできたら、できるだけ早く、軸足の位置を決めます。右利きでいうと、フォアハンドであれば右足、バックハンドであれば左足です。

②テイクバックでは、膝をダンバーとして使います。膝を柔らかく使うことで、ボールとの距離感の微調整を行うことができます。また、上体のブレを、すべて膝で吸収できます。

③フォワードスイングでは、左手(右利きフォアハンド)が主駆動力ですが、膝の力は副駆動力として使います。同時に、ボールの安定性のためには、この膝をうまく使うことでフォワードスイング時のブレを吸収できます。

②と③の膝が柔らかく使えない(膝が固まる)と、グランドストロークは、途端に不安定になるはずです。これは、ボレーやサービスも同じです。

メシールのテニス(69) サービスの時のトロフィーポーズについて

サービスで、トロフィーポーズは、「タメ」を作るために重要です。しかし、私は、どうしてもこのトロフィーポーズが作れませんでした。左手(トスを上げる方の手)をまっすぐ上に伸ばすと、その後、その左手が体の動きをブロックしてしまってラケットの真ん中にボールが当たらないのです。フォームもバラバラになるのです。

そのため、トスアップで左手がまっすぐ上を向かず、低いところで前に伸びてしまっていました。この不完全なトロフィーポーズでは、体のためができません。サーブがクイックサーブとなってしまい、スピンサーブも打ちにくく、また、サーブが全体に不安定になるという弊害がありました。

これを解決する方法は、トロフィーポーズは一瞬だけ、という原則です。

つまり、トスアップした時には、確かに左手は真上を向きます。しかし、その左手は即座に前に降りてきて、体を回転させる駆動力になります。この、左手による駆動は、フォアハンドの場合と同じです。左手によって、体の回転力を生み出します。

最後、左肩甲骨が張るのも、フォアハンドと同じです。フォアハンドの場合の図はこちらです。

つまり、私のミスは、トスアップの時に左手を上に伸ばしたことではなく、その伸ばした手をそこから前に(即座に)おろしていかなかったことなのです。連続写真や静止画像ではこのトスアップ(トロフィーポーズ)が頻繁に出てくるので、トロフィーポーズをできるだけ長い時間維持したほうがよいのだと、勘違いしていました。

これは、間違いでした。まっすぐにあげた左手を使って体を回転させる。これで、体がスムーズに回転して、スピンのかかった安定したサーブを打つことができるようになります。

これは、スマッシュでも同じことが言えます。

メシールのテニス(68) グランドストローク(フォアハンド)での左手の仕事

図を見てください。フォアハンドでは、テイクバックで、左手が体の前に出てきます。この左手が体の回転を先導することで、フォワードスイングの駆動力になります。さらに、フォワードスイングの最後に、左の肩甲骨が張り出します。左手は、左の腰のあたりに来ます。これは、テイクバックで右の肩甲骨が張り出すのと対称であり、バランスが取れます。

テイクバックで左手が体の前に来る(左図)をすることが、私は苦手でした。ヒットしたボールが、すべて相手のコートのベースラインをオーバーしてしまうのです。フカした感じのボールになってしまうのです。

その理由は、いくつかありました。①テイクバックとフォワードスイングが遅い(⇒ボール飛球に合わせてテイクバックする・ボールがバウンドした時にフォワードスイングを開始する)、②打点が前すぎる(⇒右足の前の一番ボールに力が入る場所で打つ)、③背中が曲がっている(⇒上体を立ててボールを打つ)、④スイングで体が回りきっていない・左手が体の前に残っている(⇒右図のように打った後に左肩甲骨を張る)などができていなかったためです。

フォアハンドでは、どうしても、左手を体の前に置く(左図)が必要です。この左手を、最後に左肩甲骨を張るまで回転することが、スイング(体の軸)の回転を生みます。

左図のように左手を体の前に置くためには、テイクバックで左手でラケットを長く持つことが必要です。「テイクバックは左手で引く」です。

(メシールフォアハンドのGIFアニメーションはこちらです。)

2012年5月6日日曜日

メシールのテニス(67) フォアハンドでは腕に力を入れない

今まで、メシールのフォアハンドの上体の動きを丁寧に追いかけてきました。その分析は、おおよそ的確であったと思っています。私自身、その技術を、数年かけて身に着けてきました。ビデオを観ると、初期のころと現在では、私のフォアハンドは、かなり異なるフォームになっています。つまり、改善され、メシールの技術を身に着けてきているということっです。

コート上では、しかし、それが逆効果になることがあります。正しい上体の動きを身に着けたことが、逆に、正しくボールを打つことができない原因になりえるということです。

それは、膝の使い方です。実際に飛んでくるボールをヒットする際には、上体だけが正しいフォームになっていても、ボールを安定にヒットすることができません。膝の使い方、いわゆるニーワークが必要です。

これは、わかっているようで、実は、大切なことを意味しています。

フォアハンドにおいて、フォワードスイングでは、利き腕(右腕)に力を入れる必要はありません。大げさに書くと、腕には全く力を入れなくてもよいぐらいです。(もちろん、これは比喩ですが、脳内イメージでは、そのぐらいまで腕を脱力してもよいのです。)

ではどこに力が入るか。①膝のばねを使う、②背中(背筋)でボールを打つ、の2点が重要です。さらに、③左手が体を回転させる先導力となります。④ラケットワークでは必ず、ボールを打ち出す方向に押し出します。

上記の①~④だけを考えて、コート上ではボールをヒットすればよいのです。あとは、⑤ボールが飛んでくるのに合わせてテイクバックをし、ボールがバウントしたところからフォワードスイングをスタートする(=振り遅れないように、自らボールを打ちに行く)ことが大切です。また、⑥ボールは右腰で見ます。左手と右腰で体の回転を先導します。①~⑥を守れば、ラケットを振る腕に力を入れる必要はないのです。

今まで、①の膝を使うという点を、明確にはしていませんでした。しかし、よほど打ちやすいボールではない限り、ニーワークなしではボールをヒットする際のアドジャストメント(調整)が困難です。私のミスは、この調整を、上体の正しい動きだけで行おうとしてきた点です。


2012年4月26日木曜日

ラケットインプレッション ダンロップ社NEOMAX2000 (その4)

きっと多くの方が参考にされていると思う増田英明(ますだひであき)さんのラケットインプレサイトで、NEOMAX2000が紹介されましたね。メシールのフラット系とは正反対のプレースタイルの増田さんですが、やはり、このラケットの印象は、他の方々とほぼ同じであるようですね。

スピンがかけづらいラケットですかぁ…私も、そのとおりだと思います。いつも苦労しています!(笑)

「いまだにMAX200GやPRO-2000RIMの感触を追い求められている方はいらっしゃいますか?もしいらっしゃったらかなりビンゴだと思いますが・・・」「はい、まさに私です!(笑)」

NEOMAX3000もインプレ書いてくれないかなあ…。

2012年4月25日水曜日

ラケットインプレッション ダンロップ社NEOMAX2000 (その3)

NEOMAX2000/3000の打ち味というブログ記事を見つけました。しかも、かつてのMAX200Gとの打ち味の比較もしています。その評価は、特にNEOMAX2000とMAX200Gの比較は、私のこれまでの記事(こちらとこちら)よりもずっと的確でした。このラケットに興味がある方には、推薦できる文章です。

うらやましくて死にそうです!(笑)

ブラチスラバ在住の日本人の方のブログで、メシールにレストランで会った話を読みました。ああうらやましくて死にそうです!(笑)

2012年再びブラチスラバへ(1) ナショナルテニスセンター訪問はこちら。
2012年再びブラチスラバへ(2) ブラチスラバの街はこちら。

メシールのテニス(66) ボールを押し出すこととテイクバックを早くとること

フラット系のグランドストローク(メシールのテニス)では、ボールをヒットするときに、ボールを押し出すことがとても大切です。そのイメージは、図に示す通りですので、解説は不要だと思います。このイメージの違いが、結果を左右します。

とくに、体勢が崩されてボールを打つ場合でも、このボールを押し出すイメージだけは守らねばなりません。
右図の誤った場合になるのは、特に、ボールに対する準備が遅い時に顕著です。相手のボールがそれなりの速さの場合です。(遅いボールの場合には、もともと、準備が遅れることがあまりないため。)

ボールに遅れないためには、2点、注意することがあります。

①できるだけ早めに、軸足(フォアハンドだったら右足)を決めること。
②できるだけ早く、テイクバックを完了すること。

①は、どういうことでしょうか。グランドストロークで、自分が打てるところにボールが飛んでくることはめったにありません。これは、走らされて打つという意味ではなく、自分のいる場所のあたりにボールが飛んできた場合でも、体がボールに対して適切な位置関係になるためには、足を動かさねばならないということです。本当に、一歩も動かずにちょうどボールと体の位置関係がよくなるのは、単なる偶然です。

まずは、ボールに対して、軸足をがちっと決めること。これが、ボールをしっかりと打つ(厚い当たりで打つ)ためには必要なことです。相手コートからボールが飛んできた。一番最初に考えることは、まず、そのボールに対する軸足を決めることなのです。

軸足を決める理由は、もちろん、ボールとの位置関係を一定にするためです。ボールに対して近すぎたり遠すぎたりすると、ボールを正しくヒットできなくなる確率は高くなります。できるだけいつも同じスイングでボールを打つためには、できるだけいつもボールと体(=軸足)の距離を一定にせねばなりません。

もう一つの理由は、軸足を早く決めることで、少しでも、②のテイクバックを早くスタートできるからです。軸足を決めずにテイクバックを開始するのは、スイングが不安定になります。(ランニングショットなどの場合は仕方がないですが。いえ、ランニングショットですら、できるだけ、軸足を決めて打った方が安定します。)

②は、実は、私自身が今まで思っていたイメージとちょっと違いました。したがって、ここで、正確に書いておこうと思います。

私は、実は、メシールは、下の左図のような形でボールを待ち、ボールにあわせたタイミングで、さらにテイクバックを取ると思っていました。

相手のボールが遅い場合には、それでも問題がありません。が、一定レベル以上のスピードでは、それでは間に合いません。

したがって、正解は、早く下の右図のようにテイクバックをしてボールを待つ、ということです。そうでないと、スイングがボールに対して遅れてしまいます。つまり、下右図のようでないと、上図のようにボールを押し出すことも間に合わないのです。

もしかしたら、下右図のようにテイクバックすると、待っている間に力が入りすぎるのではないかと心配するかもしれません(実は、私はそう思っていました。)しかし、そんなことはありません。相手のボールがある程度早いという前提の話ですから、この形でボールを待つのはほんの一瞬なのです。待ちすぎて力が入るというようなことは、ありません。また、相手のボールが遅い場合でも、例えばチャンスボールのショットなどは、実は左ではなく右のようにボールを待った方がよいことも、コート上で確認しました。意外に、待っている間に腕に力が入りすぎたりはしないようです。

メシールのテニス(65) ドライブボレーの打ち方

ドライブボレーの打ち方をとある方に教わりました。メシールのテニスとは関係ないのですが、なるほどと思ったので書いておきます。今回も、テニス技術としてはそんなの当り前という話なのかもしれません。

ラケットには、スイートスポット(ボールを打つべきポイント?)があるそうです。中心と、ラケットヘッド側と、ラケットのグリップ側だそうです。

もちろん、通常は、中心のスイートスポットでボールをヒットします。しかし、ドライブボレーは違います。ドライブボレーでは、ラケットヘッド側のスイートスポットでボールを(ひっかけて)打つそうです。これは、私は初耳でした。

さっそく、コート上で試してみました。で、なんと、今まで苦手だったドライブボレーが、どんぴしゃと打てるではないですか。まさに、目からウロコ。

これまでは、(ラケットを振って)ドライブボレーをすると、ネットするかアウトするか。もともと、フラットドライブ系でボールを打つ私は、ボールにドライブをかけることができないので、ドライブボレーは打てないものなのだと思っていました。

しかし、打点を意図的にラケットに先にしてヒットすると、うまく相手のコートに入ります。

どういう原理か、まだ理解できていないのですが、あまりにうまくいくので、まあ、結果オーライだと思うことにしました。(原理を理解するのが大好きなのに、うまくいくことは理屈抜きで取り入れてしまっています(笑)。)

ラケットヘッド側でボールをひっかけて打つ時には、ボールを腰で打つ(フォアハンドは右腰、バックハンドは左腰)と組み合わせると有効です。一度お試しあれ!

ところで、グリップ側のスイートスポットで打つのはどんな場合でしょうか…?ええと…。勉強してきます!!恐らく、ドロップボレーやドロップボールの時ではないかと思っているのですが…。どなたか、教えてください!

2012年4月18日水曜日

メシールのテニス(64) スピンサーブの打ち方


メシールのテニスに限った話ではないのですが、スピンサーブの打ち方について、最近、発見した方法を紹介します。(「そんなの常識!」かも知れませんが。)

一般には、トスを上げたボールのどの場所を打つかということで、スピンサーブやスライスサーブの打ち方を説明することが多いようです。私も試しましたが、どうしても、スライス系の癖が抜けません。(もともと、野球をやっていたので、腕の遣い方がスライスサーブの遣い方になっているからかもしれません。)

で、スピン系サーブが打てないのがどういう理由かというと、どうやら、テイクバックでラケットヘッドを下げた状態の時に、ボールを打つ側のラケット面が自分の背中の方向を向いていること。言い換えると、ラケット面がネットの方向や、まして背中と反対側を向かないこと。

これが、スピンサーブを打つ際のポイントとなります。

ラケット面でイメージしにくければ、右手(利き腕)の手の甲でも構いません。ラケットヘッドを背中で落としたときに、手の甲が、背中に対して外を向かなくてはなりません。手首を折ってしまい、背中の方向を向いてはいけません。

そのためには、右手の肘を高く(上向きに)上げることが有効です。右脇を大きく開いて、肘を高く上に突き出すと、右手の甲は外を向きやすくなります。

後は、そのまま打つだけです。腕は斜め(野球でいうところのスリークオーター)にはならず、スライスボールにはなりません。スイングが「縦振り」になりますので、スピンサーブが打ちやすくなります。というよりも、自ら、スライス系では打てないフォームを選んでいることになります。スライスサーブは、逆に、この方法では打てないはずです。

後は、どれだけ強くボールを打つかです。強く打てば打つほど、ボールのスピン量は増えることになります。

2012年4月17日火曜日

メシールのテニス(63) バックハンドの基本

珍しく、バックハンドについてです。しかも、とても基本的なことです。

今日、気が付きました。バックハンド(右利き)は、左手でスイングするのです。言い換えると、左手でスイングをして、左手でボールを押し込んでいきます。微妙なコントロールも、左手で振る感覚で作るのです。

私は、今日、それに気が付きました。今まで、どういう感覚でボールを打っていたのだろうかと思うぐらい、ボールを自分のペースで打ちやすくなりました。特に、早いサーブのリターンでは、今までは面を作って押し出すだけだったのが、ある程度、ボールコントロールもできます。

もちろん、これは、メシールのような左手主導型の両手バックハンドの場合の話です。右手主導型の場合は、別になります。

2012年4月8日日曜日

メシールのテニス(62) 早いテイクバックと力が入る打点

メシールのテニスについて、フォアハンドを中心に、そのフォームについて述べてきました。

そろそろ、(私のレベルアップに合わせて)フォームからコート上でのボールの打ち方に、話題をシフトしたいと思います。これは、つまり、話題がメシールのテニスから、一般的なものになってくるということです。メシールのテニスは、フォームは独特なところがありますが、コート上でのボールを打つ技術は、テニス共通だからです。

メシールのテニスでは、早いテイクバックが大切です。いや、どんなテニスでも、速いテイクバックが必要です。

テイクバックが遅くならない方法として、以前、ボールに合わせてラケットを引くということを書きました。まさにこれです。ボールが飛んでくるのに合わせてラケットを引き、バウンドするタイミングでフォワードスイングを開始します。

ここで大切なことは、相手に走らされて打つ場合でも、同じだということです。この場合、走るという行為とテイクバックという行為を、同時に行うことになります。走る(ボールに追いつく)方に集中してしまいがちですが、ボールに合わせてテイクバックを取ることを忘れてはいけません。

(ちなみに、私は、フォアハンドでこれを忘れることが多いので、フォアサイドに走らされて打つショットが苦手です。)

さて、インパクトです。上のように時間的余裕をもってテイクバックを取った場合には、一番力が入る場所でボールをヒットしましょう。メシールのような薄めのフォアハンドグリップでは、力が入る打点は、比較的後ろの方です。前回の「フォアハンドは右腰で打つ」の理屈から言うと、力が入るポイントは右足のつま先の延長線上です。

厚いグリップの打ち方と比べると、ずいぶんと後ろになります。が、それでよいのです。一番力が入る打点で、しっかりと厚い当たりのボールを打つことが、何より大切です。

2012年4月7日土曜日

メシールのテニス(61) 腰でボールを見る

あなたの方にボールが飛んできた。さて、あなたは、どこでボールを見ますか?

目という答はもちろん正解ですが、そういう意味ではありません。

体のどの部分でボールを意識しますか、ということです。

正解は、腰です。フォアハンドは右腰。バックハンドは左腰。

そして、ボールを打つためのフォワードパワーも、腰です。腰で、ボールを打つのです。

これは、メシールのテニスだけではありません。テニスにおける、グランドストロークの基本です。

2012年4月4日水曜日

Dunlop Biomimetic Max 200G

あまりギアの事を書かないこのブログですが、私のお気に入りのラケットであるNEOMAX 2000Gの対抗馬(?)が登場しました。しかも、同じDunlop社から。

Dunlop Biomimetic Max 200Gです。

以前から、ネット上でもこのラケットをマッケンロー(今の)が使っている写真と一緒に掲載され、「近い将来、MAX 200Gの後継機種が登場か」と書かれていました。その機種が、いよいよ登場したということでしょうか。

使ってみたい…と思っているのですが、NEOMAX 2000Gとおなじなのでしょうか。違うのでしょうか。ラケットフェースは98インチと共通ですが、Dunlop Biomimetic Max 200GはComposition: HM6 Carbon/Aerogel/Graphiteと、素材は異なるようです。

以前、Dunlopから出たMaxply McEnroeが、MAX 200Gとは全く異なるラケットでがっかりした経験があるので、今回も、予断を許さないような気がします。(とはいえ、今回は、はっきりとMAX 200Gとネーミングしたのですから、さすがに、Maxplyよりは…。)

2012年4月1日日曜日

50歳を前にまだ上達できるということの素晴らしさ

私事(わたくしごと)ですが、現在、48歳です。すでに、若いころの柔軟さはなく、50肩に悩まされながら、しょっちゅう足がつりながら、毎週のようにラケットを持ってコートに立っています。

シングルスをすることが多い(テニス日記はこちら)ですが、相手の多くは30代か、40代前半の人です。私よりも若い人たちが、軽いラケットを使って、スピンが効いたボールを、ベースラインから打ちあいます。その中に、重いラケットを持って、フラット系の私が、しなやかさを失った体で挑んでいきます。

今日、私は、先日、負けた相手とゲームをしました。今日は勝ったのですが、勝ち負けではなく、とても感動したことがありました。

私は、まだ、上達しているのです!

先日、負けた時には、思うように打てずに負けてしまいました。しかし、今日は、明らかに、自分のイメージでボールが打てています。少しずつ、本当に少しずつですが、このブログ(メシールのテニス)で考えてきたことが、実現できるようになりつつあります。

50歳を前に、私のテニスは、まだ上達しているのです!

この年齢は、普通は、スポーツの世界では、プロはもちろんですが、アマチュアスポーツであっても、下降線をたどる年齢だと思います。ゴルフなどと違って、体全体を動かすスポーツですから、年齢を重ねて体が動きにくくなってくるのは、不利であるはずです。今までは勝っていた相手に勝てなくなる…という年齢です。

しかし、私は、まだ、今まで負けていた相手に勝てることがある。つまり、上達しているのです。このブログ(メシールのテニス)で書き続けている通り、日々、メシールのテニスを研究し、それをコート上で実現しようとしてきました。そして、たしかに、私は一つずつ、長い時間をかけて、技術を身に着けてきています。一歩ずつ、前に進んでいます。

体力は、体の動きは、これからも下降線をたどり続けるでしょう。しかし、並行して、私はメシールのテニスを研究し続けます。その結果、技術はまだまだ、身に着くと信じています。このマイナスとプラス。どちらが上回るのか。私は信じています。メシールのテニスは、たとえ身体的には動きが悪くなったとしても、十分に通用するテニスであると。だから、私は、まだまだ上達できると。

50歳でもまだ上達できる。とても素晴らしいことに思えるのです。

2012年3月29日木曜日

メシールのテニス(60) 再びフォアハンドの基本(テイクバックでのタイミングの取り方 その2)

テイクバックでのタイミングの取り方は、メシールのフォアハンドでは、意外に難しいのです。実は、メシールのフォアハンドテイクバックは、2段階から構成されます。

メシールのテニス(59)で書いた大きなテイクバックと、その後の小さなテイクバックです。

相手のボールが遅くて余裕があるときには、メシールのテニス(59)で書いた大きなテイクバックを取ります。相手のボールが速くて余裕がない時には、大きなテイクバックを取る時間的余裕がありません。

どちらの場合にも、小さなテイクバックを取ります。小さなテイクバックというのは、拳銃の引き金のように、ボールを打つ直前に、体(肩)を時計方向(ボールをヒットするのと逆方向)にひねります。その反動で体は時計反対方向(フォアハンドを打つ方向)に回転し、その勢いでボールを打ちます。

この小さなテイクバックは、ショートラリーの時でも、速いサーブのリターンでも、行います。(メシールのフォアハンドリターンでは、速いサーブの場合であっても、小さなテイクバックなしのブロックでリターンしてはいけません。)

小さなテイクバックでは、背筋を使います。
小さなテイクバックでは、自然と左腕が先導します。

2012年3月27日火曜日

メシールのテニス(59) 再びフォアハンドの基本(テイクバックでのタイミングの取り方 その1)

フォアハンドストロークを改造中です。年がら年中改造中なのですが、マイナーバージョンアップではなく、メジャーバージョンアップです。

どこを改造中か。

テイクバックを大きくとり、大きくスイングするフォームに改造中なのです。

メシールのフォアハンドのイメージは、小さなテイクバックでラケット面を作り、ボールを運ぶように打つというものですが、実はこれは、全く間違いです。

確かに、多くのスピン系プレーヤーほどの大きなテイクバックではないですが、しかし、たとえばコナーズやマッケンローのような小さなテイクバックで、ブロックするようなフォアハンドとは、本質的に異なります。

小さなテイクバックのフォアハンドには、スイングを相手のボールに合わせる必要がないという利点があります。テニススクールでよく言う「ボールが飛んできたら、早くラケットを引きましょう」という必要がないのです。

スピン系プレーヤーは、ボールに合わせて大きくテイクバックを取りますので、「早くラケットを引いてボールに合わせてスイングする」というのは、基本中の基本です。

メシールのようなフラット系フォアハンドは、フラットであるにもかかわらず(コナーズやマッケンローと違って)ボールに合わせてラケットを引く必要があるのです。そこが盲点で、このことに、案外気が付かないものです。

メシールのフォアハンドでは、「早めにラケットを引き、テイクバックのタイミングを、ボールを打つタイミングに合わせる」打ち方がポイントになります。

つまり、「スイングでタイミングを取る」ことが必要なのです。

そのために、いくつか気を付ける点があります。これまでにも何度も書いていることもありますが、まとめてみます。

1)ボールの飛球線に対して、体を十分に左側に持ってくること。テイクバックでは、両肩を結ぶ線とボールの飛球線が平行になるイメージです。

2)体の中心を背中の腰骨あたりにおくこと。背筋でもなく、足でもありません。意識を、腰骨に置くのです。これにより、背筋でボールを打つことと、上体を寝かさないことが、無意識にできるようになります。

この1)と2)は、同時にフォワードスイングを左手で主導することができるようになるという点で有効です。フォワードスイングは、絶対に、どうしても、左手の先導(船頭?)が必要です。右腕でボールを打つと、右腕に推進力とコントロールの2つの役目を負わせることになり、その分だけコントロールが不安定になります。

上記の1)と2)に加えて、「早くラケットを引きテイクバックでタイミングを調整する」「ボールをヒットする際に左足を踏み出す」などを加えることで、きれいで無駄のない、力の入らないフォアハンドストロークが完成します。

そうです、スイング中には腕に力が入ってはいけません。

腕に力が入らないためには、①レディーポジション(テイクバックでも)で肩の力を抜く、②ラケットを両手で持ち、できるだけ下の方で構える(腕をだらんと下げる)などが重要です。②は、より正確に書くと、へその前に両手のグリップを置くということです。常に、右手と左手は、へその前になります。

これにより、スイング中に背筋をたっぷり使い、できるだけ腕の力を使わないスイングが完成します。試合(ゲーム)でこの打ち方をするのはなかなか勇気がいるのですが、練習で意識することで、このような打ち方が段だできるようになるのです(なるはずです・・・)。

上記のすべてが、無意識にできるようになった時に、この、メジャーバージョンアップは完成と言ってもよいでしょう。それは、メシールのフォアハンドの完成に、限りなく近いのではないかと思います。

メシールのテニス(58) ドロップボールの処理(フォアハンド)

メシールのテニスの特長(特徴?)の一つは、ラケットが(異様に)重いということです。重いラケットでボールにパワーを与えます。メシールのテニスを目指す私のラケットは400gですが、もう少し重くてもいいかなという感じです。そのせいで、よく、周りの人に「軽く打っているように見えるのにボールが重い」と言われます。

これは、重いラケットの利点の一つです。しかし、重いラケットには、弊害もあります。その弊害の一つが、ネット際のドロップボールの処理です。

軽いラケットで強いスピンをかけて打つプレーヤーであれば、ネット際のボールをスピン系で強く、深く打つことができるでしょう。

しかし、私のようなフラット系でしかも重いラケットでは、速くラケットを振る(しかも、ボール進行方向に垂直に振る)ことは難しいのです。

その結果、ボールの処理は、どうしてもスライス系になり、ボールの滞空時間が長くなります。相手が、私の頭の上をロブで抜くには、絶好のボールになってしまいます。

ドロップボールをドロップボールで返すというのも一つの方法ですが、ボールに十分に追いついていない場合には、自分のネットに向かう勢いがボールのスピードを殺すことを難しくします。悲しいかな、年齢を重ねると、脚力もだんだんと衰えてきます。(歳をとってもドロップボールを打つことはできますが、拾うのが難しくなるのです…。)

さて、ではどのような対策があり得るのか。正直なところ、よく分かりません。

今、考え着くのは、次のいくつかの方法です。

1)できるだけ長く左手でラケットを持つこと。これにより、走りながらでもラケット面がぐらつきにくく、ボールを思う場所に運ぶことができる。
2)品位に欠けるのでいやなのですが、ラケットを短く持つ。これで、ボールをコントロールしやすくなります。
3)ボールの飛球線に対して、体を十分に外に持ってくること。ボールの打点が後ろになるので、その分だけ時間を稼ぐことができ、また、ボールの方向を隠すこともできます。

1)~3)のどれが有効なのか。今度、テニスコートで試してみます。

メシールのテニス(57) グリップの握り方(フォアハンド)

たかがフォアハンド・・・なのに、いくらでも書くことがあります。不思議です。

今回は、グリップの握り方について書きます。

皆さんは、フォアハンドグリップで、小指の外側に、どの程度ラケットエンドを余らせているでしょうか。または、どのぐらい、グリップエンドいっぱいまで握っているでしょうか。

現役時代のメシールのラケットは、驚くほど重かったそうです。私は、日本人男性としては平均か少し小柄な方(身長は168㎝)ですが、それでも、400gぐらいのラケットを使っています。おそらく、メシールは、450gとか、もしかしたら500gとかだったのではないかと思っています。(メシールの使っていたラケット、目の前にあったのに、ガラスの中でした。持ってみたかった…。)

私は、メシールは、ボルグと同じように、ラケットエンドを手で包み込むようにもって、ラケットの重さを最大限使って、遠心力でボールを加速してヒットしていると思っていました。ボルグのそして、自分でも、同じようにラケットエンドが小指の付け根あたりにあたるぐらい(=ラケットエンドが掌の中に来る)ように、フォアハンドグリップを握っていました。

しかし、あまりにボールが不安定であったため、ふと、逆に、少しだけグリップエンドを余してラケットを持ってみたのです。で、試にコートでボールを打ってみたら…。

驚きました。ボールのコントロール性がとんでもなく良くなったのです。手首はあまり使えなくなりましたが、手のひらの小指と薬指の付け根あたりがしっかりとラケットグリップ面を感じて、スイングでラケット面のぐらつきがはるかに少なくなったのです。

極端に言うと、ボールを打つ時に、ほぼ思ったところにボールを運ぶことができる感じ…というと、言い過ぎかもしれませんが、それに近い感じです。特に、ネットを挟んでのショートラリーで、その効果がはっきりとわかります。

手首を使ってヘッドスピードを出すことができなくなったために、心なしかボールスピードは落ちたかもしれません。しかし、その代わりに得たフォアハンドストロークの安定感は、多少のスピードを犠牲にするだけの価値があるモノでした。(もともと、ラケットが十分に重いので、その程度のヘッドスピードの犠牲は、たいしたことはないと思います。)

今まで、どうして、こんなことに気が付かなかったのか、不思議でしょうがありません。どこか、ボルグのフォアハンドのイメージが頭にあったのでしょうか。

もしかしたら、現役時代のメシールのフォアハンドは、ボルグと同じグリップの握り方だったのかもしれません。もしそうだとして、私は、この握り方については、自分の見つけた握り方で打ちます。メシールのテニスは、100%メシールをコピーすることが大切なのではありません。それほどまでに、今回の発見は、“目からうろこ”でした。

2012年2月9日木曜日

2012年再びブラチスラバへ(2) ブラチスラバの街

2012年再びブラチスラバへ(1) ナショナルテニスセンター訪問の続編です。今回は、テニスとは関係のない、ブラチスラバの街の様子についてです。以前(2011年)にもレポートしているので、重なる内容も多いのですが…。

まずは、ナショナルテニスセンターそばの道路で撮影した写真です。目立つビルがありますが、何のビルなのでしょうか。


写真ではわからないと思いますが、実は、すごく寒かったです。寒くて寒くて、よく市民は道を歩いているなあと感心しました。私も結構な防寒装備だったのですが…。


こうやって写真を並べただけでは、あの寒さが全然伝わらないのが不思議です。これで、-8度ぐらいだそうなので、もっと寒いとどうなるのでしょうか。ナショナルテニスセンターは、この写真の左の方にあります。左前方に照明が見えますが、これは、サッカー場の照明です。おそらく、ブラチスラバで(ということはスロバキアで)一番大きなスタジアムだと思います。


写真をいくら並べても、あの寒さは伝わらないですね。こんな寒い街で生活をしている人たちの暮らしはどんななのだろうと、ふと思いました。


時間が前後するのですが、上の写真は、夜のブラチスラバの街の様子です。ナショナルテニスセンターのそばの電停で撮影しました。街は、特別な場所を除くと、いや、一番賑やかなところですら、こんな感じです。暗くて静かで…。言い換えると、街中にはにぎやかなところはない、と言ってもよいかもしれません。どんな街でも、人が、若者がたむろして騒いでいる場所があると思うのですが、ブラチスラバには、少なくとも建物の外には、そんな場所がないのではないかと思います。これも、気温が低く、寒いからでしょうか…?それだけではなく、スロバキアの人の気質のようにも思うのです。

時間になったので、ブラチスラバ中央駅(Railway Station)に戻りました。実は、前回も同じ体験をしているのですが、駅になかなか戻れないのです。市内にはバスと路面電車が走っているのですが、路線が複雑で、しかもマップにすべての電停名が入っていないので…どこで何に乗り換えたらよいのかが分からない。悪戦苦闘して、車内で声をかけてくれたおばさん(ありがとうございました!)に助けてもらったりしながら、2回乗り換えて、なんとか駅に向かうことができました。(201とか206とかいう駅を通る巡回路線があるのは、京都みたいですね(笑)。)


下の写真は、やっとたどり着いた、ブラチスラバ中央駅の駅舎の様子です。ええと…一つの国の首都の中央駅で、こんなに小さな駅は、珍しいのではないでしょうか。日本でいえば、金沢駅の方がはるかに大きい駅です。比較するなら、愛媛の松山駅ぐらいの感じです。(松山市で一番賑やかなのは、実は、私鉄の松山市駅です。)



プラットホームの数も少なく(6番線までだったように思います)、電車の本数も上の写真ような感じです。REX 22:46というのがありますが、私が乗ったのはひとつ前の便(左側で、写真で見づらい)で、20:46発です。この時間は、ウィーンへの便は2時間に1本ということになります。そして、駅を発車する本数も、全部あわせても1時間に3,4本程度だということが分かると思います。


時間が余ってしまい、駅舎の2階の待合室で、1時間ぐらい待つことになりました。上の写真は、待合室の入り口です。時差ボケですぐに眠くなってしまい、椅子に座ってうとうとしていると…、警察官が来て私を起こし、「寝てはいけない、切符を見せなさい」と。どうして寝てはいけないのかよく分かりませんでしたが、ホームレス対策なのでしょうか?そういえば、ブラチスラバでは、ホームレスを見かけることはありませんでした。(ウィーンでは見かけました。)もちろん、この寒さでは、道で生活することは絶対にできませんが…。



上の写真は、駅の外の様子です。駅の周りも、暗くてさびしいのです。やはり、JR松山駅前を思い出しました。(繰り返しますが、松山市駅前は、にぎやかです。)しかも、「暗い」のです。この感じは、これまでに私が行ったことがある街でいうと、ウクライナのキエフやドイツのベルリン(ただし、旧東ドイツ側)を思い出します。旧共産圏の街は、どこも、この「暗さ」が夜になると際立ちます。(キエフは、にぎやかなところはそんなには暗くなかったかもしれません。)



さて、ウィーンに帰る電車(REX)に乗りました。(ウィーンからブラチスラバに入ったのです。)約50分の小旅行です。REXの中の様子。お客さんは多くはありませんでした。途中で二回も「切符拝見」をされましたが、どうやら、スロバキアとオーストリアと、乗務員が代わるようです。

二つの国の首都を移動することを考えると、あまりにも短い列車の旅ですね。17ユーロの往復チケットで、片道1時間足らず。大阪・名古屋間よりも近い首都間の旅でした。

ウィーンからの日帰りのブラチスラバ訪問ですが、スロバキアでは、日本人はもちろん、アジア人を見かけることもありませんでした。日本からは遠い国、スロバキアです。帰りの電車の中では、現地の人に「ニイハオ」と声をかけられました(笑)。

2012年2月8日水曜日

2012年再びブラチスラバへ(1) ナショナルテニスセンター訪問


2012年再びブラチスラバへ(2) はこちら。


昨年も訪れたスロバキアの首都ブラチスラバに、今年も来ました。ブラチスラバ駅の待合室は、Free WiFiがあるので、持参したラップトップPCをインターネット接続して、待合室で書いています。つまり、まだ、これを書いている今、まだ、ブラチスラバにいます。

今回、ブラチスラバのナショナルテニスセンターである、Sibamac Arena(アリーナ)に行ってきました。スロバキアのテニスの中心的な会場です。下の写真はアリーナの外観です。写真からではわかりにくいと思いますが、気温は-8度で、「耳が切れるほど寒い」という言葉がぴったりの寒さでした。バスを降りて会場まで歩く間、本当に耳が切れるかと思いました。



アリーナの建物の中は複数階になっていて、外から見た以上に大きな建物でした。で、それぞれの階にテニスコートがありました。特に1階は、観客席がある多目的会場があり、今日はバトミントンで使っていました。イベントがあるときは、イベント会場になりそうです。

今日は2012年2月7日なのですが、実は2月4日~5日に、FedCupがあったようなのです。(日本でも同じ日にやっていましたね。ちなみに、日本が勝った相手は、紛らわしいですが、スロベニアです。スロバキアではありません。)

下の写真にあるように、アリーナの2階にもテニスコートがあります。2階だけで、全部で5、6面あり、ハード(カーペットかも?)のサーフェスでした。一般の人がテニスを楽しんでいましたが、平日の午後(夜ではない)ですので、特別な人たちなのかもしれません。ジュニアが練習しているコートもありました。



下の写真は、アリーナのすぐ横のテニスコートです。かなりの面数があり、雪のない季節には練習や試合をしているのだと思います。ほとんどのコートは雪をかぶって使えない状態ですが、数面だけ、エアドームになっているコートがありました。おそらく、エアドームは雪の季節だけ使っているのだと思います。コートの中をのぞいてみましたが、ジュニアや一般の人たちが練習をしていました。スロバキアでは、テニスがどのぐらいポピュラーなスポーツなのかはわかりませんが、この寒い中でも、平日の昼間からテニスを楽しむ人がいることは、間違いなさそうです。エアドームは、写真で分かりませんが向こう側にも1つあり、全部で2つでした。エアドームの中は、下の写真のような感じで、屋根は低いですが、テニスは十分にできる広さでした。

敷地内のコートのそばに、小さな、4階建てか5階建ての建物があります。よく分らないのですが、どうも、スロバキアのテニス協会の建物のようなのです。言葉がわからないのですが、事務室(事務局?)のような部屋があり、「もしかしてこの部屋の中に…」などという、もう、全くミーハーな気持ちになったりもしました。



この建物の2階にはレストラン(パブという方が正しいかも)があり、10時から22時まで(こんな事務局ようなビルの中で、ずいぶんと遅くまでやっているレストランですね)と開いていたので、入って、ビールを飲んで店内をうろうろしてみました。テニスの写真やラケットなどが飾ってある中で、ふと見ると、ミロスラフ・メシールが使っていたラケットが、サイン入りで飾ってありました。ガットが切れているので、使い終わったものを”寄付”したのでしょう。




他にも、いろいろな選手のラケットがサインと一緒に展示してありましたが、このラケットだけがガラスケースに入っていました。やはり、どうやら、メシールは、今でもこの国のテニス関係者の中では、今でも特別な存在のようです。それはそうですね。オリンピックで優勝したという実績は、スロバキアのテニス選手としては異彩を放っているでしょうから。ネット上で、以前、テニスの大会のストリンガー経験者が、「メシールのラケットは、異様なほど重かった」と書いているのを見たことがあります。私自身は今、400gぐらいの重さのラケットを使っているのですが、メシールのラケットがどれほど重いのか、体験してみたかったのですが、残念です。

廊下には、上のようなこんな「おふざけ」ポスターがありました。現役を引退してずいぶんになるメシールが、いまだ「センター」にいるのは、逆にちょっとさびしいようにも思います。おそらく、今でも、スロバキアテニス界の精神的支柱になっているのでしょう。



さて、アリーナの中です。いろいろな展示がありましたが、貢献が大きかった人の名前のパネル(表彰者パネルのようなもの?)があり、もちろん、ミロスラフ・メシールの名前もあります。また、アリーナの1階には、表彰パネルの他にもテニスショップ(なぜかボルクルのラケットばかり売っていました)やレストランがありました。stageというそのレストランで、一人で夕食を食べました。


スープは、以前も書いたことがありますが、まずいわけではないのですが、家庭で作ったようなあまり工夫のない、シンプルなコンソメの味付けのスープでした。(この、細い麺と人参が入った野菜スープは、スロバキアのポピュラーなスープの一つのようです。ゼレニノヴァー・ポリエウカ (Zeleninová polievka)という名前だそうです。)ネットで見ると、スロバキアではカプストニカ(Kapustnica)という燻製の豚肉ソーセージ、キャベツ、きのこの入った温かいスープが有名だとか。食べ損ねました。



メインディッシュはサーモンにしたのですが、こちらは料理に工夫があり、とてもおいしく、また量も多かったです。(下の写真ではあまり大きく見えませんが、このサーモン、結構な分量がありました。)ただ、これは特にスロバキアの料理というわけではなさそうです。


ビールもあわせて、17ユーロぐらいでした。

(2)ブラチスラバの街に続く。


2012年1月23日月曜日

李娜(Na Li)の全豪オープンテニス2012

今日、全豪オープンテニス2012で中国の 李娜 とベルギーのクライテルシュのゲームを、WOWOWで観戦しました。 李娜 は4本のマッチポイントをモノにできず敗退してしまいました。
2011年の全仏オープンで、中国人として、アジア人として初めて優勝した李娜 。その後、その明るいキャラクターが影を潜めているように見えるのが心配です。

実は、クライテルシュと李娜は、テニスのスタイルも、年齢も近い二人です。二人とも30歳前後で、テニスの世界ではベテランと言ってもよいでしょう。クライテルシュは4回、李娜は1回のグランドスラムタイトルを持っています。クライテルシュは、それだけのキャリアの中、出産後にテニスシーンに戻ってきました。李娜が、自分もいつか子どもを持ちたいと思っているかどうかは分かりません。しかし、おそらく、李娜にとってクライテルシュは、テニスのキャリアでも、人生のキャリアでも、(良い意味で)刺激を受け、学ぶところが多い選手ではないかと思います。

今日の二人の試合は、テニスの試合でありながら、コート上に、何か、そのような二人の見えない意識が流れていたように、私には思えてなりませんでした。もちろん、テニスのゲームはゲーム、そこには、言葉の上での会話はありません。しかも、この顔合わせは、実は、昨年(2011年)の決勝戦の顔合わせでもあり、テニスの試合としての互いの意識は、かなり強いものがあったでしょう。

とはいえ、その二人が早いラウンド(4回戦)で当たるほど、今のテニスは若い世代にトップがシフトしてしまっています。その中で、この、家族を持ちながら世界のサーキットを回っている二人のベテランが、そういうテニスの戦い方もあるのだということを見せてくれることは、それだけで素晴らしいことだなと思うのです。

2012年1月17日火曜日

メシールのテニス(56) フォアハンドのテイクバックでどの関節を使うか?

腕には、3か所の関節があります。肩、肘、手首です。

さて、メシールのテニスでは、どの関節を使うか。特に、フォアハンドテイクバックからフォワードスイングに焦点を絞ります。

正解は、肩⇒肘⇒手首の順です。つまり、メシールのフォアハンドテイクバックでは、肩、すなわち肩甲骨を大きく動かします。一方、肘はあまり使いません。肘の角度は、大げさに言うと、テイクバックからフォワードスイングの間、あまり変化しないのです。

一方で、肩甲骨は大きく使います。スイングの重度は、すべて、肩甲骨が使う感じです。肘と手首には、自由度をあまり与えません。

メシールのテニス(55) テイクバックでラケットヘッドはどこを向く?

ロジャー・フェデラーのフォアハンドは、セミイースタン(イースタン)グリップで、今(2012年)のテニスでは、メシールに近いのではないかと思っていました。しかし、やはり、かなり違うようです。
それは、テイクバックでの、ラケットヘッドの向きです。


図を見てほしいのですが、メシールのテニスでは、フォアハンドのテイクバックで、ラケットヘッドは下を向きます。(真下というほどではないですが、水平よりははるかに下向きです。)それと比べて、現在の、ほとんどのプレーヤのテイクバックでは、ラケットヘッドは上を向いています。

例えば、フェデラーのフォームを見てみてください。静止画なので分かりにくいですが、これは、フェデラーの練習時のフォアハンドのテイクバックです。上の図のラケットヘッドが上を向いているのと同じであることが分かります。
メシールのフォアハンドでは、同じテイクバックで、ラケットヘッドが下を向きます。その後、(特に、腰よりも高い位置のボールでは)体の後ろでヘッドが立ってループスイングになります。(ボールが腰よりも低い場合には、ループではなく直線状で打つこともあります。これは、スピンよりもフラット系の場合です。)

私が、メシールのフォアハンドが「美しい」と感じるのは、どうやら、この点にあるようです。とはいえ、なぜ、テイクバックでラケットヘッドが下を向くと「美しい」と感じるのかは、まだ、自分でもよく分からないのですが…(笑)。ただ、(当時)メシールのストロークは、「懐が深い」と言われていた理由が、これであることは間違いありません。

いずれにしても、こんなテイクバックをするプレーヤーは現代テニスでは、ほとんどいないのですから、言い換えると、私のブログは、ほとんどのテニスプレーヤーには役に立たないということになるかもしれません(笑)。でも、不思議です。このフォアハンドは、それほど理にかなっていないとも思えないのですが、なぜ、今、こういうテイクバックをする選手がいなくなってしまったのでしょうか。懐の深いストロークが打てるはずなのですが…。

かつては、レンドルも、コナーズも、程度は違えど、同じようなテイクバックだったのです。また、今のプレーヤーでも、バックハンドはヘッドを落として引く選手はたくさんいるのです。

2011年12月30日金曜日

メシールのテニス(54) レディーポジションにおけるラケットの位置(ラケットヘッドの向き)

今回は、レディーポジションにおけるラケットの位置(ラケットヘッドの向き)について書きます。

テニスでは、初心者があるレベル以上になると、レディーポジションでは、必ずラケットを両手で持つようになります。

いきなり余談ですが、市民大会やその他の機会に、初めての相手と対戦することがあります。その相手の技術レベルを早く理解することが、ゲームを有利に運ぶポイントの一つです。(相手を過小評価しても、過大評価しても、試合にとってよいことはありません。)

私程度(中級~中上級)のレベルの場合、レディーポジションにおいて片手でラケットもつ相手であれば、まず負けることはありません。これは、とても分かりやすい「相手の技量を判断する指標」の一つです。

さて、このレディーポジションでのラケットの位置について考えます。

図を見てください。ラケットヘッドが、10時の方向を向いているか、0時の方向を向いているか(図では0時少し前になっていますが。)。メシールのテニスでは、0時の方向が正解です。0時の方向にラケットヘッドが向いているのは、フォアハンド・バックハンドのバランスという意味で当然のように思いますが、メシールの場合は、もう一つ、フォアハンドストロークにおいて、とても重要な理由があります。

それは、フォアハンドデーボディーターンを使ってテイクバックを取るかどうか、ということです。メシールのテニス(53)において、テイクバックが3段階からなることを書きました。この2段階目から3段階目でのテイクバックは、右図に示すように直線状になります。ラケットヘッドが下を向いたまま体のそばを直前上に通ります。

体の横(3時側)でラケットが直前上に移動するためには、図に示すように、レディーポジションでラケットヘッドが左(10時方向)を向いているのはまずいのです。この場合は、ボディーターンがそのままテイクバックになりますので、どうしても、ラケットは体のそばを通らず、体の軸を中心に円状に回転してしまうからです。

ラケットヘッドが0時方向を向いていると、テイクバック第1段階でボディーターン(足と腰だけを回転:肩や腕は回転しない)で図の☆のところまで体を回転させたあと、第2段階から第3段階へと肩と腕を使ってラケットを後ろに引きます。これにより、直線状にテイクバックを取ることができます。これがメシールのフォアハンドのテイクバックのシーケンス(手順)です。

2011年12月26日月曜日

メシールのテニス(53) 訂正 ←メシールのテニス(52)基本中の基本

「メシールのテニス(52) 基本中の基本」で、以下のように書きました。

②フォアハンドのテイクバックでは、ラケットヘッドを下げない(むしろ上を向けるイメージ)です。スイング全体でラケット面を「縦に使う」という意識が有効です。面を横にしてスイングすると、スイングが横振りになります。メシールのフォアハンドは、「縦振り」なのです。

あまりに大きな間違いなので、訂正します。

メシールのフォアハンドでは、テイクバックでは、ラケットヘッドは下を向きます。これは、絶対に守らねばなりません。(なぜ、上のように書いてしまったのだろう?)

これに従って、腕(特に手首から肘まで)は水平よりも下向きになります。

テイクバックは、3段階からなります。

第1段階は、足と腰を回す(肩と腕は回さない)段階です。第2段階は、肩を回します。腕も、引き始めます。第3段階は、腕のテイクバックです。体の後ろの方で、腕をある程度自由に使い、テイクバックをします。この時、ボールのタイミングに合わせてループ状(場合によっては直線状)に腕をまわします。

ラケットヘッドが下を向くのは、主に、第2段階です。(第1段階でも下を向き始めてもよいですが。)この段階で、ヘッドが下を向くことが、第3段階、さらにはインパクトに対して、重要な意味を持ちます。これについては、分析がまだできていないので、理解できたらまた書こうと思います。

ちょっと気になって、フェデラー、ジョコビッチ、リ・ナのスイング(スローモーション)をYoutubeで見たのですが、テイクバックで、ラケットヘッドはみんな上を向いています。たまに、メシールに似ていると言われるマレーですら、全く、ラケットヘッドは上を向いています。

現代テニスから見たら、すでに、メシールは前世代のテニスということになるかもしれません。しかし、アマチュアテニスから見たら、十分に使えるフォームですし、また、だからこそ「美しい」のかもしれません。

なお、注意すべきこととしては、第3段階においては、ラケットヘッドは上を向いても構わないのです。そうしないと、第3段階でラケットはループを描くことが出いません。ラケットヘッドが下を向くのは、あくまで第2段階の話です。

2011年12月19日月曜日

メシールのテニス(52) 基本中の基本

今回、2つの、基本中の基本を書きます。これらは、メシールのテニスというよりも、フラット(またはフラットドライブ)系プレーヤーにとっては、基本中の基本です。

こんな基本ができていなくても、中級ぐらいのゲームでは勝てるのですが、あるレベル以上には絶対になれないという、まさにその典型例と言ってよいでしょう。

①スイング始動について:スイングの始動を、肩や腕から始めてはなりません。足と腰の回転からスタートせねばなりません。テニススクールの初心者クラスで、一番最初に習うのが、「まず横を向いて、それからラケットを引く」というレッスンです。この、基本中の基本が、実は、とても重要なことです。まず横を向く(足と腰を回す)。次にラケットを引く(肩を回す)。フォアハンドも、バックハンドも、この点では同じです。(私は、バックハンドはできているが、フォアハンドが、これが守られていない。)
メシールがラケットを両手で持ってテイクバックするのは、ある点では、これを徹底するためです。ラケットを両手で持つ限りは、肩を回すことができない(難しい)ので、足と腰を回して、ボールを打つ場所と体勢になるまでは、ラケットを両手で持つのがよいのです。そこから、肩甲骨(肩)を回して、テイクバックを始めるのです。

ここから先は、私の脳内イメージですが、フォアハンドでは、ラケット面が今どこにあるかを意識するのがコツだと、最近気が付きました。スイングの間、テイクバックからフォワードスイングで、ラケット面の位置と向きを意識し続けるのです。ラケット面とその方向が正しくないと、ボールはラケット面に厚く当たりません。厚い当たりは、メシールのグランドストロークの基本です。(スピンボールであっても!)

今回の話題は以上ですが、そのほか、気が付いた点を、メモしておきます。

②フォアハンドのテイクバックでは、ラケットヘッドを下げない(むしろ上を向けるイメージ)です。スイング全体でラケット面を「縦に使う」という意識が有効です。面を横にしてスイングすると、スイングが横振りになります。メシールのフォアハンドは、「縦振り」なのです。

③ボレーのときには、肘を伸ばしきってはいけません。ドライブボレーも同じです。これらのショットでは、肘に余裕を持たせます。それによって、柔軟性があり、ミスの少ないショットになります。

2011年11月30日水曜日

メシールのテニス(51) レシーブの構え

意外に注意を払っていないレシーブの構え。大切なことは、テイクバックにスムーズに入ることができる位置に、ラケットと腕を置いておくことです。

言い換えると、そのまま体をひねればテイクバックになる場所に、ラケットを位置させるのです。

ヘッドが下を向きすぎても、上を向きすぎても、いけません。

相手のサーブが速い場合は、特に、リターンは一瞬の出来事です。0.1秒も(いや、0.01秒も)無駄にはできません。そのままテイクバックができる位置にラケットをセットして構える、ということが鉄則です。

メシールの場合、グランドストロークでは、フォアハンドもバックハンドも、肘が伸びきることはありません。(フォロースルーですら、完全に伸びません。)

したがって、レシーブのレディーポジションでは、当然、腕は緩やかに曲げます。ラケットヘッドは、下を向きません。まっすぐやや上向きぐらいになります。

このまま、体をひねれば、テイクバックになります。

2011年11月22日火曜日

メシールのテニス(50) スイングにおける下半身の役割

メシールのテニスも、いろいろと書いている間に、ついに50回まで来ました。正しいことも、正しくないことも、また、どちらとも言えないことも、いろいろ書きました。いつか、これらを整理して、まとめようと思っています。

さて、今回は、グランドストロークにおいて、下半身(足)の果たす役割について考えてみたいと思います。

メシールのグランドストロークの美しさの一つは、上体の安定性です。上体の安定性は、がっしりとした下半身に支えられている…と書くのは簡単です。また、読む側も、わかったような気になっています。

しかし、がっしりと下半身を固定しては、ボールを打つことができません。上体だけでボールを打つことになってしまいます。

実は、メシールの場合、その逆です。

メシールのグランドストロークでは、利き足(フォアハンドは右足、バックハンドは左足)が軸となり、いろいろな仕事をしています。

①まずは、ボールと体の距離を適確にとるのは、利き足の仕事です。ボールが飛んでくると、まずは、利き足でボールとの間合いを取ります。

②テイクバック、フォワードスイングは、すべて足がリードしています。腕ではありません。足でラケットを引き、足でラケットを振ります。上体、特に腕は、それに合わせて動いているだけです。言い換えると、上体だけでボールを打つことは、メシールのグランドストロークではありえません。

③フォワードスイングでは、地面を押すことで、ボールに体重を乗せます。これによって、インパクトポイントも前の方になります。地面を押すという感覚は、地面を蹴るというほどではありません。しっかりと押し出す、というイメージです。

一言でまとめると、メシールのグランドストロークは、下半身でボールを打ちます。上半身は、下半身の動きに導かれてボールを打っているだけです。上半身の力でボールをヒットするのでありませんので、上半身は、ブレが少ないように、できるだけ安定していることが重要です。これが、メシールのグランドストロークにおいて、上体が地面に垂直に維持されている理由です。

上体がぶれないためには、上体を立てておくのが一番安定しているということです。下半身主導の打ち方であれば、それが可能です。

私は、情けないことに、メシールのテニスを50回も分析をしてきて、こんなに大切なことに気が付いていませんでした。情けない限りです。

上体の使い方、スイングの仕方にばかり目を取られて、下半身の重要性を見逃していたのです。そして、メシールのプレースタイルで、上体が立っている(安定している)本当の理由が、わかっていなかったのです。

確かに、下半身をがっしりと固定することで上体を安定させようと試みたことはありますが、当然、それは、失敗でした。相撲の四股(しこ)になってしまったのです。しかし、その先について、考えることをしていませんでした。なぜ、メシールのプレーでは、あれほどまでに、上体が安定しているのかについて。

コート上において、メシールは、下半身でボールを見ていたに違いありません。上半身(特に腕)の使い方は、本能的なものでしょう。脳や目とつながっていたのは、上体ではなく、下半身だったのです。

2011年11月20日日曜日

テニスの基本四原則(中級から中上級にステップアップするために)

(原稿を書きなおしました。)

このブログを読まれている方には、おそらく、私ぐらいのレベルの方もおられると思います。上級というほどではないけれど、単なる遊びでテニスしているのではなく、常に上達を目指している人。テニスが上手になりたいと心から願っている人です。全米テニス協会評価プログラム(NTRP)でいうところの4.0以上(でも5.0にはいかない)程度のプレーヤーですね。

私のレベルは、正式にレイティングをしてもらったことはないのですが、おそらく、4..5程度ではないかと思います。(最近の私の戦績はこちらです。)

この程度を中上級と呼ぶとして、では、中級が中上級に上がるために必要なことはなんでしょうか。私のレベルを(中級の人にはほとんど負けなくなったので)中上級とすると、自分自身が中級から中上級にステップアップした時に、必要だった四原則をまとめてみました。

それは、①まず、足を動かして、ボールとの距離がよいところにポジションする(ステップワーク)、②テイクバックを早く引く(ただし、ステップワークと並行してラケットを引くこと)、③インパクトではボールを見て、その後、(自分の打ったボールを見ずに)相手を見る、④ボールを打った後に大きなフォロースルーを取っている、の四つです。

今更ながらの基本的な四項目ですが、もし、あなたが中級だとして、本当、常にコート上で、この原則が守れていますか?一度、よく思い出してみていください。実は、きっと…。

四原則がきちんと守れれば、中級から抜け出せると確信しています。それには、理由があります。

シングルスのゲーム(草大会など)をたくさんしていると、ゲーム前に相手の技量を確認することは、戦略上、有効です。特に、(まれにある)4ゲームマッチなどは、あっという間にゲームの流れができてしまうからです。

相手の技量をはかる際に、私は、相手の打つボールの速さは、全く気にしません。むしろ、適当にボールが速い方がありがたいぐらいです。速いと言っても、たかが知れています。私が取れないほどのスピードのある球を打つプレーヤーは、こんなところにはいない(もっと、上位ランクの試合に出ている)のです。

私がゲーム前に、相手を確かめるのは、上の四原則と、フォアハンドの左手の使い方の4点です。この4点で、おおよそ、相手の技量は想像できます。試合前の練習で、打つ球は速くてもテイクバックが遅く、左手をうまく使えていない(=右手でボールを打っている)人は、あまり心配する必要はありません。恐れるに足りず、という感じでしょうか。

ちょっと見かけた感じでは上手そうに見えるけれども、実は恐れるに足らず、という人が、実は、コート上には結構多いのです。

逆に、早いテイクバックからしっかりボールを見ながらインパクトしている人をみると、その人のボールがそれほど速くなくても、いや~な感じがします(笑)。そして、そういう相手とのゲームは、結果的には、たいてい”大変なことに”なります(笑)。まして、その時に打つボールが速かったりすると…たいていは、”ひどい目に”あいます(笑)。

言い換えると、基本四原則+フォアハンドで左腕をうまく使えていれば、中級レベルからレベルアップできるということです。そんなに難しい話ではありません。私と同じようなレベルの方は、ぜひ、コート上で試してみてください。効果テキメンだと思います。

2011年11月13日日曜日

ラケットインプレッション ダンロップ社NEOMAX2000 (続編) 「柔らかくてローパワーで、ラケット面が手ごろな大きさ」

このブログでラケットインプレッション ダンロップ社NEOMAX2000を書いてから約2週間がたちました。その間、練習やゲームで、このラケットをずっと使っています。試す意味もありますが、これまで使ってきたラケットと比較しても使いやすいからです。

使い続けてみた印象としては、最初のイメージ通りのラケットで、今のところ、何の不満もありません。一言でいうと、「とても気に入っています」ということです。

MAX200Gと似た、鈍く振動吸収性が高い(やわらかい)打球感は、ラケットインプレッション ダンロップ社NEOMAX2000に書いた時から変わっていません。ラケット面が小さく、今となっては取り回しが難しいMAX200Gよりも、このラケットの方がより「よい(=使いやすい)」ラケットだと思います。

比較対象になりにくいかもしれませんが、私がそれまで使っていたWilson K-Fiveとラケット面サイズは同じですが、K-Fiveはボールが飛びすぎる(パワーがありすぎる)ので、ラケットを振りきることができないという弱点がありました。

K-Fiveはラケットのパワーがありすぎるので、インパクトでスイングを止めてしまうような(実際にはスイングを止めるわけではないのですが)打ち方になっていました。ラケット面が少しずれるだけでネットしたりバックアウトしたりするため、インパクトで力を加減してしまい、その結果、大きなフォロースルーを取れないような打ち方に、無意識の間になってしまっていたのでしょう。

このよくない傾向は、練習よりもゲームにおいて顕著です。ゲームでは、ミスをしないことが最優先するからです。飛びすぎ(バックアウト)が怖くて、腕が「ビビってしまう」という状態です。そうならないように、できるだけガットを硬めに張っても、結果は変わりませんでした。(これは、おそらく、私が、ラケットにおもりを貼って360~370gという重いラケットにしていることも、理由の一つだと思います。)

だからと言って、硬い感触のローパワーラケットは、私には向いていません。私は、フラット(フラットドライブ)でボールを運ぶ打ち方をします。ローパワーラケットで速いスイングでラケットを振りまわして強いスピンボールを打つことは、フラット系の私には難しいのです。

NEOMAX2000は、K-Fiveのような「飛びすぎる」という感じはしません。しかし、打球感は、他のローパワーラケットほどは難くはありません。

「柔らかくてローパワーで、ラケット面が手ごろな大きさ」という、私には理想的なラケットです。(実は、このイメージのラケットを探している方は、意外に多いのではないでしょうか?)

この感じは、MAX200Gと同じです。が、MAX200Gはラケット面が小さいため、NEOMAX2000と比較すると「飛ばなさすぎる」印象でした。NEOMAX2000は、程よくボールが飛んでくれます。

今、私がMAX200Gを使うと、実は、ボレーミスが多発します。理由は簡単で、ラケット面が小さいからです。NEOMAX2000では(ラケット面サイズのおかげで)ほかのミッドサイズのラケットと同じように安定してボレーを打つことができます。この点も、MAX200Gよりも気に入っている理由です。(ただし、他のミッドラケットと比較してボレーが飛躍的に打ちやすくなったとも思いませんが。)

ProkennexのRedondo Midもよいラケットなのですが、NEOMAX2000と比べると、フレームがやや硬い感じがするのです。(スイートスポットでボールをヒットした時には、その硬さはあまり感じませんが。)ラケット面が少し小さいからなのか、80%のグラファイト素材に対してケブラーが20%ほど混ざっているからなのか…。(同じProkennexでも、C1 ProTourの方は、ケブラーが混ざっていないかもしれません。このラケットは打ったことがないので、よく分からないのですが。もしかしたら、C1 ProTourはNEOMAX2000にやや似た打球感かもしれません。とはいえ、このNEOMAX2000の振動吸収性は真似できないでしょうが。)

ということで、当分は、いや今後は、K-FiveやProkennexのRedondo Midよりも、NEOMAX2000を使っていくことになりそうです。このラケット、かなり気に入りました。

以上、NEOMAX2000使用レポートの続報でした。

2011年11月1日火曜日

フラットドライブ系プレーヤーがやわらかいラケットが好きな理由

ご存知の方もおられるかもしれませんが、ミロスラフ・メシールは、実は、ウッドラケットでシングルスの優勝した最後のプレーヤーとして記録(記憶)されています。メシール自身は、選手時代のインタビューで「グラファイトのラケットも使ってみたけれど、子どものころから使い慣れたウッドのラケットを換えることはできなかった」とコメントしています。

メシールは、なぜ、ウッドのラケットにこだわったのでしょうか。私は、それは、ウッドラケットが振動吸収性の高いラケットだったからだと考えています。メシールのようなフラットドライブ系プレーヤーは、本質的に、柔らかく振動吸収性が高いラケットを好む傾向にあると思っています。

Dunlop社のNEOMAX2000のインプレを書いた際に、NEOMAX2000は、私の個人的な印象ですが、打球感がかつてのMAX200Gに似ており、「振動が少なく、鈍く厚い打球感」と表現しました。この打球感は、どうやって作られるのかなぁ…と考えていたのですが、ふと、思ったのが、運動量保存の法則とエネルギー保存の法則です。この2つの物理法則と「少ない振動・鈍く厚い打球感」がどんな関係にあるのかを、今回、考察してみようと思います。

さて、私のようなフラット(フラットドライブ)系のボールを打つ場合には、自分の打った球に順回転をかけることは主目的にはなりません。ボールの速度(移動速度)が重要です。一方、相手の打った球は、速度と回転を両方持っています。特に、相手がスピナーの場合は、回転の比重がその分大きくなります。

相手のボール(速度と回転)を自分のボール(速度中心)にして打ち返したいのが、フラットドライブ系のストロークの目的となります。「いかに相手のボールの速度を利用しながら、しかしボールの回転を殺すか」が、フラットドライブ系の課題になるわけです。

運動量については、重いラケットでボール方向に垂直にラケット面を作り、ボール方向にスイングする(ボール進行方向とラケット面が移動する方向が一直線になる)と保存できます。つまり、このようにラケットを振るお、相手のボールの速度と同じ速度(またはそれよりも速い速度)でボールを打ちかえすことができます。ラケットが(ボールの重さと比べて)重ければ重いほど、速度を作りやすくなります。(ラケットが重いと、その分だけ体や腕に対する負担が大きくなるので、ラケットが重ければよいというわけでもありませんが。)

回転については、スピン系ボールをフラットドライブ系ボールで打ち返すことを考えると、相手のボールと自分のボールは回転方向が逆になります。つまり、相手のボールの回転をすべて吸収して、さらに、それとは逆の回転をかけることになります。

その方法は、おおざっぱにいうと、①順回転方向にボールを打つことで相手のボールの回転を逆の回転にする、②ラケットでボールの回転エネルギーを吸収する、の2つがあり得ます。②では、相手のボールの回転を逆回転にすることはできませんが、回転を0にすることは(理屈上は)できます。

多くのスピン系のプレーヤーは、①を行うために、ラケットをボールに対してこすり上げます。フラットドライブ系プレーヤーも、①が中心となりますが、ラケットが②を行ってくれるとその分だけスイングは楽になります。

さて、ここからが本題です。私がMAX200GやNEOMAX200Gなどの振動吸収系ラケットが好きな理由は、もしかしたら、上の②の仕事をラケットがしてくれるからなのではないかと思ったのです。振動吸収とは、実は、ボールの回転吸収なのではないかと。これらのDunlop社のラケットにかかわらず、一般的に、フレームの柔らかい(振動吸収系の)ラケットは、相手のボールの回転エネルギーを吸収しやすいと(直観的には)思います。

ただし、ボールのエネルギーを吸収するラケットは、欠点もいくつかあります。

一つは、ボールの回転エネルギーと同時に、運動エネルギーも吸収してしまうということです。つまり、相手の打ったボールの速度も吸収してしまうということです。速度を吸収してしまうと、その分、速いボールを打てません。その際に役に立つのが、ラケットの重さです。運動エネルギーを吸収してもボールに反対方向の速度を与えるためには、ラケット自身が重ければその分だけ容易になります。(運動エネルギーは吸収しても、運動量は保存できるからです。)

もう一つは、ボールの回転エネルギーをラケットが吸収した際に、そのエネルギーはどこに行くのかということです。フラットドライブ系プレーヤーにとってはエネルギー吸収系ラケットは望ましいかもしれませんが、ラケットが吸収したエネルギーが振動として腕に伝わってしまうと、テニスエルボなどの故障の原因となってしまいます。

ラケットが吸収したエネルギーをどのように振動エネルギーとしてラケット内で消費するかという技術は、私にはよく分かりません。が、時々、ラケットの振動吸収をアピールするラケットの広告(振動が急激に小さくなるグラフなど)を見ると、そういう技術があるのだと思います。

この話は、おそらく、スポーツ学などでは常識的な(基本的な)話かもしれません。また、理屈と実際は、実はかなり一致しないのかもしれません。

が、フラット系グランドストロークの私が、どうして、NEOMAX2000のような「柔らかくて振動吸収性の高いラケット」が好きで、それに鉛をべたべたと貼って使っているのかを考えると、物理の理屈とは見事に一致します。今まで、無意識に、物理法則を考えてラケットを選んでいたのかもしれません。

理屈にも合うのですから、NEOMAX2000が、ますます好きになりそうです(笑)。

2011年10月30日日曜日

ラケットインプレッション ダンロップ社NEOMAX2000

このブログでは珍しい、テニスラケットのインプレです。

私は20代のころ(1980年代後半)にMAX200Gを使っていたのですが、それから15年間ほど(1993年~2008年)、仕事の関係でラケットに触ることがありませんでした。2008年にテニスを再開した時に、使い慣れており、しかも気に入っていたMAX200Gに近いイメージのラケット探したのですが、なかなか見つかりませんでした。(以前はストリングスのメーカーだったバボラのラケットがショップを席巻していたのには、驚きました。)ダンロップ社のRIMシリーズ(私が使ったのはダイアクラスター・リム2.5)がやや近い感触だったのですが、RIMシリーズそのものが販売終了した後でしたので、中古市場にあるものしか手に入りませんでした。

その後もずっと、MAX200Gに近い感触のラケットを探していたのですが、なかなか見つかりませんでした。今どきのテニスには向いていないタイプのラケットですから、もう、販売されることはないだろうと諦めていたのですが、1か月ほど前(2011年9月)にダンロップのネオマックス2000(Dunlop NEOMAX2000)販売開始の記事を見て、「これは!」と期待しました。楽天オープンのときにダンロップ社のブースで現物を見て、やはり求めていたラケットだと直感し、試打もせずに注文したのです。

そのラケットが、今日、届きました。早速、コートで試しに打ってみました。(実は、草大会のダブルスの試合で、練習もなしで、いきなりゲームで使ってみたのですが(笑)。)

ガットは、Wilson NXT 16を56ポンドで張ってもらいました。グリップサイズは2です。私は、普段から重いラケットを使うのですが、今回もラケットのトップ側に鉛を貼り、重さを(ガット張上がりで)375g程度にしました。

ゲームで使っただけで、まだ、十分に打ち込んでいないのですが、ネット上にもまだほとんど流れていないようですので、このラケットのインプレッションを報告しようと思います。(もちろん、ここに書くのは私個人の印象ですので、使う人によって全く異なる意見をお持ちになることもあると思いますので、あくまで参考にしてください。)

ボールを打った第一印象は、「NEOMAX2000はラケット面が大きくなったMAX200Gだ!」です。打球感は、MAX200Gの懐かしいあの感覚です。どう表現すればよいのでしょうか、振動が少なく、鈍く厚い打球感とでもいいましょうか。

しかも、MAX200Gと比べるとラケット面が大きいので、私のレベルでもスイートスポットを外した「ガシャン」というショットが少なくて、助かります。MAX200Gは、ラケット面が小さいために、なかなかラケットの真ん中でボールを捉えることができませんでした。(今でもMAX200Gを持っているのですが、これが理由で、このラケットは押入れで眠っています。)

スイートスポットを外すとボールが飛ばなかったMAX200Gと比較して、NEOMAX2000は私ぐらいの技量でもスイートスポットを大きくは外しません。そのおかげで、今日、コートでボールを打った限りでは、「スイートスポットを外してしまって飛ばないなあ」ということはありませんでした。

打球感はMAX200Gを思い出させますが、ラケット面の大きさと打球感を併せると、むしろ、ミズノのCX-603に近いかもしれません。かつて、リサ・ボンダーが使っていたラケットです。CX-603はMAX200G以上にやわらかい打球感を持つラケットで、私は気に入って使っていたのですが、フレームが弱いのが欠点でした。私は、CX-603を2本か3本、プレー中に壊しました。ガットが切れることはよくありますが、ラケットが壊れるという経験はCX-603以外ではしたことがありません。(MAX200Gもフレームが弱いそうですが、私は壊したことはありません。)

NEOMAX2000は、CX-603と同じように、「壊れてしまうのではないだろうか」と感じるぐらい、相手が打ったボールの振動をラケットが吸収してくれるような感触があります。

私は、ボールの嫌な振動を吸収してくれるやわらかい(=Flex値またはRA値が小さい)ラケットが好きなのですが、今、市場に出回っているやわらかいラケットの多くは女性向けで、ラケット面が大きすぎ、ラケット重量が軽すぎるのです。100インチ以上のラケット面は、パワーやスピードよりもコントロールを重視するプレースタイルの私には、大きすぎます。普段、鉛を貼って360g以上にしている私には、300gを切るラケットは軽すぎます。

ラケット面が大きすぎず(100インチ以下…できれば95インチ以下)、振動吸収をしてくれるやわらかいフレームのラケットとして、私は、長い間(と言っても2年半ぐらい)、Wilson K-Five98(ラケット面のサイズは98インチ)を使っていました。このラケットは、振動吸収性が高い構造を持っており、しかもそれほどはラケット面が大きくないということで、長い間、気に入って使っていました。(それでも、重量を370g程度にするために、鉛をべたべた貼っています。)

しかし、少しずつ技量が上がるにしたがって、このラケットのボールコントロール性の低さが辛くなってきました。ラケット面が大きすぎること、ラケットが2つに分かれる構造、フレームの柔らかさが、シングルスのゲームで思ったところにボールを運ぶことには、マイナスに働いたのです。ボレーなどは、いい加減な打ち方をしても相手のコートにボールが返るので、ダブルスでは重宝するのですが…。

Wilson K-Five98を使いながら、フレームが柔らかくて、ラケット面がK-Five98よりも大きくない(コントロール性が高い)ラケットを探して、見つけたのが、つぎの2つのラケットです。
ProKennex Heritage Type C Redondo Mid
トアルソン アロー
前者は海外通販で購入したのですが、日本国内ではC1 ProTour ver.07という名前で販売しているようです。(販売店に確認したところ、これらは(ほぼ)同じだろうということでした。)

Heritage Type C Redondo Midとアローは、(MAX200GやNEOMAX2000とおなじ)ブレイデッドグラファイト(ブレイデッドカーボン)という製法で作られており、比較的近い打球感を持っています。また、前者は93インチ、後者は95インチということで、ラケット面が大きすぎるということはありません。(実は、ProKennex Heritage Type C RedondoにはMidPlusがあり、こちらは98インチです。両方とも持っているのですが、93インチの方が、コントロールを重視したい私には合っています。このことからも、大きいラケット面のラケットが自分にはあまり向いていないということが分かりました。)

ただし、この2つのラケットは、(言葉で表現するのは難しいのですが)インパクトよりも少し前にラケットが撓る(しなる)ような感じがすることがあります。(特に、トアルソン アローがそうです。)特に、テイクバックが大きすぎるスイングをしてしまった時(私にはよくないフォーム)に、それが顕著です。この撓る感覚は、ボールコントロールには不向きです。インパクト前にラケットヘッドが振れてしまうので、コントロールが安定せず、ぶれる感じがするのです。(ただし、テイクバックが小さくなると、この撓りはほとんど感じなくなりましたので、私の技量によるところが大きいようです。)

NEOMAX2000は、MAX200Gと同様に、そのような撓り感はありません。また、適度にラケット面が大きいので、ボレーなどもしやすく、ダブルスでは使いやすそうです。おそらく、ダブルスでは、今後は、Wilson K-Five98よりもNEOMAX2000を使うと思います。

シングルスでは、ダブルスよりもグランドストロークのコントロール性が要求されます。ProKennex Heritage Type C Redondo Midは打球感がよく、しかもコントロール性が高いので、私は、シングルスではこのラケットを使ってきました。ただし、93インチのやや小さめのラケット面は、ラケットの真ん中でボールを捉えることができなかった時に、肘に負担がかかります。また、ボレーを打つ時は、ちょっと手を伸ばして打ったような手抜きをすると、全くボールが飛びません。その点は、NEOMAX2000に分がありそうです。もし、NEOMAX2000が、Wilson K-Five98と同じようなコントロール性の低さが問題にならないようであれば、シングルスでもNEOMAX2000を使うかもしれません。

当分は、NEOMAX2000を使い込むと思いますので、別の機会に続編を書くかもしれません。


続報はこちら⇒ラケットインプレッション ダンロップ社NEOMAX2000 (続報)